【開発】L字溝 第9話
今日は群馬県で竜巻が発生するなどして大変だったようですが、うちの事務所からは夕方に虹が出ていました。
ちょっと解りにくいですが、右の白いビルのすぐ左側です。
さて、L字溝の続きです。
前回の話の通り道路課に行くことになりました。
当時のS区の道路課は建築指導課の隣にありました。隣と言っても壁があるわけではなく(役所なので部署が違えば見えない分厚い壁はあるのでしょうが・・・)、建築指導課と道路課の担当者は背中合わせで仕事をしています。話は聞こえていたと思うのですが・・・一応、同じ内容を道路課にもお話をさせて頂きました。
「というわけで、道路内にこの擁壁を作らさせていただく訳にはいかないでしょうか?」
「いいと思う?」
「原則的にはダメだということは、重々承知しておりますが、隣地の方も敷地内に擁壁を作ることを認めていただけないわけで、八方塞なんです。」
「隣地の人に様壁を作らさせてもらおうとするから、ダメなんだよ」
「へ?と言いますと・・・」
「簡単だよ。隣地を全部、おたくで買収しちゃえば、いいんだよ!」
『それが役所の言う言葉か!!!!!!』
と言いたいのを押さえて・・・・
「では、隣地の方に早速、交渉してきます。が、S区の道路課に買収して来いと言われたと言っていいでしょうか?」
「喧嘩売ってる?」
『どっちがじゃ!』
と言いたいのをぐっと押さえて・・・
「では、我々の意思で購入したいと言ってきます。」
「まぁ、がんばって・・・」
というわけで、この日はS区から撤退することになりました。現場事務所に戻って、再び、設計担当M氏と現場監督Y氏で打合せすることになりました。
緑字・・・M氏 赤字・・・Y氏
「相澤さん、本当に隣地の方に売ってくれと言うんですか?」
「いやいや、仮に認めてくれたとしても工期が間に合いませんよ。」
「う~ん・・・。さっきまでそちらの土地に擁壁を建てさせてくれと言っておいて、今度は土地ごと売ってくれか・・・こりゃ、普通の地上げよりも遥かに難しいぞ。地上げなら採算が合えばできるが、まさか擁壁の為に地上げするなんて経済的に不可能だ・・・」
「じゃあ、どうするんですか?」
「とりあえず、役所にはしばらくたってから行って、売ってもらえなかったことにしよう。」
「しかし、それだけでは擁壁を作って良い許可はもらえないですよ。」
「わかってるよ!」
「なんで、擁壁を道路内に作っちゃいけないんですかね?」
「Yさん、今更なに言ってるんですか!道路幅員が確保できないからですよ!」
「じゃあ、電柱も邪魔ですよね!」
「電柱は必要だからですよ!」
「ん?必要だから・・・。ひらめいた」
「なにがですか!?」
「この擁壁はL字溝ということにしよう!」
「相澤さん、ふざけてます?」
「いたって、大真面目だよ!来週、道路課に行くぞ」
さて、次回は早めに書くので・・・
更新料・敷金・礼金について考える1
今日も東京は暑いです。Newsでは福岡や山口の大雨の様子が沢山流れています。被災地の方は大変かと思います。がんばってください。
さて・・・
更新料が合法ではないという判決が出たことは一昨日のブログ
で書きましたが、これは支払う側(借主)と受け取る側(貸主)の双方に言い分があると思うのでそれを整理して考えてみたいと思います。
その前に日本の借地借家法が極めて借主に有利に出来ていることを書いておきます。
昨日のブログ
でアメリカの賃貸住宅の場合は、日本の定期建物賃貸借(以下、「定借」という)に近いものであることは書きました。しかし、日本には普通の建物賃貸借(以下、「普通借家」という)と共存する形になっています。
日本の定借の場合、200㎡未満の住宅は中途解約が可能なので、安定した賃料収入を得たいという貸主からすれば意味がありません。契約期間後に自己使用したいとか建物を取り壊したいという場合にしか意味が無いわけです。また、200㎡以上の借家というのも全体からしてみれば圧倒的に少ないので、実質的に有効なのは事務所や店舗ということになります。
では、事務所や店舗ですが、定借と普通借家の場合、定借が借主にとって不利であることは一目瞭然です。物件に希少性があり、その物件に競合物件が無いような場合は定借にしても、賃料に与える影響は殆ど無いと言っていいでしょう。しかし、同じような条件の物件が2つあって、片方が定借でもう片方が普通借家ならば賃借人は普通借家を選びます。そこで、定借が対抗する手段は賃料を下げるとか、礼金(敷引き)」や更新料を無くすという手段を取らないといけません。全てが定借になれば、あとは通常の競争原理と市場性で評価が出来ることになります。
しかし、ファンド物件などを除けば、「少しでも高く貸したい」「礼金や敷引きや更新料」も欲しいという目先の収入を貸主も追いかけてしまいますから、一般のオーナーは普通借家を選ぶことが多い様です。ファンド物件の場合は目先の収入よりも、「利回りの安定」「物件の流動性」の観点から、多少、目先の収入を安くしても(敷金ゼロ、礼金ゼロなど)良いと考えます。
では、更新料と礼金について、本来の趣旨と何に使われているのかを書きます。
これは、どのエリアも一緒かというと、私も日本全国の商習慣を知っているわけではありませんから、『うちは違う!』という方もいるかもしれません。
まず、更新料ですが、通常の賃貸借契約(普通借家)であっても、契約期間が定められているのが一般的です。普通借家契約の場合、もし、契約満期までに何の通知もしなければ、『契約期間を除く』全ての条件が自動的に継続し、そのままの賃貸借契約が続行します。
しかし、前述の通り、もし、契約期間満了時に何の通知もしなければ、最初の契約期間満了後の契約はどうなるかというと、期間の定めの無い契約となってしまいます。(借地借家法26条)
※実際に普通借家契約の場合の契約期間というのは、あまり有効なものではないのですが、それでも細かい部分で契約内容を変更したい場合や賃料の改定などは、この契約期間満了時に交渉することが多い様です。
そこで契約期間の定めが無い契約にしない為にも、貸主は借主に「契約の意思の確認等」をするなどをして、同内容の契約をすることで再契約をして、契約期間に定めのある契約を続行しようとするわけです。ところが、一部屋、二部屋を貸している貸主であればこの管理をすることも出来るかもしれません。もし、貸主が100戸のマンションを賃貸していたら、これの契約更新は大変な作業です。そこで、不動産会社の登場です。
最初に賃貸の客付けをした不動産会社は契約更新となれば再契約ですから、仲介手数料を取ろうとします。もし、この手数料を貸主にも払えと言えば貸主は自分で契約更新を借主とするから、不動産会社は「やらなくていい」と言われてしまします。そこで、その仲介手数料を借主から全額とろうとします。
※仲介手数料は宅地建物取引業法(以下、「業法」という)では貸主50%と借主50%と定められています。
ところが、これでは貸主はメリットがありません。そこで、不動産会社は半分を貸主に渡します。これを『更新料の折半』等と業界では言います。
もし、これを借主に
「再契約になりますので仲介手数料を下さい。」
と不動産会社が言えば、借主は
「いや、もう仲介して貰ってる訳じゃないじゃないか」
と言います。(黙って払う人の方が多そうな気もしますが・・・)
これを避ける為に「更新手数料」という言葉を使っているとも考えられます。
では、礼金についてですが、礼金についても、今や商習慣で取っているだけです。今では賃料や原状回復費用への充当であって、そもそもの意味を失っています。礼金の始まりについては色々な説がありますが、私の祖父がアパート経営をしていて、子供の頃に礼金の意味を聞いたら、
「学生さんが田舎から上京してきた時に、親に代わって面倒を見てくださいと借主のご両親が大家さんに渡すお金が礼金だ」
と教えてもらったことがあります。ネットで調べてもこれに近い主旨のことが多く出てくるので昔はこれに近い意味で礼金が存在したのであろうと考えられます。しかし、今の貸主が親に代わって面倒を見ることは無いので、礼金の意味そのものが無くなっています。
では、『保証金の償却』制度についてですが、よく、事務所や店舗の賃貸借契約にある『保証金の償却』で年に○%を償却するというものは、これは単純に家賃への充当と考えて良いでしょう。また、『解約時に○ヶ月分を償却する』というものがありますが、契約書上に『解約時に償却』と書かれていても会計上は、保証金を預かって契約が成立した時点で償却して良い事になっています。これは契約が成立した以上、いつか解約が行われる訳だから償却しても良いということになっているそうです。とすれば、これは完全に礼金と同じ意味合いを持つことになります。つまり借主からしてみれば『礼金ゼロ 保証金8ヶ月(償却2ヶ月)』という物件を借りた場合は実質的には『礼金2ヶ月 保証金6ヶ月』という物件を借りたことと全く同じわけです。ただ、この会計処理で問題になる場合はこの物件が売買されるときです。賃借人が付いたまま、この物件を売買すると、原則論からすれば保証金の償却は解約時なわけなので、保証金は全て買主が引継ぐことになるはずなのですが、会計処理上、契約時に差引いて良い事になっているので、償却してしまっていることが多いです。つまり、買主には償却後の保証金しか入ってこないことになります。しかし、これは会計上の問題ですから、売買時にはよくトラブルになります。
※実質的には・・・例えば、家賃が100万円/月で保証金が10ヶ月(解約時償却2ヶ月)の物件でを1億円で売却しようとすると、実際に1億円を買主が売主に支払って、1000万円を保証金として売主が買主に渡すのは意味が無いので、9000万円を支払うことになるのですが、2ヶ月は契約時に会計上処理して良い事になっているので9200万円を買主は売主に支払います。
敷引きについてもそうですが、敷引きとは契約時に「必ず○ヶ月分は返しません」というものです。とすれば保証金の償却と近い意味があると考えられます。
いずれにしても、本来の意味は失っていて、家賃への充当、原状回復費用への充当、将来の修繕費への充当、貸主の利益のいずれかになっているのが原状です。これを貸主がどの様な名目で取ろうとしているかが問題なだけです。
次回は借主側、貸主側の双方の言い分を考えてみたいと思います。
日曜日なのでまったりと書いていますが・・・
敷金・礼金・更新料の続き
昨日のブログで更新料を無効とするNewsの記事を紹介しましたが、アメリカではどうなっているかをちょっと紹介しようと思います。
まず、基本的なことなんですが、アメリカの賃貸借契約は殆どが日本の定期借家契約(以下、「定借」といいます)に近いものです。決定的な差は日本の定借200㎡未満の住宅の場合は中途解約できますが、アメリカではそんなことはありません。つまり、中途解約する場合は残存家賃を置いていかないといけない契約が多いです。
さて、その様な状況で・・・
もちろん、アメリカにも仲介手数料があります。Key Feeと言います。
敷金もあります。これに極めて近いものが・・・Security Depositです。
ただ、日本と違うのはこれが明確に預かり金になっていて、ちゃんと金融機関に預けた上で金利は借主のものになることが多いです。
礼金(敷引き)は殆どありません。景気のいい時に大都市でそれに近いものを取ることがあるそうです。
更新料ですが、もちろん、定借なので、更新の場合は再契約となりますつまり、更新料はありません。
アメリカの場合、面白い習慣があって、契約最終月の家賃を前払いするというものがありますが・・・景気が悪いとこれも無い場合が多い様です。
日本の場合、借地借家法が貸主不利になりすぎている感じがします。故に礼金だの更新料だの得体の解らないものが多々でてきます。また、日本の場合、どんぶり勘定的なところがあって、他の業界でもそうですが、
「こっちが赤字でもこっちで黒字だから、二つとも受注できるならいいや。」
みたいな、曖昧な会計処理が横行していることにも問題があります。
結局、礼金だの更新料が無いとやっていけないから、それを請求する訳だから必然的に家賃が上がることになるでしょう。
今後、過去に遡って、礼金や更新料の返還請求が起これば、家賃そのものが上がることになるでしょう。また、入居審査自体が厳しくなることも想像されます。
大阪高裁で別件の判決が来月に出るようですが、ちょっと注目したいと思います。
【News】賃貸住宅の更新料は無効
あくまで京都地裁の判決で控訴審が待っていますので確定事項ではありません。
さて、更新料についてですが、関東に住んでいる方は当たり前だと思っている方が多いと思います。実は私もこの仕事を始めるまでは礼金も更新料も当たり前のものだと思っていました。ところが、大阪のビルオーナーの方から、ビルを預かって、東京のテナントを引っ張っていって契約に至ろうとした際に、その大阪のビルオーナーに
「更新料は一ヶ月でいいですか?」
と聞いたら
「更新料ってなんですか?」
と逆に聞かれてしまいました。
それで、いろいろ話してみると、大阪には更新料なるものが無いということを知りました。
また、大阪では「礼金」と言わずに「敷引き」ということもこの業界に入ってから知りました。(これは随分と前のことですが・・・)
さて本題ですが、さすがに今日はタイトルのNewsで持ちきりでした。
ソース・・・http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090723-00000700-yom-soci
著作権に引っかかりそうですが原文をそのままコピペしておきます。(問題だったら削除します。)
賃貸マンションの契約更新の際に「更新料」の支払いを求める契約条項は、消費者契約法に反するとして、京都府長岡京市の20歳代の男性会社員が、支払い済みの更新料など46万6000円の返還を家主に求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。
辻本利雄裁判長は「入居者の利益を一方的に害する契約条項」と認定、同法に基づいて、更新料の契約条項を無効とする初の判断を示し、家主に請求全額の支払いを命じた。
国土交通省によると、更新料が設定された賃貸住宅は京都や首都圏などに約100万戸あるとみられる。同種の訴訟では更新料を有効とする判断が地裁段階で続いており、判決は他の訴訟にも影響を与えそうだ。
判決によると、男性は2006年4月、京都市下京区内のマンションに、賃料月5万8000円、2年ごとの契約更新の際には賃料2か月分の更新料を支払う、との内容の契約を結んで入居。08年の更新時に11万6000円を支払ったが、同5月末に退去した。
裁判で家主側は、「更新料には賃料の補充的要素がある」などと主張したが、辻本裁判長は「更新後の入居期間にかかわりなく賃料の2か月分を支払わなければならず、賃借人の使用収益の対価である賃料の一部とは評価できない」と指摘。そのうえで、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、趣旨も不明瞭(めいりょう)。男性に具体的かつ明確な説明もしていない」などと述べ、契約条項は無効と判断した。
男性は今回の訴訟で、入居時に支払った保証金(敷金)35万円の返還も求めており、判決は保証金についても消費者契約法に照らして無効とし、請求を認めた。
男性の弁護団は「判決内容は当然の判断」と評価。家主側の代理人弁護士は「拙速に出された判決で遺憾。内容を精査し、今後の方針を決めたい」としている。
この判例をもとに関東で裁判が続出したら、関東の大家さんは大変なことになります。この内容では礼金も無効で返還しろということになりますから、過去に遡って・・・などということになれば、貸し金業界と同じようなダメージを受けることは必至かと思います。
ちょっと、大変な判決が出たけど・・・
【賃貸借契約】定期借家契約モドキ
今日は皆既日食で午前中はニュースがもちきりですが、新宿は分厚い雲に覆われていて、太陽がどこにあるかまったく確認できません。実は結構、楽しみにしていたので残念です。しかも、事務所ということもあり、携帯のワンセグで『小さい皆既日食』を見ていました。
さて、タイトルの話に・・・
定期借家契約・・・、一般の住宅(マンションやアパート)を賃貸されたことしかない方には、あまり縁の無い言葉ですが、オフィスや店舗を借りようとしたことのある方は聞いたことがあると思います。
定期借家契約は正確には『定期建物賃貸借契約』といいます。
※定期建物賃貸借契約については・・・・借地借家法38条~40条
普通の借家契約とどう違うかと言うと・・・
・ 特約が無い限り、契約の更新が無い。
・ 特約が無い限り、200㎡未満の住宅以外は中途解約ができない。
他にも細かいことはありますが、大きなポイントはここです。
稀に200㎡未満の住宅でも、定期借家契約○年という物件がありますが、これには理由があります。
・ ○年後に建て直す等の予定がある。
・ 転勤などで、住人がそこに住めなくなったが○年後には帰ってくる。
などという理由があります。
この場合は、○年間という限定的ではありますが、ちょっと安目に家賃が設定されていることが多いです。
定期借家契約は『更新が無い』ので○年後に出ていかなくてはならないことを認識しておかないと、普通のアパートやマンションと同じ感覚で借りると大変なことになります。
では、本来の定期借家契約の目的は・・・
はっきり言って、『貸主の保護』です。
まず、特約が無い限り、契約の更新が無いということは、特約で『貸主側が承諾した場合のみ更新可能』にしておけば、その賃貸借契約の解除の主導権は貸主が持っています。
また、特約が無い限り、中途解約が出来ないということは、借主は契約期間はその建物を利用しようと、しまいと家賃を払い続けなければいけないということです。
ということは、もし、10年の定期借家契約を締結して、2年でやっぱり出ていきたいと借主が思っても残りの8年間は家賃を払わなくてはならないということです。この辺のことが解っている借主は、易々とこんな契約はしません。
そこで「○年のブレイクオプション」などという言葉が出てきます。これは10年間の定期借家契約を締結するが○年後に借主が中途解約するかを判断する・・・というような内容です。
そして、この定期借家契約は不動産ファンドなどが多用します。不動産ファンドは投資家に安定した配当を出し続けなければなりません。そこで、安定した家賃が必要になってくるのですが、もし普通の借家契約だと、借主が家賃を払うのが苦しくなったときに出て行ってしまいます。
入居時に借主の与信は当然に調査するのですが、それでもその借主が苦しくなる局面というのは不景気です。不景気になって、その借主が出て行けば、次の借主を決める時には家賃を下げないと決まらないことが多くなります。また、その際に物件の需給バランスが崩れて供給過多になると、現在の様に空室だらけになって、家賃を下げたら決まるという問題でも無くなったりします。
そこで、定期借家契約にするわけです。そうすればその借主が破綻(法人なら倒産)でもしない限りは、賃貸借契約の期間は安定した家賃収入を得ることができる訳です。特にちょっと景気が良かった時には貸主が強気でしたから、定期借家契約だらけになりました。
しかし、この定期借家契約は目的が『貸主の保護』なので、圧倒的に貸主が有利な内容が多いので、そのことがちゃんと解っている借主は応じません。それでも昨今の景気状況では空室になるより、ましなので普通の契約に貸主が応じるケースが増えてきています。
さて、定期借家契約がどんなものか、ご理解できたと思いますが・・・
私のところにこんな物件のリーシングの依頼がありました。
商業ビルの1棟貸しなんですが・・・貸主から来た、契約書の雛形を見ると・・・
『30年間の賃貸借契約とし、中途解約の場合は残存家賃を置いておくこと』
と書いてあります。私は
『定期借家だったけ?』
と思いながら、契約書の雛形を読んでいくと・・・
『中途解約の場合は甲乙6ヶ月前に相手に申し出ること』
と書いてあります。これでは完全に普通の借家契約です。
貸主(依頼主)に・・・
「この契約は無効になりますよ・・・。少なくとも訴訟になれば負けますよ」
と言ったのですが、貸主は借主予定者に、この内容で聞いてみてくれというので、借主予定者に内容を良く説明して、この内容で良いですかと聞いたら・・・もちろん、ダメだったのですが・・・
「10年なら、残存家賃を置いていくという契約でもいいかな・・・」
『おっ・・・これだけでも貸主に顔がたつ・・・』
と思ったのですが・・・
「どうせ、設備投資や内装を回収するのに10年はかかるからな。ただ、うちが一方的に残存家賃を置いていくというのは対等な契約とは言えないから、貸主が中途解約を申し出た場合は残存家賃と同じ金額をうちに支払うという内容にしてくれ」
と言い出しました。一応、貸主は安定した家賃収入を求めているわけですから、これでもいいかな・・・と思ったのですが、ある意味、立退き料が事前に決まっているのと同じです。ただし、それでも普通の借家契約ですから、貸主はお金とは別に正当事由が必要ですから、この部分に於いては貸主が不利になったわけです。
一応、この内容で締結したのですが、定期借家でもないのに不思議な契約になりました。
とは、言うものの、実はこういう、よく解らない賃貸借契約は多々あります。
貸す方も借りる方も注意してください。
天気が悪くて皆既日食を見れなかった人も・・・
飲食業界
最近、テナントビルのリーシングをいくつか請け負いました。
どお考えても飲食店しか、ないだろうという場所なのですが・・・
全然、決まりません。
場所も悪くないし、家賃も妥当性のある価格で、しかも新築です。
予想はされていたことなのですが、飲食業界はかなりの不況です。
特に高級店になればなるほど、厳しい感じがします。
新規起業で飲食店をやる方は増えている感じはするのですが、
今回、預かっているビルはある程度の与信が問われているので
できれば、チェーン店展開をされている会社か実績のあるところを貸主が希望されているのですが・・・。
銀座のクラブなども相当数が廃業している様ですし、飲食業界はしばらく苦戦しそうな感じです。
厳しい環境が続くけど・・・
【開発】L字溝 第8話
前回、『擁壁』が一部、『様壁』になっていました。ご指摘くださった方、有難うございました。
さて、昨日、一昨日と水槽のレイアウト変更をしていて更新がほとんど、できませんでした。今日は三連休最終日ということで時事ネタも殆どありません。というわけで、L字溝の続編です。
さて、二進も三進も行かない状態になってしまった我々は廃道できるかを二項道路に隣接している近隣の方に聞くことにしました。無駄だろうなぁ・・・と思いながら・・・
まず、一番、南側の方です。この方はもともと、今回の工事が始まるときの近隣挨拶の時から仲良くなっていました。案の定、O.Kしてくれました。
南から二軒目ですが、ここは80歳は超えていると思われるお婆さんが一人で住んでいます。人と接するのを嫌がるお婆さんでした。それでも、なんとか会っていただく事はできて、話したら・・・
「ここは私の持ち物じゃなくて、兄の物なのよ・・・」
「え?ではお兄さんはどちらにお住まいですか?」
「北海道の・・・・」
「ホ・・・ホッカイドウですか・・・。ちなみにお兄さんはおいくつですか・・・?」
「大正3年だから・・・」
一応、電話番号だけ聞いて撤退しました。普通なら、すぐに電話を掛けるのですが、相手は90歳の老人です。事情を電話で話してご理解いただけるとはとても思えません。三軒目の了解が貰えてから対策を考えようということになりました。
というわけで、三軒目に行くことになりました。
二軒目の件で実際の所有者じゃない方が住んでいるといけないので、今度は謄本で確認してから行きました。謄本をみると、つい三ヶ月ぐらい前に相続登記がされています。近隣挨拶の時に40歳ぐらいの方が対応してくれていたのですが、この方が亡くなったのかな・・・?と思いつつ、たずねてみると、同じ方でした。
「あ~、三ヶ月前に親父が死んだんだよ。ず~っと、病院にいてね。」
『なるほど・・・』
「でも廃道の件は困るな。」
「そこをなんとかお願いできないでしょうか?」
場合によってはハンコ代も覚悟はしていたのですが・・・
「親父が死んでさぁ・・・。この建物、建て直すんだよ・・・。それで、そちら側の道路にも出られるようにしようと思ってさ。今、設計中なんだよ」
『最悪・・・』
こちら側の道路を切り下げて、この方の土地と道路に高低差が出来ていることをこの方は忘れています。現場は二項道路を含め、工事しているので周囲を囲っていて外から見れません。しかし、道路を切り下げることは近隣にも説明していますし、役所にも届けてはいます。しかし、ここで高低差があることなどを説明すれば、二項道路側の利用を諦めるよりも、自分の敷地内に階段を作って、二項道路側に降りれる様にすると言い出しかねません。この擁壁は照明を入れる計画もあるし、建物の外観と合わせて計画しているので余計なことを言って、擁壁が作れなくなると困ります。
というわけで、我々は話だけ聞いて撤退しました。
「これで、相手側の土地に擁壁を作ることも不可能だな」
「なんでですか?」
「だって、新築して、こちら側の二項道路を利用しようと思っている人がいるわけだろ。仮に、作らしてもらっても相手の土地に作って、擁壁を相手に提供すれば相手は勝手に壊すぞ。もし、相手の土地に擁壁を作らしてもらって、擁壁の所有権をうちのままにしようとすれば相手は壊せないから作ることそのものを拒否するだろ。」
「でも、じゃあ、このまま計画をすすめても相手は擁壁を壊そうとしませんか?」
「二項道路と言っても私道でうちの土地だ。そこにうちが作ったものを相手は壊す権利はない。ましてや、相手はちゃんと公道に面しているわけだから・・・。だから、相手が工事を始める前に擁壁を作る必要があるな。」
「でも、こちら側の土地には、このままでは擁壁は作れないですよね?」
「よし!S区役所に行って、道路内に擁壁を作っていいかを聞きに行こう。」
「認めるわけないでしょ!それより、このまま、黙って作っても役所は気がつかないのでは・・・?」
「道路幅員の為にセットバックしているだろ。こういう時、役所は絶対に当初の計画どおりにセットバックをしているかを確認する。だから、今回は100%バレるよ。もし、黙って、作ってバレたら収拾がつかないぞ。」
「しかし、役所が認めますかね?」
「ダメもとだが、この計画で建築指導課は許可を出したんだ。相手もこのミスに気がつかなかったんだから、多少は協力してくれるだろ。」
というわけでS区役所の建築指導課に我々は行きました。
建築指導課の人に相談すると・・・
「道路課行って!」
と、言われてしまいました。
役人は縦割りだけど・・・
昨日・今日は・・・
昨日は久々にブログを更新しませんでした。
というのも、昨日~明日までは仕事は休みなのですが
自宅の水槽のレイアウト変更です。
趣味が熱帯魚なもので・・・
我家では90cm水槽1本、60cm水槽1本、45cm水槽1本
そして、34cm水槽5本、30cm水槽1本の9本の水槽が稼動しています。
うちに来た方などは壁一面が水槽なので水族館みたい・・・
と言われるのですが・・・
熱帯魚を本格的にやっている人と比較するとどうってことはないです。
私の知り合いの熱帯魚仲間は70本以上の水槽を展開している人もいます。
上の写真はわかりにくいですがグッピー水槽です。
9本と言っても、全部の水を換えると水量だけで300リットルはあります。
15リットルのバケツで往復20回以上は水を運びます。
腰が痛くなります
現在、やっと、90cm水槽の中身が空になりました。
これから、この水槽をセットします。
今日は1日、水槽とじゃれています。
趣味ネタだけど・・・
積水ハウス、豪で6600戸開発へ
今日の日経新聞に積水ハウスが6600戸の分譲を開発するというニュースが出ていました。
ダイワハウスは中国で900戸ぐらいのマンション開発をやっていましたが、積水ハウスはオーストラリアですか・・・
たしかに、日本の住宅産業はこれからパイが小さくなっていくことは間違いありません。しかし、住宅産業が海外に行くのは大変なことです。
資材は現地で確保すると書いてありましたが、職人さんも当然ですが現地採用になるだろうなぁ・・・と思いました。
積水ハウス、ダイワハウスが将来を見据えて海外展開をする中で、他のハウスメーカーは将来の戦略をどう考えていて、どの様に動き出すかが見ものです。特に中規模以下のハウスメーカーではそんな簡単に独自で海外展開はできないでしょうから、他社と共同して海外展開をするなどということも考えられます。
ただ、人口増加があって、将来の需要が見込める国で日本のハウスメーカーの参入余地がある国というのは中進国などが多く、日本との所得格差の問題がありますから、日本の住宅が売れるかという問題もあります。
大きな壁はありますが、今の日本国内での新築需要にぶら下がっていると、時間の問題で衰退するから、海外に行くというのは一つの戦略です。
しばらくは注目していこうと思います。
【開発】半値八掛け・・・四割引!
つい昨日から今日に掛けてあった話です。
ある方が渋谷区のある場所の土地を欲しいと言ってきました。
そこは更地なのですが、その人の目的は投資用の商業店舗を作ることです。
「相澤さん・・・売主さんに繋がるかな?」
「もちろん、繋がりますが・・・」
「300万/坪ぐらいで売ってもらえないかなぁ・・・」
「いや~、今の所有者が買った金額・・・750万/坪ですよ。聞いてはみますが・・・。それに平成19年の初めにその土地にあった建物を解体してたときには、今の所有者のところに1200万/坪以上で買いたいという方が殺到してましたよ。」
「まぁ、聞いてくれよ・・・」
で・・・聞いてみると・・・
「う~ん、今は諸事情あって、売れないんだけど・・・。でも価格はO.Kだよ。」
ということでした。
ということは平成19年の初めから見て、2年半の間にその土地は25%の価格になってしまったということです。もっとも路線価も40%ぐらいにはなっているのですが、渋谷、神宮前、表参道、南青山と言った不動産プチバブルの主役となった土地は今は悲惨な状況になっています。
転売目的で持っている会社は軒並み大変なことになってるなと思いました。
もっともほとんどが倒産したか、瀕死の状態ではありますが・・・。
オフィスや商業は賃料のアップダウンが景気の波をもろに受けますし、空室率のリスクなども住宅に比べると、ものすごく大きいです。そこに、期待利回りが上がってくると、土地の値段は急降下します。特に高賃料の場所程、影響を受けやすいものです。
というわけで、この土地も仕事に繋がりませんでした・・・