リストラ ~第3話~
会社組織だけではないのでしょうが、組織の中で正論を唱えても、正しい事はなかなかできません。
かつて、私が勤めていたH建設の役員会議の席である役員(K取締役)が言いました。
「相澤の言っている事は正論だとは思うが理想論でしかない。」
「今、私の言っていることを『正論』とおっしゃいましたか?」
「そうだ。正論だと言った。」
「では、K取締役も私の言っていることは『正しい』とは認識してくださってるんでしょうか?」
「そんなことは一言も言っていない。」
「では、聞きますが、正論とはどういう意味ですか?」
「・・・。とにかくだ、今回の相澤の意見は却下する。」
これは私が新しい工法を提案した時の話ですが、結局、その案は却下されてしまいました。
その案が採用されるのにはその後、5年の月日が掛かりました。K取締役がある問題で退任されたことによって、私の意見に反対する人がいなくなったからです。
と、この様に書くと、私の意見をK取締役が意図的に反対している様に感じるのですが、実際にはそうではなく、K取締役は本来あるべき住宅の情緒を大切にしたかったのです。しかし、私は生産の効率性と構造の安定を求めたことによる意見の対立だったので、単に論点が噛みあわなかったのですが、最大の問題は私が
『自分の意見は完璧だ』
と信じていたことにありました。今、考えれば、その案そのものは正しかった事は間違いないのですが、事前に根回しをしないで、役員会に臨み、役員会の席で役員と対立してしまったことにあります。
よく、会社の上司や、年輩の人を見て、
『なんで、ロクに働いてない、あんなのに高い給料払っているんだよ。』
みたいな事をいう若い人がいます。私もそうだった様に思います。
しかし、それを言う若い人はその上司や年輩の方が若い時にどんな風に仕事をしていたかを知らないはずです。そして、それを言った自分が将来、どうなっているかを断言できないはずです。
つまり、自分より先輩の方には自分の意見を言った後でも前でも必ず、先輩の意見に耳を傾けて、馬鹿にしないで真面目に一考するべきです。
上司を煽てて、なんとか了解を取ることが根回しではありません。
上司の言っていることをよく咀嚼して、自分の意見と協調させていくことが根回しなんだと考えています。
リストラの続きです。
私は技術部門から営業企画部に異動になりました。
しかし、営業企画部はそもそも、営業部門の中ではエリートコースですから、他人の評価は左遷ではなく栄転という評価でした。しかし、当時の私は技術畑一本で、住宅の生産性の向上や品質の向上をやっていきていて、不動産や営業のことは全くわかりませんでした。
どれくらい、解っていなかったかと言うと、異動になって、営業企画部の仕事について1週間程研修を受けることになりました。私の研修をすることになったのはO課長です。O課長はH建設きってのキャリアウーマンでした。
「相澤君は計算が得意だから大丈夫だと思うんだけど、この団地の収支計画を作ってみてくれる?」
「わかりました。」
研修ですから、既にO課長が収支計画を作っているものを試しに作るだけです。ほどなくして出来上がりました。
「あれ、少し計算があわないわね。何がおかしいのかしら・・・」
私の収支計算の方が少し、原価が高く出ていました。
「あの~。O課長の収支計算は消費税が一部、抜けているからだと思います。」
「え?私、間違ってた?」
「土地に消費税が掛かっていません。」
「相澤君・・・。土地って、非課税なのよ・・・」
「えっ!そうなんですか・・・」
「あはは・・・。相澤君でも知らないことあるんだね!」
と、こんな感じでした。
営業企画部のS部長もやはり、もともとは技術系の課長でしたが、I常務によって営業企画部の部長に抜擢されました。私はもともと、S部長ともよく話す仲ではあったのですが、M部長の配下にいた私を欲しがるとはとても考えられなかったので疑問には思っていました。
異動になって3ヶ月が経って忘年会がありました。
忘年会の後に、二次会、三次会と行われ、大分人数が少なくなった頃にS部長が
「相澤、もう一軒付き合わないか?」
と言い出しました。
特に断る理由もなかったのですが、もう、終電も終った頃で、ほとんどのお店も開いてなく、結局、屋台のおでん屋に座りました。
とりあえず、かなり飲んではいたのですが熱燗を注文し、出てきた熱燗を私がS部長にお酌しようとすると、
「ああ、まずは俺に注がせろ」
「ありがとうございます。」
S部長は私に注ぐと自分は手酌で注いでしまいました。
「まずはお疲れ。」
「お疲れ様です。」
「どうだ、営業企画部は?少しは慣れたか?」
「はい、O課長にも良くしてもらっていて、大分、慣れてきました。」
「そうか、O課長も相澤は飲み込みが速いし、良くやってると言っていた。」
「いえいえ、いつもご迷惑掛けてると思っています。」
「ところで、相澤はなんでうちの部署に来たか知ってるか?」
「はぁ・・・」
私がシドロモドロしていると・・・
「M部長にはなんと言われたんだ?」
「えっとですね・・・・S部長断ってのお願いと聞きましたが・・・」
「そうか、M部長らしいなぁ・・・」
「えっ、違うんですか?」
「いや、相澤がうちの部署に来ることになった時には俺も嬉しかったさ。I常務も喜んでたよ。しかし、M部長が相澤を手放すなんて思わなかったからな・・・。あのな、M部長から俺に相澤を貰ってくれと言ってきたんだよ。」
「そ・・・そうなんですか・・・」
「相澤,勘違いするなよ、M部長はお前のことをいらなかったわけじゃない。お前の将来を考えてのことだったんだよ。」
その時、私はまだよく意味が解りませんでした。相当、酔っていたからかもしれませんが・・・。
次回に続きます。
さて、明日からまた忙しいけど・・・
リストラ ~第2話~
最近、あるゼネコンのS課長とこんな会話がありました。
「Sさん、課長昇進、おめでとう。」
「いえいえ、お恥ずかしながら。まぁ、ここまでは年功序列でなれますから・・・」
「Sさんは課長になられて、何課を任されるんですか?」
「いえ、何課もないですよ。営業2課は変わらないです。部下はいません。営業2課に後輩はいますけどね。だから、昇進しても人事的には何も変わらないです。」
「じゃあ、営業2課には営業2課長だった、NさんとSさんの二人の課長がいるんですか?」
「いえいえ、Nは今回の人事で部長になりました。だから、営業2課長はN部長です。」
この会話で違和感を感じない方はいないと思います。
課長というの『課のトップ』で部長というのは『部のトップ』のはずです。
しかし、役職を上げても実際には部下もいない課長がいっぱいいるのが企業です。時々、主査とか上級主査というような役職がある企業がありますが、役職で課長だと『課のトップ』の様に対外的に思われてしまうので、よく解らない役職を作っているのかもしれません。
企業が大きくなる過程で例えば創業者1人が成功して、2期目で2人、3期目で3人、4期目で5人・・・と毎年1.5倍ずつの社員を雇用していっている間は会社組織の人口ピラミッドがちゃんと成立しているので、人事的にも上手くいくかもしれません。
しかし、企業がある一定規模以上になれば、壁にぶつかります。また、会社の経営状況が悪化すれば、雇用を拡大することは難しくなります。その時点で会社組織のピラミッドが崩壊しはじめます。特にバブル崩壊後にその様な会社は多かったと思います。平成初期に入社した社員はその後、殆ど雇用がされない為に10年間、部下どころか後輩すらいない。そして、少しずつ雇用を開始したものの、部下よりも上司の数の方が多いという人は沢山いたはずです。
当然ですが、企業もそんな簡単には人員整理はできないのでその状況を変えることができません。余った人材は大企業で子会社がある様な会社は子会社に行かせることも可能です。銀行だったら、融資先の企業に出向させて、出向先の会社の社員にすることもあります。そして、官僚だったら天下りという道を準備します。そうやって代謝を図るしかないのでしょう。
ところが中小企業や新興企業はそういう訳にはいきません。子会社も出向先も天下り先もないので、苦しくてやっていけなくなると給料の高い、高年層の余った人材からカットすることになります。
さらに酷いのが生産調整を行う際の現場労働さ者の人員削減です。その為の調整弁が派遣労働者だったのはここに書くまでもないことかもしれません。よく、言われることで
「正社員と同じ労働をしているのに派遣社員だけ、解雇されるのはおかしい・・・」
おかしいようですが、将来、会社の管理職、行く先は経営を担ってもらおうと考えている社員(もちろん、その中の一部しかなれませんが)を契約社員と同様に解雇する訳が無い理屈はわかりきっていることです。
しかし、この社会構造もしくは会社組織構造は破綻の序章なんです。すでに組織のピラミッドが崩壊し、生産人口よりも管理人口が多くなればその企業が企業活動を維持できるわけがありません。それを回避する為に何を企業はしなければいけないかをよく考えるべきでしょう。
H建設の話に戻ります。
M部長はR社長に呼ばれました。
「来年、もしくは再来年の役員人事では君を新役員に推薦するよ」
私は別件でM部長と一緒に呼ばれていました。その社長の言葉を聴いたときに私は少し疑問に思いました。
『なんで今年の役員人事で役員にしないんだろう・・・?』
その頃の私は社内の派閥のことをよく解っていませんでした。その後、数年してその時のことを理解できました。
その内に創業者であるH会長が病気で倒れました。そのまま、会長職を辞職されました。
そして、ある日、H元会長が亡くなったという話が飛び込んできました。
H元会長は創業者ですから、当然の様に社葬が行われました。しかし、そのことが人事に大きな影響を与えることに私はまだ気が付いていませんでした。
翌年の役員人事では大きな改革が行われました。
まず、A専務が会社を去ることなりました。理由はよく解らないまま、A専務は朝礼で
「これからは自分のやりたかったことをやろうと思います。」
という発言でした。
私はR社長からA専務に社長職が禅譲されるものだと思っていたのでビックリしましたが・・・
A専務はH元会長の実子ではありません。H元会長は創業者ですから、大株主でもありました。H元会長が亡くなったことで、その株主の権利は必然的に奥さんと養女に相続されました。(H元会長には実子はなく、養女がいました。)
つまり、実子でないA専務をH元会長の奥さんが追い出してしまったわけです。
また、それに伴って3人ほどの役員が退任しました。
R社長派と思われる3人の役員が退任、そして、R社長の友人である、H元会長の死去によってR社長は完全に孤立してしまったわけです。
その年の9月中旬に私はM部長に呼ばれました。
話の内容は・・・異動でした。
その会社に於いて、技術部門間の異動は大変珍しかったのですし、技術部門から営業部門への異動は部長クラスでしかありませんでした。
ところが私は営業部門への異動でした。
「相澤、10月から営業企画部に行ってくれないか?」
しばらく、黙っていた私に・・・
「相澤がいらないと言ってる訳じゃないんだ、営業企画部のS部長たっての頼みでな・・・」
「で、M部長はそれに応諾されたのですか?」
「いや、本人に確認してからと言ってある。」
「それで、『行ってくれないか』ということは、やはり、M部長は私がこの部にはいらないと・・・」
「いや、相澤をいらないなんて言っていないだろ。いろんな事を若いうちに経験をだな・・・」
如何にも歯切れが悪い言い方でした。
「私はサラリーマンです。サラリーマンは行けと会社から命令されれば、それに従うのがサラリーマンだと思っています。だから、これが命令であれば私は行きます。」
「では、命令だ」
あっさりとしたもんでした。
私は10月から営業企画部に異動になりました。
営業企画部のS部長はA専務に非常に可愛がられている部長でした。
その異動の意味を知るのにそんな長い時間は掛かりませんでした。
次回に続きます。
リストラ ~第1話~
昨日は前々職時代の上司と飲んでいて、かなり出来上がって帰ってきて、さっさと寝てしまいブログが更新できませんでした。
その前々職(H建設)の上司(M部長)というのは、最近、リストラの対象になった方です。
私はH建設に大学を卒業後14年勤めました。
辞めることをその時の上司に言いました。その時の部長というのはF部長です。
「相澤はなぜ、辞めようと思うんだ?」
「はい、うちの会社はお客さんの方を向いて仕事を出来なくなってるからです。」
「じゃあ、どこを見て、みんな仕事をしているんだ?」
「上です。」
「上?」
「つまり、お客さんを見ないで上司や社長を見て仕事をしているんですよ」
「うむ、たしかにそういう輩もいるのは解る。しかし、俺は違うぞ!」
『あんたの事を言ってるんだよ』
と言いたかったのですが「俺は違うぞ」と言った言葉の時点で多少の自覚はあるんだなと思いました。
M部長は、私がその会社に入った時に既に技術系の一部門を担う部長でした。一時は役員に昇格するという話もあったのですが、ちょっと、とっつき難いところのある人で、一部の営業系役員から嫌われていて、結局、部長のままでした。
簡単に言えば派閥争いに負けた訳です。
上場こそしてはいましたが、そんなに大きな会社だったわけではないのですが、その会社の中には派閥がありました。もっとも、最近、負けた政党の様に
「自分は○○派」
と公言する人はいませんでした。
また、創業者が社長だった時代には、みんな創業一族が社長を継ぐと思っていたので、派閥もさほど重要性がありませんでしたが、二代目の社長が外部から招聘された人(創業者の友人)がなった途端にその傾向は顕著になりました。
その会社が創業者が社長だった時代には、派閥はあるものの社員はみんな、お客さんの方を向いていました。
『良い家に笑って住んでもらう』
これだけを思って家を作り、売っている会社でした。
ちょっと値段は高かったかもしれませんが、お客さんはみんな喜んでくれる家を作っていて、それなりに評判も良かったかと思います。また、マジメな会社でバブルの時にも住宅以外には手を出さず、バブル崩壊後も売上げは下がったものの赤字になったのは、1度だけでした。
しかし、創業者であったH社長も、その時すでに70代後半でもあり、景気回復を待たずに、社長を引退し会長職に付きました。
次期社長と思われていた人が何人かいました。
筆頭はA専務でした。
A専務はH社長の息子です。ただし、正妻の息子ではありませんでした。所謂、妾の子ですが、社内では良識派で社員思いで、また経営判断がしっかりした優秀な専務でした。
二番手がR副社長です。
R副社長はH社長の友人で、ある大手百貨店の役員を経て、H建設の顧問に就任後、副社長として、後継者を育てる役割を担っていました。
三番手がI常務でした。
I常務は若くして営業部長になった方です。もともと、大手のゼネコンなどに親類がいることで、法人受注などの大きな仕事を若くしてやってきた人でもあり、営業系の人間からは厚い人望がありました。
私が一緒に飲んでいた、M部長はA専務とR副社長には、気に入られていました。また、H社長からの信頼も相当厚かったのですが営業系の人達からは嫌われていました。R副社長は外部から招聘された人であったので、あまり、社内に大きな派閥を持っていませんでした。M部長はR副社長の腹心と言って言いぐらいに可愛がられていました。
次期社長はR副社長が就任することになります。
M部長の役員昇格は間近と思われていました。
長くなりそうなので、何回かに分けて書きます。
また、中途半端だけど・・・
B行為
さて、今回はB行為について書いてみようと思います。
まず、不動産業界でないかたにB行為(もしくは「B取引」という場合もあります。)について、どんな取引なのかを簡単に書いておきます。
パターンA
買主の担当者が仲介業者に不動産を買う際に手数料の一部をバックしてもらう。
不動産の物件購入担当者が本来だったら、その担当者のいる会社の損得とは別にとりあえず、無理矢理にでも社内承認を取ります。仲介業者は売買を成立させなければ1円にもなりませんから、担当者に手数料のバックをすることで社内決済を取ってもらう行為です。
パターンB
買主の担当者が売主に本来よりも少し高い金額で買ってあげることにして、その売買代金の一部をバックしてもらう。
本来、2億円で売れれば良いと思っていた売主に2億2千万で買ってあげるから1000万を自分にくれという行為。売主も買主側の担当者も得します。
パターンC
買主の担当者が別の仲介業者から仕入れた情報、もしくは自分自身で得た情報を自分の仲の良い仲介業者から情報を得たことにして、仲介手数料をバックしてもらう。
パターンD
パターンCに近い話ですが、物販業や飲食業の店舗担当者が自分で見つけた物件情報を知り合いの仲介業者から得た情報の様に見せかけて、仲介業者から手数料をバックしてもらう。
他にもいくつかの手法がありますが、この様な不動産取引に於いての不正な裏取引、特に買主(売主、借主)の担当者が仲介業者を使って行う不正取引をB行為もしくはB取引と言います。
B行為の話はちょっと景気がよくなるとすぐに出てきます。
ですから、最近はすっかり忘れていたのですが・・・、前述の様に闇不動産屋さんのブログを読んで色々なことを思い出しました。
B行為の中でも私がエゲつないなぁと思った話です。
ある、衣料系物販の店舗開発の担当者から電話ありました。
「相澤さんのところでうちの店舗の仲介やってもらいませんかね?」
「ありがとうございます。で、どの様な物件をお探しですか?」
「いえいえ、もう希望の物件は見つけてあるんですよ」
「では、その物件の所有者に貸してくれるかを交渉すればいいんですね?」
「いえいえいえ、もう貸してもらえる話はついているんですよ。」
「では、うちは何をすれば宜しいんですか?」
「契約書と重説を・・・。それとご相談事がありまして・・・」
さすがに私もそこで解りました。
しかし、原則的に私はB行為に対してあまり賛成しませんが・・・受けたかどうかは皆さんのご想像にお任せします。
しかし、その衣料系物販というのが、皆さんの半分以上の方が知っていそうな全国に支店を展開している大手です。そんな、ところでもB行為が行われているのには少し悲しくなりました。
これを読んでいる不動産業界の若い方は絶対にB行為はしないことをお勧めします。
B行為を自分から提案すると、相手も自分に損がなければ乗ってくれることがあります。
しかし、B行為を一度でも行うと、あの人はそういうことを言う人だと常に思われます。つまり、同じ条件で買ってくれる買主がいるのであれば、仲介業者はみんな、別の買主に物件を紹介します。つまり、B行為をする人に物件情報を持ってくるのは最後になってしまいます。また、将来の業界での信用が常になくなってしまう訳です。
もちろん、私の仲のいい不動産業者の皆さんは上の衣料系物販の担当者がそういうことをする人であることを知っています。
終わりに近づくと疲労感が出るタイプ
人間は不思議なもので・・・
あとちょっと・・・と終わりが見えると突然に疲労感が出るタイプと
終ってから、どっと疲れが出るタイプがいます。
もちろん、どちらでもない人もいるとは思います。
しかし、私は前者の様です。
そういえば、デベの時に竣工検査当日に風邪をひいたり、
設計の時に確認申請提出前日に熱を出したり・・・
そういえば、一級建築士の学科試験の日も前日になって突然、熱が出ました。
なぜか、できそうもない仕事に一筋の光明が見えたりすると、
疲労感がどっとでてしまいます。
まだ、終ってないから引き締めていかないといけないのに・・・。
自分では・・・
「決済終って、入金確認するまでは終わりじゃない」
って、解っているのに、なぜかこうなります。
雇用情勢
失業率が5.7%というニュースが出ていました。
失業者総数でいうと359万人だそうです。
ちなみに、この数から逆算すると、実質労働者数は6298万人ということになります。
日本の総人口からすると18歳未満や高齢者を除いても、
ちょっと少ないような気がしますがこれは恐らく、自営業者で廃業した数が含まれてなかったりするのかな?と思います。
実際の計算方法は知らないのでそこら辺は言及しません。
しかし、この失業者数の中に
『中小企業緊急雇用安定助成金制度』を利用している会社の対象者が含まれていないことをご存知でしょうか?
この長たらしい名前の制度を簡単に説明すると
仕事の無くなった、もしくは減少した会社が社員を解雇するのではなく、休業させている間の社員に支払う賃金を助成してくれる制度です。
社員を休業させる場合、その会社は完全休業をさせたとしても、社員に通常賃金の60%を支払わなければなりません。その4/5を原則として支給してくれるという制度です。
※原則と書いたのは、過去に社員を解雇した経歴のある会社はその割合が下がります。また、上限が決まっています。(1日7685円)また、雇用保険に加入していない企業は受給することができません。
しかし、この制度が無ければ、その企業は恐らく、社員を解雇することになるでしょう。
では、この制度を利用し休業している社員の数は・・・
平成21年7月現在で243万人です。
とすると、実際の失業者数は602万人ということになります。
ということは、実質的な失業率は9.6%ということになります。
この失業率は経済破綻を意味する数字と言っていいでしょう。
しかし、この制度があるおかげで、助かっている企業も従業員も沢山いるわけです。
ところが、この制度を利用しないで従業員を解雇する企業もあります。
極めて無責任な経営を行っている企業もあるのが事実です。
経営方針が変更したり、会社の経済状況が変わったことによって、
社員が不要もしくは雇用しにくくなるケースがあります。
しかし、社員を雇用したのは企業です。
どうすることもできないケースはあると思いますが
企業の責任者は雇用を如何に維持するかをよく考えるべきかと思います。
雇用は経済の下支えです。
従業員を解雇することで、一時的に業績が回復しても、それによって所得が減ることを、他の多くの企業が行ったらどうなるでしょうか?自分だけよければという発想が将来的には自分に帰ってくることになるわけです。私だけが努力しても意味の無いことかもしれませんが、
「みんながやらないから自分もやらない」
では、社会は良くなりません。
そして、この努力をしないで将来、成功した企業などは、どんなに立派な仕事をしても企業価値は虚空のものだと思います。
この雇用安定制度を作った、厚生労働省はもっとアピールするべきだと思います。
この制度を知らないで破綻している中小企業もあります。
そして経営者はこういう制度をちゃんと勉強しておくべきです。
今日の選挙で民主党が勝つことによって、景気は混乱する可能性が大きいと私は考えています。
昨日、民主党のミスター年金と言われている(自称かな?)、長妻昭さんとお会いしました。
「子育て支援もやっています!」
と言っていました。
ミスター年金というぐらいなので、厚生労働省に関係する役職につくのでしょう。
子供に対する支援も大事だと思いますが、雇用と所得を守らないと、
いくら、育児費を出しても意味が無いということを考えているか疑問です。
雇用の創出を官に任せるのではなく、民によって行わなければ
この景気回復は難しいのではないでしょうか?
中小企業の経営者の方が雇用を維持し創出することが景気回復への道だと考えています。
自分もそれをできるようにがんばりたいと思います。
衆議院議員選挙
テレビで民主党に投票をした方の意見の多くは・・・
「自民党では自分達の生活に変化がないから・・・」
「期待を裏切られたから・・・」
それを聞いて思ったのは・・・
次の選挙で民主党は負けるか分裂しているかということです。
民主党は官僚主導型政治を変えることができるかもしれません。
しかし、もっとマクロ的に考えなければいけないのではないのでしょうか?
今、国家にある財源に対し何を優先するか、それだけのはずです。
その優先順位がマニフェストだったはずです。
財源は民主党になっても変わりません。
もちろん、自民党でも変わりません。
一番大事だったことは景気対策に対する継続だったのではないのでしょうか?
我々はこれから官に頼らない体質を作らなければなりません。
しかし、自民党は負けすぎかな・・・
水槽と生態系全体の自然環境
以前のブログにも書きましたが趣味は熱帯魚です。
子供の頃の夢は水族館の職員になることでした。
というわけで我家のリビングの壁は水槽で埋め尽くされています。
今日は調子の悪い水槽を洗いました。
洗う前はこんなかんじでした。
これ、ピンボケじゃないんです。
コケが生えてこうなっているんです。
では、この状態になるのにどれくらい掛かったかというと
たったの1週間です。
調子が悪いとこうなります。
なにが調子悪いかと言うと・・・
バクテリアがうまく機能していないので、魚の排泄物等が
全て、植物の栄養になってしまうのです。
そして、一瞬にしてコケが生えてしまうのです。
そして、これが自然で発生すると、そのコケや植物プランクトンを
動物性のプランクトンが食べるので、動物プランクトンが爆発的に増えます。
その為、一瞬にして水の中の酸素が消費され、動物性プランクトンが窒息します。
それが赤潮です。
つまり、食物連鎖の破壊と栄養過多が自然を破壊するわけです。
その自然状態を水槽にうまく作れると、その水槽は殆ど手が掛かりません。
小さな魚を少量飼うのであればエサすら殆ど与えなくても、
自然循環だけで飼育ができるのですが、
この水槽は何故かものすごく調子が悪かったのでリセットしました。
※リセット・・・通常は水槽の水は全て換えたりしません。魚も水草も水質の急激な変化には弱いからです。しかし、あまりに調子の悪い場合には全ての水を換えてしまいます。これをリセットと言います。
人間の手で自然環境を作るのは凄く難しいことです。
ですから、温暖化などで、緑化計画などを積極的に進めたとしても
それを本当に維持できるかは微妙な問題です。
また、その植物には昆虫だって集まります。
しかし、人間が緑化計画などで本来はそこに無い植物を植えれば
本来、そこには居なかった昆虫も集まってきます。
例えば、温暖化と緑化のせいで関東には居ないはずのクマゼミが
最近は関東にいるのを知っていますか?
クマゼミが関東に来たということは、本来、関東にいるセミが駆逐される可能性もあります。
都心を緑化する時に、そういう事をよく考えて行わないと大変なことになります。
植物の知識だけではなく、生態系全体を考えて行ってもらいたいと思います。
もちろん、水槽の魚を飼えなくなったから自然の河川に放すなど言語道断です。
さて、わけの解らないことを書きましたが洗い終わった水槽は・・・
趣味ネタだけど・・・
収益還元法と取引事例法と相場観
さて、今日は忙しい中で、私の会社の社員と話していた会話です。
「私はなかなか、相場観が掴めないんですよ」
この社員はもともとは設計屋さんです。この2年ぐらいで一気に商業系の不動産の世界に飛び込み、それなりの実績を上げてきています。
「そんなことないだろ。それこそ、いい勘してると思うんだけど・・・」
「でも、最近は本当に見てきたものが日々変わるので・・・」
「たしかにそうだな。2年前と比べたら賃料相場も地価相場も激変しちゃったからねぇ・・・」
という会話でした。
しかし、私には一つの目線としているものがあります。
不動産価格がアップトレンドだった時代は不動産鑑定士に鑑定してもらった価格が一つのラインでした。
不動産鑑定士の鑑定方法というのは・・・
収益還元法と取引事例です。
不動産鑑定士になるには非常に難しい試験に合格しなければならないのですが(受けたことが無いので本当は難しいかどうか知りません。倍率から想像すると難しいだろうと思っている次第です。)
ところが、この収益還元法も取引事例も怪しいものなんです。
収益還元法というのは簡単に説明すると
キャップレート(投資家の期待利回り)から逆算する不動産価格です。
つまり、
(不動産が得られる収入(賃料もしくは想定賃料)-ビルの管理費や税金などの支出)÷不動産の取得価格=利回り
となります。
しかし、その物件が新規開発物件(新しくビルを建てるなどの土地)の場合は賃料は全て想定賃料です。
ということは、得られるであろう賃料は周辺相場と賃料上昇率などから想像することになります。ここが非常に怪しいことになります。賃料の上昇率を加味すれば、賃料は永久に上がることになります。不動産鑑定士は景気動向などは考慮に入れません。
また、投資家の期待利回りも怪しいもので、どこぞのファンドがこのエリアで利回り○%で買ったという情報があればそれが期待利回りだったりします。
『それって・・・取引事例であって、収益還元法じゃないんじゃない?』
と言いたいことが多々ありました。
また、取引事例ですが、不動産鑑定士は取引事例を全て知っているわけではありません。というか、全然知りません。せいぜい、解るのはレインズや日経不動産マーケット情報に出ている情報です。
ところが、こちらは実際に売買を多々している不動産屋です。不動産鑑定士なんかよりも遥かに取引事例を知っています。
そこでこんなことがありました。私がある物件の検討をするにあたって不動産鑑定を依頼した某大手不動産鑑定事務所のT所長から電話です。
「相澤さん、この辺のキャップレートっていくらぐらいですかね?」
「○○○コーポレーションは△%ぐらいなら買うって言ってましたよ。」
「じゃあ、キャップレートは△%にしておきます。ところで、この辺の取引事例はありますか?」
「こことあそこはうちが××不動産に○○億で売りましたよ。それから、そこはうちが○億で買いましたよ。」
「じゃあ、それをレポートに入れておきます。」
と出来上がった不動産鑑定資料で金融機関がお金を出してくれました。
つまり、不動産鑑定士に依頼しておいて、鑑定内容は私の言いなりだったわけです。
なんでもありの時代でした・・・。
ところが最近は・・・
収益物件であっても実需物件(マンションや戸建などを建ててエンドユーザーに売却する物件)でも私は路線価を基準にしています。
理由は簡単です。金融機関が路線価ベースで融資してくるからです。
2年前は路線価の5倍以上でも融資していた物件がいくらもありましたが、最近は路線価辺りが融資の上限です。つまり、収益還元も取引事例も意味が無いわけです。(不動産鑑定士もまったく意味がないことになりますが・・・)
これが私の相場観というわけです。
【高裁判決】更新料無効
先日、書いた『敷金無効判決』の続編です。
本日の日経新聞社会面に更新料無効の判決が出ています。
更新料というのは、賃借人からしてみると、たしかに解り辛いものです。
簡単に言えば、必要性の有無は別として、契約書の作成、貸主の賃料補填などです。
この京都の事例の場合は家賃45000円に対して、1年更新で更新料が10万円です。
更新料の何%を仲介業者(もしくは管理会社)に支払ったかの問題はありますが、半分としても貸主に支払われる更新料は5万円です。
とすれば5万円÷12ヶ月=4166円/月となり、実質的な賃料は49,166円となります。
今回の事例は『やりすぎ!』という感が否めません。
アットホームなどで賃料の安い順に検索をしても、共益費があったり、更新料、礼金、保証金の償却、そして契約期間がバラバラなので実質的な賃料の比較が難しいのが、賃貸物件の問題です。
以前も書きましたが、敷金と礼金がゼロのゼロゼロ物件の場合、安いですがそれなりに大きな問題を抱えているので、安ければ良いというわけでもないのですが・・・。
いずれにしても、消費者(賃借人)に対して、恐ろしく解りにくい業界です。(携帯電話の料金体系よりも解りにくいです。)
しかし、今回の判決のポイントは
・借主と貸主の情報収集力格差があり、自由に条件を比較できず、取引は対等とはいえない。
・対価などの法的根拠について説明がなく更新料には賃料が安いとの印象を与え契約締結を誘う役割しかない。
の2点がポイントとなります。
※たしかにレインズなどは業者しか見れないので、貸主と借主では決定的な情報収集力格差はあります。プロ同士でさえ、大きな情報格差がある世界なので、プロと素人では比較になりません。
※法的根拠・・・と言われると、「商習慣」としかいえません。まぁ、貸主側の一方的な事情です。
つまり、『礼金』や『保証金の償却』も明らかに今後はこの対象になるでしょう。
貸主側が上告するみたいなので、最高裁判決に注目となります。
事と次第では我々の業界も大きく見直さなければならないことになります。
また、時事ネタっぽくなったけど・・・