用途変更の確認申請を出さないといけない業種(用途)とは?
本内容は2015年1月28日に掲載されたものの修正版です。
用途変更に掛かる費用については、変更後の用途によって違います。それぞれ用途別に価格設定しておりますので、下記のそれぞれから選択して、参照してください。(直接、当社にお問合せ頂いても構いません。)
飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。
老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。
簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。
その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。
用途変更について、
「マンションの各部屋を事務所で使おうと思うのだが用途変更は必要ですか?」
「コンビニが退去して、その部分を事務所で使おうと考えているが用途変更は必要ですか?」
と言うような、質問を受けますが、いずれの場合も、事務所が特殊建築物ではないので、用途変更をする必要性がありません。また、同一グループ同士の場合は、用途変更の必要性が無い場合もあります。(当社では同一グループに該当した事例がありません。公共事業や風俗店の場合だとある可能性があります。)
下記に該当する用途で建物を利用しようとする場合に、その前に利用していた用途が、これから利用している用途と違った場合で当該用途部分が100㎡(現在は200㎡)を超える場合に用途変更の確認申請が必要となります。
例えば物販店の裏にあるバックヤードや事務所を除いた純粋な売り場面積が100(現在は200)㎡未満であっても、バックヤードや事務所が、物販店に明らかに従属している場合は、建築基準法においては、バックヤードや事務所の面積も含みます。
用途変更の確認申請が必要な用途(業態)(下記、太文字が該当用途)
カテゴリー1
グループA
劇場・映画館・演芸場
グループB
観覧場
グループC
公会堂・集会場(※1)
※1 結婚式場・披露宴会場・セレモニーホールはこのカテゴリーになります。
グループAの中の用途同士、グループCの中の用途同士は用途変更の確認申請の必要はない。
Ex.1 劇場→映画館 確認申請不要
Ex.2 セレモニーホール→披露宴会場 確認申請不要
Ex.3 演芸場→集会場 確認申請必要
カテゴリー2
グループD
病院
グループE
ホテル・旅館
グループF
共同住宅
グループG
寄宿舎(※2)・下宿
グループH
有床診療所・助産所・身体障害者社会参加支援施設(補装具制作施設及び視聴覚障害者情報提供施設除く)・婦人保護施設・老人福祉施設・有料老人ホーム・母子保護施設・福祉ホーム・障害福祉サービス事業・身体障害者更正援護施設・精神障害者社会復帰施設・知的障害者援護施設
※2 社員寮・グループホーム・シェアハウスはこのカテゴリーになります。
グループEの中の用途同士、グループGの用途同士、グループHの用途同士は、用途変更の確認申請が不要です。
Ex.4 ホテルや旅館を買い取って、無届け老人介護施設を営業しようとしている方がいます。介護報酬は、そのホテルに介護者が引越してきた形態を取り、訪問介護報酬を得ているケースが多いようですが、この場合、建築基準法の観点から、ホテルを寄宿舎に用途変更する必要性があります。
カテゴリー3
グループI
学校
グループJ
博物館・美術館・図書館
グループK
体育館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場・バッティング練習場・その他スポーツの練習場
グループJの中の用途同士、グループKの中の用途同士であれば、用途変更の確認申請は不要です。
カテゴリー4
グループL
百貨店・マーケット・物品販売業を営む店舗
グループM
展示場
グループN
キャバレー・カフェー(※3)・ナイトクラブ・バー
グループO
ダンスホール
グループP
遊技場(※4)
グループQ
公衆浴場
グループR
待合(※5)・料理店(※6)
グループS
飲食店(※6)
※3 昔で言う特殊喫茶、今風に言うとキャバクラ・ホストクラブがこのカテゴリーになります。
※4 パチンコ店、ゲームセンターはこのカテゴリーになります。
※5 酒以外の料理は主に仕出しでまかなう貸席型の業態
※6 料理店は料亭、飲食店は喫茶店や通常の飲食店になります。
グループLの中の用途同士、グループNの中の用途同士、グループRの中の用途同士は用途変更の確認申請は不要です。
カテゴリー5
グループT
倉庫
カテゴリー6
グループU
自動車車庫
グループV
自動車修理工場
グループW
映画スタジオ(※7)・テレビスタジオ
※7 イターネット動画の撮影やDVDシネマの撮影場所はこのカテゴリーになります。
Point1 用途変更の確認申請を出さないと
建築基準法第99条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。建築基準法第104条二により法人の場合は、さらに法人に対して同額の罰金が付されます。
Point2 用途変更をする際に、確認申請を出さないだけでなく、用途によって耐火構造などの技術的な部分に抵触すると
建築基準法第98条により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。建築基準法第104条一により法人の場合は、さらに法人に対して1億円以下の罰金となります。
Point3 用途変更の確認申請は建築士でないとできない
時々、行政書士事務所が確認申請を請負う宣伝を見かけますが、建築士法第21条により、用途変更を含む確認申請業務は建築士でないとできません。
用途変更に掛かる費用については、変更後の用途によって違います。それぞれ用途別に価格設定しておりますので、下記のそれぞれから選択して、参照してください。(直接、当社にお問合せ頂いても構いません。)
飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。
老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。
簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。
その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。
用途変更については、お気軽にリデベまで、ご相談ください。
違反建築物に使用停止、除去の命令を出せない理由(2022年9月21日更新)
下記の記事を2014年12月20日に書きましたが、昨今の行政の対応や、私の書き方が悪かったこともあり更新します。
赤字部分が加筆になります。
掲題の問合せを時々受けます。
この問合せで、こちらから聞き返すことがあります。お問合せをしてきた方をAさんとします。
私「Aさんは、その違反建築の為に何か損害を被っていますか?」
この質問で多くの回答は、
1 建物が少し傾いているから怖い。
2 隣地の建物の一部(多くの場合、換気扇のフードやエアコンの室外機)が越境している。
というもので更には、
3 うちの建物は建築士の人に目一杯の高さで設計してもらったのに隣の建物がうちの建物より高いのはおかしい!
という、回答もありました。
さて、この回答、いずれも、その建物が違反建築と即座に言えるものではありません。ただし、1の場合は、違反建築ではなくても隣地に倒壊したら危険な場合は建築基準法(以下、「法」といいます)10条で、特定行政庁が除去、使用禁止、是正などの命令を出すことはできるのですが、しかし、私は今までこれを見たことがありません。1の場合、建てられた当時の建築基準法は、守っているが劣化によって傾いてしまったかもしれません。2の場合は法に違反しているというよりも、民法の権利関係の問題になります。
しかし、完全に法に違反していても、特定行政庁は、是正命令は出せますが、除去や使用禁止の命令をだせないのが実態です。
法第9条では
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
法第10条では
特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。
とあるので、違反建築やあまりに建物が劣化している場合は特定行政庁の命令で除去命令や使用禁止にできるはずなのですが、これを出せないのには、法的な理由があります。特定行政庁の担当者に
私「違反建築物、若しくは激しく劣化した建物に対して、除去命令とか使用停止命令って出しますか?」
と聞くと
担当者「法9条命令、法10条命令は出しますよ。」
と言います。
私「では、〇〇町〇丁目○番〇号にある、この建物ですが、台帳記録では、完了検査も受けていません。さらに、この建物、すでに柱の一部が腐食して、壁の一部が倒壊し、屋根が傾いている状態で、近隣の方が迷惑しています。ですから、法9条、法10条のどちらでも構わないので、何らかの行政命令を出して頂けませんか?」
と聞くと
担当者「検討します・・・。」
で、大体、何もしてくれません。親切な担当者だと現地まで見に行って、なんとか所有者に注意してくれたりはしますが、除去命令や使用禁止命令というのは私のしる限りでは見たことがありません。
最近は除去命令や使用禁止命令が出るようになってきました。これの理由には大別すると3種類に分けられます。
1.公共性が高く、不特定多数の第三者が利用する建物の場合で、著しく危険性が認められる場合。
2.その建物が倒壊などをした場合に所有者以外にも害は及ぶ可能性が高い、もしくは緊急輸送道路などを塞いでしまう場合。
3.市街化調整区域などで、都市計画法第53条の許可を得ずに建てた建物で、インフラ設備などが整っていない場所に勝手に建築された建物
などで、是正が困難な場合、もしくは是正勧告を無視した場合などには除去・使用禁止命令が出されます。
これは、憲法第29条と憲法第98条の問題があるからです。特定行政庁の担当者は解ってないかもしれませんが、特定行政庁の上司はちゃんと解っています。
憲法第29条
財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
憲法第98条
この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
ちょっと解説すると、憲法第29条で、「財産権に対する国による制約は原則として許されないとしながらも、他人を侵害することとなる場合や、 経済的な弱者を守るためなどの社会的な事情から、合理的な規制を受けることがあること」と規定していることから、その違反建築物が他人に直接的な被害を与えていないと特定行政庁(国)によって、その財産を侵害することが難しいことになります。
ただし、私有財産権も他人の権利を侵害してまでは成立はしない。ということは念頭にいれておいて下さい。
これは、法第9条や法第10条と相反しています。
しかし、憲法第98条で憲法に反する法律は効力を有しないとあるので、法第9条や法第10条が憲法に反している可能性があり、財産権が確立してしまった、つまり完成した建物に対して、簡単に除去や使用禁止命令を出せない訳です。因みに、財産権が確立していない建築中の建物には法第9条命令で工事中止命令が簡単に出ます。また、憲法第29条は他人を侵害する場合は、この限りではないので、明らかに危険な場合は、法第9条、法第10条の命令を出せそうな感じもするのですが、この線引きが難しく、もし安直に認めると、この世から、除去、使用禁止にしなければならない建物が沢山でてしまいます。
ただし、明らかに第三者に迷惑が掛かる可能性があり、昨今の災害などで同様の建築物が事故の対象になっているような建物の場合は、是正が出来ないような状況だと、使用禁止・除去命令が出るようになってきました。
また、市街化調整区域などで、特にインフラ設備が整っていないところに、勝手に排水をするなどをするなどの物件は環境破壊など、やはり第三者に迷惑を掛けることになるので、何らかの処置ができないと、使用禁止・除去命令が出ます。
しかし、除去や使用禁止の命令が出ないからと言って、違反建築をしてよいという訳ではありません。最終的に最も損害を被るのは所有者です。違反建築や明らかにメンテナンスを怠り劣化してしまった建物は法第9条、法第10条に抵触していることになり、財産価値が大きく毀損することになります。もし、建物を売ろうと思っても買い手が付きにくいとか、貸そうと思ってもなかなか借り手が付かないということになりかねません。
ですから、このような状況に陥った場合は、なるべく早めにこの状況を是正することをお勧めします。現在は、「建築基準法適合判定」※というものがあり、費用と時間はかかりますが、多くの場合で財産価値を復旧させることができます。
※建築基準法適合調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)
「建築基準法適合判定」については、リデベまでお気軽にご相談ください。
放課後等デイサービスの開設については建築士に相談を
放課後デイサービスの設計について、最近、事業者の認識が間違っているケースが見受けられます。放課後デイサービスは下記の点は厳守しなければなりません。
・児童福祉法
・建築基準法
・消防法
・高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)
この、法律にはそれぞれ国の定める法律の他に都道府県、さらには市区町村の定める条例や規則があるので注意しなければなりません。
事業者は、児童福祉法に関する法令については、営業許可や補助金の関係から、行政の担当窓口と相談されているケースが殆どで、ここについては殆どの事業者が守っています。
また、消防法に関しては、消防検査の定期検査に義務などから、多くの事業者が事前相談をしっかりされています。
しかし、建築基準法の用途変更に関して、特に用途変更の必要性が法改正により200㎡以上になってから、多くの事業者が、建築基準法の確認を怠り、また、それに付随して発生するバリアフリー法を守ってないケースが見受けられます。また、勘違いをされている事業者が多くいることが、確認されています。
まず、大前提として、「200㎡以下であっても法律は遵守しなければならない。」ということです。
では、遵守されていないかの事例を紹介します。
・そもそも、放課後デイサービス等の事業をやってはいけない場所でやっている。
・採光や換気が十分に足りていない建物を使用している。
・排煙設備がない建物を使っている。
・防火区画などが守られていない。
・耐火性能などが守られていない。
・バリアフリー法に関する、地域で定められている条例を守っていない。
・200㎡以上あるにも関わらず、申請する部分を200㎡未満にしている。
一部の行政では、建物の設計などについて建築士に確認しないと、そもそも事業の申請そのものを受け付けていない行政もありますが、多くの行政では、法令を遵守していることを前提に事業許可を出しています。
そのことから、建築士に相談しないで事業所を開設されたり、また、確認申請が不要なため、なるべくコストを押さえるために、法令を遵守しないことにより、前記したような、建築基準法を違反しているケースが散見されています。
しかし、法改正により用途変更の確認申請が200㎡以上になっても、200㎡未満の事業所も開設後3年を目処に後日、調査が入り、違反している場合には是正を求められることがあります。(令和3年11月現在、コロナ禍もあり、遅れている様です。)
※小規模建築物を対象とした医療・福祉施設、宿泊施設、集客施設等を所管する関係部局との連携について(https://www.mlit.go.jp/common/001294996.pdf)
開設後に是正となると、費用も開業時よりも多くのコストを要しますし、何よりも是正工事をしている期間は休業を余儀なくされます。また、悪質な場合には罰則規定があることも注意が必要です。
当社で相談を受けたケースの中では、そもそも是正が出来なくて閉設を余儀なくされたものもあります。
このことから、まず、開設する場所を決定(物件の賃貸借契約の締結や購入)前に、その場所で開設することが出来るか、出来るとして費用が予算内に収まっているかなどを事前に建築士、できれば、福祉施設の設計の経験のある一級建築士事務所に相談してください。
当社では、放課後デイサービスをはじめ、有料老人ホーム、老人デイサービスセンター、認可保育所、企業主導型認可外保育所などの多くの福祉施設の設計を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
業務エリアは基本的に日本全国です。(電話及びメールでの相談は全国一律無料)
検査済証が無くてお困りの方へ(融資実行・用途変更や増築も出来る場合あり!)
まずは、建物のあるエリアの所轄の行政庁に問い合わせて「建築確認台帳」で検査済証が発行されているかの有無を確認してください。
「検査済証がなくてもあきらめないでください!」
検査済証がなくても融資を受ける方法はあります。
検査済証がなくても増築・用途変更を行う方法はあります。
1.検査済証とは?
検査済証とは、まず、建物を建てる前に、建築基準法やその他の関連法令に合致しているかどうかを図面にします。そして、その図面通りに建てられているということを、行政や国土交通省指定の民間確認検査機関が検査して、合格したものに発行されます。
2.検査済証はいつ発行されるのか?
検査済証は、建物が出来てから4日以内に検査の申請をして、申請到達後7日以内に検査を受けなければなりません。また、この間、建物の使用もできません。(引越しなどで家具を入れるのも使用とみなされます。)したがって、建物を利用して、しばらくしてから、検査済証が無いからと言って、検査を依頼することはできません。
3.検査済証がなくて金融機関から融資が受けられない場合
平成30年4月1日より、不動産売買の際、重要事項説明書に検査済証の有無の記載が義務付けとなりました。それ以前から、各金融機関とも検査済証の無い建物に対しての融資が大変、厳しくなり、場合によっては融資が実行されないことが増えてきました。
そこで、平成26年7月2日に発表された「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(国土交通省)というものがありますが、これはハードルが高く、特に建物を利用している状況では、なかなか検査ができなかったりします。また、このガイドラインはそもそも、検査済証のない建物の増築や用途変更を可能にするために策定されたもののため、かなり厳しい検査をするので、かなりの費用が掛かります。しかし、金融機関はそこまでのものを求めていないことが多く、当社から、遵法性を明らかにした証明書でも、融資実行がされたことは多数あります。この証明書については金融機関の求めてくる内容によって異なるので、一概にいくらで出来るとは言えませんが、木造1戸建てであれば、税別50万円~(平均税別100万円前後)で出来ます。
4.検査済証がなくて用途変更や増築ができない場合
前述の通り、検査済証が無いとガイドラインを利用して調査をするか、建築基準法第12条5項による調査を必要とします。ただし、法第12条5項の調査は、行政が提出を求めないと行うことができません。したがって、基本的にはガイドラインになる場合が多くなります。(当社では、ガイドラインの検査も法第12条5項の検査もどちらも経験があります。)
このガイドラインに従った構造の調査の場合、破壊検査(建物の一部を壊して、鉄骨や鉄筋の接合部を露出させる)や非破壊検査(建物の構造をレントゲンで撮る)などの調査をするので、建物の規模によりますが、最低でも税別200万円~となります。
5.検査によって違反箇所が発見された場合
検査済証のない建物の多くは、当社の経験によると、検査を受けない何らかの理由が存在することが多く、その殆どが建築基準法に違反していることが多いです。違反箇所は是正するしかありません。しかし、場合によっては、物理的に是正ができない、もしくは是正をすることが経済的に困難なケースもあります。
6.新築時の図面があるかどうかが鍵
当社に依頼される場合で新築時の図面が全くないというケースがあります。後日、不動産会社が作った様な間取り図は、建築図面ではないので殆ど役には立ちません。この場合、図面の復元が必要になりますが、地中杭など再現が、かなり困難な図面もあります。建築図面が全くない状態からでも、用途変更や増築を行った実績はありますが、費用も時間も図面がある場合よりも掛かります。
7.まずはお手元にある資料を揃えてお電話ください。
前述の通り、実際の調査となると、かなりの費用が掛かります。そこで、お手元にある資料を揃えて、お電話でご相談ください。お電話での相談は無料で行っております。
そこで、可能性がある場合には予備調査(現地調査・行政調査・約10万円~)を行い、実際に調査に掛かる費用などのお見積り及び工程表を作成させて頂きます。
200㎡未満の用途変更について
令和元年6月25日より、建築基準法の改正により、200㎡未満の用途を変更する場合「確認申請の手続き」が不要となりました。
1.手続き不要でも法律遵守は義務
手続が不要になっただけで、建築基準法及び関連法令を守らなくて良いという訳ではありません。これは、改正前の100㎡未満の用途を変更する場合「確認申請の手続き」が不要だった時と何も変わってはいません。
もともと、用途変更をする場合には、用途変更をする建物に対して、現行法に合わせなければいけないのは、用途を変更する部分の「室内の環境」「バリアフリー」「防火」「耐火」「消火」「避難経路」などのことが大部分でした。ところが、これが建築士でないとなかなか理解が難しいところだったのですが、用途変更の手続きが200㎡以上になったことで、200㎡未満であれば、好き勝手にやっても良いと勘違いされるだろうというのは、法改正前から予想がされていたことでした。
用途変更の際に法律を守らなければならない部分で特に「防火」「耐火」「消火」「避難経路」は、火災や天災の際に即座に命に関わることです。
2.手続不要の建物に対するチェック体制
前述のため法改正前後から、特に消防署の検査(※1)等が厳しくなりました。
また、変更した用途によっては、国土交通省住宅局から各行政に対して法改正時に、消防署や保健所などに用途の変更が行われた建物の存在を建築当局(※2)報告する通達があり、建築当局は用途の変更が行われた建物に対して、用途によっては、3年後を目途に建築基準法が守られているかの報告(※3)を建築主に求めるように通達がでています。(※4)
東京都の様に用途変更の工事着手前に「防火対象物の工事計画の届出等」(※5)を出さなければならない行政区の場合には、工事着手前に違反状態にあれば、消防署や消防署の指導で建築当局に指示を仰ぎに行くこともできますが、そうでないと事前にチェックする機関がどこにもないことになる(※6)ので、用途変更の工事完了後に消防検査の時点で違反を指摘されて、違反箇所を是正したり、使用を開始してから違反を指摘され是正するようなことになると施工者も大きな費用負担が発生したり、建築主も営業開始を延期したり、営業をしていれば営業を停止しなければならない場合も発生します。場合によっては、使用そのものが出来ないというようなことすら発生します。(「違反を指摘された事例」を参照してください。)
3.手続き不要の建物に対する建築主の対策
当社では、どんな面積であっても、建築基準法及び関連法令などが自分で判断できない場合には、用途変更に詳しい建築士などに事前に相談をして、必要であれば、その建築士に図面や書類を作って貰うことを推奨しています。
消防検査の時点で違反が発覚したり、使用開始後に違反が発覚したりすると、使用開始が遅れたり、違反が改善されるまで建物が使用できなくなったり、場合によっては違反の是正そのものが出来ないなど、経済的損失は計り知れないものになります。
4.手続きが不要になったことで変わったこと
そもそも、用途変更の確認申請手続きが200㎡以上になったことは、不動産(特に空き家)の流動性を高めるためです。用途変更の確認申請手続きで問題だったのは
① 確認済証が発行されるまで工事が着手できない。
② 新築時の建築図面が無いと、その復元が必要。
③ 検査済証(建築基準法第7条第5項)が無いと、手続きが煩雑になるか、場合によっては用途変更ができない。
この3点が緩和されたことでこれにより、確認済証が無くても、出来るところから工事を始められ、用途を変更する部分以外のフロアの図面などが不要(立面図や断面図は必要)となり、検査済証がなくても、その建物の遵法性や安全性を確認できれば、用途の変更が出来る様になりました。
しかし、その建物の遵法性や安全性の確認、用途を変更した場合に守らなくてはいけない法律を怠ってよいという訳ではありません。
5.手続不要の用途変更の設計依頼を受けた建築士の方
建築士の方は委任状、確認申請書の1面~6面と新築時の図面、工事完了届以外の書類は用意しておかなければならないことを注意してください。(法第12条5項報告を求められた時に後から用意するのは至難の業です。)
また、手続が不要なだけに確認してくれる機関がありません。(※6)したがって、建築基準法に抵触した場合、建築士がすべての責任を担うということを十分に心掛ける必要性があります。
※1:各行政の火災予防条例に定める「防火対象物使用開始届」に対する検査。
※2:その用途の変更を行おうとする建物を所管する特定行政庁における「建築指導課」等
※3:「建築基準法第12条5項報告」違反建築もしくはその可能性があるものに対して行政は建築主等に報告を求めることができます。その際には、その部分の遵法性等を証明する書類が必要となってくるため、用途変更の確認申請とほぼ同様な書類や図面を報告書に添付する必要が発生します。
※4:国土交通省住宅局建築指導課長発、令和元年6月24日国住指第661号(http://www.mlit.go.jp/common/001294996.pdf)
※5:東京都の火災予防条例第56条第1項に基づく届出で、建築基準法の確認申請に必要な図面以上の図面などが求められます。
※6:用途変更の確認申請の手続きが無い場合、細部の規定を質問すれば、その規定は教えてくれますが、行政も民間確認検査機関も図面をまるごとチェックはしてくれません。
用途変更の確認申請が200㎡に緩和された件
令和元年6月25日から、用途変更の確認申請が200㎡に緩和された。これは国土交通省が空き家問題を解消するために、現在ある空き家の有効利用を図る為に、建築基準法の用途変更の確認申請の手続きを省略することを目的としたものである。
しかし、早くも多くの問題がここにきて露呈している。
当然だが用途変更の確認申請の手続きを緩和したとしても建築基準法を放棄してよいものではない。昨今の火災や多くの天災で一般の人でさえ建築基準法にたいする意識は高鳴っている上に、企業コンプライアンスや金融機関の姿勢も法令順守の方向に向かっている。
ここで、この法改正によって大きな問題が発生している。
今までは、用途変更の確認申請を行い、その内容通りに建物を作れば、確認申請を行った検査機関(民間確認検査機関や特定行政庁)がその遵法性に対して担保してくれていた。
しかし、ここにきて遵法性に関して、民間の建築士に寄せる傾向が強まっている。
宅地武者取引業法改正で、重要事項説明で完了検査済証の有無の記載が義務付けられるようになった。また、賃貸に於いても、契約後に違反建築が発覚して用途変更ができない場合、貸主や仲介業者が責任を取らなければならない判例もでていることから、政府の思惑とは別に民間レベルで、より一層の法令意識が高まっている。
一般の方が事業を行おうと思って借りた物件について保健所や消防署に確認に行くと、特定行政庁の建築指導課に行って、建築基準法違反が無いかを確認して、議事録をもってきてくれと依頼をうけ、結局、当社に依頼をする方が増えている。
今までは用途変更の確認申請があったので計画段階で違法性をクリアできていたが、用途変更が200㎡になったことにより、200㎡未満の物件に関しては依頼を受けた建築士が責任をとらなければいけなくなる。
新築の物件や住宅ばかりをやっている設計事務所にそれを依頼しても、その責務を負うのはかなり厳しいこととなるであろう。
一つ、勘違いしてはいけないことは200㎡未満であれば用途変更の確認申請を行わなくて良くなったが、それに対して違反建築を容認していることではないことである。
200㎡未満だからと言って違反を行ったことにより、その建物の他の部分が影響をうけることも十分に考えられる。
私はこの法改正に対して、この改正案を作った国土交通省住宅局建築指導課長に意見を述べたがタイミングの問題もあって受け入れてもらうことが出来なかった。
用途変更の確認申請は200㎡未満になったが、手続きが緩和されただけで、他の要件は変わっていない上に、民間確認検査機関や特定行政庁は責任をとってくれない。
よって、下記にある特定建築物を行う場合には、必ず、それを専門をしている建築士に相談するべきである、
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(い) |
(ろ) |
(は) |
(に) |
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用途 |
(い)欄の用途に供する階 |
(い)欄の用途に供する部分((一)項の場合にあつては客席、(二)項及び(四)項の場合にあつては二階、(五)項の場合にあつては三階以上の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計 |
(い)欄の用途に供する部分の床面積の合計 |
(一) |
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの |
三階以上の階 |
二百平方メートル(屋外観覧席にあつては、千平方メートル)以上 |
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(二) |
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの |
三階以上の階 |
三百平方メートル以上 |
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(三) |
学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの |
三階以上の階 |
二千平方メートル以上 |
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(四) |
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの |
三階以上の階 |
五百平方メートル以上 |
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(五) |
倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの |
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二百平方メートル以上 |
千五百平方メートル以上 |
(六) |
自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの |
三階以上の階 |
|
百五十平方メートル以上 |
用途変更が200㎡からになります。
令和元年5月23現在、まだ法律が施行されていませんが、令和元年6月中には、法律が施行されることが確定している建築基準法改正があります。それは
「用途変更の確認申請義務が100㎡以上だったものが200㎡以上になる。」
ということです。
これは、現在の日本の空き家が物凄く増えていることに対してストック住宅をより活用しやすくしようとしている為のものですが、用途変更の多くはビルの一部だったり、していて空き家の戸建てをすることは少ないのですが、実はこの法律改正には大きな罠があります。
用途変更の確認申請手続きは確かに200㎡未満の建物について行わなくてよくなりますが、建築基準法を守らなくて良いということではありません。
当社にお問い合わせがあるときに
「自転車は免許不要で乗れますが、もちろん法定速度は守らなくちゃいけないし、飲酒運転をすれば、道路交通法違反で、捕まって処分されるのと同じで、確認申請が不要でも、違反建築が、ばれれば、是正処置を求められます。」
これは100㎡以下の時も同じだったのですが、当社には用途変更の手続きが不要だからということで、建築士等に確認をしないで、自分で適当にデザインを考案して、内装工事業者に施工して貰ったけど、違反建築を指摘されて是正を求められているという相談が月に数件はやってきます。
違反建築をしていると、こんな手紙が突然おくられてきます。もう、この手紙が来たら、元通りに戻すか、建築士に依頼して是正してもらうしか方法がありません。
ここで大変なのは違反建築を是正するのが、意外に大変ということです。
例えば1時間準耐火構造で作らなければならないところを、普通の壁で作っちゃいました・・・。みたいなことになると、内装工事で作った間仕切り壁から全部やり直し、みたいなことになって、作り直すためには、営業を何週間もとめてやり直さなければならないし、解体が発生するので、当初の工事費を上回ることになることも平気であります。
また、そもそも、その場所でやってはいけない事業をやっていたりすると、是正というより、辞めるか移転を余儀なくされるというケースも多々あります。
そして、これを放置すると、突然、次のような看板を建物の前に貼られてしまうことになります。
こうなって、しまうと、少なくとも是正しないで使用すると本当に逮捕されたりします。
違反建築は以外とばれます。ばれるケースは
・ 建築指導課監察係(行政によって呼び方が違います。)のパトロール
・ 消防署の検査で、消防署員が気が付いて、行政に通報
・ 一般の方からの通報
これは、自分の感じていることですが、最近は消防署の検査で消防署員が行政に通報するケースが増えています。最近の消防署の方は、かなり、建築基準法を勉強していて、完了検査で国土交通省指定民間確認検査機関(通称「民間」)が見落としって行ったことを指摘されたりということもあります。
ここまでのことを整理すると、今回の法改正での
メリット
・ 完了検査を受けていない(検査済証が発行されていない)物件でも200㎡なら容易に用途変更ができる。
・ 確認申請の手続きが無いので、確認申請から確認済証が発行されるまでの期間が短縮できる。
デメリット
・ 建築士等の建築基準法を解っている人を介さないで作ってしまって、違反建築になって、発覚すると、思わぬ出費や事業停止がある。
しかし、本当に危惧しなければならないことは、
これは私が、本改正の前に国土交通省住宅局建築指導課長にと話し合ったことですが、その課長さんは
「200㎡未満の小さな建物ならば、違反があっても是正しやすいし、仮に事故があっても被害は少ないから・・・」
と説明されましたが、私は
「200㎡の保育所って想像したことがあります?40人からの児童が預けられる保育所ができてしまうんですよ。それなのに建築基準法が守られてない建物が乱立する可能性があるんですよ。消防法や児童福祉法に定める施設基準は建築基準法が守られていることが前提なんですよ。
火事になっても建築基準法が守られてないために避難できない児童がでるかもしれないんですよ。40人の児童の命は、あなたにとって小さな被害なんですか?」
その課長さんはそれっきり黙ってしまいました。
用途変更の確認申請の手続きが200㎡未満になったことで、今まで使えなかった検査済証のない建物で100㎡から200㎡未満までが用途変更ができるようになったということだけでも、ありがたいということで、建物利用者の安全を守るという意味からも、用途を変更する場合には、必ず建築士に相談することをお勧めします。
用途変更の価格比較について
用途変更の確認申請の難しいところは、建築基準法上、現在の法律のどこまでを守らなければならないかの判断をするところにあります。おそらく、用途変更を請負った建築士の方の多くがここで悩んだと思います。そして、国土交通省指定確認機関(役所や民間機関)に聞いても、多くのミスリードを見かけます。
先日、ある建築主から、
「事務所の2階部分を飲食店に用途変更したいから、建築士に用途変更を依頼したら、エレベーター全ての扉に遮煙という機能を付けなければならず、何百万という費用とそれだけで3ヶ月ぐらいの工期が必要だと言われたんだけどなんとかならないでしょうか?もう、物件も借りて家賃も発生しているのに用途変更の申請期間や内装工事期間だけでも辛いのにとてもじゃないけど・・・」
という悲鳴に近い問い合わせがありました。
もちろん、用途変更時にこのエレベーターの扉に遮煙の性能を附加する必要性はありません。現行法ではエレベーターの扉には、遮煙の性能が付いているのですが、平成12年より前の建物だと、その性能はありません。これは、既存不適格として建てられた当時の法律が守られていれば、そのままで良いのです。
話を聞いてみると、指定確認機関の民間機関の担当者が設計者にその様に伝えたとのことでした。その設計者が、「エレベーターの遮煙」=「防火区画」については既存不適格で良いということを理解していない故に発生してしまった話です。
しかし、この建築主、私と話をするのは2回目でした。よくよく、当社の問合せ履歴を調べてみると数カ月前に同じ物件の用途変更の問合せが来て、当社の概算金額(約140万(税別))を伝えてありました。その後、音沙汰が無かったので当社も別の方に頼んだのか、用途変更をしなかったのか・・・。正直、問合せだけなら1日に何件もくるので、全ての問合せ内容を覚えている訳ではないので、そのままにしてありました。
そこで経緯を聞いてみると、当社に概算金額を聞いた後、数件に電話をすると、やはり、200万円前後~300万円近い金額を提示されたが、1社だけ100万円税別でやってくれるところがあったので飛びついたとのことでした。
結果的には用途変更の経験の浅い建築士が値段だけで引き受け、指定確認機関に言われるままに用途変更をするから、設計費は安くても工事費や期間がとんでもないことになってしまったという事例です。
当社は豊富な経験から指定確認機関言われるままになどと言うことは絶対になく、不要な工事により建築主の負担を増やすようなことは絶対にありません。
当社の場合、基本的に設計業務しか受託しませんが、必要とあれば工事業者もご紹介します。当社のご紹介する業者は、用途変更の確認申請が必要な工事ばかりをやっているので、工事のスピードも格段に速いですから、一度、設計費と合わせて見積を取って頂くと良いかもしれません。
消防検査と用途変更
最近、問い合わせの多くで
「消防検査を受けようとしたら、消防士に「この建物は用途変更が必要ですね。」と言われました。」
という、問い合わせを多く頂きます。
以前は、消防士は消防法のことだけを考えていたので、建築基準法に伴う、用途変更のことについては、あまり口を出さなかったのですが、このところで突然の様にその問い合わせが増えてきました。当社が東京にあることから、問い合わせが関東圏からが多いにしても、実際には日本全国からの問い合わせが来るのに、「消防から言われた」というのは、ほぼ関東に集中します。
というわけで、ある消防署予防課で、その辺りの事情を聞いてみたところ・・・
「2015年5月17日に神奈川県川崎市で起こった簡易宿所の火災で、消防署は消防設備の立ち入り検査などで、建築基準法違反の実態を把握していたが、消防法に基づく検査しかしていなくて、さらにその建築基準法違反について特定行政庁に報告もしていなかったということが、世間で問題視されたことから、消防署で把握できる明らかな建築基準法違反については、特定行政庁に報告するなどの対応を取っている。」
とのことでした。つまりに、今までは、
・ 用途変更の確認申請を出さずに消防の検査だけ受けちゃえばいいや
・ 保健所の営業許可さえ貰えればいいや
というのが通用しなくなってきています。
ここで問題なのは、消防検査の段階で消防士に用途変更が必要だと言われているということは、工事が概ね終わっていたりすると考えられます。
ここから、用途変更の申請を建築士に依頼すると、そもそも建築基準法のことを考えずに内装を行ってしまっているでしょうから、建築基準法に抵触する箇所がいくつも出てくることになります。そして、当然ですがそれを全て是正しなくてはならなくなるので、二度手間が発生します。
そして、何よりも面倒なのは、「消防検査が終われば営業開始が出来る!」と思っていたものが、用途変更の確認申請から工事完了届を出すまでの間は営業ができないということにあります。
用途変更の確認申請は設計事務所への依頼から工事完了届出まで、最低でも9週間程度は掛かります。
さらにもっと酷い場合においては、「そもそも、その建物では用途変更は不可能だった」「その建物ではその業態を営業することは不可能だった」ということも、多々あります。
貸主や不動産会社が
「その場所で営業していいよ!」
と言っても、貸主や不動産会社は、建築のプロではありません。
できれば、その物件を借りる前に、そして遅くとも工事に入る前に、用途変更のことを詳しく解る建築士にお問合せください。
用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(価格変更のお知らせ)
当社では用途変更業務について、当社ホームページから簡単に概算金額のお見積りを作成できる様にいたしました。
こちらから、ご利用頂けるようお願い致します。
平成28年1月18日より、簡易宿泊所・旅館・ホテルなどの用途変更の設計費用を下記の通りとさせて頂きます。
(消費税及び国土交通省指定確認機関に支払う確認申請料は別途となります。)
関東以外のエリアでも対応しています。(出張費下記参照)
飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。
老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。
民泊につきましては『民泊について考える。~合法的に民泊はできるのか?~』に当社の基本的な考え方を記載していますので、こちらをお読みください。
その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。
基本料金
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基本料金に含まれる内容
・変更後の用途が簡易宿泊所・旅館・ホテル・下宿等の場合になります。※2
・6階建て以下のビルで用途変更する部分が地上階であること。
・用途変更する部分が1フロアであること。
・確認済証(もしくは確認通知証)・完了検査済証があること。※3
・確認申請の副本及び確認申請時の図面・構造計算書があること。
・用途変更後の各種法適合している平面プランがあること。
・平成13年以降に建てられた建物であること。
・新築時以降に建築基準法・消防法等の各種法令に違反していない建物であること。※4
・防火対象物使用開始届については、基本料金内に含まれますが、各種消防機器類の届出は含まれません。
上記、基本料金に含まれる内容以外の場合、オプション対応となりますので、下記オプション設定を参照して下さい。
各種オプション
オプション1
用途変更が2フロア以上になる場合、2フロア以上の各フロアの面積ごとに
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例:各階200㎡の3階建ての事務所の建物の各階を定員10人の旅館に変更する場合
1フロア基本料金+オプション料金600,000円×2フロア
オプション2
法令適合している平面プランをご用意できない場合
ご自分で間取りを描いてみたが法令適合しているか解らない、内装業者(インテリアコーディネーター等)に間取りを描いて貰ったが法令適合しているか解らない場合等※5
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例:各階130㎡の3階建ての事務所の建物の各階を定員6人の旅館に変更する場合で、法令適合している平面図をご用意できない場合
1フロア基本料金+320 ,000円+250,000円/フロア×2フロア
オプション3
プランの案が全くなく、基本プランから依頼される場合
用途変更の工事費用が坪100万円を超えるようなデザインをご希望の場合は別途料金が発生します。オプション2の料金は、本料金に含まれます。
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例:各階130㎡の3階建ての事務所の建物の各階を定員6人の旅館に変更する場合で、法令適合している平面図をご用意できない場合
1フロア基本料金+550 ,000円+400,000円/フロア×2フロア
オプション4
確認済証(もしくは確認通知書)・完了検査済証の紛失
各5,000円
オプション5
確認申請副本の紛失
新築後に増築・用途変更等の確認申請が必要な変更をしている場合には、その確認申請副本も含みます。
100,000円
オプション6
確認申請時の設計図書(構造計算書含む)の紛失
完全に紛失している場合の価格です。一部残っている、構造計算書だけ無くした、確認申請時のものでは無いが契約時もしくは竣工時の図面が残っているなどの場合は、残存状況などによって、料金が変わってきますので、その場合は当社に直接、お問合せ下さい。(ある一定の精度の図面が残っていれば、かなり安くなります。)
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オプション7
平成12年以前に建てられた建物の場合
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オプション8
その他
厨房以外で火器(調理用・炉等)を使用する場合
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地下が存在する場合もしくは、用途変更箇所が地下の場合
1フロアごとに基本料金+100,000円
機械排煙設備を使用している建物の場合
200,000円/箇所
現況建物の遵法性確認について、特定行政庁が建築基準法第12条5項による報告を求めてくる場合
200,000円~
東京都練馬区等が該当しますが、その他の行政区でも該当する場合がありますので個別にご相談下さい。また、求めてこない行政区であっても、用途変更する建物に何らかの法的瑕疵がある場合などは必要になる場合もあります。上記料金は、建築基準法に一切抵触していない場合の料金になります。
お支払い方法について
建物によっては完了検査済証が存在しても、図面が揃っていても用途変更ができない場合があります。
例えば階段が一つしかなく、避難場有効なバルコニーの無い建物の5階の事務所を飲食店にすることや、第一種住居地域の飲食店をカラオケ屋さんにすることや、2mしか接道していない路地状敷地の中にある戸建てを保育施設にするなど、建築基準法の別の規制によって不可能な場合があります。
また、用途変更をしようと思っている以外の部分に重大な建築基準法違反がある場合なども用途変更の確認申請が出せない場合があります。
その為、当社では、まず用途変更が可能であるかどうかの調査を行います。・・・調査段階
そして用途変更が可能であることが解った段階で用途変更の申請作業着手となります。・・・用途変更の申請着手
そして、用途変更の工事が終了し、特定行政庁に工事完了届を出して業務終了となります。
まず、頂いた基本情報にて、概算見積りを作成します。
調査料(調査段階)
概算見積金額が100万円未満の場合・・・調査料 10万円+消費税
概算見積金額が100~200万円未満の場合・・・調査料 概算見積の10%+消費税
概算見積金額が200万円万円以上の場合・・・200万円までの部分が10%+200万円を超える部分につき5%+消費税
(別途出張料:下記出張料の10%を調査段階で請求いたします。)
調査によって概算見積の段階で判明しなかった部分について、金額が変更される場合があります。
調査後、すぐに正式見積りを発行します。
正式見積り金額の50%-調査料=用途変更の申請着手時
正式見積+国土交通省指定民間確認機関に支払う確認申請料=工事完了時
となります。
確認申請(用途変更)・工事完了届・防火対象物使用開始届以外の届出が必要な場合
個別にお問合せ下さい。
用途変更を行う規模、行った後の建物の状態、その建物の所在する地域によって、変わってきます。
看板設置に関して
個別にお問合せ下さい。
看板は設置する規模によっては工作物の確認申請を行わなければならず、申請するための設計図書も必要になり、設置する場所によっては、構造計算が必要になります。また、地域によっては看板の規模や色彩などの制限がある場合や届出が必要になる場合があります。
出張費について(沖縄本島を除く島嶼部を除く)
東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県 | 基本料金に含みます。 |
北海道 | 400,000円 |
四国 | 335,000円 |
九州 | 370,000円 |
沖縄本島 | 400,000円 |
上記以外のエリアの場合東京駅から物件最寄りの駅までの鉄道距離が400kmまでの範囲 | 基本料金50,000円鉄道距離換算 50km毎に10,000円 |
上記以外のエリアの場合東京駅から物件最寄りの駅までの鉄道距離 | 基本100,000円鉄道距離換算100km毎に20,000円 |
基本料金内で完了できる業務範囲内の出張費です。オプションが発生する場合は、オプション内容によって出張回数が変わってきますので、個別にお問合せ下さい。
沖縄本島を除く島嶼部につきましては、当社に直接、お問合せ下さい。
2物件以上をまとめて依頼される場合などは、当社に直接、お問合せ下さい。
例:最寄りが名古屋駅の場合の出張費
基本料金50,000円+(366km(東京~名古屋)÷50km切り上げ)×10,000円=130,000円
例:最寄りが大阪駅の場合の出張費
基本料金100,000円+(556km(東京~大阪)÷100km切り上げ)×20,000円=220,000円
注意事項
※1 用途変更後に建物の中に違う用途が存在する場合は複合用途となります。例:1~5階が事務所だった建物の2階~5階を旅館にして1階を飲食店にした場合など
※2 ホテル、旅館、簡易宿所、下宿等の中に集会場(結婚式場・セレモニーホール等)・映画館・劇場・スポーツ施設(フィットネスクラブを含む)、寄宿舎(シェアハウスを含む)は含まれておりません。この場合は、当社に直接、お問合せ下さい。
※3 確認済証(もしくは確認通知証)・完了検査済証を紛失した場合は、オプション対応となりますので上記オプション設定を参照して下さい。確認申請もしくは完了検査を受領していない建物の場合は、建築基準法適合状況調査報告からの対応となりますので、当社に直接、お問合せ下さい。参考:『建築基準法適合状況調査を利用した増築、用途変更等の確認申請の方法』
※4 完了検査受領後に違法に増築・用途変更もしくは法令に抵触するような間取り変更をしている場合、違法状態の内容によって対応が変わってきますので、当社に直接、お問合せ下さい。また、建築基準法第12条1項及び3項の定期検査、消防法に関わる定期検査を受けていない場合、もしくは受けていても指摘事項の改善が行われていない場合、各種定期検査を受領し、指摘事項の是正をしてからでないと用途変更が出来ない場合があります。
※5 法令適合の確認については、必ず建築士にして貰い、その建築士に法令適合していることの書面を貰ってください。「保健所から了解を貰っている。」「消防署からの了解を貰っている。」等のお話をされる方がいますが、消防署は消防法、行政庁は建築基準法という様に管轄範囲外については見ていません。しかし、用途変更を行う場合には各々の法適合をしなければなりません。
※ 物件や地域によって、ご希望の用途に変更出来ない場合があります。可否については、当社に直接、お問合せ下さい。近隣の学校法人からの合意など旅館業法に関わる作業につきましても、当社に直接、お問合せ下さい。特に風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条6項4号のホテルもしくは旅館(通称ラブホテル)については、御請け出来ない場合もあります。