「民泊」、建築基準法や消防法に注意が必要

平成28年4月1日に旅館業法施行令の一部が改正され、通称「民泊」と言われるサービス(以下、「民泊」と言う)の中でも小規模なものが出来るようになった。今までは客室が全体として33㎡以上あることや玄関帳場もしくはフロントの設置が必要であったが、10人未満の民泊を行う場合に限り、一定の規制が緩和された。しかし、建築基準法や消防法までが緩和された訳ではない。また、当然だが区分所有のマンションなどでは、管理規約などが優先されることは言うまでもない。今回は、民泊を行うにあたり、旅館業法の他に建築基準法や消防法の規制を受けるということを書いているが、その他にも各自治体などの条例等の規制を受ける場合がある(殆どの自治体で何らかの条例がある)ので、保健所の他に各自治体や消防署には必ず事前協議に行くべきだろう。

さて、下記表を見てもらいたい。今回の法改正は民泊に対して、旅館業法の一部が緩和されただけであり、建築基準法や消防法が緩和された訳では無い。旅館業法が緩和されても、安全性が排除されてよい訳ではない。

まず、建築基準法についてだが、「100㎡以下なら、用途変更の確認申請を出さなくてよい」から、建築基準法について、何ら確認をしなくてよいと考える傾向にあるが、100㎡未満の場合、確認申請を出さなくて良いだけで、当然だが建築基準法は守らなければならない。用途地域によっては、民泊が出来ないエリアもある。下記表のように分譲マンションの一室で民泊を行うことによって、建物全体の容積率がオーバーすることになれば、そのマンションそのものが違反建築になり、他の区分所有者の権利を侵害することにもなる。

さらに、防火地域外にある3階建て以上の木造(鉄骨造の一部を含む)の場合、耐火構造になっていない可能性が高く、その場合は、かなり大がかりな工事を必要とするため現実的には難しいことを覚えておきたい。

民泊を行う場合でも消防法についても特に注意を払わなければならない。2015年5月17日未明に神奈川県川崎市で起こった簡易宿所の火災により、消防法、建築基準法違反により大参事になることが浮き彫りになった。以降、消防署も簡易宿所に関して、以前にも増して注意を払っている。そこで、住宅を民泊にする場合に設置しなければならないものがある。

下記表の通りであるが、300㎡を超える様な民泊の場合、宿泊人数が10人を超える可能性が高いので、改正前の旅館業法が適用される。注意を払わなければならないのは、宿泊者が10人未満であっても、民泊になる部分が建物の10%を超えると、消防法に於いては、「特定防火対象物を含む複合用途防火対象物」とみなされる。例えば、もともとマンションの住人が50人未満の場合、防火管理者が設置されていないが、民泊を行った場合、マンションの住人と民泊の収容人員の合計が30人を超えると防火管理者が必要となる。また、民泊を営んでいるフロア以外にも誘導灯が必要になる。誘導灯は専用回路などの配線工事も必要になってくるので注意が必要だ。専用住宅を利用して民泊にして、30人以上の収容人員がある場合には、2階以上(避難階より上階)には避難器具が必要になってくる。

民泊をする部分が300㎡を超えると、改正された旅館業法ではなくなるが、旅館業法で定める玄関帳場やフロント以外にも、全ての住宅部分の居室に自動火災報知器(全ての火災報知器が連動しているもの)が必要になってくるなど、さらに厳しい規制もある。

この様な規制があるのだが、報道発表などで旅館業法の改正になった部分だけを見てしまうと、民泊が簡単にできる様になったと勘違いし、一戸建てや共同住宅の空室を使ってすぐにでも民泊が出来るように感じるが、実際には旅館業法により、小規模な簡易宿所が出来る様になっただけで、何でも民泊が出来るという訳ではない。

そして、旅館業法の緩和により、仮に旅館業法の許可が受けられる様な物件であっても、建築基準法や消防法によって民泊が出来ない物件を、「民泊可能」などと書いて、不動産の広告を行うと宅地建物取引業法32条の「誇大広告」や同法47条の「不実のことを告げる行為」に抵触する可能性があるので宅地建物取引業者も注意が必要である。

旅館業法 宿泊数10人未満(新基準) 宿泊者数10人以上
・3.3㎡/人以上・玄関帳場・フロント不要(※1) ・客室の合計が33㎡以上・玄関帳場・フロント必要
建築基準法 民泊部分が100㎡未満 民泊部分が100㎡以上
確認申請の手続きが不要(一部行政機関は必要な場合有) 確認申請の手続きが必要(※2)
【民泊にする場合の共通事項】(確認申請の要否に関わらず厳守)・第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域では設営不可。・第一種住居専用地域では3000㎡以上は設営不可・300㎡以上の場合は準耐火構造(木造建物の場合注意)
【専用住宅を民泊にする場合】(確認申請の要否に関わらず厳守)・建物が3階建て以上の場合、耐火構造にしなければならない。防火地域以外の木造建物や鉄骨系の建物の場合、多額の費用が掛かる場合が多い。
【共同住宅を民泊にする場合】(確認申請の要否に関わらず厳守)平成9年9月1日以降に確認申請を行っている場合、民泊にした部分の面積の割合に応じて、共有部分の面積が容積率対象面積になるため容積率オーバーになる可能性がある。
消防法 建物全体の10%以上 300㎡以上 建物全てを民泊にする 左記の全てに該当しない(※3)
防火管理者 収容人員が30人を超えたら必要
消化器 150㎡以上で必要
避難器具 収容人員が30人を超えたら避難階より上階は必要(※4)
自動火災警報装置設備 民泊部分は設置。建物全体が300㎡以上であれば、その他の居室も設置。(※5) 左記に該当
消防機関へ通報する火災報知設備 建物全体が500㎡以上で設置。(※6) 左記に該当
誘導灯等 全階の階段部分(設置必要箇所) 民泊を設置する階のみ
※1 代替設備を設け、善良の風俗を保持出来る処置、事故などの緊急時に迅速に対応の為の設備※2区分所有の共同住宅等で、区分所有者Aと区分所有者Bがそれぞれ簡易宿所を営もうとする場合、各々の合計が100㎡を超えると確認申請が必要となる。(一部の行政区は緩和規定等あり)※3 例えば、延床面積が500㎡のマンションの30㎡部分だけを民泊として、簡易宿所にするのであれば、①~③のどれにも当てはまらない。※4 既存建物が共同住宅ならばもともと設置してあるが、専用住宅の場合は新たに設置が必要。※5 既存建物が共同住宅として、500㎡以上あるのであれば、もともと自動火災警報装置設置の義務がある。民泊以外の部分の住人の許可をとって自動火災警報装置を各居室に設置するのは困難である。

※6 既存建物が共同住宅として、1000㎡以上あるのであれば、もともと消防機関へ通報する火災報知設備の義務がある。

 

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検査済証が無くて融資(ローン)が受けられない場合の救済方法

以前は、検査済証が無くても簡単に融資を受けられましたが、最近では、検査済証が無いと言うだけで、融資を受けつけてくれない金融機関が多くなってきています。

ここでは検査済証が無くても、融資が受けられる方法を書きます。

 

Point 検査済証とは

検査済証とは、建物の工事が完了してから未使用の状態で4日以内に、工事完了届を行政機関等に提出し、提出後、1週間以内に建物を検査してもらい、確認申請許可通りに建物が建てられていることが確認された建物に発行されるものです。

検査済証がない建物について『手続き上の問題があるだけで、直ちに違反建築(違法建築)とは言えない。』と言う方がいますが、違反建築(違法建築)とは、一般的に建築基準法に抵触している建物のことを言います。完了検査を受けていないということは、建築基準法第7条に抵触しているので違反建築(違法建築)であり、罰則規定もあります。

 

まったく、融資が受けられないかというと、平成26年12月現在では、金融機関によっては受けられるケースもあるようです。ただし、やはり融資条件などは厳しくなっています。

以前は、検査済証が無くても融資が受けられたのに、なぜ現在は融資が受けられないかというと、平成2年以降、減りつつはあったものの、完了検査を受けないで建物を使用してしまうケースが後を絶たなかったために、平成15年頃に国土交通省から、各金融機関に対して検査済証の無い建物への融資を控えるお達しが出たのが最大の理由です。

ちなみに、完了検査を受け、検査済証が発行される前に建物を使用してしまうと、原則、完了検査は受けられなくなります。

特に、大手金融機関になればなるほど、コンプライアンスが厳しくなっているので融資を受けることが難しいのが現状です。ただ、小さな信用金庫だと、登記さえしてあれば融資を受け付けてくれる事例もありますが、今後は無くなると考えられます。

 

検査済証が無くても融資が受けられる方法とは?

別に違法なことをするわけでもなく、特別な裏技を使う訳でもありません。

『建築基準法適合状況調査』

というのを行い、それによって建築基準法に適合していることが確認できると、

『建築基準法適合状況調査報告書』

の全ての箇所が適合になれば、検査済証とは違いますが、同等の効力を発揮します。

では、どの様な流れで行われるかと言うと『建築基準法適合状況調査の流れ』(←をクリック)を見てください。

検査済証が無くて融資や住宅ローンが受けられなくてお困りの方は是非、リデベにご連絡ください。

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建築基準法適合状況調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)

① 確認済証の副本と確認申請時の図面の有無を確認する。

副本と図面がある場合は②へ進む。無い場合は③へ進む

② 一般木造住宅2階建て100㎡未満の建物以外の場合は構造計算書の有無を確認する。

構造計算書が無い場合は④に進む。

一般木造住宅2階建て100㎡未満の建物、もしくは構造計算書がある場合は⑤に進む。

③ 建築士事務所(出来れば一級建築士事務所)に依頼して、現況図面の作成を依頼し、現況図面作成後に④に進む。

④ 現況図面をもとに構造計算を実施する。

⑤ ①の確認申請時の図面もしくは③で作成した現況図面が、建物が建てられた時点の建築基準法に適合しているかを一級建築士に確認してもらう。

この時点で、建築基準法に大きく違反しており、是正するのに建て直す方が、経済的に有利な場合には、建築基準法適合調査を中止する。

概ね建築基準法に適合している、もしくは軽度の違反(建て直すよりも是正する方が遥かに経済的に有利な違反)がある程度である場合には、⑥に進む。

⑥ 依頼した建築士に『建築基準法適合調査』を第三者機関に依頼してもらう。

この時点で依頼された建築は特定行政庁との協議を行い、第三者機関に議事録で報告を行う。⑦に進む。

⑦ 第三者機関が『建築基準法適合調査』を行い、『建築基準法適合調査報告書』のドラフトを作成する。

不適合箇所が無ければ、『建築基準法適合判定合格状況調査報告書』が発行されます。

不適合箇所がある場合は⑧に進みます。

⑧ 依頼した建築士に不適合箇所についての是正方法等を第三者機関と協議して貰い、不適合箇所を是正する工事を行う。その是正箇所を依頼した建築士に写真などを取って貰い、第三者機関に報告してもらう。是正完了を第三者機関が認めてもらえば『建築基準法適合判定状況調査報告書』が貰えます。

建築基準法適合判定状況調査報告書は、不適合でも貰えますが、報告書の中に『不適合』箇所の指摘が残ったままになると、その効力がありません。 この場合は違反建築物である証明書にしかなりませんので注意が必要です。

ただし、『建築基準法適合調査』が出来るようになったのは、平成26年7月2日の国土交通省発表のガイドラインからで、すべての建築士事務所が引き受けてくれる訳ではありません。

価格については、建物の規模、築年数、構造、確認済証の副本の有無、確認申請時の図面の有無、建築基準法の技術的指針への違反の程度によって大きく異なります。

まずは、株式会社リデベにお気軽にお電話下さい。

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営業時間 平日午前10時~12時 午後13時~18時半となります。

なお、ご相談に御来社する際には、必ずお電話で予約を取ってください。

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違法建築と欠陥住宅 ~不法行為で戦う~

連載シリーズ 【 違法建築と欠陥住宅 ~不法行為で戦う~ 】 第 3 話 / (全 3 話)

前回までで、欠陥住宅とはどの様な状態かの確認をしました。

ここで、ハウスメーカーなどの施工会社の意志確認を再度しておきましょう。施工会社がこちらの要望を受け入れてくれて、建物の瑕疵を直してくれれば、施工会社と争うことはありません。また、直してくれない場合、こちら側が過剰な若しくは無理な修繕依頼を

していないかを常識的な専門家に見てもらう必要性があります。(前回にも書いた、欠陥住宅で争いを起こして商売にしているような建築士はダメです。)

そこで、明らかに施工会社側に瑕疵はあると判定された場合について書きます。

 

★解決に向かって戦略を立てる

そこで相手方に対し、何を持って戦うのかを明確にしていかなければなりません。前回も書きましたが、

1.建築基準法及び関連法規をもって戦う(民法709条)

2.瑕疵担保責任を持って戦う(民法566条及び570条)

3.債務不履行をもって戦う(民法415条)

この3つのどのパターンに当てはまるかを整理しておかなければなりません。『欠陥住宅問題』は、この3つの問題のどれかに当てはまることが殆どです。(ただし。中古物件の購入や、建物が自己の居住用でない場合などは違う問題も発生します。)

1.建築基準法及び関連法規をもって戦う(民法709条)

不法行為を持って戦う。

例えば、当社に相談がもっとも多いのは

「検査済証がない」

という問題です。今まで、何の疑問にも思っていなかったが、いざ増築をしようと思ったら、検査済証がなくて、増築が出来なかった・・・。などという問題です。検査済証が無いということは、検査済証を紛失したか、完了検査を受けていないということになります。紛失しただけなら、面倒ですが、あまり問題にはなりません。しかし、完了検査を受けていないとなると、これは立派な建築基準法違反です。

建築基準法第七条  

建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。

 前項の規定による申請は、第六条第一項の規定による工事が完了した日から四日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

つまり、建築基準法に抵触しているわけですから、これは不法行為になると考えられます。この話をすると、途端に

「その施工会社や設計事務所を不法行為で訴えましょう!」

とか

「その施工会社や設計事務所を特定行政庁に告発しましょう!」

と言いだす方がいます。しかし、条文をよく読んでみれば解ると思いますが、完了検査の申請は「建築主」がしなければならない。と、なっています。そんなこと、知っている一般の方はいないです。ですから、当然、施工会社や設計事務所が黙っていると完了検査を受けないなんてことになります。実際に建築主によって完了検査の申請をするかというと、施工会社や設計事務所の建築士が代理で行うのが一般的です。では、一般的でないことをしたから、相手が悪いかと言うと、一般的でないことをしたから、即座に民法に抵触しているという論理が通用するわけがありません。

※ 実際のところ当社では、工務店(設計施工一括請負の設計事務所登録をしている工務店)が完了検査の申請を怠り、施主は完了検査を受けなければならないことを知らずに、工務店から引き渡された時点でテナントに貸して、テナントが内装工事を始めてしまったというケースで、その設計事務所に「不法行為」を弁護士経由で指摘してもらったことがあります。これは、建築基準法第7条に違反したのではなく、建築士法第18条に抵触しているという理由です。ただし、これはその他のもっと重大な問題があった中の一つであり、このこと単体をもって、相手方に勝てるとまでは言えません。

建築士法 第十八条  

建築士は、設計を行う場合においては、設計に係る建築物が法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。

 建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。

 建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、当該工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。

 

また、最近の建物で、完了検査は受けていなくとも、確認申請を出さないで工事をするということは殆どありません。(最近、私の知人の工務店で確認申請を出さずに工事をやって、特定行政庁から、物凄く怒られていた人がいましたが・・・)確認申請を出して、確認申請許可証があるということは、計画そのものは合法だったと考えられるので、図面通りに建物が作られているのであれば、不法行為は問えないことになります。

では、どのような場面が不法行為に当てはまるかというと、

① 虚偽の説明により、確認申請図面を作成させられた。

② 完了検査後に確認申請図面とは違う工事を行った。

③ 完了検査で検査官が、気が付かないような部分で、設計図書に基づく性能が無いものを使った。

④ 完了検査で検査官が、気が付かないような部分で、設計図書通りに作られていなかった。

③と④は、どちらも確認申請書通りに作られていないことになりますから、完全な不法行為です。ただし、設計図書では、床は水平だが、僅かに傾いていたら、即座に不法行為かと言うと、それは施工誤差の範囲の場合もあります。ただし、欠陥住宅でもっとも多いのは③と④だと考えられます。この場合、その事象が、故意か過失かよりも、不法行為に該当するほどの瑕疵かどうかを客観的に示す必要性があります。主や所有者の主観論で

「これは重大な瑕疵だ!大変、危険だ!」

と大騒ぎしても、何と対比して重大な瑕疵なのか、何と対比して危険なのかが、解らなければ、相手方も納得しないし、裁判になっても裁判官も解らないということになります。つまり、皆が納得できる客観的データを提出しなければ、単なるモンスタークレーマーと見られてしまう場合もあります。

簡単に違法建築と一言で言っても、本当に建築基準法やその関連法規に基づいて違法建築になっているかを調査しなければなりません。

また、違法建築だからと言って、その建物すべてを建て直させるというのも至難の業です。

民法第六百三十五条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

これについて、最高裁第三小法廷2002年9月24日判決で、建替えなければ、注文者の目的を達成できないほどの場合は、その建替え費用を負担するとなったが、そこまでの状況は極めて異例のケースと考えられます。

この様に、確認申請を受領していないとか、完了検査を受領していないなどという場合などの明らかな建築基準法違反の場合は、戦いやすいのですが、細かい技術論で戦い始めると意外と時間も掛かり、面倒なことになることが多いと言えます。

勝てるかもしれないけど、勝った実感が湧かないというパターンかもしれません。

 

では、次回は『2.瑕疵担保責任をもって戦う(民法566条及び570条)』の戦い方について書きたいと考えています。

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違法建築と欠陥住宅 ~欠陥住宅問題が起こったら何をすべきか?~

前回、欠陥住宅とは、どのようなものかの定義が曖昧だということは書きましたが、基本的には、客観的判断材料となる資料と証拠が必要であることを書きました。

しかし、『欠陥住宅問題』に直面した時に、冷静に対応できない方が多くいます。

重大な構造的問題からクロスのわずかなシワも同じように捉えて、「あれもダメ、これもダメ」と大騒ぎしだす人がいます。そして、

「役所(検査機関)も適切な検査をしていないから、役所も悪い!」

と、設計事務所、施工会社、市役所、県庁、国土交通省とあちこちに怒鳴り込む人がいます。

構造的重大な問題もクロスの貼り方も問題なのは、よくわかります。検査機関がちゃんと検査をしていれば、この様な問題にならなかったという、お気持ちも理解できなくはありません。

 『欠陥住宅問題』に直面したときに考えなければならないことは、自分が何をしたいのかを明確にすることです。自分が何をしたいか・・・通常は『欠陥住宅問題を解決』することになると考えられます。

ところが、ここで的確な戦略を立てないと、『欠陥住宅問題』は泥沼化するだけになってしまいます。例えば、見た目で解りやすい施工不良を捉えて、施工会社のアフターサービス担当に大騒ぎをしてみたり、自分で天井点検口や床下点検口から、構造を見て、わずかな施工不良を役所(調査機関)の見落としだと、役所に行って大騒ぎをする人がいます。そして、施工会社や役所(調査機関)に建築基準法等や何らかの技術的指針を示して反論されると、「建築基準法が悪い」

とまで言いだす人がいます。欠陥住宅問題に直面した人の中で、もっとも勝てない、そして解決できないパターンです。仮に勝ったとしても、事件屋みたいな人にいっぱいお金を搾取されているだけのパターンを多く見ます。(弁護士費用や調査した建築士に支払う費用と損害賠償の割合が合わない。)

施工会社の手抜き工事、役所(調査機関)の見落とし、建築基準法等の矛盾点、どれも存在するのは建築士であれば、多かれ少なかれ、知っていることです。

例えば、雨漏りがあったとします。施工会社との信頼関係が完全に成立していると、施工会社に電話をして、その施工会社がすぐに来てくれて、雨漏りを修理してくれれば、それで終わりです。実は『雨漏りをした家』なので、欠陥住宅と言えば欠陥住宅なので、ここで解決してしまった方は、自分が欠陥住宅に住んでいるとさえ思わず、

「うちを建ててくれた施工会社は対応も良くて・・・」

と思っていることが多かったりします。実際に私がハウスメーカーに勤めていた時に雨漏りがあったけど、たまたま、その近くの現場にいた監督がクレームから1時間程で、雨漏りの家に到着。腕のいい現場監督ですぐに原因を解明。業者をその日に手配して終了。後日、改めて放水試験(わざと水を掛けて雨漏りしないかをする試験)をして問題解決でした。

その結果、そのお客様は、数か月後に別のお客様を紹介してくれました。時々、こういうお客様にも

「ハウスメーカーなんかに騙されちゃダメですよ!損害賠償請求しましょう!!」

などと煽る業者がいるのも事実です。そして、調査費用を稼ぐという商売をしている建築士がいたりします。(「〇〇件以上の訴訟をした。」「〇〇件以上の勝訴を得た!」などと宣伝している建築士は、弁護士法に抵触しているので注意しましょう。建築士は弁護士ではありません。)

ところが、ここで施工会社と所有者(もしくは施主)が対応を間違えると『欠陥住宅問題』に発展していきます。

『欠陥住宅問題』に直面すると、何もかもすべてが悪いのではないかと疑心暗鬼になってしまうことが多くあります。夢のマイホームですから、お気持ちはよくわかります。しかし、五月雨式に問題点を相手にぶつけたり、相手の対応が悪いから、即座に特定行政庁に駆け込んだりするのは、得策ではありません。

まずは、施工会社に対して、どの様な対応をしてもらうかを考えなければなりません。

その為には、何をもって相手に瑕疵を認めさせるかを考えなければならないのです。相手がいつまでも認めなければ、ことの次第によっては裁判になることだってあります。施工中や完成直後のトラブルだと工事費を支払わないことになりますが、相手が請求権を持って訴訟をしてくることも十分に考えられます。

※当社では、すべてではありませんが裁判になる前に問題解決することが殆どです。

時々、自分が欠陥住宅問題に直面した時に、そのハウスメーカーや施工会社の全ての建物が、欠陥であったり、認定工法そのものに瑕疵があるなどと騒ぎ出す人がいます。そして、ハウスメーカー不要論やゼネコン不要論を持ち出す人すらいます。そもそも、ゼネコン不要論は、欠陥住宅から来るものではありません。

しかし、大手のハウスメーカーは日本の住宅産業や建築技術に大きく貢献し、多くの識者が集まって、研究開発をしているのも事実です。

ただ、建物と言うのは、どんなに工業化をしても、すべてが工業化できるわけではなく、結果として現場で多くの人力によって作業されています。人のすることですから、精度の限界や人的ミスも絶対に出ないとは言えません。

ですから、まずは冷静に、自分が何をしたいのかを明確にして、適切な建築士に相談されることをお勧めします。

次回は欠陥住宅問題に直面したときの戦略の立て方を書きます。

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違法建築と欠陥住宅 ~欠陥住宅とは何か~

連載シリーズ 【 違法建築と欠陥住宅 ~欠陥住宅とは何か~ 】 第 1 話 / (全 3 話)

私は、ニュースと野球以外は、あまりテレビを見ません。建築系の番組であっても、「大改造!!劇的ビフォーアフター」も見ませんし、バラエティー番組やワイドショー番組で取り上げられる欠陥住宅を大袈裟に煽るような番組も殆どみません。(メディアの関係者から大袈裟に演出していると聞いて以来、見なくなりました。)ですから、私の見聞で飛び込んでくるのは、ニュースの特集などで、取り上げられる欠陥住宅や、大型マンションでの施工不良での話と、欠陥住宅についての話は、実体験で知っているものです。

ただ、実体験として、「欠陥住宅」だと、私に訴えてきた人の殆どが、訴えてきた人の主観論に基づくもので、客観的には、それが欠陥住宅かどうかを判断するのが、極めて難しいケースが殆どです。私の判断基準が客観的判断というわけでもありません。もちろん、他の建築士の判断であっても、それ客観的判断とは言えません。

以前にも書きましたが、「違法建築」という法律用語はありません。もちろん、「欠陥住宅」などという法律用語はありません。建築士は建築基準法とその関連法規(以下、「建築基準法等」といいます)に基づいた、資格権者ですから、自分の経験値などで

「これは、欠陥住宅!」

などと法的根拠のないことは、国家資格権者である以上、軽々しく言っては、なりません。もし、そういうことを軽々しく言う建築士に出会ったら、「事件屋みたいな人」だと思って相手にしないことです。

 

1.明らかに欠陥住宅と言えるケース

① 建築基準法等が守られていない

② 設計請負契約が守られていない

③ 建築請負契約が守られていない

この3点が主な内容になってきます。特に①の「建築基準法等が守られていない」というのは、そこに違法性が存在しているので、証拠が確定しているので、不法行為確定です。②の「設計契約が守られていない」や③の「建築請負契約が守られていない」というのは、図面通りに施工されていないとか、工期が契約期間内に終わらなかったということが多く、欠陥住宅とまでは言えない場合が多いかです。

 

2.瑕疵担保責任をもって欠陥住宅を訴える

平成11年6月以前の建物なら、民法566条1項及び570条をもって、もしくはそれ以降であれば、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」と書きます)第95条を持って欠陥住宅として戦うことが可能です。

民法

第五百六十六条  

売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

第五百七十条  売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第五百六十六条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

品確法

第九十五条  新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第五百七十条 において準用する同法第五百六十六条第一項 並びに同法第六百三十四条第一項 及び第二項 前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第一項 及び第二項 前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第一項 中「請負人」とあるのは「売主」とする。

 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。

 第一項の場合における民法第五百六十六条第三項 の規定の適用については、同項 中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十五条第一項」と、「又は」とあるのは「、瑕疵修補又は」とする。

 

と、法律的条文では、難しく書かれているのですが、瑕疵担保期間内であれば売主に責任があるということになります。問題は、この「瑕疵」をどの様に考えるかです。1で書いたように建築基準法等に抵触しているような問題が発生していれば、これは完全に「瑕疵」と言えます。しかし、

「床がちょっと傾いている」

「歩くと床がミシミシ言う」

「外壁にヒビが入った」

「雨漏りがして、壁紙に染みができた」

などという、問題をよく耳にします。例えば床が傾いている時に、どれくらい傾斜していると欠陥住宅になるかというと、明文化されたものはありません。

例えば、床の傾きに於いて品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示1653号)というものがあります。それを見ると、

3/1000未満の勾配・・・構造体力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性=低い

3/1000以上6/1000未満・・・構造体力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性=一定程度存在する。

6/1000以上・・・構造体力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性=高い。

と、書かれています。そして、この話が先走って、「6/1000以上の傾きがあるから欠陥住宅」だとか、当然ですが所有者の目線からみれば、「一定程度存在する。」でも、十分に怖いですから、「3/1000の傾斜があるから欠陥住宅」だと、騒ぎ出す人もいます。

重要なのはこの技術的基準は、上記の傾斜があるから、直ちに構造に瑕疵があると言っている訳ではありません。また、測定の仕方も「凹凸の少ない仕上げによる壁又は柱の表面と、その面と垂直な鉛直面との交差する線(2m程度以上の長さのものに限る。)の鉛直線に対する角度をいう。」となっています。

そして何よりも、この基準を持ち込んで欠陥住宅と言えるかの大きなポイントは

 

平成12年7月19日建設省告示1653

第2  適用範囲

この基準は、住宅に発生した不具合である事象で、次に掲げる要件に該当するもの(以下「不具合事象」という。)について通用する。

1,建設住宅性能評価書が交付された住宅で、指定住宅紛争処理機関に対してあっせん、調停又は仲裁の申請が行われた紛争に係るものにおいて発見された事象であること。

2,当該住宅を新築する建設工事の完了の日から起算して10年以内に発生した事象であること。

3,通常予測できない自然現象の発生、居住者の不適切な使用その他特別な事由の存しない通常の状態において発生した事象であること。

 

つまり、品確法が施行された後で、「建設住宅性能評価書」が発行されている住宅でのみ、品確法によって保護される基準ですから、品確法施工以前の家や以降でも「建設住宅性能評価書」を取得していない家では、訴訟にまで発展したら、材料としては弱いと言えます。

とすると、瑕疵として認められるかどうかも問題です。瑕疵と認定されれば、戦い方もあります。もし、新築住宅を買おうと若しくは作ろうとするならば、その工務店の社内基準を聞いておくと良いでしょう。もしくは、建築基準法等で定められていない項目については、どういうレベルで作るということをあらかじめ確約を取っておくことが大事です。

一番簡単な方法としては、品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示1653号)のどのレベルで作ってくれるのかをあらかじめ確認すると良いでしょう。

 

3.債務不履行による欠陥住宅

契約図面通りに作られていないなどと言うのは、完全に証拠がある債務不履行です。

しかし、着工後に施主の希望や、現場での収まりの問題で、契約図面から変更されたり、追加削除されたりするものもあります。通常は、設計変更を頼まれた設計者がそれを図面化したり、もしくは施工会社に伝達後、あとで設計者が図面を直したりして、すぐに双方が合意したことを確認するために図面に印鑑を押すなどの作業をするのですが、施主と設計者と施行者の信頼関係が成り立っている間は、その類の契約行為が疎かになりやすいのが実態で、後で「言った、言わない」の問題になり、債務不履行を主張しにくくなります。

また、2で書いたように、品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示1653号)のどのレベルで作ってくれるのかをあらかじめ、文章化して合意しておけば、さらに問題は少なくなるはずです。

 

欠陥住宅問題に発展しているケースで一番多いのは「プロに任せたから、こんなことになると思わなかった。」というパターンと、他人に煽られて疑心暗鬼になるパターンです。

例えば、大手のデベロッパーが、施工会社(ゼネコンやハウスメーカー)から引き渡しを受ける時には、マンションであれ戸建て分譲であれ、ちゃんと自社のコンプライアンスを持っていてチェックしています。それでも、時々、大きな問題に発生するような瑕疵が出てくるわけです。

個人で大手デベロッパーのような自社基準を作ることはできませんが、2や3に書いたことぐらいが、出来れば大きな問題に発展することは少なくなるはずです。

次回は、それでも欠陥住宅問題が起こってしまったら、どうするべきなのかを書きます。

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連帯保証人が亡くなった場合~家賃滞納対策~

連載シリーズ 【 連帯保証人が亡くなった場合~家賃滞納対策~ 】 第 14 話 / (全 14 話)

先日、このような質問がありました。

Q.「賃借人が家賃を7ヶ月滞納しているが、自己破産宣告をするようなのですが、家賃の回収はできるでしょうか?」

弊社「連帯保証人はいらっしゃいますか?」

Q.「契約時にはいたんですけど、既に亡くなっていまして・・・」

弊社「賃借人と連帯保証人は、どのような関係ですか?」

Q.「親子です。」

弊社「連帯保証人の家族構成はどうなっているか、解りますか?」

Q.「奥様がご健在で、賃借人の他に子供が2人います。」

弊社「では、一般的に考えれば5/6は回収できますね。」

という、やりとりでした。

簡単な話ですが連帯保証債務も法定相続されます。つまり、この場合、連帯保証人が亡くなった時点で、法定相続により、妻帯者が健在なら、妻帯者が50%を相続します。そして、残りの50%を子供たちが相続することになります。

ただし、子供のうちの一人は自己破産宣告をするということは、ここからは回収不可能です。つまり、賃借人からは回収できないので1/6は諦めなければなりません。したがって、5/6だけが回収できるということになるわけです。

最大の問題は、連帯保証人の相続人の連絡先がすべて解るかということになります。

通常の賃貸借契約の場合、連帯保証人の保証能力が喪失した場合、別の連帯保証人を付けなければならないとなっていることが多いと考えられます。

このことから、相続人の連絡先を賃借人から聞き出せば良いだけの話です。賃借人から、してみれば、家賃を滞納して、自己破産をして、その請求が親兄弟に行くというのは、恥ずかしいことかもしれません。故に、それを言いたがらないかもしれませんが、それならば賃借人本人が返すしかありません。貸主としてみれば、当然の権利を行使しているわけですから、そこは強引にでも聞き出すべきでしょう。

また、目に見える財産、金銭、有価証券、不動産や、借用書のある借金(金融機関の借金)などというものに関しては、相続人は理解していることが多いのですが、連帯保証債務というものについての相続を理解していない人が多いのが一般的です。そのため、請求しても

「なんで、自分が兄弟の家賃滞納を支払わなければならないんだ!」

と、拒絶してくる場合が多いです。

そこで、民法896条を説明した上で、連帯保証人としての地位を相続している旨を説明して請求することをお勧めします。

第八百九十六条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

もっとも、このような事態に陥って、お困りの場合、なかなか契約当事者でない人(連帯保証人の相続人)との交渉は難しいかもしれません。

その場合は、弊社に一度、お電話でご相談ください。

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確認済証や検査済証が無い場合に増築や用途変更の方法

連載シリーズ 【 確認済証や検査済証が無い場合に増築や用途変更の方法 】 第 2 話 / (全 5 話)

先日(平成26年5月17日)の記事、『違法建築と既存不適格 検査済証が無いと増築や用途変更はできないか?』で、

Q.検査済証が無くても増築や用途変更はできるか?

A.原則的にはできません。

と書きましたが、出来る可能性が出てきました。というのは、特別に建築基準法や関連法規が変わったわけではないのですが、平成26年7月2日に国土交通省より、

『検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン』なるものが発行されました。

これにより、下記のような建物でも、増築や用途変更ができる可能性が出てきました。

1. 検査済証がない建物(建築当時の建築基準法の技術的指針を遵守していること)

2. 確認済証がない建物(建築当時の建築基準法の技術的指針を遵守していること)

3. 確認済証取得時の図面が無い建物

今までだと1と3でも、木造2階建て200㎡未満の建物以外は、増築や用途変更が不可能2の場合だとすべて不可能と法的に解釈されていました。(建築基準法を棒読みすると、「出来ない」とは書いていませんが、出来るための条件を整えることが不可能と解釈されていた。)

ただ、この状況では、日本の既存建築ストックが有効活用されず、さらには耐震化なども進まないことから、1~3のような状況にある建物でも、「合法的に」増築・改築・大規模な修繕・大規模な改修が出来るようになりました。また、このように建物をいじる為だけではなく、「建築基準法適合調査」に合格することで「検査済証」があるのと同等と評価されることで、今まで金融機関が融資の判断基準にしていた検査済証の有無も変わってくると考えられます。

ただ、ここで注意しなければ、ならないことがあります。

① その建物が建てられた当時の法律に適合していること

② 今後は、違法増築等に対して厳しく対処してくると考えられること

この2点には注意が必要です。

特に②です。そもそも、検査済証が取得されていない建物は平成11年の段階で約50%あったと考えられています。その後、民間機関に確認申請業務が移行され、かなり改善されました。つまり、完了検査を受領しないことに対して、行政期間が甘かったという判断もできます。それにも関わらず、増築もダメ、大規模な修繕や模様替えもダメとも言いきれず、黙認していた観もあります。

しかし、このガイドラインが出てきたことによって、物理的には、検査済証が無くても、合法的に増築等が出来るようになったので、今後は違法増築等に対して、行政機関が黙認することもなくなってくると考えられます。

検査済証が無い場合であっても、確認申請済証や確認申請図面、構造計算書がある場合で確認申請図面通りに建物が建っている場合には比較的に容易に適合調査ができると考えられますが、確認申請図面が無い場合や確認申請図面通りに建物が建っていない場合などは、まずは現況図面の作成を行い、新築時の建築基準法の技術的指針に適合しているかのチェックが必要となります。

建物の図面というのは、建っていない建物の図面を作成するよりも、建っている建物の図面を復元する方がはるかに大変ですし、現在の法律に適合している図面を描くより、新築時の法律に適合しているかのチェックの方が大変です。

ですから、確認申請図面が無い場合には新築時並みの設計費用が掛かってしまうことにはなりますが、それにより、増築が可能になったり、財産価値が回復するのであれば、一考の余地があると考えられます。

 

確認申請済証や検査済証がなくてお困りの方は

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原状回復工事 ~入居者視点からのリニューアル~

連載シリーズ 【 原状回復工事 ~入居者視点からのリニューアル~ 】 第 4 話 / (全 4 話)

前話(「原状回復工事 ~不動産屋が高い理由~」)で、書いた部屋の施工前の部屋の写真を見せてもらうと、フローリングは部分補修をしてワックスを掛ければ問題ないような状態です。建具を替えた理由は、フローリングを替えるときに巾木を替えるため、造作材の色が変るから建具まで替えたという理由です。

さて、この部屋で当社が提案すると、どんな提案になっていたかというと・・・

項目 数量 単価 小計
キッチン換気扇フード交換   1式  38,000円
キッチンシート貼り    1式   24,000円
キッチン水栓交換  1式  28,000円
トイレペーパーホルダー交換  1式  7,500円
トイレタオルリング交換  1式  5,000円
フローリング補修  1式  15,000円
火災報知機設置  2箇所 3,900円/箇所 7,800円
スイッチプレート交換  6箇所 3,000円/箇所  18,000円
クロス交換 88㎡ 1200円/㎡ 105,600円
クリーニング工事  1式  25,000円
工事管理費 1式 30,000円
合計  303,900円

と、こんな内容でした。建物の住み心地というのは、立地や周辺環境と間取りや日当たりなどによって決定されるものです。ですから、各住戸のリニューアル工事によって、「住み心地」を変化させることは極めて難しい問題です。住み心地を変化させるためのリニューアル工事は、各住戸の工事よりも共有部分の工事によってできます。

では、当社が水周りやスイッチプレートなどの細かいものを替えたかと言うと、こういう部分は、メーカーの商品の入れ替わり(デザイン変更)が頻繁に行われるため、新築物件と比較すると劣化が激しく感じられるからです。また、水周りやスイッチなど、前居住者が触ったものの中で新規入居者が嫌悪感を感じるものはなるべく交換してあげるという効果もあります。

ちなみに火災報知機は法律の変更に伴うものです。(E社は忘れていました。)

さて、この部屋はE社が前話で提案した内容で施工した後、2ヶ月で入居者が決まりました。決まったのは、3月中旬で、もっとも入居者の入れ替わりが多い時期ですから、決まって当然なのですが、113,000円で募集して、結果的には110,000円で決まりました。

その2ヵ月後、このマンションオーナーから、再び依頼がありました。E社が施工した部屋の下階の部屋が空いたので、リニューアルの提案をして欲しいとのことでした。

こちらの部屋も状況は殆ど変り無かったのですが、フローリングは補修の必要性もありませんでした。ただし、給湯器が壊れかかっていたので、給湯器を交換しました。他の内容は、上記の内容とまったく同じです。

工事が終わったのは、6月の中旬でした。私はマンションオーナーに115,000円で募集をするように提案をしました。結果は、7月1日からの入居希望者が、115,000円で成約しました。築年数が10年のマンションですが、1LDKの周辺の新築相場が120,000円弱だったこともあったので、新築に近い賃料で決まるという自信があったからでした。

賃貸専門不動産会社は、入居者がどんな視点でものを見ているかのマーケティングは、殆ど行っていません。強いて言うならば、マイソク(物件の広告)に書ける項目を増やしたいだけです。風呂・トイレ別、エアコン付、ウォシュレット付、光回線など、とにかく項目を増やしたいだけです。そして、それに食いついてきた入居希望者をなんとか営業力で説得します。家賃を下げるのも営業力と称しています。今回の物件では

『大規模リフォーム済み』

とマイソクに書かれていました。フローリングを交換したことを大規模リフォームと言いたかったのでしょう。

このように大手賃貸不動産会社は、客付けさえできれば良いと考えており、入居者目線でのリフォームの提案は出来ません。それによって、入居者は長期に渡って賃借してくれない物件になってしまいます。

たしかに、最近はインターネットの物件検索サイトなどでも設備の選択欄があります。ですから、マイソクに書ける項目を増やすことで、インターネットの物件検索サイトでも、選ばれる可能性は高くなります。

しかし、ある程度の設備が整っていれば、後は実際の物件勝負になります。

当社は設計事務所であることの強みを活かし、戸建分譲住宅や分譲マンションなどのマーケティングデータをもとに、人気の住空間を常に研究して、それを賃貸住宅にも反映させています。

そして、費用対効果の大きいリフォームの提案を行っております。

賃貸住宅の空室対策、原状回復工事は

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原状回復工事 ~不動産屋が高い理由~

連載シリーズ 【 原状回復工事 ~不動産屋が高い理由~ 】 第 3 話 / (全 4 話)

当社のお客様である、マンションやアパートのオーナー様から、空室対策に関する相談を受けます。その多くの物件は、立地的にかなり厳しい物件であったり、かなり老朽化している物件だったりと、その理由は様々です。

立地的に厳しい物件は、なかなか手の施しようが無いというのが実態です。また、老朽化した物件であっても、そこまでの手入れの状況次第ですが、築40年以上の物件となると、やはり、かなり厳しいものがありますが、立地的条件と物件の状況によっては、何とかなる場合もあります。

今回は、物件も平成に入ってからのもので、立地的条件も整っているのに空室がどうしても出来てしまうという物件についての問題点について検証します。

マンションやアパートと言うのは立地的条件が整っていれば、新築から築5年目ぐらいまでは、事故でもない限り、周辺相場賃料とほぼ同等であれば、それなりの入居率は見込めるはずですが、築10年を超えてくると賃料の下落が始まります。これは、築年数による経年劣化よりも、細かい設備が新しい物件と比較して見劣っていたり、室内のデザインが流行から遅れていたりするのが主な原因です。

ある賃貸マンションオーナーが、客付けと家賃の回収、共有部の清掃、退去者が出たときの原状回復を大手の賃貸専門不動産会社E社に任せていました。大手の賃貸専門不動産だけあって、それなりに入居者を付けるのですが、平均入居年数が3年弱と入居者が安定しません。

入居者の出入りが激しいのは賃貸物件のオーナーにとっては、次の入居者が入るまでの間、賃料が得られないだけではなく、原状回復工事なども少なからず出費があるはずです。

そして、この賃貸マンションオーナーから当社に入居者が安定するにはどうすればいいかと言う依頼がありました。

入居者が安定することは、実はすごく簡単なことです。

『住み心地のよい住居を提供すること』

この一言につきます。

そこで、まずはそのマンションの空室を見させて貰いました。その部屋は前入居者が6年間住んだそうで、このマンションの中では長く住んでいた入居者でした。

間取りは1LDK(34㎡)です。

まず、中に入って気がついたことは、フローリングでした。新品のフローリングです。

オーナーに聞いてみると、この部屋の前入居者と前々入居者の併せて10年間フローリングを替えておらず、表面がかなり劣化していたので、E社から、

「そろそろ、原状回復工事と一緒にリニューアル工事をした方が良い」

と勧められて工事をしたそうです。

そこで、E社の提案した工事内容を見てみると・・・

建具の交換  3本 98,000円/本   294,000円
フローリング  1式   350,000円
造作工事  1式   158,000円
クロス交換  88㎡  1,800円/㎡   158,400円
下駄箱補修 1式     15,000円
クリーニング  1式    37,500円
工事管理費  1式   101,290円
合計 1,114,190円

※建具3本 リビングと寝室の間のドア・洗面所のドア・トイレのドア

と、こんな内容でした・。

まず、気になったのは値段です。建具やフローリングは良く知っているメーカーのもので、仕入れ価格も概ねわかっていました。それだけに、あまりに高いと感じました。

しかし、高いのは当然です。

E社は、業者を手配する能力はありません。そこで、工事を別のH社に丸投げしています。H社自体もフランチャイズリフォーム会社です。H社は、通常の工務店と比較するとフランチャイズ手数料を工事費の20%取ります。さらにE社がH社の見積に25%乗せているので、大手賃貸専門不動産会社は通常の工務店に工事を依頼するよりも1.5倍も高いことになります。

これはE社に限ったことではありません。大手の賃貸専門不動産会社はどこも似たようなものです。

実際に大手の賃貸専門不動産会社にリニューアル工事を依頼して、「高い」と感じたマンションオーナーの方も多いと思います。

しかし、賃貸専門不動産会社の提案の問題点は高いだけではありません。次回は、その提案内容の問題点について考察します。

 当社は設計事務所であることの強みを活かし、当社では、戸建分譲住宅や分譲マンションなどのマーケティングデータをもとに、人気の住空間を常に研究して、それを賃貸住宅にも反映させています。

そして、費用対効果の大きいリフォームの提案を行っております。

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