用途変更の必要性

連載シリーズ 【 用途変更の必要性 】 第 16 話 / (全 16 話)

 一般の方の考え方からすると、「自分の建物なのだから、自分が自由に使っていいだろう」と思う方が多いかもしれません。

 第一種低層住居専用地域だから、単独で飲食店はできないとか、第一種住居地域だから、風俗店はできないなどという、用途制限については御存じの方も多いと思います。もっとも、これすら、守られていないケースも多いのが実態です。

 

 しかし、建物と言うのは、余程、気の利いた建物出ない限り、新築時の用途を目標に建てられています。その最大の原因は、新築時のコストです。建物が、後で何にでも使えるように汎用性の高いものしようとすると、とんでもないコストがかかってしまします。

 

 建物は用途によって、大きく違うのは防火避難規定、つまり、避難経路や防火に関する設備が違います。また、構造的にも床の積載荷重などが用途によって変わってきます。

 例えば、自分が初めて行く、飲食店で火災が発生したとします。自分が入ってきた入口以外の避難扉に冷静に避難できるでしょうか?

 自分が住んでいるマンションならば、避難経路は概ね解っているかもしれませんが、初めて泊まったホテルで自分が入ってきた、入口以外の避難経路を把握できているでしょうか?

 また、通常の寄宿舎(社宅)を老人ホームに変更した時に、健常者は簡単に避難できても避難弱者は、簡単に避難することはできません。

 事務所ビルを倉庫に変更した場合に、事務所ビルで想定されている床の積載荷重と重いものを置く、倉庫では、そもそも床がその重さに耐えられないケースも考えられます。

 この様に、建物の用途を変えるのであれば、その変える用途に合わせて、建物の避難経路の確保や、防火設備の補充、床の補強などが必要になってくるケースが考えられるのです。

 

 以前の記事にも書いていますが、令和元年6月25日より、用途変更の確認申請を100㎡から200㎡に緩和しました。これは、当時の空き家問題を解決するために少しでも手続きを軽くすることが目標で、違反建築をして良いと言うものではありません。

 用途変更のために建築基準法に準じて建物を改造するということは意外に容易ではなく、用途変更の確認申請が無くなったことで、建築士が入らずにインテリアコーディネーターや、そのまま施工会社さんに依頼したり、中にはホームビルドでやってしまうというケースも見受けられます。そして、その殆どが違反状態になっているのが現状です。

 特に、この防火避難規定に違反すると、建築基準法第98条の罰則規定があり、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(法人は1億円)という重い刑罰がまっています。また、罰金を払えば、直さなくていいというものではなく、建築基準法に則した形に直さなければなりません。そして、それが出来なければ、使用禁止や除去(解体)という厳しい行政処分がまっています。ちなみに違反建築には時効はなく、違反状態が続く限り、これを是正する義務はついて回ります。また、建築士などを使わないで自分で行った場合には、行った人が全ての責任を背負うことになります。また、設計業務は面積に関わらず、建築士の独占業務ですから、インテリアコーディネーターや建築士を持っていない施工業者が設計することも違反です。

また、この様な状態で、事故があり死傷者が出た場合は業務上過失致死傷などの刑事罰もあり、さらには民事で、その損害賠償が請求されるという、とんでもないことが発生します。

当社では、200㎡未満であっても、軽々に考えずに必ず、一級建築士に相談することをお勧めしています。

 

 人が事業を始めたりするときというのは、火災や震災などの事故をあまり考えていなかったりします。最近では老人ホームや入院患者のいる病院にはスプリンクラー設備を付けることが法整備されてきましたが、これもこの10年の話で、10年前まではスプリンクラー設備のない施設がたくさんありました。怖いことですが、そういう施設でも非常用電源や自家発電機は、法律上求められていないので、停電などがあって、復旧に時間が掛かると、生命維持装置などの医療器具のバッテリーが切れると使用ができなくなってしまいます。小さな老人ホームや有床診療所などでは、その様な機能が設置されているかを確認するべきでしょう。

 その他にも、自分が普段利用したことのない施設を利用する場合は、避難経路の位置などの確認、また、地下室の飲食店やカラオケ点を利用する場合は機械排煙設備の有無などの確認をするべきですが、一般の方にこれを確認するのは難しいことから、安全が確認できない建物の使用は避けることをお勧めします。

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検査済証のある違反建築

連載シリーズ 【 検査済証のある違反建築 】 第 4 話 / (全 4 話)

 平成30年4月1日より前までは、その建物の検査済証の有無は、宅地建物取引士(以下。「宅建士」という)に説明義務がなく、その有無については自分で調べる必要がありました。(その当時でも、宅建士に調べてくれと言えば調べてくれる人もいたし、気の利いた宅建士だと、予め調べていた人もいました。)

 ただ、検査済証があるから、直ちに違反建築でないということではありません。

 よく、重要事項説明書を見ると、検査済証があって、建蔽率、容積率、接道義務違反などがされてないから、違反性はないかの如く説明されていますが、実際に調べてみると、違反建築になっているケースはよくあります。

 圧倒的に多いのは、検査済証発行後(完了検査後)にその建物のなんらかの改造を行っているケースです。

 ただし、この場合は是正が可能です。検査済証が発行された時点の状態に戻せばいいだけです。(簡単に言っている様に見えますが、実はこれが大変だったりもします。)

 

 今回、問題にしたいのは、検査済証が発行後、建物を何も改造などをしていないのに、違反建築の状態にある建物がこの世には存在するということです。

これの理由は簡単です。

・ 確認申請時の図面にそもそも違反があったが、それを建築主事や確認検査員(以下、「検査員」という)が見落とした。

・ 施工業者が確認申請図通りに作らなかったが、それが隠ぺい部分などで、工事監理者(建築士)や完了検査を行う検査員が、気が付くことが出来なかった。

 

 後者に関しては、確認申請図通りに是正すればよいのですが、例えばコンクリートの強度が規定の強度が無かった、そもそも鉄筋コンクリート造の鉄筋の本数が確認申請図よりも少なかったなど、構造に関する部分だったりすると、確認申請図通りに是正するのは、至難の業です。

 もっと、悪質なのは確認申請図がすでに違反状態にあり、それが建築主事や確認検査員によって見落とされているケースです。

 自分が見た中で、どうすることも出来ない、もしくは莫大な費用をかけて是正をしたケースを紹介します。

 事例1

 道路斜線の斜線角度が、そもそも虚偽図面だった。

 つまり、道路斜線の角度が、設計した建築士により詐称された図面だったこと(高さ制限に抵触していたこと)に、検査員が、気が付かなかった。

 事例2

 設計というのは真北を北として設計しなければならないが、磁北で設計されていた。これにより、北側斜線や高度斜線が抵触することになり、建物の高さ制限が抵触していた。

 

 この様な場合、そのまま建物を使っている分には、誰もきがつかないし、売買する時であっても、建築士によるエンジニアリングレポート(遵法性調査)等をしない限りは気が付きません。

 問題は、増築、大規模な模様替え、大規模な修繕、用途変更などの、その建物を利用して新たな確認申請をしようとするときに、違反建築には新たな確認申請が出せないという問題が発生します。

 しかし、建物の高さ制限がオーバーしている時に建物の高さを下げるということが、きわめて難しいことです。パラペットを少し切るぐらいで何とかなるなら、すごく大変ですが出来なくもないです。しかし、建物の屋上部分のスラブやその下の梁を削らなければならなくなると、もはや、構造そのものが成立しなくなる恐れがあります。

 

 この類の事態が発生する建物というのは、概ね平成18年より前の建物に多いと感じます。(平成23年築の建物でも問題があったことはあります。)つまり、有名なA建築士による構造偽装事件以降、検査が厳格化され、見落としが激減したことが理由と考えられます。

 ただ、検査済証があるにも関わらず、さらに確認申請図通りに建てられているのに違反建築だった場合に、結局、その建物所有者が責任を取らなくてはならないという事態に陥ることがあります。

 基本的に確認申請図が間違っているならば、設計した建築士や見落とした検査員に責任があり、確認申請図通りに施工していなければ、施工会社や見落とした検査員に責任があります。そして、その過失割合に応じて損害賠償請求となるのですが、問題は時効です。

 違反している図面で確認申請を行う、確認申請図通りに施工しない、そしてそれを検査員が見落とすという行為はいずれも不法行為に該当します。

 しかし、不法行為は不法行為が行われた時から起算して20年で時効となります。(民法第724条第2項)

 つまり、確認済証発行後20年経った建物や検査済証発行後20年経つと、違反建築の原因が、建築士、施工会社、さらには検査員(もしくは行政)であったとしても、その者に対して、損害賠償ができなくなります。

 しかし、建物の違反状態は継続している為に、その違反の是正義務が所有者になるということになります。

 築20年以上経っている建物(特に事業用建物の場合)を所有していて売却をしようとしたり、購入したりする場合には、建築士による遵法性調査をすることをお勧めします。

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フィットネスジムは用途変更の確認申請が必要なのか?

連載シリーズ 【 フィットネスジムは用途変更の確認申請が必要なのか? 】 第 15 話 / (全 16 話)

 当社に相談がある中で、用途変更の確認申請の必要性の有無で一番、難しいのがこの質問です。

 

 結論から言うと、下記の要件によって回答が変わります。

 1.どの様な経営形態になるのか?

 2.その店舗のみの会員制か?

 3.どの程度の収容人員があるのか?

 

 この辺りによって、行政判断が変わるので、この3点と営業する行政区を聞いて、行政相談をしてからのご回答になることが多いです。(既に当社で何度もやっているエリアは即答できます。)

 

 実は行政も結構、悩んだりします。これには悩む理由が存在しています。

 

 もともと、建築基準法、同施行令、施行規則、告示にスポーツジム、フィットネスジム等という単語は出てきません。

 ※厳密には令和6年1月9日国土交通省告示8号「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準」に「スポーツジム」を設計した場合の設計費の算出基準として登場します。

 

 ところが、日本建築行政会議編集、一般財団法人建築行政情報センターが発行している「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例」という本に非常にややこしいことが書いてあることが、フィットネスジム等をどう取り扱ってよいか解らなくなることとしています。

この本の

第1章基準総則 1用語の定義

(2)特殊建築物 スポーツの練習場

フィットネスクラブ等(令第130条の3題6の「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」として判断されるものを除く。)

とあり、

第2章集団規定 2用途規制

(4)学習塾等  学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設

◆「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」の例

〇フィットネスクラブ、アスレッチクラブ 〇ヨガ教室、ホットヨガ

とあります。

 これだけを読むと、フィットネスクラブは「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」であり、それ以外に判断される基準がわからないことになってしまいます。

 

 結局、これを元に各行政庁が、独自の基準を作って、この場合は必要、この場合は不要と判断しているケースが多いです。

 全ての行政区に確認をしている訳ではないですが、全般的には既存建物の一部を利用して、フィットネスクラブ等をやる場合には、「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」と判断しているケースが多いです。

「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」はそもそも、サービス店舗になり、特殊建築物には該当しません。その為、事務所などと同じ扱いになります。

 特殊建築物の中で「スポーツの練習場」だけは、事務所等と比較して緩和される項目があります。

 厳しくなるのは3階以上の階に設ける場合、建物が耐火構造であること、2000㎡以上にするならば、建物を準耐火構造であることという規制が掛かります。

緩和されるのは、排煙設備が不要になることです。(排煙窓が不要になる。)

 

多くのフィットネスクラブは、更衣室、シャワーやサウナ等を設けています。シャワー室などの水廻はどうしても、建物の外周部、既存排水口の近くに持ってこないと最初の設備投資費用が上がってしまいます。しかし、建物の外周部に排煙窓があるために、それが中々できないということで、チェーン店などで遵法性を重視している企業は、何としても「スポーツの練習場」にしようとします。

 

では、本当に「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」に該当するフィットネスジムとは、どんな感じなのかを説明しておきます。

1.コーチやトレーナーなどが常駐していて、全ての利用者が、その指導を受けている。

2.その店舗だけの会員制であり、不特定多数の人が出入りしない。

Point!チェーン店の会員だと世界中24時間どこでも使える様な施設は、学習塾等には該当しません。

 つまり、今流行りの好きな時に行って、勝手に施設の道具を利用して、その会社の会員になっておけば、どこの施設でも利用可能というのは、「スポーツの練習場」に該当し、200㎡を超える場合には用途変更の確認申請が必要となります。また、その建物が非耐火構造や準耐火構造の場合は、3階以上にその施設を設けることが出来ないということになります。

 

フィットネスジム、フィットネスクラブなどを開設することを検討している方は、一度、当社にご相談するか、行政庁にご相談することをお勧めします。

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違反建築を告発したい場合

連載シリーズ 【 違反建築を告発したい場合 】 第 3 話 / (全 4 話)

 当社の様に違反建築を是正し、建物の調査をしている会社のスタッフから見ると、この世の建物は、違反だらけに見えます。しかし、我々でも、それが違反建築なのか、既存不適格(建てられた当時の法律には適合していた)なのかの判別というのは、なかなか難しいものです。

 しかし、明らかに違反しているなという建物もあるのですが、では、それを毎回、告発しているのかと言うと、それによってお困りの方からの依頼でもない限り、告発することはありません。

理由は

・あまりに多すぎて、告発しきれない

・告発する手続きが容易ではない

・告発するメリットが当社にない

とこのあたりが主たる理由です。建築士は、建築士法第21条の3によって、違反建築の指示や相談をしてはいけない規定はありますが、違反建築を告発しなければならない規定はありません。

 

 しかし、自分に直接被害が及ぶ様な場合、その違反を告発したいと思う方はいると思います。

例えば

・借りた建物が明らかに違反状態にあり、事業を行っていくのに支障がある場合

・建物を貸したら、借主が勝手に違反建築になる造作をしてしまった場合

・隣の建物が違反建築で、自分の生活を脅かす様な場合

・同じマンションの住人が勝手に共有部分に違法増築をしてしまった場合

などなど、色々とあると思います。

 

 行政に相談に行けば、相応の相談に乗ってくれる可能性は高いのですが、諸事情があって行政も簡単には動けないことが多く、実際には正式な手続きを踏襲しないと行政は行動を起こしにくいのが実態です。

 実は建築士に相談しても、この正式な手続きを知っている建築士はほとんどいません。

なぜなら、手続きの方法が、建築基準法や建築士法と全く関係ない法律によって定められているからです。

 

法律根拠は下記(※1)に記しますが

違反建築を告発することは誰でもできます。

ただし、次のことを明記して書面で提出しなければなりません。

① 申請する人の氏名(法人なら法人名)及び住所もしくは住んでいる場所(必須)

② 法令に違反する事実の内容(必須)

③ これに関して求める行政処分もしくは行政指導の内容(必須)

④ これに関して求める行政処分もしくは行政処分の法律根拠(必須)

⑤ これに関して求める行政処分もしくは行政処分がされるべきであると思料する理由(必須)

⑥ その他参考となる事項

となります。

法律上は誰でも、告発できるのですが、告発するために記載する内容が、建築士以外の方では書くことが難しいという問題があります。

 特に、違反建築である法律根拠、例えば建築基準法の第何条に違反しているのか、また具体的にその条項に対して、どの様に違反しているかなどかなどは、相当に建築基準法に精通していないと書ききれないと思います。

 おそらく、建蔽率オーバーや容積率オーバーでさえ、厳密な計算は、建築士でないと難しいはずです。容積率の対象になる部分はどこなのか、建築面積の対象になる部分はどこなのか、などは不動産登記簿等からは判別できません。

 また、建築士法で「建築物の調査及び鑑定」は建築士の独占業務とされています。そのことからも、違反建築である行政処分や行政指導となる法律根拠を調べるとなると、建築士以外の方では難易度が高いことが窺えます。

 

当社では、違反建築を告発したい方のご相談をお受けしております。ご相談は無料です。

正当な自由がある場合は、建物を調査した上で、行政協議の上、告発するための書類を整えて告発をさせて頂きます。

建物調査、行政協議、告発書の作成は有料になります。

ただし、下記の場合は、お引き受けできない場合もあります。

・ビルの建替え、再開発などを目的とした立退きもしくは地上げ等が明らかな場合

・賃料の交渉材料に使うことの目的が明らかな場合

・怨恨などによるもので、違反建築そのものが告発したい人に危害がない場合

もちろん、行政処分や行政指導の結果、建物使用者に一時的に立ち退いてもうことになる場合や、使用を禁止して頂かないと是正が出来ない場合がありますが、この場合は、お引き受けできない理由には該当しません。

 

※1 手続き方法の法律根拠

行政手続法第三十六条の三

何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。

2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。

一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所

二 法令に違反する事実の内容

三 当該処分又は行政指導の内容

四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項

五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由

六 その他参考となる事項

3 当該行政庁又は行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。

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検査済証が無い建物の用途変更などの可否をご質問される場合

下記のことを必ずご記載ください。

 

住居表示

東京都新宿区西新宿8-12-1 など番地以下を正確に教えてください。

・地番しかわからない場合は地番でも結構です。

・字がある場合には字を含めた正確な住所

・不動産売買などの仲介業者様で、契約上の守秘義務がある場合には、当社からも主義無を発行します。

 

図面の有無

不動産会社が出している物件概要書、不動産登記されている図面ではなく、新築時の確認申請図書もしくは竣工図の有無を教えてください。

・構造図の有無

・設備系統図の有無

 

築年数

検査済証が発行されていない場合、正確な竣工年月日はわからないですが、その場合は、登記上の新築年月日で構いません。

台帳記載事項証明を取り寄せている場合は、確認年月日を教えてください。

 

上記の中で特に住所を教えてくれない方が非常に多くいます。

ここで、知りたいのはどこにその建物が建っているかではなく、正確な都市計画情報なのですが、用途地域を教えてくださいと言っているのに

「防火地域」

「第一種高度地域」

などと回答される方がいます。もちろん、その情報も必要な情報ですが、これは用途地域ではありません。もちろん、当社に質問される方で、中には建築士事務所の方もいますので、そういう方で完璧に都市計画情報を伝えられる方は、都市計画情報を教えて頂ければ、行政区まで教えて頂ければ結構です。

また、昨今の物件はストリートビューなどに写っていれば、その建物の遵法性が守れているかどうかの50%程度は解ります。

 

また、不動産業者などで住所が守秘義務になっているなどの特段の事情がある方の場合はその旨をお申し出ください。

 

住所を教えてくれない方の多くは、当社に相談して、遵法性を確保できないことが解ると違法のまま、使ってしまう方が多くいます。

また、建蔽率や容積率は抵触してないけど、どこが違反か教えて欲しいという要望もありますが、図面もなく、既存の物件を見ることもできず、違反状況を説明することはできません。

一級建築士事務所という立場上、違反のまま建物を使用することを容認することはできませんし、不確定要素の多い状況でその建物が違反でないと言い切ることもできないことをご承知ください。

 

建築士法第21条の3

建築士は、建築基準法の定める建築物に関する基準に適合しない建築物の建築その他のこの法律若しくは建築物の建築に関する他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。

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建築基準法適合状況調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)

本内容は2014年12月6日に掲載されたものの修正版です。

① 確認済証の副本と確認申請時の図面の有無を確認する。

副本と図面がある場合は②へ進む。無い場合は③へ進む

② 一般木造住宅2階建て200㎡未満の建物以外の場合は構造計算書の有無を確認する。

構造計算書が無い場合は④に進む。

一般木造住宅2階建て200㎡未満の建物、もしくは構造計算書がある場合は⑤に進む。

③ 建築士事務所(出来れば一級建築士事務所)に依頼して、現況図面の作成を依頼し、現況図面作成後に④に進む。

④ 現況図面をもとに構造計算を実施する。

⑤ ①の確認申請時の図面もしくは③で作成した現況図面が、建物が建てられた時点の建築基準法に適合しているかを一級建築士に確認してもらう。

この時点で、建築基準法に大きく違反しており、是正するのに建て直す方が、経済的に有利な場合には、建築基準法適合調査を中止する。

概ね建築基準法に適合している、もしくは軽度の違反(建て直すよりも是正する方が遥かに経済的に有利な違反)がある程度である場合には、⑥に進む。

⑥ 依頼した建築士に『建築基準法適合調査』を第三者機関に依頼してもらう。

この時点で依頼された建築は特定行政庁との協議を行い、第三者機関に議事録で報告を行う。⑦に進む。

⑦ 第三者機関が『建築基準法適合調査』を行い、『建築基準法適合調査報告書』のドラフトを作成する。

不適合箇所が無ければ、『建築基準法適合判定合格状況調査報告書』が発行されます。

不適合箇所がある場合は⑧に進みます。

⑧ 依頼した建築士に不適合箇所についての是正方法等を第三者機関と協議して貰い、不適合箇所を是正する工事を行う。その是正箇所を依頼した建築士に写真などを取って貰い、第三者機関に報告してもらう。是正完了を第三者機関が認めてもらえば『建築基準法適合判定状況調査報告書』が貰えます。

建築基準法適合判定状況調査報告書は、不適合でも貰えますが、報告書の中に『不適合』箇所の指摘が残ったままになると、その効力がありません。 この場合は違反建築物である証明書にしかなりませんので注意が必要です。

ただし、『建築基準法適合調査』が出来るようになったのは、平成26年7月2日の国土交通省発表のガイドラインからで、すべての建築士事務所が引き受けてくれる訳ではありません。

価格については、建物の規模、築年数、構造、確認済証の副本の有無、確認申請時の図面の有無、建築基準法の技術的指針への違反の程度によって大きく異なります。

まずは、株式会社リデベにお気軽にお電話下さい。

03-5389-6082

営業時間 平日午前10時~12時 午後13時~18時半となります。

なお、ご相談に御来社する際には、必ずお電話で予約を取ってください。

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「民泊」、建築基準法や消防法に注意が必要

本内容は2016年4月13日に掲載されたものの修正版です。

平成28年4月1日に旅館業法施行令の一部が改正され、通称「民泊」と言われるサービス(以下、「民泊」と言う)の中でも小規模なものが出来るようになった。今までは客室が全体として33㎡以上あることや玄関帳場もしくはフロントの設置が必要であったが、10人未満の民泊を行う場合に限り、一定の規制が緩和された。しかし、建築基準法や消防法までが緩和された訳ではない。また、当然だが区分所有のマンションなどでは、管理規約などが優先されることは言うまでもない。今回は、民泊を行うにあたり、旅館業法の他に建築基準法や消防法の規制を受けるということを書いているが、その他にも各自治体などの条例等の規制を受ける場合がある(殆どの自治体で何らかの条例がある)ので、保健所の他に各自治体や消防署には必ず事前協議に行くべきだろう。

さて、下記表を見てもらいたい。今回の法改正は民泊に対して、旅館業法の一部が緩和されただけであり、建築基準法や消防法が緩和された訳では無い。旅館業法が緩和されても、安全性が排除されてよい訳ではない。

まず、建築基準法についてだが、「200㎡以下なら、用途変更の確認申請を出さなくてよい」から、建築基準法について、何ら確認をしなくてよいと考える傾向にあるが、200㎡未満の場合、確認申請を出さなくて良いだけで、当然だが建築基準法は守らなければならない。用途地域によっては、民泊が出来ないエリアもある。下記表のように分譲マンションの一室で民泊を行うことによって、建物全体の容積率がオーバーすることになれば、そのマンションそのものが違反建築になり、他の区分所有者の権利を侵害することにもなる。

さらに、防火地域外にある3階建て以上の木造(鉄骨造の一部を含む)の場合、耐火構造になっていない可能性が高く、その場合は、かなり大がかりな工事を必要とするため現実的には難しいことを覚えておきたい。

民泊を行う場合でも消防法についても特に注意を払わなければならない。2015年5月17日未明に神奈川県川崎市で起こった簡易宿所の火災により、消防法、建築基準法違反により大参事になることが浮き彫りになった。以降、消防署も簡易宿所に関して、以前にも増して注意を払っている。そこで、住宅を民泊にする場合に設置しなければならないものがある。

下記表の通りであるが、300㎡を超える様な民泊の場合、宿泊人数が10人を超える可能性が高いので、改正前の旅館業法が適用される。注意を払わなければならないのは、宿泊者が10人未満であっても、民泊になる部分が建物の10%を超えると、消防法に於いては、「特定防火対象物を含む複合用途防火対象物」とみなされる。例えば、もともとマンションの住人が50人未満の場合、防火管理者が設置されていないが、民泊を行った場合、マンションの住人と民泊の収容人員の合計が30人を超えると防火管理者が必要となる。また、民泊を営んでいるフロア以外にも誘導灯が必要になる。誘導灯は専用回路などの配線工事も必要になってくるので注意が必要だ。専用住宅を利用して民泊にして、30人以上の収容人員がある場合には、2階以上(避難階より上階)には避難器具が必要になってくる。

民泊をする部分が300㎡を超えると、改正された旅館業法ではなくなるが、旅館業法で定める玄関帳場やフロント以外にも、全ての住宅部分の居室に自動火災報知器(全ての火災報知器が連動しているもの)が必要になってくるなど、さらに厳しい規制もある。

この様な規制があるのだが、報道発表などで旅館業法の改正になった部分だけを見てしまうと、民泊が簡単にできる様になったと勘違いし、一戸建てや共同住宅の空室を使ってすぐにでも民泊が出来るように感じるが、実際には旅館業法により、小規模な簡易宿所が出来る様になっただけで、何でも民泊が出来るという訳ではない。

そして、旅館業法の緩和により、仮に旅館業法の許可が受けられる様な物件であっても、建築基準法や消防法によって民泊が出来ない物件を、「民泊可能」などと書いて、不動産の広告を行うと宅地建物取引業法32条の「誇大広告」や同法47条の「不実のことを告げる行為」に抵触する可能性があるので宅地建物取引業者も注意が必要である。

旅館業法 宿泊数10人未満(新基準) 宿泊者数10人以上
・3.3㎡/人以上・玄関帳場・フロント不要(※1) ・客室の合計が33㎡以上・玄関帳場・フロント必要
建築基準法 民泊部分が200㎡未満 民泊部分が200㎡以上
確認申請の手続きが不要(一部行政機関は必要な場合有) 確認申請の手続きが必要(※2)
【民泊にする場合の共通事項】(確認申請の要否に関わらず厳守)・第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域では設営不可。・第一種住居専用地域では3000㎡以上は設営不可・300㎡以上の場合は準耐火構造(木造建物の場合注意)
【専用住宅を民泊にする場合】(確認申請の要否に関わらず厳守)・建物が3階建て以上の場合、耐火構造にしなければならない。防火地域以外の木造建物や鉄骨系の建物の場合、多額の費用が掛かる場合が多い。
【共同住宅を民泊にする場合】(確認申請の要否に関わらず厳守)平成9年9月1日以降に確認申請を行っている場合、民泊にした部分の面積の割合に応じて、共有部分の面積が容積率対象面積になるため容積率オーバーになる可能性がある。
消防法   建物全体の10%以上 300㎡以上 建物全てを民泊にする 左記の全てに該当しない(※3)
防火管理者 収容人員が30人を超えたら必要
消化器 150㎡以上で必要
避難器具 収容人員が30人を超えたら避難階より上階は必要(※4)
自動火災警報装置設備 民泊部分は設置。建物全体が300㎡以上であれば、その他の居室も設置。(※5) 左記に該当
消防機関へ通報する火災報知設備 建物全体が500㎡以上で設置。(※6) 左記に該当
誘導灯等 全階の階段部分(設置必要箇所) 民泊を設置する階のみ
※1 代替設備を設け、善良の風俗を保持出来る処置、事故などの緊急時に迅速に対応の為の設備※2区分所有の共同住宅等で、区分所有者Aと区分所有者Bがそれぞれ簡易宿所を営もうとする場合、各々の合計が100㎡を超えると確認申請が必要となる。(一部の行政区は緩和規定等あり)※3 例えば、延床面積が500㎡のマンションの30㎡部分だけを民泊として、簡易宿所にするのであれば、①~③のどれにも当てはまらない。※4 既存建物が共同住宅ならばもともと設置してあるが、専用住宅の場合は新たに設置が必要。※5 既存建物が共同住宅として、500㎡以上あるのであれば、もともと自動火災警報装置設置の義務がある。民泊以外の部分の住人の許可をとって自動火災警報装置を各居室に設置するのは困難である。

 

※6 既存建物が共同住宅として、1000㎡以上あるのであれば、もともと消防機関へ通報する火災報知設備の義務がある。

 

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エステティックサロンは用途変更が必要か?

連載シリーズ 【 エステティックサロンは用途変更が必要か? 】 第 12 話 / (全 16 話)

本内容は2016年9月25日に掲載されたものの修正版です。

 

掲題の問合せが非常に増えている。そして、色々な見解があるので少し整理しておこうと思う。

 

その前に長い文章を読むのが面倒だという人の為に結論から書いておこう。

1.一般的に下記の施設・施術をしなければ、エステティックサロンはサービス店舗に該当するため、特殊建築物に該当しないので、用途変更の確認申請は不要。

2.医師等が施術を行い、入院施設を有している場合は、有床診療所となり、特殊建築物になり200㎡を超える場合は用途変更の確認申請が必要となる。

3.浴室、サウナ、岩盤浴、泥風呂などを有している場合は、公衆浴場となり、特殊建築物になり200㎡を超える場合は用途変更の確認申請が必要となる。(ただし、主たる部分が明らかに別の用途、例えばフィットネスジムなどの浴室で不可分の関係にあり、公衆浴場法が適用されないような場合には不要となる。公衆浴場法は保健所の管轄なので事前協議が必要)

※用途変更の確認申請が必要無くても各種法律は守らなければならない。

 

そもそも、エステティックサロンの定義が難しいが、総務省の日本標準産業分類2002年(平成14年)3月第11回改訂によって、分類番号8292(現在7892)として、独立したサービス業と定義された。

しかし、その定義も曖昧で、「手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整えるなどの指導又は施術を行う事業所をいう。」となる。

 

と言う訳で、エステと聞いて、不埒なことを頭に思い浮かべた方は、それを含まないので、その話題は以下に出てこないので期待しないで欲しい。

 

エステティックサロンの実態だが、色々なサービスが行われている。その色々な内容の全てを把握している訳ではないが、定義にもあるように

・ 皮膚の美化

・ 体型を整える

この2点が目的であると考えて良いだろう。健康の増進を進めるスポーツジムはエステティックサロンに該当しないが、ダイエットを目的として、スポーツ器具を使っている場合は、エステティックサロンに該当するという曖昧な話になる。

 

通常のエステティックサロンは建築基準法(以下「法」という)で言う特殊建築物に該当せず、「サービス店舗」という部類に分類されるので用途変更の確認申請は不要であると解される。しかし、サービス内容の実態によっては、必要となる場合がある。

皮膚の美化が目的で、皮膚科の医師が薬事法による薬を使う施術や、体型を整える為に美容整形と言われる形成手術を行うのであれば、これは診療所になる。入院施設を伴わない診療所は、やはりサービス店舗と同じ扱いで良いのだが、それによって入院施設を伴うのであれば、有床診療所(20床以上なら病院)となり、特殊建築物になる。つまり、有床診療所にするならば、法87条の用途変更に該当し、200㎡を超えるならば、法6条により確認申請が必要となる。

ここまでは、異論の無いところであろう。

 

問題は他のサービスの場合である。

 

先日、ある特定行政庁に当社のスタッフが「韓国式ヨモギ蒸し」を施術する施設が特殊建築物に該当するかを問い合わせたところ、「エステティックサロンであり「サービス店舗」ではないか。」という回答がきた。

そもそも、「韓国式ヨモギ蒸し」がどんなものかも解らなかったであろうことは容易に想像がつく。実際に私も今回の件で初めて知った。

どんなものかを、簡単に言えば、穴の空いた椅子の下に、蒸し器を置き、その蒸し器にヨモギを入れて、人はその椅子に座り、首から下の体をその椅子ごと、ポンチョの様なものを被せる。そうすると、ヨモギ成分の蒸気がポンチョの中に充満するという形式のスチームサウナである。効能などは詳しくは解らない。

では、これが特殊建築物に該当するかどうかを検討する。

前記の説明の通りで「蒸し器を使うスチームサウナ」であれば、当然に公衆浴場に該当するかを検討しなければならない。

ちなみに、法別表1(4)より、建築基準法施行令(以下「令」という)115条の3の三に公衆浴場は特殊建築物と定義されている。

さて、建築基準法で言うところの公衆浴場とはどんなものかというと、これについて先人が疑問に思い、ちゃんと建設省(現在の国土交通省)に問合せをした記録が残っている。

 

昭和34年住指発第126号

公衆浴場の解釈

昭和34年12月14日

建設省住宅局建築指導課長から兵庫県土木建築部長宛

(照会)

一 法別表第3(い)項第6号(現別表第2(い)項第7号に相当)の公衆浴場とは、公衆浴場法第1条にいう公衆浴場と解するが、特殊浴場(ヘルスセンター、温泉会館又はトルコ温泉等)も公衆浴場と解してよろしいか。

二 法別表第3(い)項第6号(現別表第2(い)項第7号に相当)の公衆浴場に附属する休憩室、娯楽室又は遊興を伴わない軽飲食店を併設したものは、同項第8号(現同項第10号に相当)の附属するものと解してよろしいか。

三 法別表第3(い)項第8号(現別表第2(い)項第10号に相当)の附属するものとは、本家と同一むね又は別むねの如何にかかわらず、一構えの敷地内のものは、附属するものと解してよろしいか。

(回答)

一 法別表第3(い)項第6号(現別表第2(い)項第7号に相当)の公衆浴場とは、公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場をいう。ただし、お尋ねのような場合には、公衆浴場に同表(い)項各号に該当しない各種の施設が併設される場合が多いが、これら各種の施設については、法第50条第1項(現第48条第1項)の許可が必要であるから念のため。

二 併設される部分の用途、規模、使用状況等により具体的な事例について判断すべきであるが、通常、ヘルスセンター等における大規模なものは、法別表第3(い)項第8号(現別表第2(い)項第10号に相当)に該当しないものと解される。

三 同一棟であるか、別棟であるかは、「附属するもの」か否かの別に、直接の関係はない。

(注) 特殊浴場については、昭和45年の法改正により、法別表第2(い)項第7号で「個室付浴場業」が除外され、立法的に解決された。

トルコ温泉は現在のソープランドに該当します。

というわけで、公衆浴場法第1条第1項に該当するものが、法でも公衆浴場になるわけだ。では、公衆浴場法第1条第1項とは

 

第一条  この法律で「公衆浴場」とは、温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設をいう。

 

ここで「その他を使用して」と「入浴」という言葉の定義が難しいのだが、これについては、公衆浴場法を所管する厚生労働省が回答している。

 

公衆浴場法概要(抄)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei04/04.html

公衆浴場法(昭和23年7月法律第139号)

 

1 定義

公衆浴場は、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」と定義されているが、これらの営業を行う場合には公衆浴場法に基づき都道府県知事の許可を得なければならない。

 

2 適用

公衆浴場法の適用を受ける公衆浴場は、一般公衆浴場とその他の公衆浴場がある。

(1) 一般公衆浴場

地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設で、物価統制令(昭和21年3月勅令第118号)によって入浴料金が統制されているいわゆる「銭湯」の他、老人福祉センター等の浴場がある。

(2) その他の公衆浴場

保養・休養を目的としたヘルスセンター・健康ランド型のもの、ゴルフ場やアスレチックジム等スポーツ施設に併設されるもの、工場等に設けられた福利厚生のための浴場、サウナ、個室付き公衆浴場、移動入浴車、エステティックサロンの泥風呂等がある。

他法令に基づき設置され衛生措置の講じられているものは公衆浴場法の適用外とされており、労働安全衛生法による作業場に設けられた浴場や労働基準法による事業附属寄宿舎、旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場が該当する。また、専ら他法令、条例等に基づき運営され衛生措置の講じられている、病院や老人保健施設のデイ・ケアとして使用する浴場、国や自治体によって寝たきり老人等を対象に入浴介助を伴った入浴サービスに使用される浴場は許可の対象外となる。

なお、遊泳プールに付帯する採暖室・採暖槽は浴場ではない。また、もらい湯等は業(反復継続の意思と社会性を持って行われること)として行われていないものは対象にはならない。

 

つまり、サウナやエステティックサロンの泥風呂等は、立派な公衆浴場なのである。よって、エステティックサロンで美容が目的であっても、「蒸し器を使うスチームサウナ」等を使うのであれば、その建物は特殊建築物と解釈できる。

 

ここで危険なのは、建築士が事前相談などで、特定行政庁の建築課などに問合せをして、今回の様に

「特殊建築物でありませんね」

などと、ロクに調べることもなく安易に回答してくる行政官の言葉を信じると大変なことになりかねない。

「韓国式ヨモギ蒸し」が特殊建築物に該当しないというならば、前述の法の構成からすれば、公衆浴場法に基づく、営業許可も不要ということになりかねない。

知事(保健所のある市や特別区は市長もしくは区長)の許可が必要なのに、無認可営業を行うと営業停止や罰金刑が待っている訳だが、建築士では責任が取り切れないような問題だし、ミスリードをした行政官も簡単には責任を取らないだろう。

事業者の方は、より詳しい建築士に確認するか、保健所、役所、消防署など関係各所の全てに確認すべきであろう。行政庁は基本的に自分の部署の法律以外は詳しくないが、事業者は全ての法律を守らなければならないことに注意が必要だ。

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用途変更の確認申請を出さないといけない業種(用途)とは?

連載シリーズ 【 用途変更の確認申請を出さないといけない業種(用途)とは? 】 第 1 話 / (全 16 話)

本内容は2015年1月28日に掲載されたものの修正版です。

 

用途変更に掛かる費用については、変更後の用途によって違います。それぞれ用途別に価格設定しておりますので、下記のそれぞれから選択して、参照してください。(直接、当社にお問合せ頂いても構いません。)

飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。

老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。

簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。

その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。


 

用途変更について、

「マンションの各部屋を事務所で使おうと思うのだが用途変更は必要ですか?」

「コンビニが退去して、その部分を事務所で使おうと考えているが用途変更は必要ですか?」

と言うような、質問を受けますが、いずれの場合も、事務所が特殊建築物ではないので、用途変更をする必要性がありません。また、同一グループ同士の場合は、用途変更の必要性が無い場合もあります。(当社では同一グループに該当した事例がありません。公共事業や風俗店の場合だとある可能性があります。)

下記に該当する用途で建物を利用しようとする場合に、その前に利用していた用途が、これから利用している用途と違った場合で当該用途部分が100㎡(現在は200㎡)を超える場合に用途変更の確認申請が必要となります。

例えば物販店の裏にあるバックヤードや事務所を除いた純粋な売り場面積が100(現在は200)㎡未満であっても、バックヤードや事務所が、物販店に明らかに従属している場合は、建築基準法においては、バックヤードや事務所の面積も含みます。

 

用途変更の確認申請が必要な用途(業態)(下記、太文字が該当用途)

カテゴリー1

グループA

劇場・映画館・演芸場

グループB

観覧場

グループC

公会堂・集会場(※1)

※1 結婚式場・披露宴会場・セレモニーホールはこのカテゴリーになります。

グループAの中の用途同士、グループCの中の用途同士は用途変更の確認申請の必要はない。

Ex.1 劇場→映画館 確認申請不要

Ex.2 セレモニーホール→披露宴会場 確認申請不要

Ex.3 演芸場→集会場 確認申請必要

 

カテゴリー2

グループD

病院

グループE

ホテル・旅館

グループF

共同住宅

グループG

寄宿舎(※2)・下宿

グループH

有床診療所・助産所・身体障害者社会参加支援施設(補装具制作施設及び視聴覚障害者情報提供施設除く)・婦人保護施設・老人福祉施設・有料老人ホーム・母子保護施設・福祉ホーム・障害福祉サービス事業・身体障害者更正援護施設・精神障害者社会復帰施設・知的障害者援護施設

※2 社員寮・グループホーム・シェアハウスはこのカテゴリーになります。

グループEの中の用途同士、グループGの用途同士、グループHの用途同士は、用途変更の確認申請が不要です。

Ex.4 ホテルや旅館を買い取って、無届け老人介護施設を営業しようとしている方がいます。介護報酬は、そのホテルに介護者が引越してきた形態を取り、訪問介護報酬を得ているケースが多いようですが、この場合、建築基準法の観点から、ホテルを寄宿舎に用途変更する必要性があります。

 

カテゴリー3

グループI

学校

グループJ

博物館・美術館・図書館

グループK

体育館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場・バッティング練習場・その他スポーツの練習場

グループJの中の用途同士、グループKの中の用途同士であれば、用途変更の確認申請は不要です。

 

カテゴリー4

グループL

百貨店・マーケット・物品販売業を営む店舗

グループM

展示場

グループN

キャバレー・カフェー(※3)・ナイトクラブ・バー

グループO

ダンスホール

グループP

遊技場(※4)

グループQ

公衆浴場

グループR

待合(※5)・料理店(※6)

グループS

飲食店(※6)

※3 昔で言う特殊喫茶、今風に言うとキャバクラ・ホストクラブがこのカテゴリーになります。

※4 パチンコ店、ゲームセンターはこのカテゴリーになります。

※5 酒以外の料理は主に仕出しでまかなう貸席型の業態

※6 料理店は料亭、飲食店は喫茶店や通常の飲食店になります。

グループLの中の用途同士、グループNの中の用途同士、グループRの中の用途同士は用途変更の確認申請は不要です。

 

カテゴリー5

グループT

倉庫

 

カテゴリー6

グループU

自動車車庫

グループV

自動車修理工場

グループW

映画スタジオ(※7)・テレビスタジオ

※7 イターネット動画の撮影やDVDシネマの撮影場所はこのカテゴリーになります。

 

Point1 用途変更の確認申請を出さないと

建築基準法第99条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。建築基準法第104条二により法人の場合は、さらに法人に対して同額の罰金が付されます。

Point2 用途変更をする際に、確認申請を出さないだけでなく、用途によって耐火構造などの技術的な部分に抵触すると

建築基準法第98条により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。建築基準法第104条一により法人の場合は、さらに法人に対して1億円以下の罰金となります。

Point3 用途変更の確認申請は建築士でないとできない

時々、行政書士事務所が確認申請を請負う宣伝を見かけますが、建築士法第21条により、用途変更を含む確認申請業務は建築士でないとできません。


 

用途変更に掛かる費用については、変更後の用途によって違います。それぞれ用途別に価格設定しておりますので、下記のそれぞれから選択して、参照してください。(直接、当社にお問合せ頂いても構いません。)

飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。

老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。

簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。

その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。


 

用途変更については、お気軽にリデベまで、ご相談ください。

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違反建築物に使用停止、除去の命令を出せない理由(2022年9月21日更新)

下記の記事を2014年12月20日に書きましたが、昨今の行政の対応や、私の書き方が悪かったこともあり更新します。

赤字部分が加筆になります。

掲題の問合せを時々受けます。

この問合せで、こちらから聞き返すことがあります。お問合せをしてきた方をAさんとします。

私「Aさんは、その違反建築の為に何か損害を被っていますか?」

この質問で多くの回答は、

1 建物が少し傾いているから怖い。

2 隣地の建物の一部(多くの場合、換気扇のフードやエアコンの室外機)が越境している。

というもので更には、

3 うちの建物は建築士の人に目一杯の高さで設計してもらったのに隣の建物がうちの建物より高いのはおかしい!

という、回答もありました。

さて、この回答、いずれも、その建物が違反建築と即座に言えるものではありません。ただし、1の場合は、違反建築ではなくても隣地に倒壊したら危険な場合は建築基準法(以下、「法」といいます)10条で、特定行政庁が除去、使用禁止、是正などの命令を出すことはできるのですが、しかし、私は今までこれを見たことがありません。1の場合、建てられた当時の建築基準法は、守っているが劣化によって傾いてしまったかもしれません。2の場合は法に違反しているというよりも、民法の権利関係の問題になります。

しかし、完全に法に違反していても、特定行政庁は、是正命令は出せますが、除去や使用禁止の命令をだせないのが実態です。

法第9条では

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

法第10条では

特定行政庁は、第六条第一項第一号に掲げる建築物その他政令で定める建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)について、損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。

とあるので、違反建築やあまりに建物が劣化している場合は特定行政庁の命令で除去命令や使用禁止にできるはずなのですが、これを出せないのには、法的な理由があります。特定行政庁の担当者に

私「違反建築物、若しくは激しく劣化した建物に対して、除去命令とか使用停止命令って出しますか?」

と聞くと

担当者「法9条命令、法10条命令は出しますよ。」

と言います。

私「では、〇〇町〇丁目○番〇号にある、この建物ですが、台帳記録では、完了検査も受けていません。さらに、この建物、すでに柱の一部が腐食して、壁の一部が倒壊し、屋根が傾いている状態で、近隣の方が迷惑しています。ですから、法9条、法10条のどちらでも構わないので、何らかの行政命令を出して頂けませんか?」

と聞くと

担当者「検討します・・・。」

で、大体、何もしてくれません。親切な担当者だと現地まで見に行って、なんとか所有者に注意してくれたりはしますが、除去命令や使用禁止命令というのは私のしる限りでは見たことがありません。

最近は除去命令や使用禁止命令が出るようになってきました。これの理由には大別すると3種類に分けられます。

1.公共性が高く、不特定多数の第三者が利用する建物の場合で、著しく危険性が認められる場合。

2.その建物が倒壊などをした場合に所有者以外にも害は及ぶ可能性が高い、もしくは緊急輸送道路などを塞いでしまう場合。

3.市街化調整区域などで、都市計画法第53条の許可を得ずに建てた建物で、インフラ設備などが整っていない場所に勝手に建築された建物

などで、是正が困難な場合、もしくは是正勧告を無視した場合などには除去・使用禁止命令が出されます。

これは、憲法第29条と憲法第98条の問題があるからです。特定行政庁の担当者は解ってないかもしれませんが、特定行政庁の上司はちゃんと解っています。

憲法第29条

財産権は、これを侵してはならない。

2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

憲法第98条

この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

ちょっと解説すると、憲法第29条で、「財産権に対する国による制約は原則として許されないとしながらも、他人を侵害することとなる場合や、 経済的な弱者を守るためなどの社会的な事情から、合理的な規制を受けることがあること」と規定していることから、その違反建築物が他人に直接的な被害を与えていないと特定行政庁(国)によって、その財産を侵害することが難しいことになります。

ただし、私有財産権も他人の権利を侵害してまでは成立はしない。ということは念頭にいれておいて下さい。

これは、法第9条や法第10条と相反しています。

しかし、憲法第98条で憲法に反する法律は効力を有しないとあるので、法第9条や法第10条が憲法に反している可能性があり、財産権が確立してしまった、つまり完成した建物に対して、簡単に除去や使用禁止命令を出せない訳です。因みに、財産権が確立していない建築中の建物には法第9条命令で工事中止命令が簡単に出ます。また、憲法第29条は他人を侵害する場合は、この限りではないので、明らかに危険な場合は、法第9条、法第10条の命令を出せそうな感じもするのですが、この線引きが難しく、もし安直に認めると、この世から、除去、使用禁止にしなければならない建物が沢山でてしまいます。

ただし、明らかに第三者に迷惑が掛かる可能性があり、昨今の災害などで同様の建築物が事故の対象になっているような建物の場合は、是正が出来ないような状況だと、使用禁止・除去命令が出るようになってきました。

また、市街化調整区域などで、特にインフラ設備が整っていないところに、勝手に排水をするなどをするなどの物件は環境破壊など、やはり第三者に迷惑を掛けることになるので、何らかの処置ができないと、使用禁止・除去命令が出ます。

しかし、除去や使用禁止の命令が出ないからと言って、違反建築をしてよいという訳ではありません。最終的に最も損害を被るのは所有者です。違反建築や明らかにメンテナンスを怠り劣化してしまった建物は法第9条、法第10条に抵触していることになり、財産価値が大きく毀損することになります。もし、建物を売ろうと思っても買い手が付きにくいとか、貸そうと思ってもなかなか借り手が付かないということになりかねません。

ですから、このような状況に陥った場合は、なるべく早めにこの状況を是正することをお勧めします。現在は、「建築基準法適合判定」※というものがあり、費用と時間はかかりますが、多くの場合で財産価値を復旧させることができます。

 

建築基準法適合調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)

 

「建築基準法適合判定」については、リデベまでお気軽にご相談ください。

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