保証会社が滞納家賃を保証したら、家賃は滞納してないことになるか?
タイトルの件ですが、これは非常に難しい問題でしたが、ついに大阪高裁判決を最高裁が棄却したことで結論がでました。
Q.家賃滞納をしたことで保証会社が貸主に家賃を支払ってくれました。後日、家賃を保証会社に支払いましたが、貸主より、賃料未払いによる契約解除、明け渡しを求められました。保証会社が家賃を支払ってくれているし、それを保証会社に返したから、賃料未払いには該当しないのではないのでしょうか?
A.賃料未払いの事実は消えず、賃貸借契約の解除を認める。
賃借人の主張に理由はなく、保証会社による代理弁済があっても賃料等の不払いの事実は消えず、賃貸借契約の債務不履行の有無を判断するにあたり、保証会社の代位弁済の事実を考慮することは相当でない。よって賃料不払いに基づく賃貸借契約の解除を認める
大阪高裁2013年11月22日 2014年6月26日最高裁上告棄却
この判決は、不動産業界でも多少の波紋を呼ぶこととなりました。正直、私も驚きました。
この質問は、当社にもかなり来るのですが、これについては、弁護士に聞いても意見が分かれていました。考え方は二つあります。一つは、今回の大阪高裁の判決です。もう一つは
『保証会社に対して、契約時に保証料を支払っているのは、賃借人である場合が多く、とすると、保証会社は賃借人から、賃料未払い時に代位弁済を依頼されている訳だから、債務不履行は代位弁済によって解消される。』
という、借主側に立った意見もありました。たしかに、私も保証会社に保証料を支払っているのは賃借人なので、
「この意見の方が正しいのではないかな・・・。」
と、考えていました。ただ、そうなると、保証会社がいつまで、保証すれば良いのか?という問題も出てきますし、代位弁済をする期間(保証期間)を短くして、リスクを回避しつつ、家賃滞納が始まった瞬間に契約解除(立退き)にもっていくという、賃借人にも賃貸人にとっても良くない悪循環が始まります。
旧借地借家法もそうですが、賃借人有利のものが多く、今までの判例も圧倒的に賃借人有利の判例が多かったと思います。これは、日本の多くの土地が一部の地主によって占有されていた時代に弱者である賃借人を保護するためのものでした。しかし、ここにきて、「賃借人=弱者」という構図が解消されてきているものと考えられます。
ただ、今回の判例の一番のポイントは、
「保証会社による代理弁済があっても賃料等の不払いの事実は消えず」
という部分です。では、これが保証会社でなくて、連帯保証人ならどうなるかと言えば、やはり同じことになると考えられます。しかし、そうなると、ちょっと怖いことが起こる可能性があります。例えば、ある住居を大学生が借りていて、親が保証人になっていたとします。
「家賃が払えないから、お父さん、代わりに家賃を払って!」
と学生が父親に泣きつきました。
「しょうがないなぁ、今回はお父さんが払っておいてあげるよ。」
と、お父さんが自分の口座から、振り込んでしまいました。
その大学生は、普段から、ゴミの出し方が汚いとか、夜中に酔っ払って帰ってきたりして、貸主は心良く思っていませんでした。(もっと言うならば、生理的に受け付けなかったなどの理由かもしれません。)
そこで、貸主は、お父さん名義で振り込まれている事実をもってして、
「連帯保証人が支払ったことは代位弁済であり、賃料不払いの事実は消えない!」
と言って明け渡しを求めることができるということになりかねません。という訳で、もし、家賃が支払えなくて他人に泣きつくにしても、自分(借家人)名義で振り込んでもらうか、借家人以外に支払って貰った場合は、賃貸人に『賃料として受け取った』という、受領書を貰っておかないと、突然、立退きを迫られることになりかねないということになります。
今回の判決を勝ち取った弁護士は、これで明け渡しがやり易くなったかもしれませんが、今後は、賃料の支払い方等について、契約時にしっかりと説明をしてあげないと、本当の弱者を誰も守ってくれないことになるかもしれません。
心ある仲介業者の皆さんが多いことを祈ります。
賃貸物件の所有者変更(オーナーチェンジ)の借主への通知
時々、質問をされるのですが、
「賃貸物件の所有者変更(オーナーチェンジ)をした場合、借主や連帯保証人の承諾を取る必要がありますか?」
という質問をうけます。解答は
「承諾を取る必要はありません。ただし、通知は出しておいた方が良いでしょう。」
となります。
以前、私がアセットマネージャーをやっていた時に、賃貸物件の売買の際に、同じ仕事に携わった地方銀行出身のアセットマネージャーが
「もし、賃借人に貸主変更を拒絶されて賃料の支払いを拒絶したり、連帯保証人が貸主変更を拒絶した場合に連帯保証人がいなくなると困るから、賃貸人と連帯保証人から承諾を取ろう」
と言いだしました。その賃貸物件、122世帯の賃貸マンションですから、その承諾を取っていたらいつになるやら・・・というような話です。しかし、実際には、賃借人や連帯保証人に所有者変更を拒絶する権利は有していません。
実際に判例もちゃんとあります。
大判昭和6年5月29日新聞329号18頁等(要旨)
賃貸不動産の所有者に変更があった場合、特約がない限り、賃借人・新所有者間に、従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続する。
このことから、所有者が変わっても賃貸関係がそのまま新所有者に移るので、その賃貸関係を借主側が拒絶することは出来ないのです。
もっとも、地方銀行出身のアセットマネージャーは、私がこの判例をもって説明しても、納得していませんでした。まぁ、今まで自分がアセットマネージャーとして余程、自信があったのに、判例まで持ち出されて否定されたので悔しかったのだとは思います。ですから、私は、
「取引までの時間が無いから、今回は通知を出すだけにしよう」
と言って納得してもらいました。
この判例だけを見ると、通知すら出す必要性が無いように感じますが、法的には必要は無いのですが実務レベルで問題が発生します。
それは、借主が貸主の変更を知らないと、旧貸主に家賃を払い続けてしまうからです。
また、新貸主からだけの通知だと、新手の詐欺と思われてしまう可能性もあるので(実際にありました。)、少なくとも、新貸主と旧貸主の連名で、その通知を出します。さらに所有者変更になった登記情報か、新貸主、旧貸主の印鑑証明の複写を同封する方が良いでしょう。
貸主が変更になった物件の借主から、下記のような質問がありました。いずれも、新貸主より、
「今まで、家賃は手渡しだったのに、振り込みに変わった。振込手数料は借主負担と言われた。」
「ペット可ということで入居したのに、猫を飼っていることを理由に退去を迫られた。」
「飲食店可ということで、ラーメン店をやっているが物販店しか認めないと言われた。」
などという質問ですが、上記の判例の通りで、『従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続する。』となるので、いずれも新貸主の主張は通らないことは、注意が必要です。
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消防設備(火災報知器等)の修理は貸主負担?借主負担?
表題の件ですが、なぜか、やたらと多くの同様な問合せが来ます。また、同業者(宅建業者)からも同じ質問をされたりします。
回答は、当然ですが、貸主負担です。
建物が、使用もしくは存在を維持するために必要な物は、貸主負担となります。
つまり、表題の消防設備で、消防法で建物を使用するのに必要と定められたものは貸主負担となるのが原則です。
ただし、そもそも事務所だったところを店舗にするために必要になった消防設備等が個別にあるとすれば、それは貸主借主の協議となります。当然ですが、建築基準法で定める用途変更の費用なども協議となります。
さて、その他にも、消防法で定められたものだけではありません。例えば、非常用照明、防火扉、排煙窓など建築基準法で定められたものも、借主が故意に壊したのでなければ、貸主負担となります。
民法606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
そもそも、建物というのは、消防法や建築基準法に抵触するような状態で使用することは違法です。つまり、賃貸物を適法な状態に保つ義務は、民法606条からみて、貸主が負担することになります。
建築基準法第8条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
時々、この建築基準法第8条を持ち出して、借主(同法による『専有者』)にも責任があるのでは、ないかという方がいます。たしかに、これによって、建築基準法に抵触している状態で建物の使用を続けるということについて借主にも責任があると考えられます。つまり、借主は建物が法律に抵触するような状態にある場合には、直ちに貸主に報告し、貸主は適法な状態に修繕する義務を持っている訳です。また、壊れただけではなく、本来、法律的に付いていることが必要にも関わらず付いていない場合も貸主負担で付けなければなりません。
先にも書きましたが、これが借主によって違法状態にされたことに貸主が、気が付いた場合には直ちに借主に修繕させなければならないということになります。
この話ですが、ある宅建業者が私にこの様なことを言ってきました。
「トイレの電球が切れた場合は、通常、借主負担だよね。では、火災報知器だって、賃貸借期間中に壊れたら、借主負担じゃないの?」
これは、話が極端な事例なのですが、一般的にトイレの電球は、借主負担が一般的です。トイレの電球だって、民法606条の『賃貸物の使用及び収益に必要』な物であることは間違いないのですが、ここに至っては、トイレの電球は、明らかに借主の使用によって切れたものです。ところが、難しい問題が出てきます。
では、備付のエアコンや、給湯器の修理はどちらが負担するのか?という問題が出てきます。エアコンも給湯器も、いくら新品を付けていてもいつかは壊れます。もちろん、使用していたのは借主です。トイレの電球と同じでは・・・?という話になります。
そこで、この問題を解決するために、賃貸借契約書の特記事項に、
・ 備付の電球の交換は、借主の負担とする。
と書くことによって、その後の問題が起こらないようになるわけです。では、「備付設備の全ての修繕は借主負担とする。」と書いておけば、良いのではないか?ということになりますが、先にも書いたように、建築基準法や消防法に違反している部分について法的根拠があるので、このように書いた場合には、その条文、「備付設備の全ての修繕は借主負担とする。」の全てが無効となります。つまり、トイレの電球交換も貸主負担となってしまいます。
では、どこまでが、借主負担とできるのか、ということになりますが、賃貸住宅の場合には、通常の使用で壊れるものの中でも、一般的に借主が自分で(業者等を呼ばずに)交換できるものということになります。つまり、エアコンや給湯器は貸主負担となります。
これが、店舗や事務所となると、エアコンも給湯器も使用頻度も違うので、備付であっても借主負担と特記することはできます。住宅であっても、借主が後から備え付けたものは、特記事項に書かれていなくても借主負担です。
最近は、エアコン完備、照明器具完備なんていう賃貸住宅が増えてきたので、このようなトラブルが多くなっています。契約時に、壊れたら誰が負担するのかを、明確にしておきましょう。店舗や事務所の場合は、特に賃料も高くなる場合が多いと考えられます。トラブルが発生する前、できれば、物件を契約する前に、是非、一度、リデベにご相談ください。
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違法建築物であることを不動産業者は説明しなくてよいのか?
多くの宅地建物業者さんや、重要事項説明で違法建築であることの説明を受けなったという方がいるので解説します。
まず、大前提になりますが、
違法建築物は、存在そのものが違法です。法では行政処分により、使用禁止や除去(取壊し)、さらに悪質な場合は、刑事処分や罰金刑という場合もあります。これは完了検査を受けていない、各行政の定める条例に違反している等も含めます。
悪質な場合とは
・ 違法建築物に対する行政指導に対し、それを無視する、もしくは度重なる勧告に従わない。
・ 営業を目的とする複数の建物で同様な建築基準法・条例違反を繰り返す。
・ 建築基準法・条例違反であるということを認知していて、それを故意に行う。
実際に、行政処分があるのかと言われると、事例は非常に少ないのですが、いずれも見たことがあります。
そのことを前提に読んでください。
Q.違法建築物であることを不動産業者は説明しなくてよいのか?
【解答】
仲介業者は、違法建築物であることを知っていれば、説明義務はあります。
【解説】
まず、今回の質問は「違法建築物であることを不動産業者は説明しなくてよいのか?」ということですが、責任の所在は
・売主(貸主)
・不動産仲介業者
となります。
本質問から、ずれますが一応、売主(貸主)の責任について書いておきます。
売主の場合は、民法570条の瑕疵担保責任という問題が発生します。つまり、隠れたる瑕疵があった場合については、買主が気づいた時点から1年以内に契約解除又は損害賠償の請求ができます。
貸主の場合は、建築基準法87条違反になります。詳細については『違法建築物を賃貸してよいか?』をお読み下さい。
さて本題の不動産業者の責任です。
まず、解答に書いた通り、違法建築物と知っていれば、宅地建物取引業法47条に抵触します。これは、売買であっても、賃貸であっても当然に抵触します。
宅地建物取引業法
47条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
47条1項 次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
二 前略~、現在若しくは将来の利用の制限、~後略
つまり、知っていれば告知義務が発生します。これは同法35条の重要事項説明の列挙事項に入っていなくても同法47条に抵触しますから、重要事項説明時に説明しなければならないということになります。
と、ここまで書くと、不動産業者は「知らなかった」で全部押し通せてしまうような感じがしますが、以下のような場合に知らなかったと言えなくなります。
1.売主もしくは貸主から、違法建築であることを伝えられていた場合。
2.元付け業者(売主から物件を預った不動産業者)から、違法建築物を伝えられていた場合。
3.敷地面積に対して、建築面積や延べ床面積が建蔽率や容積率を明らかに超えている場合や確認申請証や検査済証が無い場合。
1や2の場合は当然です。
問題は3のような場合です。宅地建物取引業者は建築のプロではありません。建蔽率や容積率が明らかに超えているような場合は、建築のプロ如何に関わらず、違法建築が疑われます。この程度のことは宅建主任者試験にも出ることです。また、売主や貸主に、確認申請証や検査済証の有無を確認して無い場合は、当該物件の行政機関に行けば解ることです。
しかし、一般の不動産業者に、例えば、その居室の採光面積が確保されているかとか、必要換気量が確保されているかとか、建物その物が日影規制に抵触していないかとか、天空率や各種斜線に抵触していないかなどを調べることは不可能です。ですから、このようなことは、売主や元付け業者から、教えてもらわない限り、仲介業者は知りようが無いということになります。
不動産業者が知らなかったから説明をしなかったとしても違法建築物にあることには変りありません。これによって、行政指導がある場合もありますし、罰則規定もあります。その詳細については『違法建築物を賃貸してよいか?』『違法建築物に出店してよいか?』で詳しく説明しています。
違法建築物かどうかの調査は、リデベにご相談ください。
違法建築物に出店してよいか?
まず、大前提になりますが、
違法建築物は、存在そのものが違法です。法では行政処分により、使用禁止や除去(取壊し)、さらに悪質な場合は、刑事処分や罰金刑という場合もあります。これは完了検査を受けていない、各行政の定める条例に違反している等も含めます。
悪質な場合とは
・ 違法建築物に対する行政指導に対し、それを無視する、もしくは度重なる勧告に従わない。
・ 営業を目的とする複数の建物で同様な建築基準法・条例違反を繰り返す。
・ 建築基準法・条例違反であるということを認知していて、それを故意に行う。
実際に、行政処分があるのかと言われると、事例は非常に少ないのですが、いずれも見たことがあります。
そのことを前提に読んでください。
Q.違法建築物に出店してよいか?
【解答】
出店してはいけないとは、言い切れません。
【解説】
『違法建築物を賃貸してよいか?』でも、書きましたが、違法建築を賃貸することは不可ではありません。同様に出店するのも、違法建築物を賃貸すること自体は、建築基準法、借地借家法、民法さらには、消防法、食品衛生法、大規模小売店舗立地法にも定義が無いので、不可とは言い切れないという曖昧な解答になってしまいます。
ただし、『違法建築物を賃貸してよいか?』でも書いたことと同様なリスクが付いてきます。
簡単に言えば、違法建築物は行政処分によって、是正、使用停止さらには除去(取り壊し)命令が出る場合があります。その場合、出店していたとしても、営業を止めなければならない可能性があります。
さらに最大の問題は、違法建築(完了検査を受けていない建物を含む)の場合、用途変更が出来ません。用途変更を必要とするにも関わらず、用途変更をしないで出店した場合は、建築基準法での罰則規定もありますが、火災や地震などによって人身事故が発生した場合は、業務上過失致傷や業務上過失致死などの罪に問われます。
用途変更が必要な状況にも関わらず、用途変更を出したくても出せないのが、違法建築物です。
ですから、
「出店は出来るが、その後、行政処分の対象になる可能性もある。」
ということになります。
出店する場合には違法建築かどうかをしっかり確認する必要性があります。
さらに、違法建築でなくても、居抜き物件などで、
「自分が出店する前も飲食店だったし、自分も飲食店で出展するから用途変更は必要はないだろう。」
と考える人がいるようですが、それは最初から、その建物の用途が飲食店だったか、前の占有者が用途変更を出していたらという条件が付きます。ですから、居抜き物件の場合は、用途が自分の出店する業態になっているか、もしくは用途変更が出されているかを確認する必要性があります。
注意しなければならないのは、一般的な不動産屋さんでは、建物が違法建築物かどうかの判断はできないことが多々あります。用途についても謄本(登記情報)に書かれているものと違うこともよくあります。
建物が違法建築かどうかの調査はリデベにご相談下さい。
違法建築物を賃貸してよいか?
多くの貸す側、借りる側双方の方が疑問に持っているようなので解説します。
まず、大前提になりますが、
違法建築物は、存在そのものが違法です。法では行政処分により、使用禁止や除去(取壊し)、さらに悪質な場合は、刑事処分や罰金刑という場合もあります。これは完了検査を受けていない、各行政の定める条例に違反している等も含めます。
悪質な場合とは
・ 違法建築物に対する行政指導に対し、それを無視する、もしくは度重なる勧告に従わない。
・ 営業を目的とする複数の建物で同様な建築基準法・条例違反を繰り返す。
・ 建築基準法・条例違反であるということを認知していて、それを故意に行う。
実際に、行政処分があるのかと言われると、事例は非常に少ないのですが、いずれも見たことがあります。
そのことを前提に読んでください。
Q.違法建築物を賃貸してよいか?
【解答】
賃貸してはいけないとまでは言い切れません。
【解説】
色々なリスクが付きまといますが、違法建築物を賃貸すること自体は、建築基準法、借地借家法、民法にも定義が無いので、不可とは言い切れないという曖昧な解答になってしまいます。
では、どんなリスクがあるかというと・・・
・ 地震や火災などの事故があって、賃借人や、それが店舗だったりした場合に従業員やお客さんに被害があった場合は、所有者責任が問われます。
・ 行政処分で、使用停止や除去命令が出た場合に、賃借人に対して、立退き料や営業保証を求められる可能性があります。この場合の使用停止や除去命令は、「借地借家法第18条の正当な事由」には該当しません。違法建築物を作った、もしくは所有していた賃貸人側の都合です。
・ 違法建築の場合、用途変更が出来ません。そもそも、用途変更とは、特殊建築物でない建物を特殊建築物などに変更する(一般的な住宅をホテルに変更する)とか、特殊建築物を別の特殊建築物に変更する(ホテルを病院にする)などのことです。
では、このリスクを回避する方法としては・・・
あらかじめ、賃貸借契約及び、契約前の重要事項説明に於いて、この建物は違法建築であり、行政処分により使用停止や除去命令が出た場合の賃貸人の賃借人に対する補償を決めておくべきでしょう。同様に、違法建築物であるから、用途変更が出来ない旨を説明しておかないといけません。
また、用途変更を行わないで、使用した場合、最終的な責任の所在は、建築基準法第9条により、「所有者、管理者若しくは占有者」となっています。以下の判例は用途変更ではありませんが、建築基準法・消防法などに違反した場合の判例です。
東京都杉並区高円寺の居酒屋で平成21年、14人が死傷した火災で、業務上過失致死傷罪に問われた元経営者、佐藤信一被告(64)ら3人の判決公判が13日、東京地裁で開かれた。今崎幸彦裁判長(斉藤啓昭裁判長代読)は「防火意識の低さは強い非難を免れない」として、佐藤被告に禁錮2年6月、執行猶予5年(求刑禁錮2年6月)を言い渡した。ビル所有会社元社長の高橋昭彦被告(57)、同社社員で防火管理担当だった倉田俊二被告(30)はそれぞれ禁錮1年8月、執行猶予3年(同禁錮2年)とした。
この様に、所有者も管理会社も占有者(賃借人)も一網打尽にされるケースもあります。
地震や火災などの事故に対しては、違法建築であるかどうかは別として、万全の体制をとるべきです。ましてや、違法建築というリスクがある訳ですから、過剰なぐらいの意識を持っておく方がよいでしょう。
違法建築物でお困りの方は、リデベにご相談ください。
※ 必ず解決できるとは言えませんが、状況によっては対策があります。
リフォームで収益アップ・収益維持【空室対策】
マンション・アパートの空室でお困りの大家さん
・ 不動産屋の言うとおり募集家賃を下げたが空室が埋まらない。
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「需要>供給」
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恋愛の話は別に
「恋人なんか、いなくてもいい!」
と思う人もいますが、「空室でもいい!」と思う人は少ないはずです。
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しかし、やたらとアピールすれば良いというものではありません。やたらとアピールすると単なる尻軽な人になってしまいます。これを不動産業界では有名物件と言います。
優しい人は、優しい人が好きな人にアピールすること
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成約時に仲介手数料(成約時賃料の1ヶ月分)のみ
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2010 不動産市場 予想
今日から仕事初めという方も多いと思います。
私は6日からという感じで今日はまだのんびりしています。一応、今年は何をしようか・・・などとまったりと考えています。
さて、今年、自分が何をするかを考えるに当って、市場がどんな風になるかを考えておかないと、行き当たりばったりになってしまいます。(まぁ、大体、行き当たりばったりなんですけど・・・)
というわけで、私の思う不動産と建築市場の予想を書いておこうと思います。
住宅市場
住宅市場は、今年は去年ほどではないですが大幅な回復は難しいと考えられます。
というのは、一部のエリア、特に東京都心部では価格が反転して上昇を始めると思います。しかし、これは短期的な現象の可能性もあります。東京都心部では、相当に品薄感が拡がっていますし、昨年からの『今が買い時』という感覚が拡がっているから、価格は上昇するとみています。
ところが、このテクニカルな動きに、ファンダメンタルが追随できるかは微妙な状況です。アジア市場が牽引する経済成長に乗れた企業などの業績は回復しても、住宅を買うのは、企業ではなく従業員です。給料の安定や雇用の安定が無ければ、テクニカルによる価格の上昇などはすぐに息切れしてしまいます。
住宅に関してもエコポイントなどの話がありますが、以前にも書いた通り、エコポイントを取得することで仕様が上がり、建物価格が上昇して、その分がエコポイントで安くなっても、市場の活性化にはつながりません。供給戸数(注文住宅などの含む)は昨年並みで、ただ、太陽光発電や燃料電池などが今までよりも増えるだけで終る可能性が高いと感じます。やはり、住宅市場の活性化は今までの様な減税、免税などの処置や金融保証などの制度の方が有効かと考えています。
それ以外の政令都市級エリアや東京郊外では昨年並みかまだ下落を続けると思います。
東京はまだまだ、人口が増えていますし、個人所得や雇用自体も地方都市に比べたらよい状況ですから、上記の様なテクニカルな動きも発生しますが、地方都市などでは、まだまだ下落が続くと思います。これは、そもそもH19年まで続いた、不動産ミニバブルの際に地価、不動産価格があまり上昇しなかったことにより、下げ渋っている感が強いです。しかし、需要価格は、まだまだ下にあることから価格は下落すると考えています。
政令指定級都市未満の都市は構造的な問題、特に労働者人口(購入層)の減少に歯止めが掛からないことからも今年に限らず、下落をしていくと考えています。
公示地価ベースで言えば、タイムラグもあることから、去年ほどは下がらないにしても、下落は続くと考えられます。
戸数に於いては、昨年がさすがに供給量を絞ったことから、完成在庫等も減ったことから増加すると考えています。しかし、分譲住宅(マンション、分譲戸建)は微増すると思いますが、注文住宅は伸び悩むと思います。また、賃貸住宅(特に投資用)は、今年も微減すると思います。投資用マンションは金融機関の個人向け貸付金額が3割ぐらい上がらないと市場の活性化は難しいですが、現在の不動産価格や供給過多の状況を考えると、その実現はほぼ不可能と言っていいでしょう。
住宅市場総括
供給戸数は前年度ベースでは増加するが、平成22年1~12月ベースでは100万戸にギリギリ到達できない。価格は東京都心エリア以外は微下落。
オフィス市場
オフィス市場ですが、こちらは住宅市場よりも酷いと考えています。
オフィスの空室率は依然として高いところで推移すると考えています。超一等地の新築大型オフィスの賃料が大幅に下げてなんとか空室を埋めたとしても、ある意味のストロー効果で中途半端なエリアの中古物件は相当に苦しいことになるはずです。また、供給量が明らかに多すぎることも問題です。
例えば、東京の丸の内、八重洲エリアは家賃の大幅下落の効果などで、グループ企業の集約などを考える企業が入居する可能性はあります。しかし、グループ企業が入っていた様な小さなビルは当然に空室になり、家賃を下げてなんとか入居させても、その入居者のいたビルが空になるという現象が発生します。その対象が日本橋○○町、八丁堀などの周辺エリアです。
東京エリア以外のオフィス市場はもっと酷いことになると思われます。
まずは、この市況下で地方都市の支店等は統廃合が進みますから、政令指定都市未満のオフィス市場は崩壊すると考えられます。実質空室率が30%を超える都市が乱立すると考えています。政令指定都市クラスでも名古屋や仙台はそもそも、乱開発が進んだために完全に供給過多です。大阪は関西圏の経済が沈んだままなので回復には時間がかかります。
唯一、現状維持か微回復の可能性があるのは福岡エリアでしょうか・・・。というのは、下落するところまで下落している上にこれ以上、下落する理由が見当たらないことと、九州新幹線などの逆ストロー効果で九州南部の経済が集約される可能性があるからです。その効果が少しずつ現れてくるのではないでしょうか?しかし、九州西部の過疎化は更に加速するということも考えられます。
オフィス市場統括
空室率高止まり、賃料はエリアを平均すれば下落は続く。
商業系市場
商業系の市場ですがこちらも好転する兆しは見えないと考えています。そもそも、商業系の市場は消費の回復が重要になるのですが、ファストファッションなどの一部の業態を除けば大幅に回復するとは考えにくいです。最近、ファーストフードのSubwayが80店舗ほど増やすというニュースが出ていましたが、いずれも居抜き店舗とのことが強調されていました。ということは、他店がいなくなった跡地ですから、全体数は変わらない上にSubwayに出てもらう為に賃料を下げるという現象が起こります。売り手市場の場合なら、居抜き店舗等は造作代が浮くので、高く貸せるのですが、買い手市場の場合は、貸主がスケルトンにしなくて済むという考え方になり、賃料がさらに下がります。
また、ネットショップやネットスーパーなどが定着してきていることも、商業系の市場を圧迫していくことになります。たしかに、一部の高級ファッションなどは実物を見たいと思うものもありますが、全体的に商業系の市場が減れば、その様な業態の不動産賃料も大幅に下落します。
また、飲食店業界も数がこれ以上に増えるということは需給バランスから考えれば難しく、単純に業態変更などが行われるだけです。また、外食産業はデフレスパイラルの影響をまともに受ける業態です。当然、価格競争をすれば、最初は規模の拡大で補おうとするはずですが、その内に既存店の収益悪化から、不採算店の閉鎖を余儀なくされるはずです。ファーストフードや牛丼などは不採算店の閉鎖や経営統合による店舗併合などの統廃合が今年後半から加速すると考えています。
ミクロ的な話で言えば、携帯電話の売上げが下がれば、携帯ショップも減るでしょうし、一休やじゃらんなどのネット旅行代理店の様なものが増えれば、店舗型旅行代理店も減っていくはずです。
エリア別に見ると、銀座・表参道は定期借家契約の満了による退居という現象が今年は起こります。平成16年ごろから行われた銀座や表参道の商業施設の開発で、賃料も大幅に上がり、またファンドを出口戦略にしていたことから、多くの物件で定期借家契約が締結されています。この崩壊は間違いなく起こるはずです。
大阪は前述の通り、景気低迷が引きずっていることもあり、商業地の統廃合が進まないと苦しいはずです。どこもかしこも、全部を回復させるのは、今の大阪では難しいと考えています。
逆に名古屋はチャンスがあるかもしれません。オフィス市場の過剰供給に比べれば、商業系市場の供給はさほどでもありませんし、また、もともと閉鎖的な習慣があった場所で、東京資本などが参入しづらいエリアでもありました。
商業系市場統括
極一部のエリアを除き、賃料は下落、新規の開発は難しい。定借物件からの解約が相次ぎ空室率も上昇する。
また、悲観的な記事を書いてしまいました。しかし、現実はもっと酷いことになる可能性を持っていると思います。これくらいの予想の中で、不動産市場の中で何を自分がしていくかを考えてみたいと思います。
読みにくい文章で長いけど・・・