用途変更の設計費用について(確認申請図書がない場合)
平成28年1月18日より、新価格設定を行いました。
飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。
老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。
簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。
その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。
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平成28年1月18日より、価格変更をしております。上記から、変更後の用途を選んでください。
確認申請図書(図面)が無い場合も対応しています。
確認済証及び検査済証はある(もしくは台帳記載証明で取得されていることが明らかな)場合で、確認申請時の図面がない場合。
・価格は全て税別価格になります。
・確認申請費用(特定行政庁もしくは第三者機関へ支払う費用)は別途となります。
・設計費用になりますので、用途変更に伴う工事費は別途となります。
・消防法の対応は料金に含まれます。
・設備検査などを必要とする場合は、検査費用は別途となります。
・保健所への申請業務(発生する用途に限る)は、別途となります。
・遠隔地は交通費・宿泊費が発生する場合があります。(下記参照)
基本料金:2階層200㎡未満
3階層以上の場合:階層が1つ増えるごとに250,000円アップとなります。
4階建ての建物のうち、2階層を用途変更する場合には、基本料金となりますが、3階層以上を用途変更する場合には、上記追加料金が発生します。
変更する用途
寄宿舎(※1)・下宿・ホテル・旅館(※2)・飲食店・待合・料理店・他下記以外の用途
基本料金:1,000,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき5,000円となります。
例)211.15㎡の場合
1,000,000円+12㎡×5,000円=1,060,000円
※1 グループホーム、シェアハウスは寄宿舎になります。
※2 簡易宿泊施設・民宿は旅館に該当します。
変更する用途
診療所・児童福祉施設等(※3)
基本料金:1,300,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき3,250円となります。
例)211.15㎡の場合
1,300,000円+12㎡×6,500円=1,378,000円
※3 助産所・身体障害者社会参加支援施設(補装具制作施設及び視聴覚障害者情報提供施設除く)・婦人保護施設・老人福祉施設・有料老人ホーム・母子保護施設・福祉ホーム・障害福祉サービス事業・身体障害者更正援護施設・精神障害者社会復帰施設・知的障害者援護施設は児童福祉施設等に該当します。
変更する用途
物販店・倉庫
基本料金:800,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき4,000円となります。
例)211.15㎡の場合
800,000円+12㎡×4,000円=848,000円
変更する用途
博物館・美術館・体育館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場・バッティング練習場・その他スポーツの練習場・劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場(※4)
基本料金:1,600,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき8,000円となります。
例)211.15㎡の場合
1,600,000円+12㎡×8,000円=1,696,000円
※4 結婚式場・披露宴会場・セレモニーホールは集会場に該当します。
上記に該当しない用途、もしくは変更する用途がどれに含まれるか解らない場合はお気軽にお問合せ下さい。
遠隔地追加料金
東京23区及び東京都武蔵野市、三鷹市、西東京市、狛江市、調布市・・・基本料金に含む
上記以外の東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の諸島部を除く・・・30,000円
茨城県・群馬県・栃木県・山梨県・静岡県・・・60,000円
福島県・宮城県・新潟県・長野県・愛知県・岐阜県・・・90,000円
山形県・秋田県・岩手県・青森県・富山県・石川県・福井県・近畿地方各県・・・120,000円
中国地方各県・四国地方各県・・・180,000円
沖縄県と鹿児島県諸島部を除く九州地方各県・北海道・・・225,000円
沖縄県(久米島・慶良間諸島・粟国諸島・大東諸島・先島諸島・八重山諸島を除く)・鹿児島県諸島部・・・300,000円
上記に該当しないエリアの場合は、お気軽にお問合せください。
上記料金につきましては、予告なく改定する場合がありますことをご承知ください。
Point1 用途変更の確認申請を出さないと
建築基準法第99条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。建築基準法第104条二により法人の場合は、さらに法人に対して同額の罰金が付されます。
Point2 用途変更をする際に、確認申請を出さないだけでなく、用途によって耐火構造などの技術的な部分に抵触すると
建築基準法第98条により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。建築基準法第104条一により法人の場合は、さらに法人に対して1億円以下の罰金となります。
Point3 用途変更の確認申請は建築士でないとできない
時々、行政書士事務所が確認申請を請負う宣伝を見かけますが、建築士法第21条により、用途変更を含む確認申請業務は建築士でないとできません。
用途変更については、お気軽にリデベまで、ご相談ください。
用途変更の設計費用について(確認申請図書がある場合)
平成28年1月18日より、新価格設定を行いました。
飲食店・物販店・遊技場等への用途変更は『用途変更の設計費用について~飲食店・物販店・遊技場など~(平成28年より)』を参照して下さい。
老人介護施設・児童福祉施設等への用途変更は『用途変更の設計費用について~老人介護施設・児童福祉施設など~(平成28年より)』を参照して下さい。
簡易宿泊所・旅館・ホテル等への用途変更は『用途変更の設計費用について~旅館・ホテルなど~(平成28年度より)』を参照して下さい。
その他の用途については、直接、当社にお問合せ下さい。
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平成28年1月18日より、価格変更をしております。上記から、変更後の用途を選んでください。
確認済証、確認申請時の設計図書及び検査済証がある場合(確認済証発行後、計画変更及び軽微な変更を申請されている場合には、その図面も必要になります。)
・価格は全て税別価格になります。
・確認申請費用(特定行政庁もしくは第三者機関へ支払う費用)は別途となります。
・設計費用になりますので、用途変更に伴う工事費は別途となります。
・消防法の対応は料金に含まれます。
・設備検査などを必要とする場合は、検査費用は別途となります。
・保健所への申請業務(発生する用途に限る)は、別途となります。
・遠隔地は交通費・宿泊費が発生する場合があります。(下記参照)
基本料金:2階層200㎡未満
3階層以上の場合:階層が1つ増えるごと に150,000円アップとなります。
4階建ての建物のうち、2階層を用途変更する場合には、基本料金となりますが、3階層以上を用途変更する場合には、上記追加料金が発生します。
変更する用途
寄宿舎(※1)・下宿・ホテル・旅館(※2)・飲食店・待合・料理店・他下記以外の用途
基本料金:500,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき2,500円となります。
例)211.15㎡の場合
500,000円+12㎡×2,500円=530,000円
※1 グループホーム、シェアハウスは寄宿舎に該当します。
※2 簡易宿泊施設・民宿は旅館に該当します。
変更する用途
診療所・児童福祉施設等(※3)
基本料金:650,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき3,250円となります。
例)211.15㎡の場合
650,000円+12㎡×3,250円=689,000円
※3 助産所・身体障害者社会参加支援施設(補装具制作施設及び視聴覚障害者情報提供施設除く)・婦人保護施設・老人福祉施設・有料老人ホーム・母子保護施設・福祉ホーム・障害福祉サービス事業・身体障害者更正援護施設・精神障害者社会復帰施設・知的障害者援護施設は児童福祉施設等に該当します。
変更する用途
物販店・倉庫
基本料金:400,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき2,000円となります。
例)211.15㎡の場合
400,000円+12㎡×2,000円=424,000円
変更する用途
博物館・美術館・体育館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場・バッティング練習場・その他スポーツの練習場・劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場(※4)
基本料金:800,000円
200㎡以上は1㎡(1㎡未満は切り上げ)につき4,000円となります。
例)211.15㎡の場合
800,000円+12㎡×4,000円=848,000円
※4 結婚式場・披露宴会場・セレモニーホールは集会場に該当します。
上記に該当しない用途、もしくは変更する用途がどれに含まれるか解らない場合はお気軽にお問合せ下さい。
遠隔地追加料金
東京23区及び東京都武蔵野市、三鷹市、西東京市、狛江市、調布市・・・基本料金に含む
上記以外の東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の諸島部を除く・・・20,000円
茨城県・群馬県・栃木県・山梨県・静岡県・・・40,000円
福島県・宮城県・新潟県・長野県・愛知県・岐阜県・・・60,000円
山形県・秋田県・岩手県・青森県・富山県・石川県・福井県・近畿地方各県・・・80,000円
中国地方各県・四国地方各県・・・120,000円
沖縄県と鹿児島県諸島部を除く九州地方各県・北海道・・・150,000円
沖縄県(久米島・慶良間諸島・粟国諸島・大東諸島・先島諸島・八重山諸島を除く)・鹿児島県諸島部・・・200,000円
上記に該当しないエリアの場合は、お気軽にお問合せください。
上記料金につきましては、予告なく改定する場合がありますことをご承知ください。
Point1 用途変更の確認申請を出さないと
建築基準法第99条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。建築基準法第104条二により法人の場合は、さらに法人に対して同額の罰金が付されます。
Point2 用途変更をする際に、確認申請を出さないだけでなく、用途によって耐火構造などの技術的な部分に抵触すると
建築基準法第98条により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。建築基準法第104条一により法人の場合は、さらに法人に対して1億円以下の罰金となります。
Point3 用途変更の確認申請は建築士でないとできない
時々、行政書士事務所が確認申請を請負う宣伝を見かけますが、建築士法第21条により、用途変更を含む確認申請業務は建築士でないとできません。
用途変更については、お気軽にリデベまで、ご相談ください。
空き家問題を考える ~検査済証の無い空き家を賃貸に出す~
前回、空き家をリフォームする場合、完了検査を受領してない場合(検査済証が無い場合)は安易にリフォームして賃貸に出して良いとは言えないと書いた。
では、完了検査を受けていなければ、法的整合性が絶対に取れないかというと、そうでもない。現在では、建築基準法適合判定という制度がある。詳しくは『建築基準法適合状況調査の流れ(検査済証の無い建物を適法化する方法)』を読んで頂きたい。
木造2階建てで500㎡未満の建物であり、確認申請時の図面が存在し、確認申請時の図面と比較して建物が図面通りなら、建築基準法適合状況調査は、意外に簡単に行える。
しかし、確認申請時の図面が無ければ、現在、建っている建物から、必要な図面を作成してもらい(ほぼ確認申請と同じ図面が必要)、さらに新築時の建築基準法に合致しているかの調査をして、不適合な箇所があればそれを是正しなければならない。
図面の作成は、測量などをしなければ出来ないから、新築よりも大変である。つまり、作図だけで新築時と同等かそれ以上に掛かってしまう。さらに新築時の建築基準法に適合しているかの調査も数十万から掛かってしまう。そして、不適合な箇所があればそれの是正を行わなければならない。私の経験から、不適合箇所が全く無かった物件は一つもない。とすると、総額で最低でも、建築基準法適合判定だけで、150万円以上掛かってしまうことになる。これは、木造2階建て200㎡未満の場合で、3階建てや非木造建築物となれば、費用はもっと掛かる。150万円というのは、図面が無いだけで極めて遵法性が高かった場合の価格であるから、是正箇所の多さや是正工事の規模によって価格は異なってくることを考えておかなければならない。
ここまでを読むと、建築基準法適合状況調査を行ってまで法的整合性が必要なのだろうかという疑問が出てくる方が多いかもしれない。
しかし、大きなリフォーム工事を行うのであれば、千載一遇のチャンスだと思って、建築基準法適合状況調査を行うことを推奨する。もちろん、賃貸に出した時の瑕疵担保責任の問題などもあるのだが、それ以上に、この物件を将来、売却しようとした時にその効力が大きく発揮されることとなる。
もちろん、今は賃貸に出そうとしている訳だから売却を考えていないかもしれない。しかし、相続が発生したり、または何らかの事情で物件を売らなければならなくなった時が来るかもしれない。多くの場合は売却の機会が訪れる。
現在、完了検査を受領していない物件に関して、金融機関が融資をしない方向に動いている。主だった金融機関は、既に完了検査未受領の建物には融資をしない。まだ、小さな金融機関などは融資をしてくれるが、それも時間の問題であろうと考えられる。
図面が無い場合、図面を復元することとなるのだが、図面を復元する際に壁の中までは、見えない。特殊な機械を使って柱の位置などを確認することは出来なくもないが、柱や梁などの接合部などが、正しく接合されているかまでは確認できない。だから、何もしないで建物の図面を復元することはほぼ不可能なのだが、大きなリフォームをするのであれば、壁も取り外す場所も多いだろうし、天井内の構造なども解りやすい。ついでに、建築基準法に不適合な箇所も直してしまえば良いのであるから、この機会を逃す手はない。
もし、リフォーム工事をやってしまって、将来、建物を売却するのに建築基準法適合状況調査を行えば、そのコストは個別に掛かってきてしまうが、同時にやっておけば、その工事などは重複するところが大きいから、コストも個別にやるよりかは大きく抑えられることになる。
空き家に借り手が付くようにするリフォーム工事は場合によっては多額な工事になり、不動産会社などは目先の利益を追求し、所有者の将来の利益よりも仕事が成立することを優先するから、コストが高くなることは提案してこない。それどころか、建築基準法適合状況調査というシステムそのものを知らない可能性もある。小さな町の不動産屋さんや大手でも賃貸専門のチェーン店の社員などは、知っている人の方が稀である。
見栄えを整える提案も重要だが、中身のあるリフォーム工事を行って行くべきである。
所有者が物件を売却しやすくなるということは、所有者にとっても良いことであり、その様な不動産が市場流通しやすくなれば、空き家問題の手助けに大きく寄与することになる。
建築基準法適合状況調査について
・ 完了検査を受けていないため、検査済証が無い
・ 完了検査を受けていないため、融資を受けられない
・ 完了検査を受けていないため、耐震診断や耐震工事の補助が受けられない
・ 完了検査を受けていないため、用途変更や増築ができない
上記の様なことで、お困りの場合は、リデベまでお気軽にお電話をください。
空き家問題を考える ~空き家をリフォームして賃貸住宅にして良いか~
もちろん、現在使われていない建物を賃貸すること自体は何の問題もないのだが、それは、「その建物が合法的な物ならば」だ。
第1話で空き家の再利用の事例を簡単に紹介したが、その中でも今回は、今まで全く使われていなかった空き家を賃貸住宅として貸し出している事例を紹介しよう。
『まだまだ、再利用可能と考えられる空き家を若い建築家にアイデアを出して貰いリフォームして、住みたいと考える人に賃貸住宅として提供する。』
この部分だけを読むと極めて前向きで美しい提案に聞こえる。私も最初にこれを聞いた時には、
「なかなか良いアイデアだし、昔の住宅の良さを活かしながら、今の生活に対応出来るように出来たら、それは素晴らしいことかもしれない。」
と考えた。
しかし、その様子がマスコミなどで取り上げられ、実際にその提案を受けたという人から話を聞いてみると、かなり杜撰な実態が見えてきた。
まずは、この類の提案の殆どが、賃貸住宅にするため、つまり、借主を付けるためにデザイン的な部分に重きを置き、法的整合性、建物の構造や性能という部分は殆ど手が付けられていないと言うことだ。
例えば、昔の家を再利用しているのだから、「隙間風が入ってくる」、これは仕方がないかもしれないし、そこに情緒を感じて借りる人もいるかもしれない。
しかし、地震が来た時に周りの家は倒れなかったが、その建物だけ倒れて被害に遭われたら借主はどう思うだろうか?もちろん、貸主だって高いリフォーム費用を払ったのに採算が取れないどころか借主から瑕疵担保により、損害賠償請求をされるかもしれない。
現在では消防法の観点から、火災報知器の設置が義務となっているが、それが設置されていないという事例もあったが、これには既存不適格は適用されないし、もし、火災が発生した場合に火災報知器が付いていなかったことが原因で借主が被害に遭われれば、貸主は不法行為となり、損害賠償を負わなければならない。
そして、法的整合性の問題がもっとも重要なテーマになってくる。ある意味、法的整合性さえ、整えておけば、上記の様な問題は一気に解決できるのだが、それを殆どの物件が行っていないのが実態である。
この手の空き家となっていて、リフォームをして貸し出そうとする住宅の殆どが完了検査を受けていない。完了検査を受けていない理由は様々なのだが、戸建て住宅の場合、築20年以上のものとなると慣例的に完了検査を受けなくても良いと言う雰囲気があった。もちろん、建築基準法的には非合法であることは間違いないのだが、当時は完了検査を受けなくても大きな問題には発展しなかった。
では、完了検査を受けていない建物を賃貸に出してはいけないかというと、そうとまでは言いきれない。詳しくは『違法建築を賃貸してよいか?』を読んで頂きたい。
しかし、完了検査を受けていないこと知っていながら、故意に隠したり、完了検査を受けていないのに「既存不適格である」などという虚偽を重要事項説明などですれば、宅地建物取引業法に抵触する。また、特定行政庁によっては、重要事項説明時に完了検査受領の有無を記載することを推奨しているところもある。完了検査受領の有無の調査が特別に難しいかというと、そうでもなく、その物件の管轄する特定行政庁の確認申請などを管理する建築指導課(呼び方は各行政庁によって違う)に行って『台帳記録証明』というのを貰って来れば(実際には数百円掛かる)、確認申請から完了検査、合法的に増築などを行っている場合にはその確認申請や完了検査まですべて記載される。また、完了検査時の建築概要も解るので、完了検査後に違法な増改築などがされていないかなどのチェックにも使える。
※どこの行政庁でも「台帳記録証明」ないし「台帳記載証明」で通用するが、行政庁によっては出てくるものが単に「証明書」などとなっている場合もある。
違法建築に関して明らかでないような場合、この完了検査受領の有無も該当するのだが、重要事項で説明する義務があるかどうかは微妙である。もちろん、完了検査を受けていないのに受けているかのごとく重要事項に記載すれば違法だが、なにも記載していないというのは虚偽とは言えない。違法建築は列挙事項(必ず書かなければならないこと)では無いので書かなくても良いと言う考え方もある。判例では、買主や借主が知らないことにより明らかに不利益を被るような重要な情報であった場合には重要事項説明義務違反になる。だから、完了検査を受けていないことで明らかな不利益を被らなければ、この不動産会社は何ら瑕疵が無いこととなる。しかし、その情報を知っていたのに記載しないことは重要事項説明違反になる。
では、その不動産会社が知っていたかどうかだが、不動産会社は当然に
「知らなかった」
と主張するのが普通である。そして、その不動産会社が「知っていた」という証拠を押さえるのが難しいのが一般的である。
建築士が入っていないで、建設業も持っていないような小さなリフォーム会社が、施主と現場で打合せして、体裁だけを整えたのなら仕方がないが、今回のように、最初から建築家と称する建築士が入って、リフォームの設計をして、それを所有者に提案し、何百万、いや1000万円以上のリフォームをするのに建築士が完了検査受領の有無を確認しないとは考えにくい。もし、確認しない建築士がいるとすれば、その様な輩に設計を依頼したこと自体が残念なことである。
一般的に建築士がリフォームの設計をする場合、その建物の既存不適格部分を確認する。また、開口部などをいじる場合には当然に採光計算や換気計算を確認するだろうし、キッチンなどをいじる場合には、台所の壁の不燃、準不燃などを確認する。その為には、その建物が新築当時に合法的な建物だったかの確認が必要となるのだが、もっとも簡単な方法が完了検査受領の有無である。もちろん、完了検査を受領していてもその後に違法改造、違法増築などがあるかもしれないので、完了検査を受領しているからといって、その建物の遵法性を確認できたとは言えないのだが、これをやらないと始まらない。
ということは、このリフォームを依頼された建築士は完了検査受領の有無を知っている可能性が高く、この事実を知った時点で依頼者にこの事実を告げることとなる。つまり、不動産会社が知らないとは考えにくいということになる。また、建築士が台帳記録証明を取得していれば、その証拠が特定行政庁に記録として残るはずである。
では、完了検査を受けていないことが解った場合、それを重要事項で説明することとなるが、その建物の遵法性が確認できていないという事実を知ったら、借り手は付くだろうか?もちろん、完了検査を受領していないことが違法であると言うことを知らない借主もいるだろうが、重要事項説明にそれを書いた以上は、その事実を説明する義務が生じるので借主はそれを知ることとなる。そんなことを気にしないという人もいるとは思うが、それによって借りないという人も出てくるだろうし、少なくとも借りる人の幅を狭くし、となれば必然的に賃料も安く設定しなければならなくなってくるものもあるだろう。
また、万が一の事態が発生した場合には、仲介をした不動産会社だけでなく、貸主にも瑕疵担保責任を負わなければならないし、リフォームの程度によっては設計した建築士も建築士法や民法の不法行為などに問われる可能性もある。
この様に安易に空き家をリフォームして賃貸して良いとは言えないのである。
建築基準法適合状況調査について
・ 完了検査を受けていないため、検査済証が無い
・ 完了検査を受けていないため、融資を受けられない
・ 完了検査を受けていないため、耐震診断や耐震工事の補助が受けられない
・ 完了検査を受けていないため、用途変更や増築ができない
上記の様なことで、お困りの場合は、リデベまでお気軽にお電話をください。
空き家問題を考える ~無造作にアイデアを実施するのはNG~
今、色々なところで取り上げられている空き家問題。既に2013年10月の調査で全国に約820万戸、全体の13.1%の空き家があるという状態である。
なぜ、空き家が増えているかというと、根本的な理由は簡単である。
人口減少が始まり(増加が止まり)、核家族化による世帯数の増加にも歯止めが掛かっているのに新築の供給が多いというのが最大の原因だ。新築の供給を抑制すれば簡単に問題が解決できそうだが、景気刺激策などの理由から、むしろ住宅エコポイントの復活など新築の供給を煽っているのが現状である。
さて、この空き家問題だが現在、早急な取組が必要な問題は、空き家となっていて、再利用不可能にも関わらず放置されていて危険な建物が問題となっている。人里離れた集落で既にその集落に誰も住んでいないで廃墟になっている空き家や、高度経済成長期に開発された別荘地などの空き家は人がそもそもいないので、放火や空き巣、また、そこで子供が遊んでけがをするという心配は少ないだろう。
しかし、このような廃墟となっている空き家はなにも人里離れた場所にあるとは限らない。東京23区の駅近の住宅地にもかなりの数が存在する。これは、『固定資産税の減税の問題が大きい』とか『解体費を相続人が負担しないから』など、様々な理由が上げられているが決定的な理由が存在する訳でもなく、複合的な要素が大きいのだろう。
そして、最近ではこの様な廃墟となった空き家を取り壊せる条例を定める特定行政庁が増えている。
しかし、ここで疑問に思うことだが、何故、わざわざ条例を作っているのだろうということだ。条例など作らずとも建築基準法第10条を適用して除去の命令を出してしまえばよいだろうと考えた。そこで、既に条例を定めている東京都墨田区に問合せをしてみたところ、建築基準法第10条では
前略~損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。
となっている。この「そのまま放置すれば著しく保安上危険となり」の部分が「衛生上有害となるおそれがある」の「おそれ」に掛かっていないと受け取れるとの解釈があるらしい。文面からすれば、「そのまま放置すれば」とあるので未来を予測しているので「おそれ」に掛かっていなければ日本語として成立しなくなるはずだが、この部分の取り扱いがナーバスな問題ということである。
そこで、ここに一言付け加え、「そのまま放置すれば著しく保安上危険となる『おそれがある』、・・・」と条例にはしているとのことである。
実はこの建築基準法第10条にはもっと大きな欠点がある。
それは憲法第29条の財産権の問題で、他人に迷惑を掛けている状態にない個人の財産を国家がそれを侵してはならないとあり、憲法第98条で憲法は他の法律よりも優先するとあるので、その空き家が他人に迷惑を掛けているかの判定が難しい。建築基準法では他人に迷惑を掛ける様な状況を定めていない。
そこで、条例では、他人に迷惑を掛けると考えられるガイドラインを策定している。
では、このガイドラインに抵触したら、なんでも壊せるかというと、そうでもなく、出来うる限り、所有者に取り壊す許可を貰ってから壊しているとのことである。
ゆえに、条例を作ったからと言って速やかに廃墟となっている空き家を取り壊せるということではないらしい。
さて、廃墟となっている空き家に関しては権利関係を整理して、解体費を差し引いた価格で不動産市場に流通させれば良いと思う人もいるかもしれないが、実際には廃墟となっている空き家というのは、その権利関係が滅茶苦茶になっていることが多い。つまり、住んでいた人が亡くなり、相続が発生しているのにそこに相続人がいない訳である。私も何度か、この手の空き家を売却して貰えないか、相続人を探そうとしたが、登記情報を取り寄せてみると、相続人が10人ぐらいいて、さらにその10人のうち、2人が既に他界していて、さらなる相続が発生しているのに登記されていないということもあったし、登記情報に記載されている所有者は一人だけど既に昭和の時代に他界していたという事例もあった。一番、多いのは登記情報では所有者の住所が、当該物件つまり、廃墟になっていて、所有者と連絡が取れないということだ。
こんな権利関係が面倒な空き家を不動産市場で流通させるなど、現行法では不可能である。
しかし、この様な廃墟とまでは言えない、再利用可能な空き家の方が多数、存在しているのが事実である。しっかりした、統計データはないのだが、空き家の理由が明確で再利用可能が確実と考えられている住宅は、2008年の段階で65.5%あった。残りの34.5%の中にも長期不在や別荘などの空き家が含まれており再利用可能なものもあったと考えられる。とすると、少なくとも70%以上の空き家が再利用可能と考えられる。
もちろん、この空き家が手つかずの状態で、そのうち時間の経過とともに廃墟になっていく可能性は十分にある。それに目を付けたのが空き家ビジネスである。
一番、多く最近話題になっているのが、某不動会社が主催し、若手の建築家が、お洒落なリフォームを提案し、所有者を説得してリフォームをして賃貸にだしているという手法である。
しかし、この実態を調べてみるとかなり杜撰な実態が見えてくる。若い建築家は建築基準法のことなど度外視で、構造の安全なども床下や天井裏を懐中電灯でちょっと見て、
「これ、全然、使えますよ!」
などと言って、細かい検査など一切していない。それどころか、その物件を調べてみると完了検査が出されていない物件も多数ある。というよりも、殆どの物件が完了検査を受けていなかった。それにも関わらず、体裁だけを整えて賃貸に出しているのである。この不動産会社がそれを重要事項説明の時に説明していたかどうかは不明であるがかなりグレーな手法であることは間違いない。
空き家を安く借りて老人介護施設にしているケースも多数、見受けられる。それも無届け老人介護施設で建築基準法の用途変更どころか、なんの申請もしていないで勝手に使っているというケースもある。さらには、特定行政庁がこの様な無届け老人介護施設を斡旋しているという実態もある。
他にもつい最近まで問題になっていた脱法ハウスとして利用されている場合もある。これに関しても国土交通省から、新しいガイドラインが出ているにも関わらず、一切、お構いなしで使われているものもある。同様に用途変更を行わずに簡易宿泊施設として使われているものもある。
いずれの事例でも事故や事件が発生している。
この様な脱法に近い空き家利用に歯止めを掛けなければならないこともあり、誤った空き家利用をもう少し詳しく紹介し、本来、どの様な手続きを行い利用しなければならないかを今後、連載していきたいと考えている。
借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
このお問合せが最近、非常に多くなっています。
誰の責任であっても、用途変更に向かって進捗して頂かないと当社の出番がないので、当社は無料相談で終わってしまうのですが、あまりにこの問合せが多いので、こちらに書いておきます。
まず、用途変更が出来ない理由は大別すると二つあります。
1.建物が完了検査を受けていないため用途変更の確認申請を受け付けてもらえなかった。
2.都市計画の用途制限※に抵触して、その場所で当初予定していた事業が出来なかった。
※第一種低層住宅地域では、「有床診療所」はできますが「病院」はできません。有床診療所とは、入院患者が20人未満です。
しかし、1のケースでの問合せは殆どありません。2のケースが99%以上を占めます。
そして、不動産の賃貸借契約に登場する関係者は・・・
A.賃貸人(大家さん)
B.賃借人(借りる人)
C.宅地建物取引業者(不動産屋・仲介業者)・・・(以下、「業者」といいます。)
AとCが兼ねている場合、AはCと同じ責任を負うことになります。
一番、多いのが、
「業者は悪くないのでしょうか?プロだから、業者は悪いですよね?」
というお問合せです。
実は、業者が責任を負わなければいけないケースは限られます。
例えば、完了検査を受けていない100㎡以上ある建物で、確認申請時に物販店として申請していた物件を飲食店にしようとした場合・・・
・ 業者が広告で飲食店可と広告を出していた。・・・宅地建物取引業法(以下、「業法」と言います)33条違反
・ 業者が重要事項説明で飲食店可能であると説明した。・・・・業法第35条及び第47条違反
・ 業者が契約書に飲食店として使って良い旨を記載した。・・・業法第37条及び第47条違反
となります。しかし、業法に違反しているからと言って、即座に業者が責任をとって、損害賠償をしてくれるという訳ではありません。業者は業法違反により、行政処分を受けるかもしれませんが、賃借人や賃貸人に迷惑を掛けたことによる損害賠償請求は、民法の「不法行為」によって、被害を被ったことを立証して、裁判を行う必要性があります。(示談になれば、裁判は行わなくて良いです。)
ここで、このブログを読んでいる業者の方は、気を付けなければいけない点に気が付いたと思われます。
『仲介する建物が完了検査を受けていない場合、もしくはそれの確認をしていない場合は、不用意に「飲食可」などとマイソクに書くと業法違反になる。』
ということです。
では、賃借人が取りうる対抗手段は何があるかというと・・・
契約の白紙解除となります。飲食店をする目的で建物を借りているのに、それが出来ないとなれば、当然に契約の目的を達することができないので、民法570条は賃貸借にも準用される判例があるので、隠れたる瑕疵にあたり、民法第566条が準用されるので、契約は白紙解除となります。白紙解除なので、敷金礼金などは全て返済されますし、業者は仲介手数料も返さなければなりません。
しかし、賃借人が既にお店のオープン日を広告宣伝していた、もしくは前のお店の賃貸借契約の解除予告などをして営業が出来なくなったことについてまでは、保証される訳ではありません。
この場合は状況に応じて、貸主に「債務不履行」、業者に「不法行為」で訴訟をするなどして損害賠償請求をするしかありません。
この様な事態になった場合、損害賠償の金額にもよりますが、ケースによっては『建築基準法適合調査』を行い、『建築基準法適合判定』で回避されるもしくは、被害を最小限に抑えることができる場合もあります。
『建築基準法適合判定』については、まずはリデベにお問合せ下さい。
株式会社リデベ
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営業時間 土日祭日を除く 午前10時~午後6時30分
お気軽にお問合せ下さい。
建築コスト(第3話) ~CM編~
前回に続き、その他の問題事例を書くこととします。
私の知っている他の事例でも・・・
建築主がインターネットで見つけた安いフロア材に変えようとして、建築主がいざ発注してみたら、必要な数量が納入されるのに半年以上掛かってしまうことが解り、結局、当初の床材に戻したけど、そっちも生産に1ヶ月かかるということで、結局、工期が1ヶ月延びてしまいました。
工期が1ヶ月延びれば、現場管理費がその分、増えてしまいます。(現場監督を余計に1ヶ月配置しなければならない。現場事務所も1ヶ月余計に借りなければならない等)
特に、最近ではインターネットでの通信販売等で、通常では素人がなかなか買えなかったようなものが簡単に手に入るようになりました。しかも、人件費が掛かってない分、そちらの方が安かったりすることが普通にあります。実際に私も、自宅の建具のラッチが壊れた時にネットで1個だけ取寄せて、自分で直したりできるので便利だと思います。
そして、素人がゼネコンの見積よりも安く買えることが簡単にわかってしまう時代です。
ただし、製品の値段だけの問題ならです。
問題はこのような、搬入の手順や数量だけのトラブルだけではありません。
アフターのトラブルもあとが絶えません。
製品は建築主が支給したものですから、製品に関する欠陥はメーカーの責任です。しかし、取付けたのはゼネコンですから、施工不良はゼネコンの責任です。
簡単な問題ですが、実際にはどちらも責任は取りたくありません。そもそも、建築主もどちらにアフターを頼んで良いか解らない場合もあります。
ある時、クッションフロアを支給した建築主さんがいました。それも、日本の有名メーカーのものではなく、韓国製のものでした。結果、2年後にそのクッションフロアが剥がれてきました。最初は施工不良だと思いゼネコンに修理を依頼しますが、調査の結果、そのクッションフロアの専用接着剤の耐熱性があまりに悪く(40度前後で劣化する)、窓際の日当たりの良い場所から剥がれてきているということが判明しました。
ところが、その韓国製のクッションフロアは、日本の小さな商社(ネット通販専門の商社)が韓国の会社にOEM生産を依頼したものでした。
その日本の小さな商社はすでに無くなっており、韓国のOEM生産を依頼した会社も解らず仕舞いでした。
結果的には建築主の負担で、全てのクッションフロアを貼り替えるということがありました。
また、これは建築時のトラブルではなく、マンションのリフォーム工事のときの話です。
リデベで、マンションのリフォームを依頼されました。依頼された範囲はキッチン等を含む水周りのリフォームがメインでした。
そこで、見積を出したのですが、キッチンだけで50万円+αぐらいの価格になってしまいました。
これは
1.既存のキッチンの解体廃棄費用
2.既存キッチンを取り外すのでタイルが使えなくなるのでキッチンパネルの材工費用
3.梁下にキッチンの換気扇がぶつかるので、その部分の特注費用
4.新しいキッチンの費用
5.新しいキッチンの運搬費用
6.キッチンの取付費用
7.ガス工事費用
8.給水給湯排水工事費用
の全てが入っている値段で、その明細もちゃんと書いて提出しました。
しかし、この依頼主は
「キッチンなんて、ニトリで12万円以下で手に入るだろ!」
と言って怒り始めました。
たしかに、ニトリで安いキッチンを買うと12万円以下ですが、これは上記でいう6の部分だけの値段です。しかも、ニトリで買うキッチンは梁型に合わせた特注などできません。この依頼主に、キッチンの解体廃棄やキッチンパネルの取付は大工、キッチンの取付はキッチンメーカーの専属業者、ガス工事はガス屋、給排水工事は設備業者と4つの業者が必要なことを説明しましたが、
「キッチンメーカーが全部やればいいだろう!」
と言い出す始末です。
私は、一生懸命説明しようとしたのですが、なかなか、ご理解を頂けませんでした。正直言えば、2回説明した時点で面倒だなとも感じていました。
当然ですが、この話は破談になりました。
結果、その物件がどうなったかと言うと、水周りは一切にいじらずに家賃を下げて募集していました。おそらく、その依頼主は修繕費という概念があまり無かったものと考えられます。しかし、周辺の新築物件も今の経済状況下の中で賃料は下落していますから、更に下げないと決まらないでしょう。
そして、一度下げた家賃はどんなにリフォームしても、元には戻らないということを知らなかったものと考えられます。
前回の洗面所の件もそうですし、今回のクッションフロアの件もそうですが、値段が安いことだけでは、全く話になりません。必ず考えておかなければいけないことは、
・ 着工前に設計事務所、施工会社と相談して、仕様を決定しておき、取付費用や搬入のタイミングなどで発生する運搬費用・保管費用などを検討しておく。
・ インターネットやホームセンターで見つけたものの場合は、必要な数量やどこまでの工事を行ってくれるかを確認しておく。価格.comで調べた値段が全てではないということです。
・ 分離発注や施主施工にする場合は、建築基準法や消防法などに抵触しないものか、製品性能が問題ないかを事前に設計事務所などの専門家の意見を仰ぐ。
・ 分離発注などを行う場合は、責任の範囲を起こりうる事態を想定して、責任所在を明確にしておく。
このようなことが、できなければ分離発注は不可能です。しかし、これができれば、建築費などのコストダウンも可能です。
コンストラクションマネージメント、建築費の削減などは、是非リデベにご相談下さい。
既存不適格と違法建築【収益不動産】
収益不動産を購入を考えている方や、収益不動産をこれから建築されようとお考えの方、また、すでに収益不動産をお持ちの方は是非、お読み下さい。
私の会社は設計事務所(一級建築士事務所)でもありますが、不動産屋(宅地建物取引業者)でもあります。
ブログの過去の記事を読んで頂いている方は、御存知の通り、私は、ハウスメーカーで設計、積算や商品開発などの技術系部署を経て、収益不動産のための用地取得や開発の部門に行き、その後、アレンジメントの会社の役員になり、今の会社を立ち上げました。
さて、今回は収益不動産を取得するときに注意しなければならない点として、タイトルの『既存不適格』と『違法建築』について書きます。
まず、『違法建築』については、読者のみなさんも御存知の通り、建築基準法や地方自治体が定める条例等に対して『故意』に違反している建物のことを指します。
『既存不適格』というのは、一般の方はあまり聞きなれない言葉かもしれません。『既存不適格』とは、その建物が建てられた時の建築基準法や条例に対して合法ではあったが、その後、建築基準法や条例が変ったことによって、その変更になった部分に対して適合してしなくなってしまった建物のことを言います。
簡単に言えば、建築主や施工業者もしくは設計者が『故意』に違法行為をしているものを『違法建築』で、合法だったのに法律の方が変ってしまったものを『既存不適格』と言いますが、結果的には、どちらも現在の建築基準法には適合していないということになります。
しかし、この二つには大きな違いがあります。
もちろん、故意に違法行為をしているのだから、その時点で犯罪行為になる訳ですが、実は日本の建物は違法建築物だらけだったりします。そして、この違法建築物は、是正処置命令や、あまりに酷い場合は行政処分として使用禁止命令、もっと酷い場合には建築主や設計者、施工業者に刑事罰が課せられる場合もあります。
しかし、実態は行政もほとんど放置しているのが実態です。これには財産権の問題や既にその建物が使用されている場合に、その使用者の権利の問題があって、一度、違法建築物が使用され始めると、それを是正するのは難しいからです。
では、違法建築でも一度、建って使い始めてしまえば、問題ないかというと、そうでもなかったりします。建物というのは何十年も使うことが殆どです。ところが、その間に建築基準法や条例、消防法などが時代の流れでどんどん変っていきます。そして、後述しますが、その法に適合するようにしなければならない状況が発生した場合に、『違法建築物』の場合、その是正に掛かる費用の全額を所有者が負担しなければならないというケースが殆どです。
では既存不適格はというと、殆どの場合が、現行の法律に是正しなくても犯罪行為にはなりません。一部の消防法などに抵触する場合は、何らかの手を加えないといけない場合がありますが、極めて軽微なものが多く、どうしても大規模な補修を必要とするような場合は行政から助成金等がでる場合が殆どです。最近で言うと、軽微なものは居室、台所や階段室に火災報知機を設置しなければならないというものです。これは居住者がホームセンターで1個、2000円~3000円のものを買ってきて自分で付けることも可能ですから軽微な事例です。
大規模なものでは、東日本大震災後、東京を中心として主要幹線道路沿いにある旧耐震の建物(昭和56年4月より前に建てられた建物)に耐震診断を実施して、現在の耐震基準を満たしていない場合は耐震補強工事を行わなければならないというものです。この場合は、規模にもよりますが何千万円もかかる場合もありますが、行政によっては、その殆どが助成金で賄えたり、少なくとも50%以上は助成金で賄うことができます。
さて、収益物件を取得する場合に注意しなければならないのが、この『違法建築物』です。前述のように、何らかの法改正でその建物を是正しなければならない時に自己負担になってしまえば、その場合は大きな出費となります。また、それを是正しないで問題が発生すれば所有者責任を免れることはできません。当然、そのことを理解している人が殆どなので、市場での流通性も低く、転売することも難しいのが現実です。
では、違法建築を見抜く手段として、一般的に行われている手法はというと、『完了検査済証』の有無です。この『完了検査済証』があって、完了検査に合格していることが確認できれば、その建物が建ったときに違法ではなかったということが確認できます。
この『完了検査済証』さえあれば、その後、その建物が規定の検査、例えば消防法の定める定期検査や、建築基準法施工令によるエレベーターの定期検査などを受けていなくても、これから、その検査を受けて問題がなければ、『検査済書』は発行されるので問題はありません。
ところが、これでは完全とは言えないケースもあるのですが、プロでもこの程度の確認していなくて後で往生するケースがあります。高額な物件の取引の際で、買い手がしっかりとした法人の場合には、その建物が違法建築物ではないかのレポート(エンジニアリングレポートと言います。)を一級建築士事務所に依頼します。高額な物件の場合、規模も大きいのでその調査費用も数十万~100万円以上になる場合もあります。
次回はなぜ私が収益不動産の取得に関わることになったのかを少し書いてみたいと思います。
建築コスト(第2話) ~CM編~
さて、前回の続きです。
工事が開始して2ヶ月、順調に進み、1回目の中間検査を受けるました。
※1回目の中間検査:基礎の配筋をした時点で検査官が検査をします。
その報告をするために、桜田先生は、ゼネコンの現場監督である浅川所長(仮名)とともに、山岸さんのお宅に報告に行きました。
桜田先生と浅川所長が、概ね中間検査の報告を終わると、山岸さんが
「いやぁ、基礎の配筋の報告をされても細かいことは解らないから、そこはお任せしますよ。ところで、ちょっと、ご相談があるんですが、いいですか?」
と、その相談は桜田先生ではなく、浅川所長に向けられたものでした。
浅川所長が、言葉を発さず山岸さんの方を向くと、山岸さんは
「洗面台なんですけどね、ちょっと良い物を見つけたので、それに替えたいんですがいいですか?」
浅川所長は、その時は単なる仕様変更だと思いました。そこで、
「どちらのメーカーのものですか?品番がわかれば・・・」
と言いかけたところで山岸さんが
「えっと、どこのメーカーだったかな?なんか、台湾製か韓国製のものだったような・・・。」
浅川所長もさすがに唖然として
「あの、カタログとか、どちらで見られたとかが解れば、こちらで調べますが・・・」
山岸さんは、浅川所長に手で話を制止して、
「その必要はないですよ。実は、ホームセンターで見つけたんです。ですから、うちでホームセンターでまとめて買って、ホームセンターから直接、現場に入れてもらいます。」
その時点で、桜田先生が口を挟みました。
「いやいや、単純にものが現場に入るだけじゃダメなんですよ。その洗面台の給水や排水口の位置が、今の洗面台と位置が違ったりすれば、場合によっては取り付けられない場合もあります。それにその洗面台そのものの大きさが、現在、計画されているものと違えば、入らない場合もあります。ですから、発注する前にカタログなりを取り寄せて、確認しないといけません。」
山岸さんも、産業機械の技術屋さんだけあって、
このことはすぐに理解していただけたようでした。
程なくして、桜田先生のところにカタログが送られてきました。とりあえず、今のものから、山岸さんの希望するものに替えることは設計的には問題は無さそうでした。
そこで、再び、山岸さん、桜田先生、浅川所長で打合せをすることになりました。
まず、浅川所長が切り出しました。
「ところで、その洗面台の取付は、ホームセンターの方でやってくれるんですか?給排水と電気工事は、設備屋と電気屋がやるので同じなんですが、各戸への配置は今の計画では、洗面台のメーカーが行います。」
山岸さんは、どうやらその辺りのことは、まったく考えていなかったようで、
「ちょっと、ホームセンターに電話して聞いてみます。」
と言ってすぐにホームセンターに電話をしていました。
そして、すぐに電話を切ると
「いや、現場に搬入するところまでだそうです。ですから、取付は浅川所長の方でお願いします。」
浅川所長は困った顔をしました。
「大変、言い難いんですけど、取付費が見積もりよりも上がってしまいますが宜しいですか?」
山岸さんの顔が一瞬曇りました。
「どうしてですか?同じような洗面台なのに取付費が変わるんですか?」
「はい、当初の計画では洗面台メーカーの関連会社が取り付ける予定だったので、取付費用が安かったんですが、全く関係ない洗面台を入れるとなると、その会社は使えません。取付だけの手間賃ということになってしまうと、どうしても費用が上がってしまうんです。」
「そうですか・・・。とりあえず、いくら上がるかを教えてください。」
この件については、取付費が上がった分よりも、
洗面台が安くなった方が大きいことが後日わかります。
浅川所長はさらに1枚の紙を手渡しました。。
「それとですね、そのホームセンターに伝えて欲しいのですが、現場への搬入は、この計画でお願いします。」
その紙には、洗面台を何月何日に何個搬入するという計画が書かれていました。それは8回に分けて搬入するという計画でした。それを見た山岸さんは
「結構、細かく搬入するんですね。私はてっきりまとめて付けるものだと思っていました。しかし、解りました。ホームセンターには伝えておきます。」
しかし、後日、第1回目の搬入のときに、なんと52個の洗面台がまとめて現場に持ち込まれました。当然、現場監督と配送業者は大もめになりました。
浅川所長は、慌てて山岸さんにこのことを伝えると、山岸さんはあっさりと・・・
「いやぁ・・・、浅川所長の搬入計画はホームセンターにも伝えたんです。ところが8回に分けると思った以上に送料が掛かるので1回にまとめました。現場で保管してもらえませんか?」
浅川所長は、しばらく絶句して言葉が返せませんでした。それでも、少しずつ説明をします。
「申し訳ないですが、現場に置いておく場所はありません。もちろん、現場事務所にもさすがにこの量を保管する場所はありません。」
山岸さんも困ったらしく
「では、どうすれば良いですかね?」
浅川所長は咄嗟に
「倉庫を借りるか、ホームセンターに引き取らせて、計画通りに配送してもらうしか方法がありません。」
山岸さんはホームセンターに当初の計画通りに配送しなおすように依頼したのですが、一度、配送したものを引き取ってくれることはホームセンターはしませんでした。結局、倉庫を借りることになります。
最初に使う洗面台8個以外の44個分を収納できる倉庫を近くに借りることになりました。近くと言っても、車で20分ほど掛かる場所です。結局は倉庫と現場の往復の運搬費も掛かることになります。(これについてはゼネコンが負担したそうです。)
しかし、倉庫代がバカになりませんでした。
結果的には当初の計画のものの方が安かったということになります。
その後、倉庫代の負担や取付費の追加をゼネコンは山岸さんに請求することになるのですが、当然、最初からその見積を出していたのですが、山岸さんの計画が大きく狂ったこともあり、追加工事の費用について、ちょっと揉めることとなりました。
山岸さんは少しでも、安くしようと思って、自分でゼネコンの見積よりも安いものを探した結果なのですが、これは私に言わせれば、『素人の浅慮』としか言えません。
つまり、現場でどのように物が作られていくのかという手順を知らないから起こったことです。
ですから、CMというのは、それなりの知識を持った人でないと難しいわけです。
しかし、このような事はよくあることです。
他の事例については第3話で書くことにします。
建築コスト(第1話) ~CM編~
大型の賃貸マンションなどを建築しようとする時に、
当然ながら、建築主は、『如何に安く作るか!』という命題に当ります。
これを考えずに、ゼネコンの言いなりの仕様、近隣の不動産会社の言いなりの仕様、もしくは設計を依頼した設計士の言いなりでマンションを建築すると高いコストについてしまいます。
そこで、一般的にはCM(コンストラクション マネージメント)を取り入れます。
これは、時々、分離発注と勘違いする人がいるのですが、狭義の意味に於いては分離発注もCMの一部と考えてよいでしょう。
さて、分離発注を簡単に説明をしておきます。
あるマンションの見積をゼネコンAとゼネコンBに依頼しました。
ゼネコンA:5億円
ゼネコンB:5億5千万円
各社は上記の見積を出してきました。この時点で、ここまでの価格差があるとゼネコンAに発注しようとします。
しかし、よく見積を比較してみると、各戸に入れる流し台(キッチン)の価格が、
ゼネコンA:10万円/台
ゼネコンB:9万5千円/台
同じ仕様にも関わらず、ゼネコンBの方が安い。だからと言って、ゼネコンBから流し台だけを発注する訳にはいきません。
そこで、キッチンメーカーなどと直接交渉をして、ゼネコンAに流し台を別途にしてもらい、流し台を建築主が支給する方法を分離発注方式といいます。
これを、流し台に限らず、多岐の分野に渡ってやれば、大幅なコストの削減になります。
ハウスメーカーなどでは、極々当然に行われています。
しかし、ハウスメーカーのような組織で、しかもプロ集団が、建築の流れ、物流、倉庫などのを完璧に押えてやるから出来るのであって、素人がやると大変なことになります。
そこで、登場するのがCM会社です。
CMを専門にやっている会社もありますが、別にCMを専門にやっている会社に頼む必要性もなく、普通の設計事務所でCMを得意とするところに依頼するというのでも、一定の効果はあげられます。
設計事務所の中には、過去にゼネコンで現場監督の経験があったり、ハウスメーカーの購買発注関係の仕事をしていた人が独立してやっている場合もあります。
普通の設計事務所、もしくは設計しかやったことのない建築士の見積のチェックというのは、粗雑なチェックになり勝ち(というか、良くわかっていない)が多いですが、現場監督、購買発注、積算の経験がある建築士がいる設計事務所であれば、充分にその効果をあげることができます。
もちろん、建築主にその能力があれば、建築主がそれを行うことも出来なくはないのですが、一戸建ての注文住宅レベルなら別として、3階建て以上で10戸以上あるような共同住宅などで、この能力が無い人がやると大変なことになります。
ある知人が設計した現場で、こんなことがありました。知人は桜田先生(仮名)という、私よりもちょっと早く一級建築士になって、まもなく一級建築士暦20年というベテランです。もともとゼネコンの設計部や工事管理部にいたキャリアもあります。
建築主は山岸さん(仮名)という方で、相続で一定の資産を得て、将来のことを考えて、相続した土地に賃貸マンションを作ることにしました。この建築主の方は、まだ、現役で働いている方です。仕事は、産業機械を開発する会社の技術系の方でした。
桜田先生が設計した、マンションは地上9階だての52戸のマンションです。
簡単な概要ですが、1階はエントランスと管理人室と駐車場。
2階~6階までがワンルーム(約25㎡)で各階8戸の計40戸
7階~9階までが2LDK(約50㎡)で各階4戸の12戸
このマンションで大変な問題が発生しました。
どのような問題が発生したかについては第2話で書くこととします。