既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築【収益不動産】
- 既存不適格と違法建築 収益不動産を扱うまでの経緯
- 既存不適格と違法建築 検済のある建物
- 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い
- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
- 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装
- 既存不適格と違法建築 品確法と中間検査
- 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討
- 既存不適格と違法建築 PCBとアスベストの調査
- 既存不適格と違法建築 隣のビルの高さが明かに違う
- 既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築 正しい建築士に仕事を依頼していますか?
- 借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
さて、買おうとしている物件には違法性は感じられません。
私が情報を得た翌日の朝には、同じ部署の別の担当者にも、他の仲介業者から情報が入り始めました。つまり、物件情報が拡散しているということです。
幸い、私が社内では最初に、この物件の情報を得たことを会社のサーバーに登録しているので、この物件の担当者は私になっています。
しかし、他の担当者や上司から、
「なぜ、買付けの準備をしないのか!?」
と、催促がきました。
いよいよ、急がないといけない状況になっていましたが、どうしても隣のビルが、どうやって容積率オーバーで建てたのかを調べるために〇〇区役所に出向きました。
そして、検査済みを受けているかの台帳を見せてもらいました。
『当然、検査済は取れてないだろ・・・。せいぜい、確認申請までかな。』
などと、考えていたのですが、なんと、ちゃんと、完了検査も受けて、検査済証も発行されているのです。
そこで、建築計画概要書を見ることにしました。
※建築計画概要書:確認申請が出されたときの概要が書かれているものです。行政によって、取得費用は違いますが20円~100円ぐらいで、そのコピーを売ってくれます。
検査済証が発行されているということは、確認申請を出しているということです。
原則は、確認申請どおりに建物を作って始めて検査済証が発行されるのです。
そこに書かれている内容は・・・
建築主 A(個人名)
地名地番 〇〇区△△町一丁目200番1
用途地域 商業地域
主要用途 事務所
高さ 39.700m
階数 地上13階 地下1階
構造 鉄骨造 一部 鉄筋コンクリート造
申請部分 申請以外の部分 合計
敷地面積 857.44㎡
建築面積 180.20㎡ 461.95㎡ 642.15㎡
延べ面積 2150.30㎡ 2771.73㎡ 4992.03㎡
設計者 一級建築士事務所 株式会社B建設
施工者 株式会社B建設
代理者 株式会社B建設
「ああ、B建設の設計施工か・・・」
B建設とは中堅ゼネコンです。いや、そんなことは、どうでも良いわけで・・・
まず、違法だと思っていた建物は確認申請もちゃんと出しているのですが、その内容をみて、意味がわからない点があります。
まずは地名地番です。
登記情報では・・・
〇〇区△△町一丁目200番2
建築計画概要では・・・
〇〇区△△町一丁目200番1
そもそも、〇〇区△△町一丁目200番1は今回、私が購入しようとしている物件の地名地番です。
そして、隣地の敷地面積です。
登記情報では・・・
地積:227.44㎡
建築計画概要では・・・
敷地面積:857.44㎡
※土地の面積を登記簿では「地積」といい、建築の世界では「敷地面積」といいます。厳密には違うのですが、この際は同義と捉えていただいて構いません。
そして、意味がわからないのが、
『申請以外の部分』
です。最初は、
「申請しないで、建物を作っちゃうのか?」
そんなことできる訳がありません。内緒で作ってしまうならともかく、ここにちゃんと記載されている時点で行政も把握しているわけです。
そこで、ちょっと恥ずかしかったのですが、〇〇区建築家課の担当者にこの意味を聞きました。すると・・・
「あああ、この土地には、別の建物が建っていたんですよ。そこに、今回、増築という形で新たな建物を申請しているわけですね。」
たしかに、2棟の建物の延べ床の合計は4992.03㎡で敷地面積が、857.44㎡ならば、582.2%ですから、容積率はオーバーしていません。
「じゃあ、この最初にあった、延べ床面積2771.73㎡の建物はなんなんだ?」
という疑問にすぐにぶつかりました。
「あっ・・・自分が買おうとしている建物だ!」
物件概要書には延べ床面積が書かれていないで専有面積が書いてあったので、微妙に面積が違ったのですぐに気がつかなかったのです。
「建築後の分筆・・・。それで、全ての辻褄が合う!」
ここまで読んで、何が違法なのかが解った方はプロの不動産屋さんか建築士か司法書士、家屋調査士などの資格をお持ちの方だと思います。
次回は、これの何が違法建築なのかを解説します。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
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