阪神大震災の当事を考える
今日は阪神大震災から15年です。
その日、私は東京にいました。まだ、駆け出しで、会社まで歩いて10分のところに住んでいた(実家)私は、いつもの様に家を出る20分前に起きて、テレビをつけて、仕事に行く準備をダッシュでしていました。普段は、テレビはろくに見ている訳でもないのですが・・・
しかし、その時、テレビから流れる音を聞いて画面に目をやって、しばらく止まりました。
『ありゃ・・・。大変なことになってるねぇ・・・。』
その時の感想はこんなもんでした。
実際に東京では、朝の朝刊に震災の記事が出るわけも無く、朝、テレビを見てない人、ラジオを聴いてない人は、震災があったことを会社で知らない人も沢山いました。当時は携帯も殆どの人が持っていませんでしたし(持っていてもせいぜいポケベルだったかな・・・)、インターネットはまだありません。(Windows95が出るのはこの年の暮れです。)
私には神戸市東灘区に父の兄夫婦と従兄弟3人が住んでいました。震災の大きさが解らなかった私はとりあえず、テレビを見た直後に電話したのですが、繋がりませんでした。(回線パンクのためか・・・)何回か電話したのですが繋がりませんでした。すでに会社に行かなければならない時間は過ぎていたのですが、慌てて両親に電話しました。私の両親は当時、アメリカ合衆国のボストンに住んでいました。(今もですが・・・)私の母がボストンから神戸に電話すると何故か繋がりました。解ったことは、叔父と叔母、それに従兄弟3人のうち、2人は健在ということでした。従兄弟一人は港で夜勤で帰れなくなり、後に無事であることがわかりました。
私は震災から2ヶ月間で2度神戸に行きました。
まだ、高速道路が横たわっていました。
道路が隆起し、建物は被害のない建物を探すことが困難なぐらいでした。
私の従兄弟のうち、一人はその年の2月に結婚をする予定でしたが延期となりました。
結婚式場となるホテルは隣の建物に寄りかかっていました。式に参列するはずだった、友人や会社の同僚も何名か亡くなりました。
私の良く知っている、ある会社の社長(当時は専務)は家がめちゃくちゃになり、子供を助けようと思って眼鏡を探したけど、眼鏡がどこかにいってしまい、とんでもない苦労をしたそうです。明るくなって、スペアの眼鏡をなんとか見つけて部屋を見渡すと、テレビが置いてあった反対の壁に刺さっていたそうです。その方は近視では子供も助けられないと言って、その年にまだ、日本では珍しかったレーシック手術を受けました。
今、私たちは大きな災害に備えているでしょうか?
あなたの家には火災報知機はついていますか?
※東京では本年4月1日より住宅の各寝室は設置義務があります。
今日は、あちこちの番組等で震災のことを放送したりすると思います。
「そんなこともあったね。」
で終らせるのではなく、自分が震災に遭った時の備えがあるかを確認してみてはいかがでしょうか?
2010 不動産市場 予想
今日から仕事初めという方も多いと思います。
私は6日からという感じで今日はまだのんびりしています。一応、今年は何をしようか・・・などとまったりと考えています。
さて、今年、自分が何をするかを考えるに当って、市場がどんな風になるかを考えておかないと、行き当たりばったりになってしまいます。(まぁ、大体、行き当たりばったりなんですけど・・・)
というわけで、私の思う不動産と建築市場の予想を書いておこうと思います。
住宅市場
住宅市場は、今年は去年ほどではないですが大幅な回復は難しいと考えられます。
というのは、一部のエリア、特に東京都心部では価格が反転して上昇を始めると思います。しかし、これは短期的な現象の可能性もあります。東京都心部では、相当に品薄感が拡がっていますし、昨年からの『今が買い時』という感覚が拡がっているから、価格は上昇するとみています。
ところが、このテクニカルな動きに、ファンダメンタルが追随できるかは微妙な状況です。アジア市場が牽引する経済成長に乗れた企業などの業績は回復しても、住宅を買うのは、企業ではなく従業員です。給料の安定や雇用の安定が無ければ、テクニカルによる価格の上昇などはすぐに息切れしてしまいます。
住宅に関してもエコポイントなどの話がありますが、以前にも書いた通り、エコポイントを取得することで仕様が上がり、建物価格が上昇して、その分がエコポイントで安くなっても、市場の活性化にはつながりません。供給戸数(注文住宅などの含む)は昨年並みで、ただ、太陽光発電や燃料電池などが今までよりも増えるだけで終る可能性が高いと感じます。やはり、住宅市場の活性化は今までの様な減税、免税などの処置や金融保証などの制度の方が有効かと考えています。
それ以外の政令都市級エリアや東京郊外では昨年並みかまだ下落を続けると思います。
東京はまだまだ、人口が増えていますし、個人所得や雇用自体も地方都市に比べたらよい状況ですから、上記の様なテクニカルな動きも発生しますが、地方都市などでは、まだまだ下落が続くと思います。これは、そもそもH19年まで続いた、不動産ミニバブルの際に地価、不動産価格があまり上昇しなかったことにより、下げ渋っている感が強いです。しかし、需要価格は、まだまだ下にあることから価格は下落すると考えています。
政令指定級都市未満の都市は構造的な問題、特に労働者人口(購入層)の減少に歯止めが掛からないことからも今年に限らず、下落をしていくと考えています。
公示地価ベースで言えば、タイムラグもあることから、去年ほどは下がらないにしても、下落は続くと考えられます。
戸数に於いては、昨年がさすがに供給量を絞ったことから、完成在庫等も減ったことから増加すると考えています。しかし、分譲住宅(マンション、分譲戸建)は微増すると思いますが、注文住宅は伸び悩むと思います。また、賃貸住宅(特に投資用)は、今年も微減すると思います。投資用マンションは金融機関の個人向け貸付金額が3割ぐらい上がらないと市場の活性化は難しいですが、現在の不動産価格や供給過多の状況を考えると、その実現はほぼ不可能と言っていいでしょう。
住宅市場総括
供給戸数は前年度ベースでは増加するが、平成22年1~12月ベースでは100万戸にギリギリ到達できない。価格は東京都心エリア以外は微下落。
オフィス市場
オフィス市場ですが、こちらは住宅市場よりも酷いと考えています。
オフィスの空室率は依然として高いところで推移すると考えています。超一等地の新築大型オフィスの賃料が大幅に下げてなんとか空室を埋めたとしても、ある意味のストロー効果で中途半端なエリアの中古物件は相当に苦しいことになるはずです。また、供給量が明らかに多すぎることも問題です。
例えば、東京の丸の内、八重洲エリアは家賃の大幅下落の効果などで、グループ企業の集約などを考える企業が入居する可能性はあります。しかし、グループ企業が入っていた様な小さなビルは当然に空室になり、家賃を下げてなんとか入居させても、その入居者のいたビルが空になるという現象が発生します。その対象が日本橋○○町、八丁堀などの周辺エリアです。
東京エリア以外のオフィス市場はもっと酷いことになると思われます。
まずは、この市況下で地方都市の支店等は統廃合が進みますから、政令指定都市未満のオフィス市場は崩壊すると考えられます。実質空室率が30%を超える都市が乱立すると考えています。政令指定都市クラスでも名古屋や仙台はそもそも、乱開発が進んだために完全に供給過多です。大阪は関西圏の経済が沈んだままなので回復には時間がかかります。
唯一、現状維持か微回復の可能性があるのは福岡エリアでしょうか・・・。というのは、下落するところまで下落している上にこれ以上、下落する理由が見当たらないことと、九州新幹線などの逆ストロー効果で九州南部の経済が集約される可能性があるからです。その効果が少しずつ現れてくるのではないでしょうか?しかし、九州西部の過疎化は更に加速するということも考えられます。
オフィス市場統括
空室率高止まり、賃料はエリアを平均すれば下落は続く。
商業系市場
商業系の市場ですがこちらも好転する兆しは見えないと考えています。そもそも、商業系の市場は消費の回復が重要になるのですが、ファストファッションなどの一部の業態を除けば大幅に回復するとは考えにくいです。最近、ファーストフードのSubwayが80店舗ほど増やすというニュースが出ていましたが、いずれも居抜き店舗とのことが強調されていました。ということは、他店がいなくなった跡地ですから、全体数は変わらない上にSubwayに出てもらう為に賃料を下げるという現象が起こります。売り手市場の場合なら、居抜き店舗等は造作代が浮くので、高く貸せるのですが、買い手市場の場合は、貸主がスケルトンにしなくて済むという考え方になり、賃料がさらに下がります。
また、ネットショップやネットスーパーなどが定着してきていることも、商業系の市場を圧迫していくことになります。たしかに、一部の高級ファッションなどは実物を見たいと思うものもありますが、全体的に商業系の市場が減れば、その様な業態の不動産賃料も大幅に下落します。
また、飲食店業界も数がこれ以上に増えるということは需給バランスから考えれば難しく、単純に業態変更などが行われるだけです。また、外食産業はデフレスパイラルの影響をまともに受ける業態です。当然、価格競争をすれば、最初は規模の拡大で補おうとするはずですが、その内に既存店の収益悪化から、不採算店の閉鎖を余儀なくされるはずです。ファーストフードや牛丼などは不採算店の閉鎖や経営統合による店舗併合などの統廃合が今年後半から加速すると考えています。
ミクロ的な話で言えば、携帯電話の売上げが下がれば、携帯ショップも減るでしょうし、一休やじゃらんなどのネット旅行代理店の様なものが増えれば、店舗型旅行代理店も減っていくはずです。
エリア別に見ると、銀座・表参道は定期借家契約の満了による退居という現象が今年は起こります。平成16年ごろから行われた銀座や表参道の商業施設の開発で、賃料も大幅に上がり、またファンドを出口戦略にしていたことから、多くの物件で定期借家契約が締結されています。この崩壊は間違いなく起こるはずです。
大阪は前述の通り、景気低迷が引きずっていることもあり、商業地の統廃合が進まないと苦しいはずです。どこもかしこも、全部を回復させるのは、今の大阪では難しいと考えています。
逆に名古屋はチャンスがあるかもしれません。オフィス市場の過剰供給に比べれば、商業系市場の供給はさほどでもありませんし、また、もともと閉鎖的な習慣があった場所で、東京資本などが参入しづらいエリアでもありました。
商業系市場統括
極一部のエリアを除き、賃料は下落、新規の開発は難しい。定借物件からの解約が相次ぎ空室率も上昇する。
また、悲観的な記事を書いてしまいました。しかし、現実はもっと酷いことになる可能性を持っていると思います。これくらいの予想の中で、不動産市場の中で何を自分がしていくかを考えてみたいと思います。
読みにくい文章で長いけど・・・
戸建住宅の価格
本日の日経新聞第12版15面に
積水ハウス、赤字106億円
2~10月最終 販売棟数が落ち込む
と出ています。
積水ハウスは売上げ高1兆3800億円で、ダイワハウス程ではありませんが、やはり戸建住宅以外の分野や、海外進出もしているので、純粋に売上げや純利益が、戸建事業によるものとは言えません。
そして、その積水ハウスの左下にちょっと小さい記事ですが
飯田産業、純利益26億円に 5~10月
飯田産業はハウスメーカーというよりもパワービルダー(分譲住宅専門業者)です。売上高も527億円と積水ハウスと比較することはちょっと難しい会社です。また、エリアも殆どが関東中心の会社です。
飯田産業は、飯田建設工業(現在の一建設(09年11月上場))から分離した会社で、そういう意味では同業の東栄住宅等と親戚筋にあたる会社です。
私も同じエリアのハウスメーカーにいたことがあるのですが、飯田産業や東栄住宅が有名になりだした頃(平成10年ごろ)には、
「あんな家、売れるのかなぁ・・・」
と、思うぐらい安普請な家でした。(今も決して高級とは言えませんが・・・)
しかし、その値段は驚異的な値段であったことを思い出します。
分譲住宅と言うのは、土地付き一戸建てですから、ぱっと見た目では、土地の値段と建物の値段がわかりにくいですが、消費税が出ているのでそこから逆算すれば、建物の値段がわかります。
当時の値段で、私が勤めていた会社と、同じ大きさの家で、坪単価で20万円ぐらい、価格にすると600万円ぐらい、比率にすると30%ぐらい違いました。
戸建住宅と言うのは、簡単にコストを下げられるものではありません。色々な材料費を削ったり、工法を改善して工期を短縮して人件費を圧縮したりと、それを一生懸命やっても坪単価で3万円下げるのは気が遠くなる話です。そこに於いて、20万円/坪というのは決定的な差と言っていいでしょう。
もちろん、仕様も間取りも決定的に違うもので、同じ客層で勝負するものではありませんでしたから気にしませんでした。また、クレームなどの対応の問題点もあったとは思います。
しかし、現在の様にデフレスパイラルが続き、また、所得も減少傾向にある中で、ある程度のシェアを獲得しようとすれば、ユニクロではないですが、低価格化を進めることは必然のことだと思います。
その、コストダウンの手法は飯田産業ではなく、上記の親戚会社の方から聞きましたが、老舗のハウスメーカーが簡単に真似できるものではありませんでした。
今の日本の住宅コストというのはいずれにしても高いと考えています。
これは、所得に対する住宅に掛ける費用が先進国の中でも高いことからもいえます。その割りに供給過多という状況もあります。建設業界そのものが多様な問題を抱えているだけに、一筋縄で解決できるとは考えていませんが、遵法性を守りながらコストダウンをしていけば、そこに勝者が現れると思います。
その為には古い概念に囚われない住宅メーカーの出現が必要なのかもしれません。
元住宅の技術屋だけにこんな記事になったけど・・・
家賃保証会社に許可制
今年、最後の三連休ということもあり、朝はゆっくりと起きました。
(いつも休みの日はまったりと起きますが・・・)
今日の日本経済新聞14版1面と3面に・・・
賃貸住宅 借り手保護
家賃保証会社に許可制
修繕履歴を入居前開示
という記事がでていました。
概要は・・・
国土交通省は2010年度から、賃貸住宅の入居者をトラブルから守るための対策を拡充する。家賃の支払いが滞ったとき、家賃の保証会社に強引に退去させられることを防ぐため、保証会社に許可制の導入することなどを検討する。持ち家の促進を優先してきた自民党政権の住宅政策からの転換を民主党政権は掲げており、国交省は賃貸住宅の利用を後押しする。
民主党は前回の衆院選のマニフェスト(政権公約)で「賃貸住宅の整備」を掲げ、生活者重視の一環として賃貸住宅の利用を促す方針を示した。不動産価格の下落で持ち家を資産として持つことに消極的な人が増えていることも背景にある。自民党政権は住宅ローン減税など住宅取得の促進を優先してきた。
日経ネットより
詳しくは日経新聞を読んでください。
そもそも、家賃保証会社の無茶な取立てや敷金返済の問題は貸し手側の問題だけではありません。借り手のモラルの無さに寄与する部分も大分あります。
ただ、これから賃貸住宅の需要はさらに多くなっていくと私は考えています。
しかし、借り手を保護することで貸し手の負担を国が支援(税金を使う)するというのでは、なんの意味もありません。
家賃保証会社に宅建業者資格の保有と許可制は必要なことかと思います。
その他にも・・・・
・ 原状回復義務内容の法律化(条例化ではなく、全国統一という意味からも法律化)
・ 保証金、敷金の償却の禁止
・ 借り手の違反行為(賃料未納、迷惑行為など)の場合、立退きに関する裁判の簡素化。(簡易裁判等により、即決で行政執行ができる体制を作る。 目標としては未納後1ヶ月で訴え、1ヶ月で判決、1ヶ月で行政執行。簡易裁判に本人もしくは代理人の1回の出席で終了。)
などの法整備が必要かと思います。
現在の経済状況下においては持ち家思考は減退していくと考えられます。
・ バブル崩壊後に例外を除けば、不動産価値の上昇は望めず、むしろ、下落傾向にある。
・ 所得や就業の不安定による、住宅ローンの不安。
それに対して、賃貸住宅は経済状況に応じて変化します。
・ 不動産価格の下落や経済状況の悪化で賃料も下落する傾向にある。
・ 自己の経済状況に合わせた、住宅を選ぶことができる。
もちろん、それぞれのメリットやデメリットは他にもあるわけですが・・・
しかし、賃貸住宅について貸し手も借り手も、少しは勉強することが肝心です。
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と、この辺の本かな・・・。
貸し手は借り手がどんな問題を抱えているのかを勉強しておくことが特に大事です。
自分の大切な資産を守るために・・・
そして、借り手は悪徳業者にひっかからない為にも、少しは勉強してから、部屋を探してください。
また、新聞ネタだけど・・・
事故物件
事故物件という言葉を知っていますか?
事故物件とは『自殺』、『他殺』、『事故(転倒、溺死等)』によって死亡事故が発生した物件を事故物件と言います。『寿命』や『病死』は事故物件に含まれません。
亡くなった方には申し訳ないですが、大家さんにしてみると、大変に迷惑な話です。
事故物件は、重要事項説明でちゃんと説明しなければなりません。ただ、一度、入居者が入ってしまえば、次の入居者には告知義務が無いというのが一般的な見解になっています。これを悪用して、その賃貸住宅が法人所有である場合には、とりあえず、その会社の社員に入居させます。(実際に住まされる社員はかわいそうですが・・・)
実際に、都心部でそこそこ賃貸住宅の高い場所であれば、大幅に賃料を下げれば、
『そんなことは気にしないよ。』
という人もいます。
しかし、地方で賃貸住宅が余っていれば、致命的な問題です。
また、普通にこっそりした自殺だったり、事故死で、東京23区などの都心部であれば、2~5年もすればマンションの住民も入れ替わり、そこでの自殺や事故も忘れられるかもしれません。
しかし、それが地方であればその事実は周辺の人々の記憶からなかなか消えることはないでしょう。
そして、それがテレビで話題になった『他殺』だったり、周辺住民に避難勧告がでた、『硫化水素自殺』だったりすると、なかなか忘れられることも無く、東京でも大変なことになります。重説で説明しなくても、みんな知っているなんてことになりかねません。
例えば・・・
江東区潮見のバラバラ殺人を覚えているでしょうか?
ご存知ないかたは『潮見 マンション 事件』でGoogleで検索してみてください。高裁判決(無期懲役)までいくらでもヒットします。
こちらのマンションは某法人が所有しているのですが、事件後は大変なことになっています。
これだけ話題になったわけですから、もう大変です。重説で済む話ではありません。
その部屋の賃料は1万円未満になったと聞いています。(犯人の部屋も被害者の部屋も・・・)
そして、事件のあったフロア(9階)は空室率が80%以上・・・
当然、8階も空室が目立っています。
その賃料も採算度外視の賃料になっています。
今年の7月に宮城県北部で自殺のあった住宅で所有者が、実際の賃借人(自殺者は賃借人の奥さん)に対し、損害賠償を請求する裁判が起こりました。結果は知らないのですが・・・
電車に飛び込み自殺をすると、鉄道会社から、とてつもない金額の請求が来るという、都市伝説がありますが、賃貸住宅で自殺をすると、実際の賃借人や連帯保証人に損害賠償請求が行くというのは都市伝説では、ありません。
敷金と保証金
本当は一気にリストラの話を書こうと思っていたのですが
あるテナントから、敷金と保証金の違いについて聞かれたのでちょっと書いておこうと思います。
敷金については、ちゃんと民法にも定義されており、簡単に言うと
※原状回復等の費用への充当=損害の担保
※賃料の担保
となり、敷金の預かりも賃貸借契約の一部となり、敷金の預かり差し入れは建物賃貸借契約の始期と終期が一致します。
そして、物件所有者が破産して、物件が競売の対象になったとしても、敷金は競売で取得した所有者が引継ぎます。
保証金については私も法律的な定義はありません。
簡単に言うと曖昧なものなんですが・・・
本来の目的は
※所有者が建物を作った(リフォームした)際の資金を早く回収しようとする。
ただ、一般的な解釈としては保証金の差し入れは
『金銭消費貸借契約』
となり、建物賃貸借契約とは連動しません。
重要なのは保証金は建物所有者は破産した場合、一般債権と同じ扱いになるので、当初の契約通りに戻ってこないということです。建物所有者が破産すれば、殆ど何も戻ってこないでしょう。
賃貸住宅の場合は敷金は0ヶ月~3ヶ月(敷引きは除く)が一般的ですが、事務所や商業ビルの場合は多額の保証金(家賃の6ヶ月~100ヶ月)を求める場合があります。
保証金の性質をちゃんと理解していて、そのリスクを背負って賃借する場合は、費用対効果の問題なので私がどうこう言うことは無いのですが、実際には多くの方(法人を含む)がこのことを知りません。
多額の保証金を求める物件はよくよく注意してください。
※貸主の与信調査などは長期契約の場合にはまったく意味がありません。10年後の貸主の財務状況を保証するものなんて何もないですから・・・。
さて、あとでリストラの続きを書くから・・・
【高裁判決】更新料無効
先日、書いた『敷金無効判決』の続編です。
本日の日経新聞社会面に更新料無効の判決が出ています。
更新料というのは、賃借人からしてみると、たしかに解り辛いものです。
簡単に言えば、必要性の有無は別として、契約書の作成、貸主の賃料補填などです。
この京都の事例の場合は家賃45000円に対して、1年更新で更新料が10万円です。
更新料の何%を仲介業者(もしくは管理会社)に支払ったかの問題はありますが、半分としても貸主に支払われる更新料は5万円です。
とすれば5万円÷12ヶ月=4166円/月となり、実質的な賃料は49,166円となります。
今回の事例は『やりすぎ!』という感が否めません。
アットホームなどで賃料の安い順に検索をしても、共益費があったり、更新料、礼金、保証金の償却、そして契約期間がバラバラなので実質的な賃料の比較が難しいのが、賃貸物件の問題です。
以前も書きましたが、敷金と礼金がゼロのゼロゼロ物件の場合、安いですがそれなりに大きな問題を抱えているので、安ければ良いというわけでもないのですが・・・。
いずれにしても、消費者(賃借人)に対して、恐ろしく解りにくい業界です。(携帯電話の料金体系よりも解りにくいです。)
しかし、今回の判決のポイントは
・借主と貸主の情報収集力格差があり、自由に条件を比較できず、取引は対等とはいえない。
・対価などの法的根拠について説明がなく更新料には賃料が安いとの印象を与え契約締結を誘う役割しかない。
の2点がポイントとなります。
※たしかにレインズなどは業者しか見れないので、貸主と借主では決定的な情報収集力格差はあります。プロ同士でさえ、大きな情報格差がある世界なので、プロと素人では比較になりません。
※法的根拠・・・と言われると、「商習慣」としかいえません。まぁ、貸主側の一方的な事情です。
つまり、『礼金』や『保証金の償却』も明らかに今後はこの対象になるでしょう。
貸主側が上告するみたいなので、最高裁判決に注目となります。
事と次第では我々の業界も大きく見直さなければならないことになります。
また、時事ネタっぽくなったけど・・・
西武新宿線の物件
今、現場から帰ってきました。
汗だくです。
これから、また打合せです。
本日の打合せはこちらの先輩です。
飛岡晃美@部屋探しの達人(ブログ閉鎖済み)
いつも物件の相談に乗ってもらってます。
飛岡さんは、賃貸住宅でお客様のことを一番に考えてくれる方ですが
人脈が広いので、賃貸住宅以外の件で、いつも相談に乗ってもらっています。
飛岡さんの会社
は私の自宅から近いので
今日は直帰しちゃいます。
西武新宿線で物件を探している方は飛岡さんに連絡してみてください。
きっと、親身に相談に乗ってくれます。
では、行ってきます。
暑いけど・・・
暑くて寝苦しいので・・・
冷夏だの日照不足だのといっても、やはり暑いものは暑いです。
暑くて目が覚めてしまいました。
昨日は終戦記念日(刺身の日ともいいますが・・・)ということもあって、テレビ番組では戦争に纏わる話がかなりやっていました。そして、『硫黄島からの手紙』を見てしまいました。映画館でも見て、DVDも持っているのですが・・・ついつい、テレビも見てしまいました。かなりの感動作だと個人的には思っていますが、不景気の時に見ると十分にネガティブにさせてくれます。
- 硫黄島からの手紙 [DVD]
- ¥1,337
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ネガティヴになりますって書いて、誰がクリックするんだろう・・・
さて、暑い時と言えば・・・怖い話に決まっています。
私は分譲住宅を作る会社にいたのですが、随分、多くの分譲住宅に関わりました。以前にも書いたかもしれませんが、1000戸以上の分譲住宅に関わっています。住宅産業というのはクレーム産業でして、そのクレームの多さは他の製造業の比ではないと思います。
さて、そんなクレームの中で、ある時でした。
アフターメンテナンス部のS君から電話です。
「相澤、○○町の4号棟のお客さんからなんだけどさぁ・・・。床下から変な音がするっていうんだよ。心当たり無い?」
※○○町は私が設計した都内の分譲団地で全8棟でした。
「ん?床鳴りか?」
※戸建住宅のクレームで多いのは雨漏り・外壁のクラック(湿式工法の場合)・床鳴りです。
※床鳴りとは根太と下地合板もしくは下地合板とフロアー材の擦れる音もしくは、それをくっつける接着剤が割れて、床の上を歩くたびにミシミシ、キュッキュッ、もしくはパキッ という音がする欠陥です。
「いや・・・。見てきたんだけど、床鳴りはしてなかったよ。」
「なんだ、もう行ってきたのか・・・。じゃあ、原因は解るだろ。」
「いや、それがわからないんだよ。俺が行ってきた時にはまったく音がしなかったんだ。」
「お客さんの勘違いじゃないの?」
「う~ん。最初はさぁ、そう思ったんだけど、お客さんがその音を録音してきたんだよ。」
「録音!?珍しいお客さんだね。で、どんな音なの?」
※ハウスメーカーのお客様対応が悪いと、証拠を提示するお客さんはいるのですが、私がいた会社は対応がすごく良くて、クレームがあると、係りの者がすぐに行きます。
「ちょっと、こっちまで来て聞いてくれる。」
「了解。すぐに行くよ。」
S君と私はフロアが違ったので、とりあえず、私はS君のフロアに行きました。すると、S君とその上司のI部長が待っていました。カセットデッキを用意して・・・
I部長が・・・
「おっ、相澤来たな。お前、なんか悪いことしただろ?」
「へっ?するわけないじゃないですか?」
「まぁ、この音を聞いてみろよ。」
カセットのスイッチを入れると・・・
最初に聞こえるのはなんかガサガサという音です。
「なんです?この音・・・」
「あっ、これはカセットが古いせいだな・・・」
『雑音かい!』
と言いそうになったところで
「まぁ、この先だ。ちょっと静かに聴いて。」
ひゅ~ひゅ~と風が通り抜ける様な音がはっきりと聞こえます。
「なんですか、この音?換気扇回したまんま、窓か給気口のところで録音しました?」
「これ、どこで録音したと思う?」
「わかりません。」
「お客さんが床下から音がするっていうんで、台所の床下点検口からカセットを床下にセットしたそうだよ。」
「なんだ・・・音の発生場所、解ってるんだ。で、そこに何があった?」
I部長とS君は見合わせました。そして・・・
「何もないから、相澤に聞いてるんだよ。」
「何も無ければ、私だって解りませんよ。っていうか、この音は明らかに建物の発生する音じゃないと思うんです。と、すれば私が何かわかるとは思えません。」
「じゃあ、なんの音に聞こえる?」
「風が通り抜けるような音に聞こえますが・・・」
「もう、一回、よ~く聞いてくれ」
今度はヘッドフォンを渡されました。そして、再度聞くと・・・
「あっ・・・」
たしかに、聞こえます。『ひゅ~、ひゅ~』の後に「うぅぅぅ・・・」という唸り声の様な音が聞こえます。
「な・・・なんですか・・・。なんか、風の音じゃなくて・・・。人が息苦しそうに呼吸している音に聞こえます。そして、唸り声の様な音も聞こえます。」
「だろ・・・」
「だろって・・・。これ、クレームというか・・・。設計の私の出番じゃないと思うんですけど・・・」
「そうだけどさぁ・・・。相澤は設計だろ。建てる前にここに何があったとかわからない?」
「いえ・・・。私が担当として、現場に行った時には完全に造成が終っていましたから、なにもありませんでした。ただの土地でした。」
そういえば・・・と思うことが脳裏をよぎりました。
「あっ、地耐力のデータがありますね。ここはたしかボーリングもしてます。」
「地耐力じゃあ、音の原因はわからないだろ・・・。」
「でも、ボーリングのサンプルで地質ぐらいはわかりますよ。」
というわけで、地耐力のデータを見ると・・・
「なんで1m~3mまでの地耐力が殆どないんだ?」
「なんででしょうね?全く無いわけじゃないから空洞ってことはないですが、これは何か埋め戻してるような感じですね。」
ボーリングのサンプルを見ると・・・
「なんか、腐った木片みたいなものが、3mぐらいのところにあります。」
「なんかが埋っていて、それを埋め戻したのかな?」
「とにかく、造成をした会社に聞いてみることにするか」
というわけで、造成をしたG社の担当に電話しました。
「○○町の4号棟付近なんですけど、なにか埋っていました。」
「ええ・・・。なんでですか?」
「いや、そこだけ、地耐力が出てないんですよ。」
「すでにお家も建てたから、今更なんで地耐力のことを聞くんですか?」
※明らかに何か、隠している様な雰囲気です。
「もう、地耐力の件はいいんですよ。ただ、そこに何があったのかを知りたいだけなんです。」
「あの・・・。別に隠すつもりは無かったんですよ・・・。」
「な・・・にを?」
「防空壕があったんです。」
ということでした。造成業者はなにも悪く有りません。
ただ、こっそり、お坊さんを連れて行き、外からお祈りをしてもらいました。
(まさか、お客さんに防空壕の上です・・・とも言えず・・・。重要説明義務も無いだろうし・・・。)
その後、そのお客さんからのクレームはありません。
その音が何の音だったかは、みなさんのご想像にお任せします。
また、くだらない話だけど・・・
首都圏マンション発売戸数
本日のニュースで・・・
<新築マンション発売>減少幅1ケタに…7月の首都圏9%減
不動産経済研究所が13日発表した7月の首都圏の新築マンション発売戸数は、前年同月比9.1%減の3230戸だった。前年割れは23カ月連続だが、減少幅は3カ月ぶりに1けた台に縮小した。同研究所は「底が見えない状況からは改善してきたが、劇的な回復はあり得ない」と分析している。
しかし、本当に底が見えない状態から改善してきた・・・のでしょうか?
この前年同月比9.1%減という数字だけを見ると、先月が前年同月比23.1%減との比較で考えれば、発売戸数の減少に歯止めが掛かっているような感じもします。
しかし、去年のこの頃のニュースを見ると・・・
前年同月比44.5%減、1996年10月以来の下げ幅・・・
全部読みたい方はこちら・・・http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-33256520080814
とあります。
つまり、去年のこの時に、物凄く減って、そこから、さらに減ったということです。しかも、去年のこの時点で価格の下落が問題になっていて、価格も、そこからさらに12%下がっているのですから、底が見えないところから脱したと言われても・・・
ただ、ある意味、「底が見えない状態からは改善してきた」のかもしれません。
そりゃ、発売戸数がマイナスになることはないから、底が見えないというより、
「ほぼ、底辺に張り付いた。」
というのが、現状でしょうか。
ありえないことですが、発売戸数が100戸/月になって、翌年の同月の発売戸数が100戸/月になっても「前年同月比で変わらず、景気回復へ!」と見出しに出るとはとても思えません。
このまま、推移すれば1993年を割り込むのは必至です。つまり、過去20年の中で最悪になります。
※これより、前になると、単純に景気動向でのマンション供給戸数が比較できなくなります。人のマンションに対する嗜好性が現在とは全然違い、戸建の方が圧倒的に人気があったためです。また、首都圏人口の差もあります。
所得の安定もしくは向上が見込めないと、回復軌道には乗ってこないでしょう。
まだ、アウトレットマンション(だいぶ聞かなくなりましたが・・・)の在庫が少しあったりもします。そこら辺の損切り赤字マンションが出払ってしまうと、データ的には余計に苦しくなるかもしれません。
ただ、価格も底値に近づいているのかもしれません。
マンションの専有辺りの施工原価は100万円±α/坪ぐらいです。(仕様にもよります。)
とすればデベの利益を考えても20坪で2200万円±αは絶対にします。
あとは土地代ですが、最近のマンションの広告を見ていると
「これって、土地代でてるか?」
と思うようなものもありますから、まさに価格は下げ止まりに入っているかもしれません。