既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装

カテゴリ:ブログ 不動産投資
連載シリーズ 【 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装 】 第 7 話 / (全 18 話)

前回までに、違法増築と完了検査前の使用による、違法建築を書きましたが、なぜ、この違法建築が多いかと言うことを整理すると・・・

・少しでも、床面積を大きくすることで、収益性の高い建物にしたい。

・少しでも早く貸すことで、早く収益を上げたい。

いずれも、金銭が関わることです。

以前、ビジネスホテルをチェーン店展開する会社が、違法増築で摘発されニュースになったことがありました。

1階の駐車場部分を部屋にして、少しでも売上を増やそうとした結果でした。

このホテル運営会社は摘発されましたが、私の知る限りでは、氷山の一角でしかありません。

ここまでに挙げた事例はいずれも、収益性を高めるための違法建築ですが、中にはイニシャルコスト、つまり建築費を下げる為に行われる違法建築もあります。

その典型的な事例が、姉歯元建築士による構造計算の偽装でした。

少しでも、使用する鉄筋を減らしたり、柱や梁を細くして、コンクリートの使用料を減らしたりと言うことで世間を騒がせました。

しかし、あれだけ世間を騒がせた事件でさえ、実は氷山の一角なのです。

姉歯元建築士は、そもそも、どうして構造計算の偽装などという大それたことをしたのかと言うと・・・

そういう世界で育ったからです。

姉歯元建築士は、某ゼネコンの社員だった時代があります。そこで、構造偽装を覚えたのです。

しかし、そのゼネコンだけが、構造偽装をやっていたかと言うと、実は多くのゼネコンが多かれ少なかれ似たようなことをやっていた時代がありました。

最近では、検査も厳しくなったので、これをやっているのを見なくなったのですが・・・

コンクリートというのは、生コン工場でセメントと骨材と水を混ぜて、コンクリートミキサー車で現場に運んできます。

多くの人が勘違いしていることですが、コンクリートというのは、紙粘土のように乾燥して固まるものではありません。

コンクリートというのは、水を加えることで化学結合をさせて固めます。そこで、水を多く混ぜるとセメントの量が少なくても、それなりのコンクリートが確保できます。当然ですが、強度は弱くなります。

これを利用して建築コストを下げる為に、現場監督が、下請け業者に水を混ぜるように指示します。この指示の仕方に野球のコーチがサインを出すように、ある仕草が決まっています。

手でコップの水を飲むような仕草をするのです。

そうすると、下請け業者がコンクリートに水を入れます。

これは建築主が儲かるというよりもゼネコンが儲かるだけの話です。

しかし、一度、水を多く入れられたコンクリートが固まってしまうと、外見だけではその偽装はわかりません。その場合はテストピースと言って、固まったコンクリートを部分的に採取して、強度試験をしなければ解りません。

最近の建物では、このテストピースの強度試験の結果が明示されている建物もありますが、この結果が残っている建物は、築10年以内の建物が殆どで、地区10年以内の建物であっても、テストピースによる強度試験を行ってない建物も多々あります。

次回は、一般的な戸建て住宅の違法建築の事例を書きます。

・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。

・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)

・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。

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