既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築【収益不動産】
- 既存不適格と違法建築 収益不動産を扱うまでの経緯
- 既存不適格と違法建築 検済のある建物
- 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い
- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
- 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装
- 既存不適格と違法建築 品確法と中間検査
- 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討
- 既存不適格と違法建築 PCBとアスベストの調査
- 既存不適格と違法建築 隣のビルの高さが明かに違う
- 既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築 正しい建築士に仕事を依頼していますか?
- 借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
前回、建物の登記情報を見ましたが、その時点では、あまり違和感を持たなかったのですが、やはり、どうしても13階建ての建物が建てられたのかが気になります。
普通に考えれば、確実に容積率オーバーのはずだからです。
『単純な容積率オーバー?いやいや、平成15年築で建てられた建物・・・。この場所でわざわざ資産価値を下げるようなことをするか?リスクも大きいはずだし・・・』
この頃になると、当然ですが行政機関のチェックも厳しく、東京では単純な違法建築物を作ることはできません。まだ、姉歯建築士による構造計算書偽装が発覚する前とはいえ、そんな簡単に、しかも極めて単純な違法建築物を東京で作るのは厳しい時代になっていました。
ちょっと、話はずれますが、この頃になると、容積率オーバーや違法増築と言った違法建築物を造ることは、東京では難しくなってきていました。実際に、
『違法に地下室を作った建築主が行政機関から使用差止めを受け、地下室を埋めさせられた』
などということも、この頃にはありました。ただ、これは東京での話です。
実際に地方都市では、当たり前のように、違法増築などは行われていましたし、平成23年現在でも行われている地方都市も存在します。
さて、話を本題に戻します。
単純な違法増築は考えにくいものの、まずは容積率オーバーということを確認しようと思い、土地の登記情報を取ることにしました。
前章で書いたように登記情報をネットで取得できるものの、一応、有料です。当時は500円/件弱だったと記憶しています。(平成23年現在は、全部事項で337円/件です。)
実はこの500円弱をちょっと気にしていました。
当時の私はサラリーマンです。いくら、仕事とは言え、少しでも経費を削減しようとしている部署も沢山ありました。その頃の私は正確には数えていませんでしたが、登記情報サービスだけでも約年間1000回以上は使っていました。その他にも帝国データバンクの利用を考えると、1年間に登記情報や企業情報の調査に100万円以上の経費を使っていました。
登記情報サービスを事後報告で利用できたのは、私のいた部署と戸建分譲用の用地を取得する部署だけです。帝国データバンクを事後報告で利用できたのは私の部署と法務部だけでした。
ただ、それにしても
「使いすぎ!」
と、上司に怒られた直後だったからです。私の上司は、それが必要なことだと理解はしてくれていたのですが、経理担当役員から言われていて、少し注意をしなくてはならない状況にありました。
しかも、今回は自分が買おうとしている不動産の登記情報ではなく、隣の不動産の登記情報だけに、何の関連性もなかった際に言い訳が辛いと感じていました。
それでも、土地の登記情報を取得しました。
【表題部】
所在:〇〇区△△町一丁目
地番:200番2
平成16年〇月〇日 200番1より分筆
地目:宅地
地積:227.44㎡
【権利部(甲区)】
所有者は個人名Aになっています。
【権利部(乙区)】
一切の記載がありません。
『あっ・・・。容積率オーバーだ!!』
とすぐに感じました。
前章で書いたように、この建物は登記上の建物の延べ床面積は
地下1階 40.50㎡
1階 180.20㎡
2階 160.80㎡
(3階~13階は2階と同じ面積なので省略)
つまり
40.50㎡+180.20㎡+160.80㎡×12階=2150.30㎡
2150.30㎡÷227.44㎡×100=945.43%
このエリアは容積率600%ですから余裕の容積率オーバーです。
この頃は、相当に建築基準法が厳しくなっていますし、それどころか、中高層の条例などもありますから、そんな簡単にこんなに派手な建築基準法違反はできないはずです。
『確認申請は出したが、完了検査を受けなかったとかかなぁ・・・?それにしても中高層条例や、他の条例で発覚してもおかしくないはずなんだが・・・』
そんなことを考えながら、とりあえず、完了検査を受けて合格しているかどうかの確認をすることにしました。
次回は〇〇区役所建築課に行って、完了検査を受けているかを調べに行ったところからを書きます。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
まずは1本、お電話ください。些細な疑問にも答えます。プロ、アマ、一般の方、すべて歓迎。