停止条件
不動産の仕事をしたことのある方なら、当然に聞いたことのある言葉だと思います。
不動産の仕事を始めたばかりの頃や、宅建の勉強をしていると『停止条件』と『解除条件』がこんがらがったりしますが、基本的に私が仕事をしてきた中で『解除条件』が発生したことはありません。裏を返せば実務レベルでは『停止条件』だけ解っていれば大体、問題ないと思います。
ところが、最近はこの『停止条件』で揉めるケースが多いです。
売主側
抵当権抹消・・・
借家人の立退き・・・
買主側
融資特約
景気が悪いと、お金で解決できる問題に対してお金が出ないのでトラブルになります。
停止条件を付けなければ違約になるが、違約金を支払う能力が無い・・・。
綺麗な不動産だけを対象に仕事をしようとしたら、仕事が無くなる。
困りものです。
取引中の事案なので細かいことは書けませんが、来春ごろには決着していると思いますので、その際には図解入りで説明しようと思っています。
ビル経営管理士
さて、ビル経営管理士という資格をご存知でしょうか?
この資格、かなり、マイナーな資格です。
なにせ、受験者が昨年700人ぐらいしかいない資格です。
受験者 合格者
平成18年 342名 225名 65.78%
平成19年 698名 482名 69.05%
平成20年 不明 448名
合格率も60%台後半という、割と受かりやすい試験です。
平成3年から始まってる資格なのですが、如何せんマイナーすぎて資料がありません。
また、受験資格もありません。
しかし、この資格、受験して合格するだけなら、なんの資格もいらないのですが・・・
ビル経営管理士として登録しようとすると、ちょっと厄介なことがあります。
それは実務経験です。
5階建て以上かつ、1000㎡以上のビルの賃貸管理を最低でも2年以上していないとダメです。(2年やっていれば誰でも良いというわけではありません。2年やっていれば講習を受けるなどで、カバーできるという意味です。)
つまり、賃貸管理などのプロパティーマネージメントの実務経験者が受けます。
実際に一昨年受けたのですが、会場は知り合いだらけです。AMやPMの会社の人ばかりが受けています。
試験内容は・・・
1.賃貸ビルの企画・立案に関する知識
- 事業企画(市場調査、敷地選定)
- ビルの商品企画(テナント構成、建築意図)
- ビル建設と法規制
- 不動産投資理論
- 不動産事業の税務と会計及び事業分析
- 不動産の証券化に関する仕組みと法制及び税制
- 長期事業収支計画・長期維持管理計画(ポートフォリオ)
- 不動産特定共同事業、業務管理者実務
- 不動産投資顧問業登録制度
- デューデリジェンスの調査項目と結果分析
- 不動産投資市場及び不動産流通市場の知識及び分析
- 金融市場の動向に関する知識及び分析
- 遵法性の確保、アカウンタビリティー、プレゼンテーション、リスクマネジメント等を行う上で必要な専門知識について
2.賃貸ビルの賃貸営業に関する知識
- 賃貸条件の設定
- テナントの募集
- テナントとの契約手続
- テナントの入退去時の対応
- テナント契約管理(退室・増室・同居・転貸・滞納等)
- 賃料・共益費の改定
- テナントニーズの把握
- その他(催事企画等)
- リーシング・マネジメント等を行う上で必要な専門知識について
3.賃貸ビルの管理・運営に関する知識
- プロパティマネジメント体制・管理企画業務
- 資産管理業務
- ビル運営管理コスト、エネルギーコスト管理
- 館内規則の策定
- 管理委託契約締結、委託管理業者管理、業務品質評価、業務品質管理
- ビルメンテナンス(日常管理業務:施設・設備・警備・防災・環境衛生等)の管理
- 建物維持保全業務(点検、修繕、モダナイゼーション等)の管理
- 各種許可・届け出等の手続き、立入検査対応管理等
- 日常管理業務に関するテナント等への対応管理
- コンストラクションマネジメント
- デューデリジェンス(エンジニアリングレポート)
- ライフサイクルコストマネジメント
- 複合用途のプロパティマネジメント等を行う上で必要な専門知識について
とこんな感じで、結構幅広く問われるのに、一つ一つの問題も結構、突っ込んだことを聞いてきます。
収益不動産の取得に関する経営判断を問われたかと思えば、エレベーターの性能判断や環境アセスメントなどの技術的な内容まで盛りだくさんです。不動産系の問題や、収益不動産の経営に関する問題はなんとかなるのですが、技術系の問題は一級建築士を持っている私でも苦戦しました。実際にビル管理の会社などにいて現場の方ならば、簡単かもしれません。
さて、この資格が何の役に立つかと言うか・・・
・ 不動産特定共同事業法の「業務管理者」の要件。
・ 総合不動産投資顧問業登録の人的要件に指定されていることから、金融商品取引法の「不動産関連特定投資運用業」登録の要件。
別にビル系管理士じゃなくても、この要件を満たすことはできますが、何も持っていない場合はこれが一番簡単に取れる資格と考えて取得しました。マンション管理士の方が簡単ですが、マン管ではこの要件を満たしません。
もっとも、今のように収益不動産の流動性が乏しかったり、うちの会社の様に資本金が5000万円未満の会社の場合はあまり意味をなしません。
とは、言うものの大型の収益物件をファンドなんかと取引する際には持っていて損な資格ではないと思います。
当然ですが宅建を持っていることが大前提の資格になります。
情報が少ない資格なので、独学で勉強するしか無い資格ですから、なかなか話題にもならないのですが、収益不動産を扱ってみたいと思う方は受けてみるのも良いかもしれません。
登録できなくても合格さえしておけば、就職の役にも立つかもしれません。(これも宅建を合格していることが大前提ですが・・・)
宅建に合格された方は、来年はこんな資格にチャレンジしてみるのは如何でしょうか?
バーチャル原野商法
歴史は繰り返します。
これは犯罪の歴史でも、悪政の歴史でも同じです。
おれおれ詐欺
おれおれ詐欺も最近では、手法を変えて、振込制限額を回避する為に、バイク便を使ったり、アポイントを取る為に最初に携帯の電話番号が替わった旨を伝える電話をしたりする様に形態を変化させていますが、昔は、
「お宅のご主人が電車で痴漢をしまして、示談金が・・・」
などという、似たような犯罪がありました。
モラトリアム法案
名前が変わっただけで、鎌倉時代から続く、徳政令以外の何ものでもないです。
徳政令は当時の経済危機に対して起こった、一揆を収めるためのものでしたが、現在の一揆は選挙による政権交代と考えれば、まったく同じです。
その後、信用収縮でもっと大変なことになったのは歴史の通りです。
さて、掲題の『バーチャル原野商法』ですが、そもそも『原野商法』という言葉を知っている方が大分減ったと思います。おそらく、原野商法という言葉を知っているかたは30代後半以上の方だと思います。
そこで、軽く原野商法について説明します。
原野商法とは簡単に言えば、二束三文の土地、例えば北海道の道路も鉄道も整備されていない様な土地を実際には全くそんな計画が無いのに、
『今後、政府が新幹線を通す計画があるので、土地の値段があがる』
などと騙して、土地を売りつける詐欺商法のことです。
「なんで、そんな詐欺にひっかかるの?」
と思われると思います。
しかし、その当時は今のようにネットがここまで発達しているわけでもなく、情報が限られていて、事件が完全に発覚するまではメディアも取り上げないので、多くの被害者が出るまで、それが詐欺商法だということが解りにくいということもありました。
そして、何よりも高度経済成長期で列島改造論からバブル経済までの間に日本はどんどん、大規模開発が行われ土地の値段が上がるのは当然のことだと思っていたわけです。
また、芸能人を使って、宣伝したり、大企業が協賛しているというネタで信用させたわけです。
こうやって、平成初期までに多くの人がこの原野商法に騙されたわけです。
実際に私も原野商法に騙された人に、その土地の処分を依頼されたことがありますが、買ったときの値段の3%ぐらいの値段しかつきませんでした。その土地が原野ではなく、農地であったことから買値の3%の値段がつきましたが、それが北海道の原野なら0.1%も難しかったかもしれません。
本日の日本経済新聞14版39面に・・・
仮想空間でマルチ商法
業者に業務停止命令 消費者庁
という記事が出ています。
概要は
消費者庁は27日、インターネット上の仮想空間で土地に投資すれば確実に利益が得られるかのような勧誘をしたなどとして、連鎖販売取引(マルチ商法)会社、ビズインターナショナル(さいたま市)に対し、特定商取引法違反(不実告知など)で6カ月の業務停止を命令した。
消費者庁によると、会員は2万数千人に上り、集めた金は約100億円に上るとみられる。国民生活センターには2008年以降、計千件以上の相談などがあったという。
同社はネット上に日本全国の街並みを再現する3次元の仮想空間を開設し、土地を貸したりすれば収入が得られるほか新会員を獲得すればボーナスがもらえるなどと各地で会員を募集。07年6月から今年5月にDVDなどが入った「ビジネスキット」を約40万円で販売するなどしていた。
NIKKEI NETより
簡単に言えば、インターネット上の仮想空間を使った原野商法です。
たしかに、今の世で原野商法をやるのは至難の技です。土地の値段が上がる根拠に乏しく、また、それに騙される人も少ないと思います。しかし、よほどの大金持ちでなければ、不労所得を得たいと思うのは世の常です。
実際にこのアメーバブログの中にも、『不労所得を得られる』に近い内容のブログもあります。
つまり、人の基本的な心理を利用することで、ちょっとだけ形態を変えて今の世の中に適合するようにすれば、騙される人は出てくるわけです。
しかし、不動産屋として、驚いたのは、詐欺であっても不動産投資の投資対象物である『不動産』までもがバーチャルになったことです。
そのうち、バーチャルリフォーム詐欺だとかが出てくるのでしょうか・・・。
バーチャル不動産の地上げをしてくれという依頼が出てきたらどうしよう・・・。
って、出てくるわけないか
被害に遭われた方はかわいそうですが、ちょっと驚いたニュースでした。
また、時事ネタだけど・・・
更新料のあり方
更新料について新たな見解がでました。
内容は下記の通りです。
賃貸マンション:更新料訴訟 「適法」 大阪高裁、異なる判断--8月は「違法」
滋賀県野洲市の賃貸マンションを約6年半借りた男性会社員(33)=大阪市=が入居継続時に支払う更新料計26万円の返還を貸主に求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「更新料は借り主にとって一方的に不利益とはいえず、消費者契約法に違反しない」と述べ、更新料を適法とする判断を示した。その上で、1審・大津地裁判決(今年3月)同様、請求を棄却した。原告側は上告の方針。
更新料を巡る訴訟では、8月、大阪高裁で「消費者の利益を一方的に害する」として貸主に返還を命じる判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれた。
更新料について、1審判決は「賃料の一部前払いとしての性質がある」として適法と認定。これに対し、三浦裁判長は「賃貸借期間が長くなった際に支払われるべき対価の追加分ないし補充分」との判断を示し、「貸主にとって必要な収益で、更新料がなければ賃料が高くなっていた可能性がある」と指摘した。【日野行介】
◇原告側代理人の増田尚弁護士の話
実情に合っておらず、不当な判断だ。
出典:毎日新聞
前回の判決とは相反する結果がでました。
結果からすると程度の問題なのか?というような結論になりました。
簡単に言えば、その更新料が額として妥当かどうかということです。
しかし、『いくらだったら妥当なのか?』というのは明示されないままに終ったという感じです。
この高裁判決から、今後どの様にすべきかというのを考えてみました。
・ 今後は更新料の請求は認めない。但し、過去に支払った更新料は有効とし、遡っての返還請求はできないものとする。
【解説】
そもそも、更新料の本来の請求目的は契約更新に伴う、事務手数料です。ところが、この部分で最初の仲介手数料と『同じ』もしくは『それ以上』の請求を賃借人にするのは変な話です。
仲介手数料と言うのは、貸主から依頼され、借主を探すことの手数料であり、契約書を作る費用はその定められた仲介手数料に含まれるはずです。とするならば、事務手数料は仲介手数料よりも安くなければなりません。
そもそも、契約行為は宅建業者がいなければ出来ないものではありません。
とするならば、更新の際に敢えて、宅建業者に契約書等を作ってもらいたいのであれば、その事務手数料は、貸主、借主、宅建業者で任意で決めればよい話です。また、それだけであれば、最初に契約した仲介業者じゃなくても良いわけですから、価格競争が発生するでしょうし、業者も採算性から、その仕事をすること自体が経済的な意味合いを無くす可能性が高いと思います。
更新料そのものは、家賃の補填的意味合いが強いと考えます。しかし、地域性があり、更新料そのものが無い地域や更新料が常習化している地域もあります。
その是正をするべく、法的に更新料の禁止をしてしまいます。更新料を禁止すれば、その分を最初から賃料の上乗せを考えなければならなくなるでしょう。
同じ土俵で、賃料を比較できるようになり、消費者(貸主)にわかりやすい制度になり、また収益還元方により賃貸物件の正確な不動産評価ができるようになるでしょう。
しかし、過去に遡って更新料の返還請求ができる様になるとすれば経済的混乱が大きなものになりますし、そもそも、その当時は認められていたので、既存不適格に近い発想で返還請求はできないこととすればよいはずです。
・ 更新料と同じく、礼金も今後は認めない。
【解説】
以前にも書きましたが、礼金とはそもそも、借主が学生である場合などのその親が大家に対して、自分の子供の面倒を見てもらう謝礼という意味合いから、発生したものです。
しかし、現在、借主を自分の子供の様に面倒を見てくれる大家さんは極めてすくないです。(全くいないとはいいません。)
とするならば礼金の本来の意味合いは失われています。もし、大家さんに自分の息子の面倒を見て欲しいのであれば、それは不動産の礼金という慣例的なものとは別に契約すれば良いのではないかと思います。
・ 賃貸物件の仲介手数料の上限を引き上げ、成功報酬制にする。
【解説】
例えば貸主が10万円/月である部屋を貸したいと考えたとします。
ところが成約賃料が9万円/月だったとします。
この場合、貸主が取得できる金額は想定の90%であり、仲介業者が取得できる手数料も家賃の1ヶ月分ですから、90%でつじつまが合っている感じもします。
しかし、貸主はその不動産の取得経費もあるし、管理費や税金などもあるでしょうから、利益率は単純に90%になった訳ではありません。
仲介業者は手数料ですから『売上げ=営業利益』になります。(厳密には違いますが・・・)
とすると、貸主と仲介業者の『利益』という部分に関しては単純比較ができないはずです。
現在の更新料は賃料の補填以外に不動産業者の利益的意味合いが強いですから、単純に更新料をなくせば不動産業者は経営が成り立たなくなるし、一律に現行法のまま(仲介手数料は家賃の1ヶ月)、更新料を無くせば優秀な仲介業者(客付け能力の高い業者)まで辛くなります。
そこで、そもそもの仲介手数料の上限を引き上げ、貸主の希望家賃に叶わなかった際には仲介手数料を家賃に応じてではなく、取得できる利益率に応じて減額することを慣例化させることが重要です。
この場合、貸主は最初から無茶な家賃設定をすることで仲介業者に支払う手数料が減るという問題を抱えますが、無茶な家賃設定をする貸主と付き合っても仲介業者は得にはなりませんから、仕事を受託しなければいいわけです。(競争原理の観点から自然にそうなるはずです。)
時代の変化とともに、更新料や礼金の本来の意味合いは失われている今こそ、そもそもの考え方を改めるべきと考えています。私のあさはかな、考えかと思いますので、みなさんの意見を広く求めたいと思っています。
判例分裂で混乱しているけど・・・
宅地建物取引主任者試験
今年も宅建の試験が終了しました。
簡単な様でなかなか、侮れない試験です。
日建のホームページによると、今年の合格点は35点±1、TACのホームページによると32点±1とのことなので若干、合格点に開きがあるようです・・・。また、今の段階では問31と38で解答が分かれているようなので、受験された方はドキドキしているものと思います。
今年は私の周りでは受験した人がいないのであまり話題に参加できないのですが、どんな問題が出題されたのかを見てみたいものです。
詳しくは黒岩先生のブログを見ていただければと思います。
しかし、資格試験と言うのは色々な人間模様があって客観的にも主観的にも大変、面白いものです。
今、ドキドキされている人には失礼な言い方かもしれませんね。スイマセン・・・
ただ、この時期になると資格試験のことを良く思い出します。
10月には建築・不動産系の資格が集中します。
2級建築士・1級建築士の実技、宅建と・・・
私は2級建築士は受けたことがないのでなんとも言えないのですが1級建築士と宅建は持っています。もちろん、どちらも簡単に取得できたとは言いません。それなりに苦労したと思っています。
ただ、資格試験で面白いのは試験が終ったその日です。
1級建築士や宅建などのメジャーな資格は受験者も多く、ビジネススクールが上記の様に当日に解答速報を流してくれます。実は、これは大変重要なことで、仮に落ちた場合に自分の何が足りなかったのかをいち早く教えてくれます。そして、それは必ず来年、役に立つんです。
ところが・・・マイナーな資格は解答速報は当然の様にありません。
私が持っている資格の中にもそういう資格があります。
住環境福祉コーディネーター
はっきり言って、なんの役に立つ資格なのかを持っている本人が知らない資格ですが、7~8年前に取りました。もちろん解答速報も無かったのですが、当時、勤めていた会社の誰かが模範解答をどこかで手に入れて、翌日には点数が解ったのでどっかで発表はしているんでしょう・・・。
ビル経営管理士
こちらは、協会のホームページでしばらくすると過去問題集が発売されますが、それまでは自分が何点だったのかも解りません。しかも、この過去問題集が合否の後に発売されるので合格していた場合は余程の酔狂でない限り、自分が何点で合格したのかもわかりません。ちなみに、この資格はマイナーな割には意外と有効で、下記の様な要件を満たすことができます。
・不動産特定共同事業法の業務管理者の要件
・総合不動産投資顧問業登録の人的要件
・金融商品取引法の不動産関連特定投資運用業登録の要件
簡単に言うと、不動産ファンドを組成しようとしたり、信託受益権化された不動産を取引したり、コンサルタントをしようとする際にこの資格(もしくは類似資格)を持っていないとダメな訳です。ちなみに全国で2500人ぐらいしか、この資格は持っていません。受験問題自体はさほど難しくはありませんが、受験できる要件が大変に厳しい資格です。不動産ファンドのAMかPMを3~5年やらないと受けることも出来ません。
と、この様に資格にはそれぞれあるのですが・・・
今日は解答速報を見て、一喜一憂している人が多いと思います。
ワンルームデベの方はきっと、点数によっては、上司に相当に怒られます。
でも、命まではとられないから大丈夫ですよ!
※蹴りの一発ぐらいは覚悟しないと・・・
きっと、自己採点32点ぐらいの人は問題31と38の正誤でドキドキしているんでしょうね。
しかし、そういう思いが出来るのは受験した時だけで、受かってしまうとそんな思いもできません。
だから、今日、明日ぐらいはその思いを楽しんでみるのも良いと思います。
いずれにしても、ご苦労様でした。
一級建築士試験 Vol.2
1ヶ月以上前に書いた一級建築士試験の話の続報です。
前回の記事はこちら・・・一級建築士試験
一級建築士試験を受けた方や受けようと思っている方はご存知と思うのですが、一応、受けたことの無い方や受ける予定の無い方の為にザクッと概要を書くと
一次試験 学科試験(今年度から5科目4択、前年度までは4科目5択)
↓
一次試験の合格者のみ二次試験へ(前年度及び前々年度の一次試験合格者も可・・・前年度までは前年度合格者のみ)
↓
二次試験 実技試験(製図試験)
概ね最終的な合格率は7%~11%ぐらいの試験です。
さて、今回の学科試験の結果は
合格点数 97点(125点満点)
合格率 19.6%
でした。去年までは100点満点だったのですが概ね70点ぐらいが一次試験の合格ラインだったのですが、今回は97点/125点=77.6点ですから問題自体は相当簡単になったと考えられます。また、4択になった影響が大きかったものとも考えられます。
合格率ですが姉歯問題以降、10%~15%で推移していたのが今回は20%に近いラインになっていることも特徴です。
さて、製図の実技試験ですが、一級建築士の実技試験というのは与えられた課題に対して図面を描きます。
前年度までは試験時間が5時間半で、与えられる課題は
『○○のある×××施設』
の様に複合施設が多く、また、『△△室を100㎡』という様に、かなり細かい指定が入ります。
その為、余程の大型プロジェクトでないかぎり、実務でもあまり無いような複雑な機能と動線計画を配置する試験でした。この5時間半という時間の中で、その複雑な機能と動線計画をどうやって纏めるかに時間を取られ過ぎると、図面を描く時間がなくなります。
二次試験に落ちる方の大半は『時間切れ』で落ちる方が多かったと思われます。結局は如何に図面を速く描ける様にして、計画に当てる時間を取れるかが、勝負の分かれ道になります。ちなみに、私も受験した頃のことを思い出すと、
『よく、あんなに速く描けたもんだなぁ』
と思います。
しかし、今の実務ではCADで図面を描くことが(私の場合はCADで描いて貰う)殆どなので、図面を速く描ける能力はあまり役に立ちません。
今回の二次試験は
『1階に展示用貸しスペースのある、貸事務所ビルです。』
はっきり言って、これだけだと、複雑な機能も動線計画もあまり無い様に感じます。
しかし、今回から
- 耐力壁等の位置、柱・梁等の断面寸法
- 設備機器等の位置、設備シャフト等の位置
を描きなさいという項目が追加されています。
実際に一級建築士を取得して、実務を何年か経験されている方ならば、構造や設備の専門でない方でもある程度は解るので、驚きはしないのですが、これが実務経験の少ない受験生となれば、結構、苦戦するのではないだろうかと思います。
今までの二次試験は実務から、ちょっと掛離れた感じがあったのですが、少し実務に近づいて来た様な気がします。蓋を開けてみないと解りませんが、姉歯問題後の試験改革の最中で今後、色々な問題は出てくると思いますが、より社会の役に立つ資格になると良いと思う次第です。
一級建築士試験
ふと、今になって気がついたのですが今週日曜日は一級建築士の試験でした。私は10年以上前に合格しているのですが、この試験はちょっと難易度が高いので、私もほぼ1年間ちょっと、びっしり勉強したので、内容は概ね覚えています。
で、今回の試験内容を見てみたら・・・学科が5科目になったということは知っていたのですが・・・
「4択になってる!」
というのも一級建築士試験の学科は今まで5択だったのですが、今年から4択になったようです。
そして、問題も4科目100題から5科目125題となっています。法規と構造が25題→30題になっているので、力の入れ方が解ります。
また、某資格のサイトを見ると合格点が94点となっています。
これは100点満点に換算すると75.2点です。私の記憶では一級建築士の学科試験は63点~70点の間で合格点が変動していましたから、問題自体は今年は相当に簡単だった可能性が高いです。(問題そのものは見てないのでなんとも言えません。)4択になった影響がこの辺に出ているのかもしれませんが・・・。
また、大きな変更は一級建築士の学科試験は今まで、学科に合格しても、実技(製図)で落ちると、翌年度までしかその合格の効力が無かったのですが、今年からは翌々年度まで効力があることになっている様です。
しかし、今年から実技試験の内容もかなり変更されて、構造図が入ったり、試験時間が延長されたりと難易度が上がるといわれているので受験者の皆さんは大変そうです。
あ・・・私も管理建築士講習を受けなきゃ・・・
受験生の皆さん、応援してるから・・・
【News】賃貸住宅の更新料は無効
あくまで京都地裁の判決で控訴審が待っていますので確定事項ではありません。
さて、更新料についてですが、関東に住んでいる方は当たり前だと思っている方が多いと思います。実は私もこの仕事を始めるまでは礼金も更新料も当たり前のものだと思っていました。ところが、大阪のビルオーナーの方から、ビルを預かって、東京のテナントを引っ張っていって契約に至ろうとした際に、その大阪のビルオーナーに
「更新料は一ヶ月でいいですか?」
と聞いたら
「更新料ってなんですか?」
と逆に聞かれてしまいました。
それで、いろいろ話してみると、大阪には更新料なるものが無いということを知りました。
また、大阪では「礼金」と言わずに「敷引き」ということもこの業界に入ってから知りました。(これは随分と前のことですが・・・)
さて本題ですが、さすがに今日はタイトルのNewsで持ちきりでした。
ソース・・・http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090723-00000700-yom-soci
著作権に引っかかりそうですが原文をそのままコピペしておきます。(問題だったら削除します。)
賃貸マンションの契約更新の際に「更新料」の支払いを求める契約条項は、消費者契約法に反するとして、京都府長岡京市の20歳代の男性会社員が、支払い済みの更新料など46万6000円の返還を家主に求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。
辻本利雄裁判長は「入居者の利益を一方的に害する契約条項」と認定、同法に基づいて、更新料の契約条項を無効とする初の判断を示し、家主に請求全額の支払いを命じた。
国土交通省によると、更新料が設定された賃貸住宅は京都や首都圏などに約100万戸あるとみられる。同種の訴訟では更新料を有効とする判断が地裁段階で続いており、判決は他の訴訟にも影響を与えそうだ。
判決によると、男性は2006年4月、京都市下京区内のマンションに、賃料月5万8000円、2年ごとの契約更新の際には賃料2か月分の更新料を支払う、との内容の契約を結んで入居。08年の更新時に11万6000円を支払ったが、同5月末に退去した。
裁判で家主側は、「更新料には賃料の補充的要素がある」などと主張したが、辻本裁判長は「更新後の入居期間にかかわりなく賃料の2か月分を支払わなければならず、賃借人の使用収益の対価である賃料の一部とは評価できない」と指摘。そのうえで、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、趣旨も不明瞭(めいりょう)。男性に具体的かつ明確な説明もしていない」などと述べ、契約条項は無効と判断した。
男性は今回の訴訟で、入居時に支払った保証金(敷金)35万円の返還も求めており、判決は保証金についても消費者契約法に照らして無効とし、請求を認めた。
男性の弁護団は「判決内容は当然の判断」と評価。家主側の代理人弁護士は「拙速に出された判決で遺憾。内容を精査し、今後の方針を決めたい」としている。
この判例をもとに関東で裁判が続出したら、関東の大家さんは大変なことになります。この内容では礼金も無効で返還しろということになりますから、過去に遡って・・・などということになれば、貸し金業界と同じようなダメージを受けることは必至かと思います。
ちょっと、大変な判決が出たけど・・・
【賃貸借契約】定期借家契約モドキ
今日は皆既日食で午前中はニュースがもちきりですが、新宿は分厚い雲に覆われていて、太陽がどこにあるかまったく確認できません。実は結構、楽しみにしていたので残念です。しかも、事務所ということもあり、携帯のワンセグで『小さい皆既日食』を見ていました。
さて、タイトルの話に・・・
定期借家契約・・・、一般の住宅(マンションやアパート)を賃貸されたことしかない方には、あまり縁の無い言葉ですが、オフィスや店舗を借りようとしたことのある方は聞いたことがあると思います。
定期借家契約は正確には『定期建物賃貸借契約』といいます。
※定期建物賃貸借契約については・・・・借地借家法38条~40条
普通の借家契約とどう違うかと言うと・・・
・ 特約が無い限り、契約の更新が無い。
・ 特約が無い限り、200㎡未満の住宅以外は中途解約ができない。
他にも細かいことはありますが、大きなポイントはここです。
稀に200㎡未満の住宅でも、定期借家契約○年という物件がありますが、これには理由があります。
・ ○年後に建て直す等の予定がある。
・ 転勤などで、住人がそこに住めなくなったが○年後には帰ってくる。
などという理由があります。
この場合は、○年間という限定的ではありますが、ちょっと安目に家賃が設定されていることが多いです。
定期借家契約は『更新が無い』ので○年後に出ていかなくてはならないことを認識しておかないと、普通のアパートやマンションと同じ感覚で借りると大変なことになります。
では、本来の定期借家契約の目的は・・・
はっきり言って、『貸主の保護』です。
まず、特約が無い限り、契約の更新が無いということは、特約で『貸主側が承諾した場合のみ更新可能』にしておけば、その賃貸借契約の解除の主導権は貸主が持っています。
また、特約が無い限り、中途解約が出来ないということは、借主は契約期間はその建物を利用しようと、しまいと家賃を払い続けなければいけないということです。
ということは、もし、10年の定期借家契約を締結して、2年でやっぱり出ていきたいと借主が思っても残りの8年間は家賃を払わなくてはならないということです。この辺のことが解っている借主は、易々とこんな契約はしません。
そこで「○年のブレイクオプション」などという言葉が出てきます。これは10年間の定期借家契約を締結するが○年後に借主が中途解約するかを判断する・・・というような内容です。
そして、この定期借家契約は不動産ファンドなどが多用します。不動産ファンドは投資家に安定した配当を出し続けなければなりません。そこで、安定した家賃が必要になってくるのですが、もし普通の借家契約だと、借主が家賃を払うのが苦しくなったときに出て行ってしまいます。
入居時に借主の与信は当然に調査するのですが、それでもその借主が苦しくなる局面というのは不景気です。不景気になって、その借主が出て行けば、次の借主を決める時には家賃を下げないと決まらないことが多くなります。また、その際に物件の需給バランスが崩れて供給過多になると、現在の様に空室だらけになって、家賃を下げたら決まるという問題でも無くなったりします。
そこで、定期借家契約にするわけです。そうすればその借主が破綻(法人なら倒産)でもしない限りは、賃貸借契約の期間は安定した家賃収入を得ることができる訳です。特にちょっと景気が良かった時には貸主が強気でしたから、定期借家契約だらけになりました。
しかし、この定期借家契約は目的が『貸主の保護』なので、圧倒的に貸主が有利な内容が多いので、そのことがちゃんと解っている借主は応じません。それでも昨今の景気状況では空室になるより、ましなので普通の契約に貸主が応じるケースが増えてきています。
さて、定期借家契約がどんなものか、ご理解できたと思いますが・・・
私のところにこんな物件のリーシングの依頼がありました。
商業ビルの1棟貸しなんですが・・・貸主から来た、契約書の雛形を見ると・・・
『30年間の賃貸借契約とし、中途解約の場合は残存家賃を置いておくこと』
と書いてあります。私は
『定期借家だったけ?』
と思いながら、契約書の雛形を読んでいくと・・・
『中途解約の場合は甲乙6ヶ月前に相手に申し出ること』
と書いてあります。これでは完全に普通の借家契約です。
貸主(依頼主)に・・・
「この契約は無効になりますよ・・・。少なくとも訴訟になれば負けますよ」
と言ったのですが、貸主は借主予定者に、この内容で聞いてみてくれというので、借主予定者に内容を良く説明して、この内容で良いですかと聞いたら・・・もちろん、ダメだったのですが・・・
「10年なら、残存家賃を置いていくという契約でもいいかな・・・」
『おっ・・・これだけでも貸主に顔がたつ・・・』
と思ったのですが・・・
「どうせ、設備投資や内装を回収するのに10年はかかるからな。ただ、うちが一方的に残存家賃を置いていくというのは対等な契約とは言えないから、貸主が中途解約を申し出た場合は残存家賃と同じ金額をうちに支払うという内容にしてくれ」
と言い出しました。一応、貸主は安定した家賃収入を求めているわけですから、これでもいいかな・・・と思ったのですが、ある意味、立退き料が事前に決まっているのと同じです。ただし、それでも普通の借家契約ですから、貸主はお金とは別に正当事由が必要ですから、この部分に於いては貸主が不利になったわけです。
一応、この内容で締結したのですが、定期借家でもないのに不思議な契約になりました。
とは、言うものの、実はこういう、よく解らない賃貸借契約は多々あります。
貸す方も借りる方も注意してください。
天気が悪くて皆既日食を見れなかった人も・・・
既存不適格
うちの会社は不動産コンサルタント業務の他に設計事務所でもあります。実際に開発用地や再開発用不動産のコンサルタントをやろうとすると、どんな建物が出来るかの検討をしなければなりません。それを設計事務所に発注しようとすると、設計コストの問題もさることながら、どこに重点を置くかの温度差から、なかなか満足のいかないことが多いのです。そこでうちの会社ではそれをワンストップでやっています。
最近、あるマンションの再開発の計画を依頼されました。その土地には既存のマンションが建っていましたが、現行の法律では明らかに建たないものです。そこで尋ねてみると検済をちゃんと取得している建物でした。
計画をしてみると、結果的にわずかに既存建物よりも専有面積が減ってしまいました。
「今の建物のプランは悪いから、再建築した方が専有が稼げると思ったんだけどなぁ…」
この後、この方に既存の建物が既存不適格であることを説明しました。
※既存不適格・・・建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって不適格な部分が生じた建築物のこと
違法建築と既存不適格は違うので注意してくださいね。