抵当権と根抵当権の違いはなにか。
1.抵当権と根抵当権の違いはなにか。
【解答】
抵当権は対象不動産を担保価値に対し、金融機関から単純に融資を受けたもの。根抵当権は、対象不動産の担保価値を基本に借入れ限度額を設定し、その範囲の中であれば、再度融資を受けることが可能な設定。
【解説】
つまり、抵当権の場合、その不動産の価値が1億円だとすると、1億円を借りて単純に返済していきます。根抵当権の場合、1億円の範囲内でまず5000万円を借りて、3000万円を返し、また7000万円の範囲で融資を受けることが可能な設定といえます。
つまり抵当権の場合、借入れ金額が単純に1億円と書いてあれば、債務者は1億円を借りています。根抵当権の場合は設定だけして、1円も借りていない、つまり「債務がない」ということも考えられます。
謄本(登記情報)の読み方
不動産に関わろうとすると、どうしても謄本を見なければなりません。
ところが、宅地建物取引主任者の試験でも謄本の読み方については、一切出てきません。私の個人的な感想から、言えば謄本が読み込むことが出来ない不動産業者などというのは、宅地建物取引業法をどんなに知っていても、不動産業者の資格はないと思っていますし、不動産の売買による投資を行うなどということは、極めて危険な方だと思います。
不動産売買を行った人であれば、不動産の謄本を見たことはあると思いますが、
『自分は謄本を読める』
と言い切れますか?
では、問題です。
1.抵当権と根抵当権の違いはなにか。
2.共同担保の意味を答えよ。
3.「表題部」と「権利の部(甲区、乙区)」の違いを答えよ。
4.一番抵当権と二番抵当権の差を答えよ。
5.地目が宅地でない場合の地積はどのようになっているか。
6.地目が宅地でない場合、税制面がどのようなことが考えられるか。
上記の問題が全問正解した貴方は、謄本の基本的な読み方が解っていると言えます。ただし、基本が解っているだけであって、応用編に対応できるとまでは言い切れません。
上記の問題が、1問でも間違っていた場合は『~基本編~』から、お読み下さい。
上記の質問の解答を先に書きます。この解答に全問正解だったかたは、『~応用編~』からお読み下さい。
回答は下記リンク先にあります。
6.地目が宅地でない場合、税制面がどのようなことが考えられるか。
『~基本編~』は、こちらをクリック Coming Soon
『~応用編~』は、こちらをクリック Coming Soon
リフォームで収益アップ・収益維持【空室対策】
マンション・アパートの空室でお困りの大家さん
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現在、住宅市場は供給過多の状態にあります。(※住宅市場の需要供給についてはこちらをお読みください。)ものすごく立地の良い場所であれば、あまり気にしなくても空室は埋まるかもしれません。ではものすごく立地の良い場所とはどういう場所かというと、東京都心の中心地という意味ではありません。
「需要>供給」
という場所です。
東京都心の中心地でも、供給過多になっている場所では、より良い物件に住みたいと思うのは当然の賃借人心理です。
では、良い物件というのは、家賃の安い物件のことでしょうか?
それは違います。
賃借人のニーズに応えている物件が良い物件なのです。
「駅から少し距離があるけど、静かな住宅地に住みたい。」
と考えている人が家賃の安いことを重視する方とは限りません。むしろ、住環境を求めているはずです。このような考えをお持ちの賃借人の方は、低所得で高い家賃が支払えない方でしょうか?むしろ、ハイレベルな住環境を求めている方です。そのような方が必要としている物件にしなければならないのです。
しかし、大規模リフォームをすれば、多額の費用が掛かります。
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「この部屋でなるべく長く暮らしたい」
と思うことのできる物件にするのが、リデベの仕事です。
築20年アパート ワンルーム22㎡のリフォームの費用実例
188,000円・・・(原状回復・クリーニング代含む)
ご予算に合わせた最善のご提案を致します。
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テナントリーシング【空室対策】 リデベの場合
ご所有の店舗物件に、テナントがつかなくてお困りの方
1.店舗物件近隣の不動産屋に依頼したが、なかなか空室が埋まらない。
2.不動産専門サイトに出しているのに反応があまりない。
3.賃料を下げても反応があまりない。
4.リフォームをしたのに反応があまりない。
当然です!
厳しい例えで言えば
「モテる人は、どこに行ってもモテます。」
しかし
「モテない人は、どこに行ってもモテません。」
では、どうすれば良いのか?
モテる人と同じことをしていたのでは、いつまで経ってもモテません。
見た目もさえない、所得も少ない、空気が読めない・・・
だけど、ものすごく優しくて頭がいい人。
その優しさと頭のよさをアピールするチャンスがなければ、いつまで経ってもチャンスはありません。
恋愛の話は別に
「恋人なんか、いなくてもいい!」
と思う人もいますが、「空室でもいい!」と思う人は少ないはずです。
では、どうすれば良いのか。
簡単です。
良い点をアピールすることです。
しかし、やたらとアピールすれば良いというものではありません。やたらとアピールすると単なる尻軽な人になってしまいます。これを不動産業界では有名物件と言います。
優しい人は、優しい人が好きな人にアピールすること
頭がいい人は、頭がいい人が好きな人にアピールすること
ここがポイントです。
モテない(テナントのつかない)尻軽な人(有名物件)になることは最悪の事態です。
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リデベと専任媒介契約を締結して頂ける場合
成約時に仲介手数料(成約時賃料の1ヶ月分)のみ
※ 専属専任契約を含みます。
【雑学】銀座のほかに金座もあった
日本一の商業地と言えば、おそらく、多くの人が、
「銀座!」
と答えると思います。
実際に、土地の値段も日本で一番高い場所です。
ただ大昔から銀座が日本一の商店街だったわけではありません。
銀座が日本一の商店街に成長していくのは明治以降の話です。
そもそも、当時の従来の江戸庶民の買い物場所は、今の浅草や上野で、お金持ちの買い物場所は日本橋や京橋でした。
明治維新以降に銀座で大火事が2回あり、それにより銀座は再開発が行われました。再開発後の銀座は東京に流入してきた、士族や華族の人々の買い物場所になり、今の銀座になったのです。
ですから、東京に昔からいる人や大阪など元々、日本一の商業地だった大阪の人などは、あまり銀座に拘りません。しかし、その他の人達にとっては、士族や華族の買い物場所である、憧れの場所になっていくのです。ですから、今でも地方で成功した方が、東京で店を出すなら「銀座」というのも頷けますね。
銀座は大昔から商業地だったどころか、埋立地だったのです。
徳川家康が幕府を開いてから、間もなく、埋立地として整備されて、今の銀座が出来上がりました。
ただ、埋立地と言っても、お台場、月島や勝どきのように、完全な海だったわけではありません。日比谷入江という入り江が、新橋から大手町あたりまであり、その入り江の中に隅田川によって運ばれた砂が溜まった砂州がありました。それを土台に埋立地を作ったわけです。
銀座が出来た当時は埋立地なので、砂洲の名前はあったかもしれませんが、地名はありません。
そして、埋立地になってすぐに銀座という地名がついたわけでもありません。その頃の銀座は今の銀座一丁目~四丁目付近を新両替町、五丁目~八丁目を尾張町、竹川町、出雲町といいました。
では、銀座という名前の由来はというと・・・
当時、静岡県で作られていた銀貨をこの新両替町に移したことにより、その銀貨を作っている役所を銀座役所と呼んだことから始まります。
さて、ここであることに疑問を感じませんか?
当然、銀貨があったということは、金貨もあったはずです。
よく、時代劇で悪い代官様に、さらに悪そうな商人が出てきて
代官「越後屋、おぬしも悪よの~。」
商人「いえいえ、お代官様ほどでは・・・」
二人「わっはっはは・・・」
などと言う、シーンに出てくる小判が金貨です。
その、金貨はどこで作られていたかと言うと・・・
金座役所という場所です。
その場所は金座役所から、金座という地名になったのですが、残念ながら今はありません。
「おい!うちの地名は『金座町』だ!」
という方、すいません。あとでちゃんと説明します。
では、その東京にあったはずの『金座』という地名は何故なくなってしまったのかというと・・・
現在は、その地名の場所そのものに大きな一つの施設が出来てしまったからです。
その施設とは・・・
「日本銀行本店」
※千代田区日本橋本石町2丁目。先の代官と商人の会話の越後屋さんは、まさにこの付近にあったとされます。それが、今の日本橋三越というのは有名な話です。
これで、金座という地名が無くなってしまったのです。
ただし、日本銀行の周辺に「金座通り」という通り名が残っています。
と、書くと本当に金座という住所があったように感じますが、実は、『金座』も『銀座』も、正式な住所ではなく、通称だったのです。
『金座』は金座役所のあった場所、『銀座』は銀座役所だった場所の通称だったのです。
そして、その通称の『銀座』の方は正式な住所として明治以降に採用されました。
『銀座』という通称が残ったのには色々な説がありますが、よく言われるのは、銀座は当時、今のような商業地というよりも、どちらかというと、職人などが住んでいる町でした。実際に、江戸時代の商業地としては日本橋や京橋の方が栄えていたという記述があります。
しかし、銀座の人たちが自分達のいる場所は『銀座』と言い続けたことにより、明治維新以降、江戸町名改正により、残ったという話が有力です。
では、金座は小判を作っていた場所は江戸の金座だけだったかというと・・・
駿府(静岡県)、甲府(山梨県)、佐渡(新潟県)、京都府でも作っていました。そのうちに江戸の金座に集約されます。
そのうちの一つの駿府にあった金座が、今でも静岡県静岡市葵区金座町という地名で残っています。
その他にも、広島県広島市の商店街に
『金座街商店街』
というのがあります。こちらは、金座役所とは何の関係もありません。
「銀座よりも、立派な商店街にしよう!」
という意気込みで名付けられたそうです。
今でも、日本橋に金座が残っていたら、面白かったかもしれません。
日本中にある〇〇銀座商店街が、「〇〇金座商店街」と二分していたかもしれませんね。
既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築【収益不動産】
- 既存不適格と違法建築 収益不動産を扱うまでの経緯
- 既存不適格と違法建築 検済のある建物
- 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い
- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
- 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装
- 既存不適格と違法建築 品確法と中間検査
- 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討
- 既存不適格と違法建築 PCBとアスベストの調査
- 既存不適格と違法建築 隣のビルの高さが明かに違う
- 既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築 正しい建築士に仕事を依頼していますか?
- 借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
前回も書いた通り、私は〇〇区△△町一丁目200番1と建物Cを買いませんでしたが、別の会社がその物件を買い、容積率600%をほぼ消化している建物(以下、「建物F」と言います。)を作りました。
前述の通り、この時点で建物Dは完全に違法建築となりました。
もともと、建物Cと建物Dは同一の敷地にあり、建物Dは建物Cと合わせて、容積率を消化していたわけで、この時点では合法でした。しかし、土地を分けて、建物C側に新しい、しかも容積率600%を消化しきった建物Fを作った時点で、建物Dが違法建築になってしまったわけです。
この時点で極めて難しい問題にぶつかります。
本当に建物Dの方が違法建築なのかということです。
建物Cの土地に新しい建物を作れば、建物Dの方が先にある訳ですから、建物Fを作った方が法定容積率を消化すること自体が容積率オーバーにも感じます。しかし、前述の通り、財産権の問題等から、建物Cの土地の新所有者が法定容積率に規制を掛けることができません。
そこで、もともと建物Cと建物Dの所有者が同じなわけですから、その所有者であったAが、建築基準法8条を守らなかったということになります。
そして、その建物Dと建物Fは双方とも収益物件として売り出されました。
建物Dの物件概要書の特記欄に検査済証有りと明記されています。
この時点で、この経緯を調べなかった人は
「既存不適格?」
と思うかもしれません。何しろ、余裕で容積率をオーバーしているのに、ちゃんと検査済証がある訳ですから、違法建築と考える人は少ないかもしれません。
この時点でも、建物Dを違法建築物ではないかのごとく売りに出している時点で充分悪質だったのですが、ある仲介業者から、妙な話を聞きました。
「建物Dの所有者Aは、新興系不動産会社Eの関係者なんだよ。」
その仲介業者は関係者ということだけで、どういう関係かを詳しくは知りませんでした。
そこで、私は新興系不動産会社Eの帝国データの信用調査データを入手しましたが、Aの名前はどこにも出てきませんでした。
しかし、新興系不動産会社Eの閉鎖謄本を入手してみるとAの名前は出てきました。新興系不動産会社Eの創業時の取締役の中にAの名前があったのです。
つまり、Aも新興系不動産会社Eも、完全に確信犯だったのです。
この建物Dと建物Fは、どこの会社も買うことがありませんでした。当然ですが、私が気付いたことを別の誰かも気がつき、その噂が流れたからです。
その後、Aは自己破産、新興系不動産会社Eも倒産(民事再生)となりました。その後、建物DとFがどうなったかは、解りませんが、任意売却か競売になったことは容易に想像ができます。Aや新興系不動産会社Eが考えていた価格で処分されたことはないはずです。
今、考えると私も気付くのが遅かったと思います。建物Dの登記情報を取った時点で気付くべきだったのです。
所在:〇〇区△△町一丁目200番地2
家屋番号:200番地1の2
この情報で充分だったはずです。
1.建物の所在と家屋番号が違う。家屋番号が200番1の2で所在が200番地2ということ は、建物Dは200番地1という所在のときに建てられた建物ということです。そして、その後に200番1という土地が分筆されたということが読み取れます。
2.家屋番号が200番地1の2の時点で200番1の土地の2棟目の建物ということです。
ここまで情報があれば、この状況は想像できたはずでした。もちろん、今の私なら、この時点で気付いたでしょう。
これで、16回にわたって連載してきた「既存不適格と違法建築」を終わりにします。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築【収益不動産】
- 既存不適格と違法建築 収益不動産を扱うまでの経緯
- 既存不適格と違法建築 検済のある建物
- 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い
- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
- 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装
- 既存不適格と違法建築 品確法と中間検査
- 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討
- 既存不適格と違法建築 PCBとアスベストの調査
- 既存不適格と違法建築 隣のビルの高さが明かに違う
- 既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築 正しい建築士に仕事を依頼していますか?
- 借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
前回までの話で、すでに話が見えた方もいるかもしれません。
この物件は、私が買おうと考えていた物件と隣の物件が一つの土地に存在していたということです。
ここで注意しなければならないことがあります。
不動産を専門とされている方は、二つの土地と聞くと
「分筆された二つの土地(筆)」
と考える方が多いと思います。しかし、建築の世界では分筆されていない土地に二つの建物を建てても、それぞれ別の土地に建っていると考える場合もあるし、一つの土地に二つの建物が建っていると考えることもできます。これは、建てる側が自由に選択できます。
例えば、都市計画で容積率100%建蔽率50%で500㎡の土地に1階50㎡、2階50㎡の建物を建てると建蔽率で10%、容積率も20%しか使っていません。その土地にもう一つ同じ建物を建てたとしても建蔽率も容積率もクリアできます。
後から建てた建物を先に建てられた建物の増築としても構いませんし、不動産的に分筆しなくても、建築的に土地を半分にして、後から建てる建物を新築としても、接道など建築基準法の要件を満たしていれば、新築として申請するのは申請者(建築主)の自由です。
今回、私の買おうとした物件(以下、「建物C」と言います。)と隣地の容積率をオーバーしていると考えられた建物(以下、「建物D」と言います。)は二つの建物一体で建築基準法をクリアしているものでした。
まず、建物Cが存在しています。その建物は、まったく容積率を消化していません。そこで、建物Cが建っている土地の空いている部分に建物Dを建てます。そして、建物Cと建物Dの建っている土地を分筆します。
ここで問題なのは、その分筆をすること自体が建築基準法には全く抵触していないということです。
土地を分筆するのは、土地の所有者の自由であり、それによって、建物Cと建物Dが別の筆の土地に建っていることとなっても、建築基準法の観点から見ると、未だに同一の土地の上に二つの建物が建っているに過ぎません。
極論を書くと10m×10m=100㎡の土地があって、それが100筆の土地に分筆されていても、それを1団の土地とみなして、その100個の土地の境をまたいで建物を建てることは全く問題がありません。
つまり、建物Cと建物Dが建っている土地を分筆するところまでは、その土地の所有者の自由ということになります。
しかし、問題はその後です。
その分筆した建物C及びその建物Cが建っている土地を別の人に譲渡して、建物Cを解体し、その土地に新所有者が新しい建物を容積率上限で建てたとすると、建物Cと建物Dの平均容積率は必然的に容積率オーバーとなります。
普通に考えると、建物Cを壊して新しい建物を建てようとするときに、建物Cが建っている土地の面積を利用して、建物Dが建っているから建物Cが建っている土地の容積率は建物Dが容積率を使っている分は使えないと考えるのが普通です。
しかし、二つの観点から、建物Cのたっている土地に都市計画で定められた容積率の新しい建物を建てることができます。
1.単純に建物Cの建物が建っていた土地の隣の建物が容積率を使用していることに、新しい土地の所有者、新しい建物の設計者、そして確認申請を受理する行政機関(もしくは、代行する民間機関)が、気づかなかった。
2.新しい土地の所有者、新しい建物の設計者は気づいていたが、隣地のことを無視して自己の土地の容積率を消化しきって、確認申請を出した。受理側も気づいたが、財産権等の問題から、行政は新しい土地の所有者に、容積率の使用制限を掛けられないという考え方もできます。
私が買おうとしている時点では、建物Dは、建築基準法違反にはなりません。しかし、建物Cの建っている土地に容積率を消化しきった新しい建物を建てた時点で建物Dは違法建築物になります。
もし、建物Dを違法建築にしないためには、建物Dの所有者Aが、建物Cとその土地を売却するときに、
「〇〇区△△町一丁目200番1(建物Cが建っている土地、以下「本物件」という)に新しく建てる建物の延べ床面積は、建物Dの延べ床面積と合わせ、〇〇区△△町一丁目200番2の土地と本物件の面積をあわせ、その容積率を超えてはならない。また、本物件を転売する際には、転売人にも継承されるものとする。」
などという、特記事項を付けなければなりません。
はっきり言って買う人はいなくなるでしょう。
私はこの物件を買うことを断念しました。
何故なら、私はこの事実を知ってしまったからです。仮に知らなかったとしても、私の所属していた会社が
「あの会社が新しい建物を建てたから、隣地の建物が違法建築になった・・・。」
と言われても困ります。
ただし、建物Dの所有者以外が建物Cを壊して新しい建物を作ること自体は、上記の通り、法律には抵触しません。
これは建築基準法第8条によるものです。
第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
つまり、建物Dの所有者が〇〇区△△町一丁目200番1の土地と建物Cを売却し、建物Cが解体され、〇〇区△△町一丁目200番1の土地の容積率を消化しきった建物を建てられた時点で、建築基準法第8条に抵触することになります。
なぜなら、建物Dは、建築基準法が守られた建物にならなくなるからです。
そして、私は〇〇区△△町一丁目200番1と建物Cを買いませんでしたが、ほどなくして、別の新興系不動産会社が買いました。そして、案の定、私が当初、考えていた建物とほぼ同じものを作りました。
次回はその顛末(最終章)です。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築【収益不動産】
- 既存不適格と違法建築 収益不動産を扱うまでの経緯
- 既存不適格と違法建築 検済のある建物
- 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い
- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
- 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装
- 既存不適格と違法建築 品確法と中間検査
- 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討
- 既存不適格と違法建築 PCBとアスベストの調査
- 既存不適格と違法建築 隣のビルの高さが明かに違う
- 既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築 正しい建築士に仕事を依頼していますか?
- 借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
さて、買おうとしている物件には違法性は感じられません。
私が情報を得た翌日の朝には、同じ部署の別の担当者にも、他の仲介業者から情報が入り始めました。つまり、物件情報が拡散しているということです。
幸い、私が社内では最初に、この物件の情報を得たことを会社のサーバーに登録しているので、この物件の担当者は私になっています。
しかし、他の担当者や上司から、
「なぜ、買付けの準備をしないのか!?」
と、催促がきました。
いよいよ、急がないといけない状況になっていましたが、どうしても隣のビルが、どうやって容積率オーバーで建てたのかを調べるために〇〇区役所に出向きました。
そして、検査済みを受けているかの台帳を見せてもらいました。
『当然、検査済は取れてないだろ・・・。せいぜい、確認申請までかな。』
などと、考えていたのですが、なんと、ちゃんと、完了検査も受けて、検査済証も発行されているのです。
そこで、建築計画概要書を見ることにしました。
※建築計画概要書:確認申請が出されたときの概要が書かれているものです。行政によって、取得費用は違いますが20円~100円ぐらいで、そのコピーを売ってくれます。
検査済証が発行されているということは、確認申請を出しているということです。
原則は、確認申請どおりに建物を作って始めて検査済証が発行されるのです。
そこに書かれている内容は・・・
建築主 A(個人名)
地名地番 〇〇区△△町一丁目200番1
用途地域 商業地域
主要用途 事務所
高さ 39.700m
階数 地上13階 地下1階
構造 鉄骨造 一部 鉄筋コンクリート造
申請部分 申請以外の部分 合計
敷地面積 857.44㎡
建築面積 180.20㎡ 461.95㎡ 642.15㎡
延べ面積 2150.30㎡ 2771.73㎡ 4992.03㎡
設計者 一級建築士事務所 株式会社B建設
施工者 株式会社B建設
代理者 株式会社B建設
「ああ、B建設の設計施工か・・・」
B建設とは中堅ゼネコンです。いや、そんなことは、どうでも良いわけで・・・
まず、違法だと思っていた建物は確認申請もちゃんと出しているのですが、その内容をみて、意味がわからない点があります。
まずは地名地番です。
登記情報では・・・
〇〇区△△町一丁目200番2
建築計画概要では・・・
〇〇区△△町一丁目200番1
そもそも、〇〇区△△町一丁目200番1は今回、私が購入しようとしている物件の地名地番です。
そして、隣地の敷地面積です。
登記情報では・・・
地積:227.44㎡
建築計画概要では・・・
敷地面積:857.44㎡
※土地の面積を登記簿では「地積」といい、建築の世界では「敷地面積」といいます。厳密には違うのですが、この際は同義と捉えていただいて構いません。
そして、意味がわからないのが、
『申請以外の部分』
です。最初は、
「申請しないで、建物を作っちゃうのか?」
そんなことできる訳がありません。内緒で作ってしまうならともかく、ここにちゃんと記載されている時点で行政も把握しているわけです。
そこで、ちょっと恥ずかしかったのですが、〇〇区建築家課の担当者にこの意味を聞きました。すると・・・
「あああ、この土地には、別の建物が建っていたんですよ。そこに、今回、増築という形で新たな建物を申請しているわけですね。」
たしかに、2棟の建物の延べ床の合計は4992.03㎡で敷地面積が、857.44㎡ならば、582.2%ですから、容積率はオーバーしていません。
「じゃあ、この最初にあった、延べ床面積2771.73㎡の建物はなんなんだ?」
という疑問にすぐにぶつかりました。
「あっ・・・自分が買おうとしている建物だ!」
物件概要書には延べ床面積が書かれていないで専有面積が書いてあったので、微妙に面積が違ったのですぐに気がつかなかったのです。
「建築後の分筆・・・。それで、全ての辻褄が合う!」
ここまで読んで、何が違法なのかが解った方はプロの不動産屋さんか建築士か司法書士、家屋調査士などの資格をお持ちの方だと思います。
次回は、これの何が違法建築なのかを解説します。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築【収益不動産】
- 既存不適格と違法建築 収益不動産を扱うまでの経緯
- 既存不適格と違法建築 検済のある建物
- 既存不適格と違法建築 検済と謄本の記載内容の違い
- 既存不適格と違法建築 違法建築のチェック
- 既存不適格と違法建築 完了検査の未受領
- 既存不適格と違法建築 用途変更と構造偽装
- 既存不適格と違法建築 品確法と中間検査
- 既存不適格と違法建築 旧耐震ビルの利用検討
- 既存不適格と違法建築 PCBとアスベストの調査
- 既存不適格と違法建築 隣のビルの高さが明かに違う
- 既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 土地の登記情報(謄本)
- 既存不適格と違法建築 増築のための確認申請
- 既存不適格と違法建築 建築後の分筆
- 既存不適格と違法建築 地名地番と家屋番号
- 既存不適格と違法建築 正しい建築士に仕事を依頼していますか?
- 借りた物件の用途変更が出来ないのは誰の責任?
前回、建物の登記情報を見ましたが、その時点では、あまり違和感を持たなかったのですが、やはり、どうしても13階建ての建物が建てられたのかが気になります。
普通に考えれば、確実に容積率オーバーのはずだからです。
『単純な容積率オーバー?いやいや、平成15年築で建てられた建物・・・。この場所でわざわざ資産価値を下げるようなことをするか?リスクも大きいはずだし・・・』
この頃になると、当然ですが行政機関のチェックも厳しく、東京では単純な違法建築物を作ることはできません。まだ、姉歯建築士による構造計算書偽装が発覚する前とはいえ、そんな簡単に、しかも極めて単純な違法建築物を東京で作るのは厳しい時代になっていました。
ちょっと、話はずれますが、この頃になると、容積率オーバーや違法増築と言った違法建築物を造ることは、東京では難しくなってきていました。実際に、
『違法に地下室を作った建築主が行政機関から使用差止めを受け、地下室を埋めさせられた』
などということも、この頃にはありました。ただ、これは東京での話です。
実際に地方都市では、当たり前のように、違法増築などは行われていましたし、平成23年現在でも行われている地方都市も存在します。
さて、話を本題に戻します。
単純な違法増築は考えにくいものの、まずは容積率オーバーということを確認しようと思い、土地の登記情報を取ることにしました。
前章で書いたように登記情報をネットで取得できるものの、一応、有料です。当時は500円/件弱だったと記憶しています。(平成23年現在は、全部事項で337円/件です。)
実はこの500円弱をちょっと気にしていました。
当時の私はサラリーマンです。いくら、仕事とは言え、少しでも経費を削減しようとしている部署も沢山ありました。その頃の私は正確には数えていませんでしたが、登記情報サービスだけでも約年間1000回以上は使っていました。その他にも帝国データバンクの利用を考えると、1年間に登記情報や企業情報の調査に100万円以上の経費を使っていました。
登記情報サービスを事後報告で利用できたのは、私のいた部署と戸建分譲用の用地を取得する部署だけです。帝国データバンクを事後報告で利用できたのは私の部署と法務部だけでした。
ただ、それにしても
「使いすぎ!」
と、上司に怒られた直後だったからです。私の上司は、それが必要なことだと理解はしてくれていたのですが、経理担当役員から言われていて、少し注意をしなくてはならない状況にありました。
しかも、今回は自分が買おうとしている不動産の登記情報ではなく、隣の不動産の登記情報だけに、何の関連性もなかった際に言い訳が辛いと感じていました。
それでも、土地の登記情報を取得しました。
【表題部】
所在:〇〇区△△町一丁目
地番:200番2
平成16年〇月〇日 200番1より分筆
地目:宅地
地積:227.44㎡
【権利部(甲区)】
所有者は個人名Aになっています。
【権利部(乙区)】
一切の記載がありません。
『あっ・・・。容積率オーバーだ!!』
とすぐに感じました。
前章で書いたように、この建物は登記上の建物の延べ床面積は
地下1階 40.50㎡
1階 180.20㎡
2階 160.80㎡
(3階~13階は2階と同じ面積なので省略)
つまり
40.50㎡+180.20㎡+160.80㎡×12階=2150.30㎡
2150.30㎡÷227.44㎡×100=945.43%
このエリアは容積率600%ですから余裕の容積率オーバーです。
この頃は、相当に建築基準法が厳しくなっていますし、それどころか、中高層の条例などもありますから、そんな簡単にこんなに派手な建築基準法違反はできないはずです。
『確認申請は出したが、完了検査を受けなかったとかかなぁ・・・?それにしても中高層条例や、他の条例で発覚してもおかしくないはずなんだが・・・』
そんなことを考えながら、とりあえず、完了検査を受けて合格しているかどうかの確認をすることにしました。
次回は〇〇区役所建築課に行って、完了検査を受けているかを調べに行ったところからを書きます。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。
既存不適格と違法建築 建物の登記情報(謄本)
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会社に戻ってネットで隣の建物の謄本を取りました。
※個人の方は、インターネットで謄本を取ることはできません。法人で『登記情報提供サービス』の会員になっている方のみ、有料で登記情報を閲覧(プリントアウト可)することができるのです。
さて、調べてみると、予想通り平成15年築の新しいビルです。
建物の登記情報を見ると・・・
【表題部】
所在:〇〇区△△町一丁目200番地2
家屋番号:200番地1の2
種類:事務所
構造:鉄骨造陸屋根 地下1階地上13階建
床面積:地下1階 40.50㎡
1階 180.20㎡
2階 160.80㎡
(3階~13階は2階と同じ面積なので省略)
原因及び日付:平成15年〇月〇日新築
【権利部(甲区)】の所有者は個人名Aになっています。
【権利部(乙区)】には一切の記載がありません。つまり、このビルは何の担保設定もされていないということです。
※【権利部(甲区)】 不動産の所有権に関する事項が書かれています。例えば、所有者が2名いる場合などは、2名の持分の割合なども書かれています。また、どうして、このビルがこの人が所有したかなども記載されています。
※【権利部(乙区)】 不動産の所有権以外に関する事項が書かれています。例えば金融機関から、不動産を担保にお金を借りた場合など、抵当権にかんする事項として、抵当権の設定日、借りている金額、金利、金融機関名、遅延損害金の利率などが記載されているのが一般的です。
これだけ、見ると
「Aさんって、お金持ちなのね。」
としか思いません。このオフィスビルは登記簿上の床面積は約650坪です。ということは、建築費5億円以上はしたはずです。
それなのに、一切の借金をしないで建てていると考えられるからです。
もちろん、Aさんが他にも不動産資産を持っていて、他のビルを担保に融資を受けたとも考えられるのですが、一般的にはその建物の土地を担保に建築費の融資を受けます。
それでも建築費が足りない場合は、他の物件を担保に加えることもあります。(これを『共同担保物件』と言います。)また、その土地を担保に建築費の融資を受けた場合、建物完成後にその建物も共同担保に入れられます。
これは融資を受けた者(債務者)が返済できなくなった場合、融資をした金融機関(債権者)がその不動産を差押えて、競売に掛ける(この事を『抵当権の行使』といいます。)ことになります。その場合、建物が共同担保に入っていないと、建物に対して抵当権を行使できず、土地だけの抵当権の行使となります。土地を競売で落札しても、その土地に別の所有者の建物が建っており、元々は、土地も建物も同じ所有者なので、そこに借地契約が存在もしていません。この状況では土地の価値が極めて希薄なものとなってしまうので、建物完成後に建物も共同担保に入れることになるのです。
この登記簿情報だけを見て、違和感を持った人、もしくは、どういう事態が発生しているかがわかった人がいたとすれば、その人は相当、登記簿情報を見慣れた人か、相当なベテランだと思います。もしくは、私の過去のブログで、登記簿情報の件が書かれている部分を読まれた方は気がつくかもしれません。
登記情報の読み方については、別の記事で詳しく書きます。
とにかく、建物の登記情報だけではなく、土地の登記情報も調べてみることにしました。
次回は、その建物の土地の登記情報を書きます。
・既存建物を買うときに違法建築物かどうかを判断するのは、なかなか難しいものです。ですから、既存建物を買う前に是非、リデベにご相談ください。
・違法建築物を既に買ってしまって、お困りの方もリデベにご相談ください。(場合によっては、違法建築を解消できます。)
・既存不適格建物に関して、不安をお持ちの方もリデベにご相談ください。