違反建築を告発したい場合
- 主な違反建築(違法建築)の種類
- 違反建築が発覚した時の対応
- 違反建築を告発したい場合
- 検査済証のある違反建築
当社の様に違反建築を是正し、建物の調査をしている会社のスタッフから見ると、この世の建物は、違反だらけに見えます。しかし、我々でも、それが違反建築なのか、既存不適格(建てられた当時の法律には適合していた)なのかの判別というのは、なかなか難しいものです。
しかし、明らかに違反しているなという建物もあるのですが、では、それを毎回、告発しているのかと言うと、それによってお困りの方からの依頼でもない限り、告発することはありません。
理由は
・あまりに多すぎて、告発しきれない
・告発する手続きが容易ではない
・告発するメリットが当社にない
とこのあたりが主たる理由です。建築士は、建築士法第21条の3によって、違反建築の指示や相談をしてはいけない規定はありますが、違反建築を告発しなければならない規定はありません。
しかし、自分に直接被害が及ぶ様な場合、その違反を告発したいと思う方はいると思います。
例えば
・借りた建物が明らかに違反状態にあり、事業を行っていくのに支障がある場合
・建物を貸したら、借主が勝手に違反建築になる造作をしてしまった場合
・隣の建物が違反建築で、自分の生活を脅かす様な場合
・同じマンションの住人が勝手に共有部分に違法増築をしてしまった場合
などなど、色々とあると思います。
行政に相談に行けば、相応の相談に乗ってくれる可能性は高いのですが、諸事情があって行政も簡単には動けないことが多く、実際には正式な手続きを踏襲しないと行政は行動を起こしにくいのが実態です。
実は建築士に相談しても、この正式な手続きを知っている建築士はほとんどいません。
なぜなら、手続きの方法が、建築基準法や建築士法と全く関係ない法律によって定められているからです。
法律根拠は下記(※1)に記しますが
違反建築を告発することは誰でもできます。
ただし、次のことを明記して書面で提出しなければなりません。
① 申請する人の氏名(法人なら法人名)及び住所もしくは住んでいる場所(必須)
② 法令に違反する事実の内容(必須)
③ これに関して求める行政処分もしくは行政指導の内容(必須)
④ これに関して求める行政処分もしくは行政処分の法律根拠(必須)
⑤ これに関して求める行政処分もしくは行政処分がされるべきであると思料する理由(必須)
⑥ その他参考となる事項
となります。
法律上は誰でも、告発できるのですが、告発するために記載する内容が、建築士以外の方では書くことが難しいという問題があります。
特に、違反建築である法律根拠、例えば建築基準法の第何条に違反しているのか、また具体的にその条項に対して、どの様に違反しているかなどかなどは、相当に建築基準法に精通していないと書ききれないと思います。
おそらく、建蔽率オーバーや容積率オーバーでさえ、厳密な計算は、建築士でないと難しいはずです。容積率の対象になる部分はどこなのか、建築面積の対象になる部分はどこなのか、などは不動産登記簿等からは判別できません。
また、建築士法で「建築物の調査及び鑑定」は建築士の独占業務とされています。そのことからも、違反建築である行政処分や行政指導となる法律根拠を調べるとなると、建築士以外の方では難易度が高いことが窺えます。
当社では、違反建築を告発したい方のご相談をお受けしております。ご相談は無料です。
正当な自由がある場合は、建物を調査した上で、行政協議の上、告発するための書類を整えて告発をさせて頂きます。
建物調査、行政協議、告発書の作成は有料になります。
ただし、下記の場合は、お引き受けできない場合もあります。
・ビルの建替え、再開発などを目的とした立退きもしくは地上げ等が明らかな場合
・賃料の交渉材料に使うことの目的が明らかな場合
・怨恨などによるもので、違反建築そのものが告発したい人に危害がない場合
もちろん、行政処分や行政指導の結果、建物使用者に一時的に立ち退いてもうことになる場合や、使用を禁止して頂かないと是正が出来ない場合がありますが、この場合は、お引き受けできない理由には該当しません。
※1 手続き方法の法律根拠
行政手続法第三十六条の三
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 法令に違反する事実の内容
三 当該処分又は行政指導の内容
四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
六 その他参考となる事項
3 当該行政庁又は行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。
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