既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討

カテゴリ:ブログ 不動産投資
連載シリーズ 【 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討 】 第 9 話 / (全 18 話)

前回は一般的な戸建て住宅の事例を書きました。

今回は増築ではない、悪質な違法建築の例です。

おそらく、私が遭遇したもっとも悪質な事例です。

私が収益不動産を取り扱うようになって、3年が過ぎた、平成18年の春頃でした。その頃になると、都心の不動産価格はかなり、高騰をし始めていました。何の問題もない更地を都心の一等地で買うことが、相当に難しくなってきていました。

その頃、ある物件情報が飛び込んできました。

物件概要は・・・

その頃、ある物件情報が飛び込んできました。

物件概要は・・・

住所:〇〇区△△町1-1

地番:〇〇区△△町一丁目200番1

最寄り駅:JR××線□□駅 徒歩3分

       東京メトロ▲▲線□□駅 徒歩3分

土地面積:630㎡(190.57坪)

容積率:600%

用途地域:商業地域

専有面積:2550㎡(771.37坪)

建物概要:鉄筋コンクリート造地上6階 昭和52年築 検査済なし

家賃収入:300万円/月(現状)

価格:15億8000万円

※場所はビルが特定できてしまうので伏せます。丁目、番地はいずれも架空です。〇〇区は東京23区の主要5区のどこかです。

という内容でした。

昭和52年築ですから、築29年のオフィスビルです。

しかも、テナントが2フロアしか入っていないし、検査済が無いわけですから、15億8000万円と聞くと物凄く高く感じるかもしれません。

仮に、1、2階と同じ家賃で3~6階を埋めたとすると900万円/月の家賃収入ですから、年間収入が1億800万円です。表面利回りで6.83%ということになります。

やはり、築年数や検査済がないということを考えるとリスクが大きい物件です。

しかし、私はこの物件に飛びつきました。

その頃のこの物件の周辺の土地の相場はすでに1500万円/坪前後になっていました。この物件、土地の単価に換算すると、

15億8000万円÷190.57坪=829万円/坪です。

相場の半値とは行かないまでも、6割以下です。

1、2階のテナントは定期借家契約で残存期間が1年ですから、確実に1年で退去させることが出来ます。

建物の解体費を高く見積もって10万円/坪としても、8000万円弱です。解体期間を約3ヶ月とすると、1年3ヵ月後には、16億6000万円(約873万円/坪)でこの土地を更地で手に入れることが出来ます。

ここで、容積率制限最大の建物を作れば1140坪の建物ができる筈です。当然、共有部分などもありますが、それでも専有面積は1000坪を超えると考えられます。

1140坪のオフィスを作るのに当時は、9億円程度で出来ました。

そして、この近辺の新築オフィスの家賃は27000円/坪程度でした。

収入

1000坪×27000円/坪×12ヶ月=3億2400万円/年

支出

15億8000万円(物件代金)+8000万円(解体費)+9億円(建築費)+1億円6000万円(諸経費)=27億2000万円

表面利回り11.91%です。

この頃、新築で違法性がなく、フル稼働している都心のオフィスビルならば、確実に表面利回り6.5%程度で売却できます。

想定売却価格は

3億2400万円÷6.5%=約49億8000万円

ということで、建築期間を1年としても2年半後には、22億6000万円の儲けになります。

『ここまでの利益が出るならば、現在いるテナントに5400万円程度(家賃の1年半分)の立退き料を払って、早く退去してもらって、事業期間を短くする方がいいかな・・・』

などと頭の中で描いていました。

ここまでの、計算を5分程度で終わらせて私は、すぐに物件を見に行くことにしました。当然ですが、この程度のことは、別のデベロッパーでも瞬間的に判断していると考えられるからです。先を越されまいと急ぎました。

ここまで読んだ方は、この建物の検査済がない、つまり完了検査を受けていないことが違法建築かと考えると思います。もちろん、この建物が完了検査を受けていないことは違法です。

しかし、私はこの建物を壊してしまう予定なので、この際、この建物が違法であることは、あまり大きな問題ではなかったのです。

ここから、もっと大きな違法建築の事件に発展して行きます。

次回は、私が現場を見に行ったところから書きます。

・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。

・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)

・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。

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