9年連続200本安打とWBCに見るイチロー

イチローがメジャーリーグ、9年連続200本安打を達成しました。

ものすごい記録です。

過去に8年連続200本安打を記録した人が

日露戦争の頃の人というのだから想像ができません。

私は野球は好きですが、特別にイチローに関心はありません。

基本的に、メジャーリーグはボストンレッドソックスを応援してます。

※実家がボストンの為・・・

しかし、イチローの凄いことは200本安打も去ることながら、

それを9年間持続したことにあると思います。

今年の春にWBCがありました。

ずっと、見ていた方は彼がどんなに酷い成績だったかは知っていると思います。

最後はイチローのヒットで優勝したのですが

「心が折れそうだった・・・」

彼のコメントに全てがあったと思います。

今日、私はうちの『美人』!?『女性社員』に言いました。

「お前の常識が世の中の常識だと思うな」

と・・・

うちの社員はよく物を知っています。知識(※1、2)だけなら私以上です。

※1 建築は私が上、不動産実需はうちの女性社員が上・・・

※2 図面を描くスピードは女性社員が上、能書きは私が圧勝得意げ

細かい話は後日書きますが・・・あるデベロッパーが

彼女にとっては当たり前のことを知らないで大きな取引を行いました。

その結果、大きなリスクを背負うことになりそうでした。

それを私がそのデベロッパーに指摘した際に彼女は

「プロなんだから知っていて当然だと思います。」

と言いました。

人はどんなに優れていてもスランプもあります。

人が当たり前に出来ることが出来ない時もあります。

イチローでも打てない球はあります。

イチローだから、打てて当然・・・・

そんなことはないと思います。

もし、彼が・・・

「俺だから打てて当たり前・・・」

と思っていったら、この記録は達成しなかったと思います。

驕らず、慢心せず、自分自身を客観的に見つめなおす、

それが大事だと思いました。

自分に言い聞かせてるだけだけど・・・

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YKTK GKTK TMK

先日、NHKスペシャルにて

『金融危機1年 世界はどう変わったか』

をやっていました。

ヘッジファンドが再び不良債権化した不動産を買い漁っているという内容だったのですが・・・

日本でファンドによる不動産の売買が盛んだったのは平成19年9月ごろまでがピークで、金融商品取引法の改正により、収縮を始め、リーマンショックで壊滅的な打撃を受けていました。

その頃、私はアセットマネージメントやアレンジメントの仕事をやっていたのですが、この頃の会話です。

相手は某銀行を辞めて、不動産ファンドの役員をやってるIMさんと、デベロッパーを辞めて、同じ不動産ファンドのS課長(女性)です。

「相澤さん、今回の物件は受益権のまんま取得しようと思うんですよ。」

「それは良いけど、あの建物、違法増築があるから、新たに受託してもらえるかね?」

「そこでご相談なんですが、それを治癒できませんかね?」

「大々的に工事すればできないことは無いかもしれねいけど・・・」

「じゃあ、現物で取得するしかないですか・・・。じゃあ、YKTKは使えませんか・・・」

「IMさん、今はYKTKじゃなくて、GKTKですよね。」

「そ・・・そうだな・・・。YKに慣れてたからなぁ・・・」

「どうします?」

「じゃあ、現物で本物件だけ、TMKでいきますか・・・」

この、会話についてこれた、貴方は金融不動産業界の人です。

意味の解らない、アルファベットの略語を見て、業界って難しいなぁと思われる方もいるかもしれませんが・・・

このアルファベットの略ごは女子高生の使っているような略語

KY=空気読めない

JK=女子高生

MMK=モテモテ困る

程度のレベルです。

この頃の私はさすがに意味は解っていたのですが、恥ずかしくて使えませんでした。自分が原宿や渋谷にいる子供達と同じレベルの略語を使うことに耐えられなかったからです。

もちろん、私も最初に聞いた時には全く、意味がわかりませんでした。

また、違法建築部分を直し、合法の建築物にすることを『治癒』と表現していますが、『治癒』は生きているものの病気を治す時に使う言葉で、建物の場合は『直す』ですから、日本語としてもデタラメです。

さて、ここで使われている略語は・・・

YKTK:有限会社匿名組合

GKTK:合同会社匿名組合

TMK:特定目的会社

なんで二文字熟語の頭文字のイニシャルを取って無理矢理、略そうとしたのかはわかりません。

しかし、この難しい不動産略語を使っていた連中の給料は物凄い高かったのですが・・・不動産や建築の本当のリスクは何もわかっていなかったのが滑稽でした。

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リストラ ~第6話~

連載シリーズ 【 リストラ ~第6話~ 】 第 6 話 / (全 16 話)

私は役員会議室に呼ばれました。待っていたのはI常務でした。

「少しは、営業企画の仕事には慣れてきたかね。」

「おかげさまで、なんとか、着いていける様にはなりました。」

「うんうん、それは良かった。S部長から見て、相澤君はどうかね。」

「はい、相澤に来てもらってから、随分と楽になりました。ニコニコ

「そうか・・・。そこで、二人には大変申し訳ないことを頼みたいんだが・・・」

S部長が一呼吸置いてから、聞きました。

「改まって、なんでしょうか?」

「二人には4月から別の部署に行って貰おうと考えている。特に、相澤君は営業企画に来て、半年だから、やっと慣れてきて、すぐの異動だから大変申し訳ない。」

咄嗟に、朝礼のことを思い出しました。

「はぁ、私は構いません。サラリーマンですから行けと言われればどこにでも・・・」

「うむ、すまない。追って正式な辞令は出すから・・・」

私とS部長は役員会議室を出ました。

エレベーターにS部長と乗り・・・

「S部長はご存知だったんですか?」

「何をだ?」

「何を・・・って。異動の件ですよ!」

「いや、初耳だ。しかし、I常務が人事を勝手に決められると思えないんだがな・・・」

「そういえば、R社長は知っているんですかね?」

「さぁな・・・。しかし、R社長が社長を辞めるということでI常務の力が増すんだろうなぁ・・・」

「そうですねぇ・・・」

私は、S部長と私は新規に立ち上げる新商品や新技術を開発する部に異動になると確信していました。

しかし、I常務への権力集中はこんなものではありませんでした。

また、ここから1週間の間で○○が異動になるなどの噂がまことしやかに社内を走り回りました。

今日はちょっと短いですが、明日も仕事なので・・・

中途半端だけど・・・

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消費者庁の家賃

消費者庁の入居する民間高層ビル「山王パークタワー」(東京・永田町)の年間8億円の賃料に対し、民主党が「高すぎる」と批判している問題で、内田俊一長官は10日、記者会見で同ビルを入居先に選定した経緯を説明した。
 選考過程では「立地を最重視した」と語り、賃料を重視していなかったことを明らかにした。
 内田長官や消費者庁総務課によると、ビルの選定は、同庁の前身、内閣府国民生活局が今年3月に公募。千代田区霞が関や港区虎ノ門、中央区築地などの民間ビル18物件が対象となった。各省庁や首相官邸からの距離や、大臣の警備態勢を確保できるかどうか、賃料や使い勝手が適正か――など6項目について採点した。
 18物件の1平方メートルあたりの月額賃料は、1万2957円~7576円。山王パークタワーの月額賃料は、1万1034円と7番目に高かったが、内閣府からの距離が2番目に近いことから、総合的に高い評価になった。内田長官は「各省庁と距離が近いのが選定した最大の理由」と述べた。

読売新聞より引用

リーシングをやっている自分からすると、山王パークタワーなら36,476円/坪なら、募集賃料としては頷けます。まぁ、こんなもんでしょう。

 

しかし、今どき募集賃料で入る民間企業なんかないし・・・。

行政は交渉するのかなぁ・・・。普通に募集賃料のままで入居してるんじゃなかろうかと思ってしまいます。

山王パークタワーは美味しい思いしてるなぁと思ったんですが・・・

しかし、この消費者庁、2013年度に完成予定の内閣府敷地内の合同庁舎8号館に入居予定は無いものの、政府の方針次第では入居も可能とのことらしい。マスコミが騒げばそっちに移転すると思われます。

この合同庁舎8号館は16000坪弱なので消費者庁の1800坪(山王パークタワーの賃貸面積)ぐらいなら、なんとか入れられるだろうと思います。

ということは4年間しか入居しないということになります。

引越し題やら、原状回復を考えるともったいない様な気もするんですが、家賃がなくなるならそっちに移転するでしょう。

ところで、山王パークタワーの賃貸借契約の内容が事業用定期借家で10年とかだったら、頭に来るけど、さすがにそこまでバカじゃないだろうと、信じています。

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美人女性社員

昨晩のブログ
では多くのコメント、メッセージを頂きました。

この場を持って、御礼申し上げます。

しかし、『飛ばし』について書いたつもりでしたが・・・

何故か、話題としては

『女 性 社 員』

あげくの果てに、その本人からは

「『美人女性社員』と書け!むかっ

という、お叱りを頂戴しました。

※追記・・・本人がこのブログを読んで

「書け!むかっ」じゃなくて「書いてくださいパンチ!

と言ったと言っていますのでここに追記します。

『そんな、無茶な・・・汗

と言いたいのを押さえて・・・

さて、今日は気持ちを切り替えて仕事します。

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二流の会社がやることは二流

連載シリーズ 【 二流の会社がやることは二流 】 第 2 話 / (全 3 話)

不動産業界の中の業者間同士でやると信用を失う行為があります。

ちょっと前に『B行為』について書きましたが、それと同じく信用を失う行為があります。

『飛ばし』

です。

『飛ばし』とは、仲介業者1が物件Aを売主Bから預かって、それを購入検討者Cに紹介したとします。購入検討者Cは初めて入手した情報です。しかし、価格が高い、立地が悪いなどと言って断っておいて、別の仲介業者2に売主Bの所に行って情報を入手してこさせます。そして、仲介業者1を介さずに物件Aを購入します。賃貸の場合でも同じです。

もちろん、これが専任物件であれば、成立はしません。

※専任・・・不動産仲介には専属専任、専任、一般の3種類の媒介契約があります。専属専任は依頼した仲介業者以外のルートで契約しても、その仲介業者に手数料を支払わなければなりません。専任は別の仲介業者を介した場合は専任契約の仲介業者に手数料を支払わなければなりませんが、自分でお客さんを見つけた場合は仲介業者に手数料を支払う必要性はありません。一般は別のどの仲介業者を介しても、仲介をしてくれた業者に手数料を支払えば良いことになります。

ところが、専任物件で無い場合は当然ですが、いくつかの仲介業者が同じ物件をいじっているので、同じ情報が購入(賃借)検討者に入る場合があります。この場合は、一番最初に物件情報を持ち込んだ仲介業者が優先されます。暗黙のルールという感じがするのですが、これを破ることで、訴えられて負けたというケースもあるので、暗黙のルールというよりも、公然のルールなわけです。

うちで預かっているビルの一室がありました。地方物件なので仲介することで、内覧やら、原状確認やら、契約やらで、何度かそこに足を運ぶと、賃料も安い為に、うちとしてはあまり利益にはならない物件です。(っていうか、赤字になりそうな物件です。)

しかし、そのビルオーナーにはかなりお世話になっているので、うちとしてもなんとかテナントを付けようと努力していました。

ある中堅のエステ会社Pにお声掛けをさせていただいていて、かなり検討して頂いたのですが・・・

「今回は、見送らさせてください。」

と言われてしまいました。

相手のあることですし、これはこれで仕方がないのですが・・・

本日、ビルオーナー会社の取締役から電話が掛かってきました。

「相澤さん、うちのビルに内覧の申込が入ったんですよ!」

「え、どちらのテナントですか?」

「中堅のエステ会社Pです。某仲介会社を介して内覧の申込がありました。」

『飛ばし』です。

「いやいや、そこはうちが数ヶ月前から紹介している先ですよ。」

「そうなんですか?うちとしては決まってくれれば・・・」

たしかに、うちに専任をだしている訳ではないので、オーナー側には問題がありません。ただ、オーナー側もしっかりしていて、業界ルールを良くご存知で、仁義を通される方の場合は、うちを通す様に言ってくれます。

このビルオーナー会社の社長はそういう方なのですが、この取締役はその社長の息子さんですから、この辺のルールはよく解っていません。

そこで中堅エステ会社Pの担当者M氏にどういうことかを尋ねると・・・

もう、言い訳の言葉が震えているのが解ります。

「あ、すいません。その件はよく解らないんですが、別の担当者が決めたのかな?あせる

「いや、御社の店舗開発はMさんだけだと言ってましたよね。それに上司と相談した上で出店を見合わせたと言っていましたよね。むかっ

「実は私、10月から異動になるんで、別の次の担当がいるんですよ・・・あせるあせる

かなり、苦しい言い訳です。

電話を切ったあとに・・・

「頭に来た。それこそ、契約が成立した時点で裁判してやろうか!メラメラ

と、うちの女性社員の前で愚痴ると、その女性社員が

「社長に事前に言いましたよね。『Pはエステ会社としては二流ですよ。』と・・・。二流の会社はやることも二流っていうことです。私はPが中堅だから二流と言った訳じゃないです。それに、仲介しても、うちは人件費と交通費で赤字になりますよ。まぁ、どうでもいいじゃないですか。ちょっと頭にきますけど・・・社長が怒っても疲れるだけで何の得もないですよ。」

この女性社員の言葉はちょっと、キツイですが、極めて正しく、極めて大人の意見です。(どちらが社員でどちらが経営者か解りません汗

そして、私はこの会社が最初から二流であることの忠告を受けていたのです。

『二流の会社はやることも二流』


『二流の人はやることも二流』

解っていたはずなのに、この『飛ばし』を警戒するの忘れていました。

私のミスです。

しかし、今後、この中堅エステ会社Pに物件を紹介することはないでしょう。そして、私がお付き合いしている不動産会社には、『中堅エステ会社Pは要注意』と教えることになると思います。

狭い社会ですから、あっと言う間にそういう情報は広がります。

リーシングに関して、今後、この女性社員に全てを任せようかと考えています。

そして、持つべきものは優秀な社員であり、信頼できる人間関係だと改めて思いました。

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一級建築士試験 Vol.2

1ヶ月以上前に書いた一級建築士試験の話の続報です。

前回の記事はこちら・・・一級建築士試験

一級建築士試験を受けた方や受けようと思っている方はご存知と思うのですが、一応、受けたことの無い方や受ける予定の無い方の為にザクッと概要を書くと

一次試験 学科試験(今年度から5科目4択、前年度までは4科目5択)

一次試験の合格者のみ二次試験へ(前年度及び前々年度の一次試験合格者も可・・・前年度までは前年度合格者のみ)

二次試験 実技試験(製図試験)

概ね最終的な合格率は7%~11%ぐらいの試験です。

さて、今回の学科試験の結果は

合格点数 97点(125点満点)

合格率  19.6%

でした。去年までは100点満点だったのですが概ね70点ぐらいが一次試験の合格ラインだったのですが、今回は97点/125点=77.6点ですから問題自体は相当簡単になったと考えられます。また、4択になった影響が大きかったものとも考えられます。

合格率ですが姉歯問題以降、10%~15%で推移していたのが今回は20%に近いラインになっていることも特徴です。

さて、製図の実技試験ですが、一級建築士の実技試験というのは与えられた課題に対して図面を描きます。

前年度までは試験時間が5時間半で、与えられる課題は

『○○のある×××施設』

の様に複合施設が多く、また、『△△室を100㎡』という様に、かなり細かい指定が入ります。

その為、余程の大型プロジェクトでないかぎり、実務でもあまり無いような複雑な機能と動線計画を配置する試験でした。この5時間半という時間の中で、その複雑な機能と動線計画をどうやって纏めるかに時間を取られ過ぎると、図面を描く時間がなくなります。

二次試験に落ちる方の大半は『時間切れ』で落ちる方が多かったと思われます。結局は如何に図面を速く描ける様にして、計画に当てる時間を取れるかが、勝負の分かれ道になります。ちなみに、私も受験した頃のことを思い出すと、

『よく、あんなに速く描けたもんだなぁ』

と思います。

しかし、今の実務ではCADで図面を描くことが(私の場合はCADで描いて貰う汗)殆どなので、図面を速く描ける能力はあまり役に立ちません。

今回の二次試験は

『1階に展示用貸しスペースのある、貸事務所ビルです。』

はっきり言って、これだけだと、複雑な機能も動線計画もあまり無い様に感じます。

しかし、今回から

  • 耐力壁等の位置、柱・梁等の断面寸法
  • 設備機器等の位置、設備シャフト等の位置

を描きなさいという項目が追加されています。

実際に一級建築士を取得して、実務を何年か経験されている方ならば、構造や設備の専門でない方でもある程度は解るので、驚きはしないのですが、これが実務経験の少ない受験生となれば、結構、苦戦するのではないだろうかと思います。

今までの二次試験は実務から、ちょっと掛離れた感じがあったのですが、少し実務に近づいて来た様な気がします。蓋を開けてみないと解りませんが、姉歯問題後の試験改革の最中で今後、色々な問題は出てくると思いますが、より社会の役に立つ資格になると良いと思う次第です。

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リストラ ~第5話~

連載シリーズ 【 リストラ ~第5話~ 】 第 5 話 / (全 16 話)

アメリカ合衆国の失業率が9.7%に達しているというニュースが出ていました。それに比べれば日本は『まだまし』と思う方が多いかもしれません。しかし、これは、何を持ってして失業というかが日本とアメリカでは違うからです。日本の場合は就職活動を断念してしまった人を失業者とは言いませんし、何より大きいのが中小企業安定助成金制度でこの制度を利用している対象労働者が約300万人います。日本の失業率が5.7%で360万人の失業者がいるのですが、実際には10.4%の人が失業している計算になり、すなわちアメリカ合衆国よりも失業率が高いことになります。

さて、M部長のリストラの続きです。

私は、S部長との忘年会の後の飲みで、どうやら、M部長の意向によって技術部門から異動になったことを知るのですが、そのころのM部長のいた技術部門は私が居なくなったこと以外はあまり変わった様子はありませんでした。

忘年会の後も淡々と時間が流れていくのですが、私が異動になった翌年の年の2月~3月は久々に会社が活気付いていました。バブル崩壊後、久々に売上げが大幅に伸びていたのです。まだまだ、景気回復が本格化する前ではあったのですが、前年、前々年に比べれば明らかに売上げが伸びてきていました。

そこに来て3月の終わりごろに全社員集合の緊急朝礼を行わんれました。

私たちは、

「売上げが相当、伸びてるらしいからな!期末の特別賞与が出るって話だぞ!」

というような浮かれた噂が飛び交いました。

その時に私も、強ち本当になるかも・・・と思っていました。

しかし、朝礼での話はびっくりしました。

まずは、R社長の話です。

「これまで、皆さん、良くやってくれました。今年は久々に増収増益なりました。先代の社長から社長を任され、先代には『なんとか会社を守ってくれ』と言われて、必死に守ってきました。しかし、これで私の仕事も一段落したと思います。私はご存知の通り、先代の社長に呼ばれてきた余所者ですから、ここらで社長を辞して、本来のH建設の人に跡をついでもらいます。私が社長でいるのは今年の6月までですが、気を抜かずに頑張ってください。」

ちょっと、ビックリしましたが、その時は何よりも

『だれに禅譲するんだろう?』

という疑問が先立ちました。

そして、今度はH元会長(故人)の養子であるH取締役総務人事部長がR社長に替わって話し始めました。

「今年は、ここ10年間の中でもかなり、立派な成績を上げることができました。しかし、勝って兜の緒を締めろとも言います。そこで、H建設は今後の発展の為に独自の商品や技術を開発する部署を新たに創設したいと考えています。現在、部署名と人選を行っています。」

と、H取締役が言ったことは覚えていますが、R社長の引退宣言の方のショックが大きくて、何も感想はありませんでした。

後に二人のこの言葉が私の人生を大きく変えていくことは、その時は全く気が付きませんでした。最も気が付いたから、どうなるものでもなかったのですが・・・。

朝礼が終って自分の席に戻って、あることを思い出しました。

R社長がM部長に言った

「来年、もしくは再来年の役員人事では君を新役員に推薦するよ」

※第2話参照

です。

『R社長が引退したら、M部長を役員に推薦することできなくなっちゃうよな・・・。ということは、なんらかの形で役員には残るのかな・・・』

などと、考えていました。

ボケ~っと、お茶を飲みながら、そんなことを考えていると、S部長から

「相澤、一緒に役員会議室に行くぞ」

と言われました。特に呼ばれる理由も無かったとは思ったんですが、無論、断ることはできず、そのまま、S部長と一緒に役員会議室に入りました。

この頃は役員会議室に入るのは、掃除当番以外で入ったことが、まだ4,5回だったので相当に緊張しました。

次回に続きます。

ダラダラ書いているけど・・・

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リストラ ~第4話~(番外編「独り言」)

連載シリーズ 【 リストラ ~第4話~(番外編「独り言」) 】 第 4 話 / (全 16 話)

私は元々、建築学を学び、社会に出ても、しばらくは建築の技術屋であり設計者でした。そして、その後、不動産屋になった次第で私の拙い経済学の知識では間違っていることもあるかもしれません。(間違いだらけかもしれません。)

今回は本題から思いっきり逸れる話を書きます。ですから、M部長のリストラの話だけを読みたいと思っている方は今回は飛ばして読んで頂いても話は解るようにしておきます。

この話を書いていますが、私はリストラ(人員整理)は必要悪だと思っています。企業は、人を雇用した以上、雇用した責任があるのは当然のことです。ですから、社会保険や厚生年金に加入していないことは固より、雇用保険に入っていない企業というのは許しがたい存在です。

雇用保険というのは、雇用されている労働者にとっては微かなセーフティーネットです。

(私の知っている会社で解雇をするにあたって、会社責任ではなく自主退社を社員に迫った会社がいくつかあります。これがどういうことなのか?解雇される社員のことをどう考えているのか?極めて腹立たしい話ですが、この様な会社が社会には腐るほど存在します。)

例えば、解雇された場合において、その解雇した会社に8年間勤め、30歳で月収30万円の人であれば約19万円の失業保険を3ヶ月間支給されます。

この辺のことを詳しく知りたい方はハローワークに尋ねるか、こちらのサイトを見てください。

・・・失業保険給付日数一覧表

良く考えてみると、30万円の月収を貰っていた人が19万円ですから、その生活は相当にきついはずです。ここで、そもそも収入が19万円に満たない人から見れば、

『働かないで19万円も貰えるんだから充分だろ!』

と思われる方がいると思います。

しかし、その人に扶養家族がいたり、家賃を払っていたり、ローンがあったりすれば月々の出費は給与の30万から行われていたはずです。ですから、それが19万になってしまえば、必然的に家計は大赤字になってしまう訳です。そして、3ヶ月以内に新しい仕事先が見つからなければそれは0円になります。その精神的不安は言葉では言い表せません。これに対して、

『こういう時代で解雇されることだってあるんだから、予め貯金をしておくことが大切。』

と考える方も多いと思います。一つの考え方でそれを否定することはありません。しかし、全員がこの考え方を持てば消費活動が減退し、ますます、景気は悪化し、雇用情勢も更に悪化していきます。失業保険が雇用保険料で支払えなくなれば、必然的に税金を使うことになります。ところが財源を確保しようにも雇用者が減っている訳ですし、消費活動が減退している訳ですから、法人税も所得税も消費税も増税しようにも出来なくなるという悪循環に陥ることになる訳です。

この様な悪循環を極論だと思われる方も多いと思いますが、これに近い状態が実際に歴史上にはありました。

第31代アメリカ大統領ハーバード・フーヴァーの自由放任政策です。彼は極めて古典的な経済学の信者でした。しかし、ますます、景気が悪化するのを見て、保護貿易政策を取ったり、フーヴァーモラトリアムという債務支払猶予処置(借金の返済期限の延期)を取ったりしました。

しかし、悪循環に陥った景気を回復するにはいずれも後手々々の政策であり、手遅れでした。

これを救ったとされるのがフランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策とされていますが、その効果の程は解りませんが、同じく、その時期に不況に喘いでいたドイツでも、アドルフ・ヒトラーによるアウトバーン・建設などで一気に景気回復はしていました。

※ニューディール政策:農業政策による、農作物の価格安定による消費の拡大と公共工事拡大により、企業の適正利益を回復させる政策。

しかし、この様な財政出動はそもそもが『伝家の宝刀』だったのではないでしょうか?日本ではそれが常習化していて、『今更それを使うことすら、儘ならない』というのが今の日本の現状だと思います。

フランクリン・ルーズベルトがやった政策により、当時のアメリカ合衆国は社会主義革命が起こらずに済みました。ところが、日本は極めて社会主義革命に近いことが選挙によって起こったと私は思っています。

企業がリストラをすることは仕方がありません。会社に全員分の賃金を支払う能力が無くなったのですから、全社員を路頭に迷わさない為に、一部を切り捨てるのは仕方がないことかもしれません。問題はその雇用の受け口をどうやって作るかです。今の企業は、とりあえず給与の高い高齢者から人員整理を行ったり、解雇しやすい派遣労働者から人員整理をします。至極、当然の事だと思います。

これで当然で仕方がないことで済ましてしまうことは『姥捨山』の話と同じになってしまいます。姥捨山の物語では親を山に捨てた若者が良心の呵責に耐えられなくなるのですが、企業にそんなものはないので、そのまま放置ということになります。

しかし、解雇された人間は姥捨山に捨てられた老人の様に死んでしまう(話によっては良心の呵責に耐え切れなくなった息子が翌日に迎えに来るのですが)様に死んでしまうことはありません。

つまり、どの様にして、その人達を新しく雇用するかという事を考えることが資本主義なのではないかと考えています。解雇をした企業が再雇用する為には景気回復が必要です。悪循環に陥ってしまうと解雇をした企業は現状では外国の景気回復に頼る以外の自力回復は不可能です。

新しい産業の創出こそが、新しい雇用を産むことだと考えています。

新しい産業の創出には産みの苦しみが付いて回ります。その苦しみに耐えられるのは解雇という苦しみを味わった人の力も必要なのではないかと思います。

今の日本は既存産業におけるニューディール政策はできません。新しい産業の創出に官民一体となって、力を注ぐことが大事だと考えています。

新しい産業とは何も今までに無かった産業を創出することである必要性はありません。今までと同じものを作る産業でも、より効率的に、より高品質が保たれるのであればそれも新産業であるはずです。

次回はM部長のリストラ話の続きを書きます。

今日は寝ちゃうけど・・・

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資金回収期間とタワー離れ

最近、ある纏まった土地の仲介をしています。

場所は言えませんが23区内の私鉄駅から程近い場所で、最寄の地下鉄の駅までも1km以内の場所です。

山手線のターミナル駅まで電車に乗れば10分以内に着きます。

土地の大きさも細かくは書けませんが300坪以上はあります。

商業地域で容積も500%で、500%を消化できそうです。

見た瞬間に、ファミリーマンションやれば、相当売れるだろうな・・・。という立地でした。

そこで、ファミリーマンションをやる大手や電鉄系の不動産会社に持ち込んだところ・・・。

軒並み消極的な態度です。

実は、この場所にマンションを作って、容積率を500%使い切ろうとすると、10階建てないし、11階建てのマンションが出来上がることになります。

とすれば、設計期間と工事期間を併せると工期は約2年です。

デベロッパーはこの間に資金回収が出来ないことが、消極的になっている一つの理由です。

また、高容積率の場所はすなわち、商業地域です。

どんなに、マンション向きの土地であっても住宅地ほど、1種単価は安くありません。

※1種単価:容積率100%辺りの坪単価。例えば容積率500%の場所で土地代が300万円/坪ならば1種単価は60万円になります。

とすると、その分、土地代が高くなります。

故に、タワーマンションにして付加価値を付けて販売しようとしていた訳ですが、昨今の景気で専有単価が高いマンションの需要が激減しているために、高容積率の場所でのマンションが冒険になっているわけです。

一時は湾岸エリアなどのタワーマンションが流行っていたのですが、近郊の低容積率地域の土地の方が良いといいます。また、30戸~50戸ぐらいのマンションの方が良いというデベロッパーも多いです。これは儲からなくても販売不振だった時の損害が少ないからというのが理由です。

なんとか生き残ったデベロッパー達も、今は利益追求よりもリスク回避でローリスクローリターンの安全牌路線と言ったところの様です。

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