既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
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- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
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会社に戻ってネットで隣の建物の謄本を取りました。
※個人の方は、インターネットで謄本を取ることはできません。法人で『登記情報提供サービス』の会員になっている方のみ、有料で登記情報を閲覧(プリントアウト可)することができるのです。
さて、調べてみると、予想通り平成15年築の新しいビルです。
建物の登記情報を見ると・・・
【表題部】
所在:〇〇区△△町一丁目200番地2
家屋番号:200番地1の2
種類:事務所
構造:鉄骨造陸屋根 地下1階地上13階建
床面積:地下1階 40.50㎡
1階 180.20㎡
2階 160.80㎡
(3階~13階は2階と同じ面積なので省略)
原因及び日付:平成15年〇月〇日新築
【権利部(甲区)】の所有者は個人名Aになっています。
【権利部(乙区)】には一切の記載がありません。つまり、このビルは何の担保設定もされていないということです。
※【権利部(甲区)】 不動産の所有権に関する事項が書かれています。例えば、所有者が2名いる場合などは、2名の持分の割合なども書かれています。また、どうして、このビルがこの人が所有したかなども記載されています。
※【権利部(乙区)】 不動産の所有権以外に関する事項が書かれています。例えば金融機関から、不動産を担保にお金を借りた場合など、抵当権にかんする事項として、抵当権の設定日、借りている金額、金利、金融機関名、遅延損害金の利率などが記載されているのが一般的です。
これだけ、見ると
「Aさんって、お金持ちなのね。」
としか思いません。このオフィスビルは登記簿上の床面積は約650坪です。ということは、建築費5億円以上はしたはずです。
それなのに、一切の借金をしないで建てていると考えられるからです。
もちろん、Aさんが他にも不動産資産を持っていて、他のビルを担保に融資を受けたとも考えられるのですが、一般的にはその建物の土地を担保に建築費の融資を受けます。
それでも建築費が足りない場合は、他の物件を担保に加えることもあります。(これを『共同担保物件』と言います。)また、その土地を担保に建築費の融資を受けた場合、建物完成後にその建物も共同担保に入れられます。
これは融資を受けた者(債務者)が返済できなくなった場合、融資をした金融機関(債権者)がその不動産を差押えて、競売に掛ける(この事を『抵当権の行使』といいます。)ことになります。その場合、建物が共同担保に入っていないと、建物に対して抵当権を行使できず、土地だけの抵当権の行使となります。土地を競売で落札しても、その土地に別の所有者の建物が建っており、元々は、土地も建物も同じ所有者なので、そこに借地契約が存在もしていません。この状況では土地の価値が極めて希薄なものとなってしまうので、建物完成後に建物も共同担保に入れることになるのです。
この登記簿情報だけを見て、違和感を持った人、もしくは、どういう事態が発生しているかがわかった人がいたとすれば、その人は相当、登記簿情報を見慣れた人か、相当なベテランだと思います。もしくは、私の過去のブログで、登記簿情報の件が書かれている部分を読まれた方は気がつくかもしれません。
登記情報の読み方については、別の記事で詳しく書きます。
とにかく、建物の登記情報だけではなく、土地の登記情報も調べてみることにしました。
次回は、その建物の土地の登記情報を書きます。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
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