不動産売却 消費税、増税前後の価格変化

連載シリーズ 【 不動産売却 消費税、増税前後の価格変化 】 第 4 話 / (全 4 話)

 前回、不動産業界の人でも消費税増税の反動で分譲マンションや戸建て分譲が売れなくなったと認識している人が、今は少ないと書きましたが、消費税増税になった平成9年には、消費税増税異常にインパクトのある別の大きな経済的事件がありました。

 北海道拓殖銀行(拓銀)と山一證券の倒産です。

 平成9年は、消費税増税後も株価こそ、堅調に推移していましたが、8月になると株価も後退しはじめ、9月の終値は増税した4月1日とほぼ同じ株価になっていました。

 そして、11月になると拓銀倒産、山一證券倒産となり、7月には2万円台で推移していた株価は、12月になると1万5千円前後で推移するという状況になります。そして、平成10年には、日本長期信用銀行倒産となり、株価も1万3千円台で推移します。

 拓銀の倒産は不良債権、特に不動産担保に対する不良債権比率が異常に高かったことが破綻の一端でした。その後、足利銀行が破綻しますが、こちらも同様で、バブル崩壊後、不良債権問題に苦しんだ金融機関は不動産担保の過剰融資をしなくなります。

 では、その頃の不動産価格はどのように変化していたかを見てみます。公示価格を掲載しますが公示価格というのは、概ね実態を半年遅れで反映しているものです。

 まずは、東京の住宅地を見てみます。

 

東京都中央区銀座4-2-15(商業地 容積率600%)

平成8年  10,500千円/㎡

平成9年  10,000千円/㎡

平成10年 10,300千円/㎡

平成11年 10,000千円/㎡

平成20年 21,200千円/㎡

 

東京都杉並区天沼3-20-21(住宅地 容積率200%)

平成8年  500千円/㎡

平成9年  492千円/㎡

平成10年 486千円/㎡

平成11年 471千円/㎡

平成20年 526千円/㎡

 

愛知県名古屋市千種区京命1-8-26(住宅地 容積率200%)

平成8年  216千円/㎡

平成9年  206千円/㎡

平成10年 203千円/㎡

平成11年 193千円/㎡

平成20年 177千円/㎡

 

大阪府大阪市天王寺区味原町3-11(住宅地 容積率300%)

平成8年  531千円/㎡

平成9年  506千円/㎡

平成10年 495千円/㎡

平成11年 474千円/㎡

平成20年 451千円/㎡

 と、銀座等の極限られた商業地は、踏みとどまっていますが住宅地に関しては三大首都圏でも価格は下がっていきます。この価格は半年後の価格ですから実際に駆込み需要があったとされる平成9年でさえ、平成8年からみて価格を下げています。当然、拓銀や山一證券の倒産の影響がでる平成11年はもっと大きく下がります。

 また、平成20年は実質リーマンショックの前年のミニバブルと言われたときは、一部の商業地の値段は跳ね上がりましたが、住宅地は東京の一部で平成9年より上がりましたが、その他の場所では下がっています。

 その東京の住宅地でさえ、平成25年現在は平成11年よりも大きく下げています。前述の事例である東京都杉並区天沼3-20-21は、433千円/㎡です。

 東京の一部の商業地は、人口動態が直接的に影響しないことがあり、また過剰投資の対象になることがあるので、銀座のような事態が発生します。同じような現象が起こったのは丸の内、表参道、渋谷、原宿、新宿、池袋などのごく一部のエリアに限られます。

 今はマンション用地や戸建て分譲用地などの需要はかなりあるので、首都圏などで土地を売却しようとすれば簡単に売却することができます。

 しかし、需要が無くなった時には、公示価格で示された価格で取引が出来ているかといえば、なかなか出来なかったりします。当然、公示価格よりも大幅に安い価格ならば、売れるのですが、大幅に安い価格で手放そうとする人は少ないので、実際には需要が無くなってくると売却すら難しくなってきます。

 株と不動産投資の大きな違いは市場流通性が全然違うということです。

 株は損切りしようと思えば、すぐにできます。しかし、不動産は買い手が限られるので、簡単に売却できなくなるときがあります。特に需要の少ないエリアでは売却しようと思ってもできないということも多々あります。

 一昨年、当社で売却を依頼された伊豆の別荘地がありましたが、100坪で20万円にしても全く反応がなく、別荘地専門の買取業者に相談したところ、

 「ただでも引き取れない」

 と言われました。需要が無ければ、固定資産税や管理費を払うだけで赤字になってしまいます。そういう不動産もあるということです。

 不動産投資と言うのは、売却できるときに売却して、より良い不動産に買い換えるというのが必勝のパターンです。

 売却できる時期に損切りが出来なければ、次に損切りができるのは、10年も待たなければならないということも多々あります。その間に、優良な不動産に買い換えることすら出来ないというのが、不動産投資で失敗するパターンです。特に不動産をお持ちの方は、過去の不動産価格の幻想をいつまでも思い描いていたり、自分の持っている不動産がいつまでも良い場所にあると勘違いしている方も大勢います。

 すでにシャッター商店街になってしまったような地方都市は見るからに需要がないので一目瞭然ですから、ここで事例を示す必要性はありませんが、例えば昔は新幹線の終点であり、東北地方の玄関口だった上野周辺の価格は

東京都台東区上野2-12-16(商業地 容積率600%)

平成8年  3,880千円/㎡

平成9年  2,950千円/㎡

平成10年 2,440千円/㎡

平成11年 2,170千円/㎡

平成20年 1,910千円/㎡

平成25年 1,430千円/㎡

 と、東京の商業地でありながら、一方的に価格が下がっています。この場所は不忍通りに面して、上野に至近の場所で、北側の春日通りとの間は、昔は繁華街として栄えた場所で、今でもその面影はあります。しかし、公示価格だけを見れば、リーマンショックの前のミニバブルの時でさえ、あまり需要が無かったことが良くわかります。そして、今や、容積率100%あたりの公示価格は、東京都杉並区天沼3-20-21とほぼ同じ価格ですから、すでに商業地としての使命を終えて、今後はマンション用地に変貌して行く場所と考えられます。

 不動産をお持ちの方は、買換え特例などを上手に活用して、優良な不動産への買換えをお勧めします。

 

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