空き家問題を考える ~無造作にアイデアを実施するのはNG~
今、色々なところで取り上げられている空き家問題。既に2013年10月の調査で全国に約820万戸、全体の13.1%の空き家があるという状態である。
なぜ、空き家が増えているかというと、根本的な理由は簡単である。
人口減少が始まり(増加が止まり)、核家族化による世帯数の増加にも歯止めが掛かっているのに新築の供給が多いというのが最大の原因だ。新築の供給を抑制すれば簡単に問題が解決できそうだが、景気刺激策などの理由から、むしろ住宅エコポイントの復活など新築の供給を煽っているのが現状である。
さて、この空き家問題だが現在、早急な取組が必要な問題は、空き家となっていて、再利用不可能にも関わらず放置されていて危険な建物が問題となっている。人里離れた集落で既にその集落に誰も住んでいないで廃墟になっている空き家や、高度経済成長期に開発された別荘地などの空き家は人がそもそもいないので、放火や空き巣、また、そこで子供が遊んでけがをするという心配は少ないだろう。
しかし、このような廃墟となっている空き家はなにも人里離れた場所にあるとは限らない。東京23区の駅近の住宅地にもかなりの数が存在する。これは、『固定資産税の減税の問題が大きい』とか『解体費を相続人が負担しないから』など、様々な理由が上げられているが決定的な理由が存在する訳でもなく、複合的な要素が大きいのだろう。
そして、最近ではこの様な廃墟となった空き家を取り壊せる条例を定める特定行政庁が増えている。
しかし、ここで疑問に思うことだが、何故、わざわざ条例を作っているのだろうということだ。条例など作らずとも建築基準法第10条を適用して除去の命令を出してしまえばよいだろうと考えた。そこで、既に条例を定めている東京都墨田区に問合せをしてみたところ、建築基準法第10条では
前略~損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる。
となっている。この「そのまま放置すれば著しく保安上危険となり」の部分が「衛生上有害となるおそれがある」の「おそれ」に掛かっていないと受け取れるとの解釈があるらしい。文面からすれば、「そのまま放置すれば」とあるので未来を予測しているので「おそれ」に掛かっていなければ日本語として成立しなくなるはずだが、この部分の取り扱いがナーバスな問題ということである。
そこで、ここに一言付け加え、「そのまま放置すれば著しく保安上危険となる『おそれがある』、・・・」と条例にはしているとのことである。
実はこの建築基準法第10条にはもっと大きな欠点がある。
それは憲法第29条の財産権の問題で、他人に迷惑を掛けている状態にない個人の財産を国家がそれを侵してはならないとあり、憲法第98条で憲法は他の法律よりも優先するとあるので、その空き家が他人に迷惑を掛けているかの判定が難しい。建築基準法では他人に迷惑を掛ける様な状況を定めていない。
そこで、条例では、他人に迷惑を掛けると考えられるガイドラインを策定している。
では、このガイドラインに抵触したら、なんでも壊せるかというと、そうでもなく、出来うる限り、所有者に取り壊す許可を貰ってから壊しているとのことである。
ゆえに、条例を作ったからと言って速やかに廃墟となっている空き家を取り壊せるということではないらしい。
さて、廃墟となっている空き家に関しては権利関係を整理して、解体費を差し引いた価格で不動産市場に流通させれば良いと思う人もいるかもしれないが、実際には廃墟となっている空き家というのは、その権利関係が滅茶苦茶になっていることが多い。つまり、住んでいた人が亡くなり、相続が発生しているのにそこに相続人がいない訳である。私も何度か、この手の空き家を売却して貰えないか、相続人を探そうとしたが、登記情報を取り寄せてみると、相続人が10人ぐらいいて、さらにその10人のうち、2人が既に他界していて、さらなる相続が発生しているのに登記されていないということもあったし、登記情報に記載されている所有者は一人だけど既に昭和の時代に他界していたという事例もあった。一番、多いのは登記情報では所有者の住所が、当該物件つまり、廃墟になっていて、所有者と連絡が取れないということだ。
こんな権利関係が面倒な空き家を不動産市場で流通させるなど、現行法では不可能である。
しかし、この様な廃墟とまでは言えない、再利用可能な空き家の方が多数、存在しているのが事実である。しっかりした、統計データはないのだが、空き家の理由が明確で再利用可能が確実と考えられている住宅は、2008年の段階で65.5%あった。残りの34.5%の中にも長期不在や別荘などの空き家が含まれており再利用可能なものもあったと考えられる。とすると、少なくとも70%以上の空き家が再利用可能と考えられる。
もちろん、この空き家が手つかずの状態で、そのうち時間の経過とともに廃墟になっていく可能性は十分にある。それに目を付けたのが空き家ビジネスである。
一番、多く最近話題になっているのが、某不動会社が主催し、若手の建築家が、お洒落なリフォームを提案し、所有者を説得してリフォームをして賃貸にだしているという手法である。
しかし、この実態を調べてみるとかなり杜撰な実態が見えてくる。若い建築家は建築基準法のことなど度外視で、構造の安全なども床下や天井裏を懐中電灯でちょっと見て、
「これ、全然、使えますよ!」
などと言って、細かい検査など一切していない。それどころか、その物件を調べてみると完了検査が出されていない物件も多数ある。というよりも、殆どの物件が完了検査を受けていなかった。それにも関わらず、体裁だけを整えて賃貸に出しているのである。この不動産会社がそれを重要事項説明の時に説明していたかどうかは不明であるがかなりグレーな手法であることは間違いない。
空き家を安く借りて老人介護施設にしているケースも多数、見受けられる。それも無届け老人介護施設で建築基準法の用途変更どころか、なんの申請もしていないで勝手に使っているというケースもある。さらには、特定行政庁がこの様な無届け老人介護施設を斡旋しているという実態もある。
他にもつい最近まで問題になっていた脱法ハウスとして利用されている場合もある。これに関しても国土交通省から、新しいガイドラインが出ているにも関わらず、一切、お構いなしで使われているものもある。同様に用途変更を行わずに簡易宿泊施設として使われているものもある。
いずれの事例でも事故や事件が発生している。
この様な脱法に近い空き家利用に歯止めを掛けなければならないこともあり、誤った空き家利用をもう少し詳しく紹介し、本来、どの様な手続きを行い利用しなければならないかを今後、連載していきたいと考えている。
不動産売却 消費税、増税前後の価格変化
前回、不動産業界の人でも消費税増税の反動で分譲マンションや戸建て分譲が売れなくなったと認識している人が、今は少ないと書きましたが、消費税増税になった平成9年には、消費税増税異常にインパクトのある別の大きな経済的事件がありました。
北海道拓殖銀行(拓銀)と山一證券の倒産です。
平成9年は、消費税増税後も株価こそ、堅調に推移していましたが、8月になると株価も後退しはじめ、9月の終値は増税した4月1日とほぼ同じ株価になっていました。
そして、11月になると拓銀倒産、山一證券倒産となり、7月には2万円台で推移していた株価は、12月になると1万5千円前後で推移するという状況になります。そして、平成10年には、日本長期信用銀行倒産となり、株価も1万3千円台で推移します。
拓銀の倒産は不良債権、特に不動産担保に対する不良債権比率が異常に高かったことが破綻の一端でした。その後、足利銀行が破綻しますが、こちらも同様で、バブル崩壊後、不良債権問題に苦しんだ金融機関は不動産担保の過剰融資をしなくなります。
では、その頃の不動産価格はどのように変化していたかを見てみます。公示価格を掲載しますが公示価格というのは、概ね実態を半年遅れで反映しているものです。
まずは、東京の住宅地を見てみます。
東京都中央区銀座4-2-15(商業地 容積率600%)
平成8年 10,500千円/㎡
平成9年 10,000千円/㎡
平成10年 10,300千円/㎡
平成11年 10,000千円/㎡
平成20年 21,200千円/㎡
東京都杉並区天沼3-20-21(住宅地 容積率200%)
平成8年 500千円/㎡
平成9年 492千円/㎡
平成10年 486千円/㎡
平成11年 471千円/㎡
平成20年 526千円/㎡
愛知県名古屋市千種区京命1-8-26(住宅地 容積率200%)
平成8年 216千円/㎡
平成9年 206千円/㎡
平成10年 203千円/㎡
平成11年 193千円/㎡
平成20年 177千円/㎡
大阪府大阪市天王寺区味原町3-11(住宅地 容積率300%)
平成8年 531千円/㎡
平成9年 506千円/㎡
平成10年 495千円/㎡
平成11年 474千円/㎡
平成20年 451千円/㎡
と、銀座等の極限られた商業地は、踏みとどまっていますが住宅地に関しては三大首都圏でも価格は下がっていきます。この価格は半年後の価格ですから実際に駆込み需要があったとされる平成9年でさえ、平成8年からみて価格を下げています。当然、拓銀や山一證券の倒産の影響がでる平成11年はもっと大きく下がります。
また、平成20年は実質リーマンショックの前年のミニバブルと言われたときは、一部の商業地の値段は跳ね上がりましたが、住宅地は東京の一部で平成9年より上がりましたが、その他の場所では下がっています。
その東京の住宅地でさえ、平成25年現在は平成11年よりも大きく下げています。前述の事例である東京都杉並区天沼3-20-21は、433千円/㎡です。
東京の一部の商業地は、人口動態が直接的に影響しないことがあり、また過剰投資の対象になることがあるので、銀座のような事態が発生します。同じような現象が起こったのは丸の内、表参道、渋谷、原宿、新宿、池袋などのごく一部のエリアに限られます。
今はマンション用地や戸建て分譲用地などの需要はかなりあるので、首都圏などで土地を売却しようとすれば簡単に売却することができます。
しかし、需要が無くなった時には、公示価格で示された価格で取引が出来ているかといえば、なかなか出来なかったりします。当然、公示価格よりも大幅に安い価格ならば、売れるのですが、大幅に安い価格で手放そうとする人は少ないので、実際には需要が無くなってくると売却すら難しくなってきます。
株と不動産投資の大きな違いは市場流通性が全然違うということです。
株は損切りしようと思えば、すぐにできます。しかし、不動産は買い手が限られるので、簡単に売却できなくなるときがあります。特に需要の少ないエリアでは売却しようと思ってもできないということも多々あります。
一昨年、当社で売却を依頼された伊豆の別荘地がありましたが、100坪で20万円にしても全く反応がなく、別荘地専門の買取業者に相談したところ、
「ただでも引き取れない」
と言われました。需要が無ければ、固定資産税や管理費を払うだけで赤字になってしまいます。そういう不動産もあるということです。
不動産投資と言うのは、売却できるときに売却して、より良い不動産に買い換えるというのが必勝のパターンです。
売却できる時期に損切りが出来なければ、次に損切りができるのは、10年も待たなければならないということも多々あります。その間に、優良な不動産に買い換えることすら出来ないというのが、不動産投資で失敗するパターンです。特に不動産をお持ちの方は、過去の不動産価格の幻想をいつまでも思い描いていたり、自分の持っている不動産がいつまでも良い場所にあると勘違いしている方も大勢います。
すでにシャッター商店街になってしまったような地方都市は見るからに需要がないので一目瞭然ですから、ここで事例を示す必要性はありませんが、例えば昔は新幹線の終点であり、東北地方の玄関口だった上野周辺の価格は
東京都台東区上野2-12-16(商業地 容積率600%)
平成8年 3,880千円/㎡
平成9年 2,950千円/㎡
平成10年 2,440千円/㎡
平成11年 2,170千円/㎡
平成20年 1,910千円/㎡
平成25年 1,430千円/㎡
と、東京の商業地でありながら、一方的に価格が下がっています。この場所は不忍通りに面して、上野に至近の場所で、北側の春日通りとの間は、昔は繁華街として栄えた場所で、今でもその面影はあります。しかし、公示価格だけを見れば、リーマンショックの前のミニバブルの時でさえ、あまり需要が無かったことが良くわかります。そして、今や、容積率100%あたりの公示価格は、東京都杉並区天沼3-20-21とほぼ同じ価格ですから、すでに商業地としての使命を終えて、今後はマンション用地に変貌して行く場所と考えられます。
不動産をお持ちの方は、買換え特例などを上手に活用して、優良な不動産への買換えをお勧めします。
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不動産売却の時期 消費税増税後の住宅需要
平成9年の3月末には平成8年度4回目のボーナスが出ました。この年、4回目のボーナスが出るときに当時、私が勤めていた会社の副社長(当時71歳)がボーナス支給に当って、全社員の前で
「去年は消費税増税前の駆込み需要で予想以上の売上をあげたが、今年はその反動が必ずあるだろう。生産部門は一層のコストダウンに努め、消費税増税分以上に価格を下げる努力をして、営業部門は、それを如何に顧客にアピールするかを考えなければならない。以前の消費税導入(※)は、バブル景気に向かう中で影響は軽微だったが、今回は違う。」
と言いました。(※「以前の消費税導入」:1989年4月1日に日本で始めて3%の消費税が導入されたこと)
しかし、社員は前年のあまりに好調な売れ行きや、以前の消費税導入の時にあまり影響が無かったことから、楽観する雰囲気が漂っており、その副社長の言葉をちゃんと受け止めていなかったと記憶しています。
しかし、副社長の言ったことは、見事に的中することとなります。
平成9年度上期(4月~9月)分の事業用地は、ほぼ平成8年度下期以前に入手したものが多く、前回書いたように用地取得部門は、事業用地を必死になって買っていましたから、当面の事業用地は確保されていました。
建設会社というのは、作り続けないと存続できません。工場等がないので生産調整が簡単だと思っている人が多いのですが、建設会社には専属の職人がいます。職人は社員ではありませんが、仕事の発注を辞めると職人は食べていくことができなくなります。これは現場の職人だけではなく、仕入れている材木屋や畳業者や襖業者などの大手ではない建材業者にも同じ事が言えます。
だから、事業用地がある以上、作るしかないということもありました。
その証拠に平成9年の住宅着工戸数は134.1万戸と前年の163万戸から17.7%も減ったのですが、分譲住宅(分譲マンションと戸建て分譲)の着工戸数は35万戸と僅かに0.1万戸(前年比0.4%)の減で済みました。しかし、これは着工戸数であり、販売戸数ではありません。
作っても全く、売れなかったという記憶があります。在庫だけが増えていき、結局、建築コストを下げるどころか、赤字覚悟で値下げをして販売をするのですが、需要の先食いをしてしまっていること、消費者の購入意欲の減退から、価格を下げても売れなくなりました。
平成9年の下期になると楽観視していた役員や社員も状況を把握しだし、事業用地の購入を絞り始めました。価格が特別に安い土地だけを購入するようになっていきます。
私はこの頃、まだ社会にデビューして数年目でしたが、商品開発部門にいました。マーケティングデータや統計データの解析をしていたので、この頃のことを良く覚えていますが、私と同世代の同じ業界の人でも、何故、分譲マンションや戸建て分譲が売れなくなったかをしっかりと認識している人は極僅かです。
当時、この消費税増税による影響の反動で分譲マンションや戸建て分譲の売上が大きく下がったということをちゃんと認識していた当時の管理職社員や役員の方は、既に50代後半~70歳代ぐらいのはずです。
この業界の人でも消費税増税の反動を認識している人の半数以上が現役を退いているということになります。
今回の消費税増税も大きな反動が出ることは必至です。
実際に消費税増税の駆込み需要も起こっていますが、さらに金利が上昇局面に入っていることもあり、金利が安いうちに住宅を買おうという需要も重なっています。
政府はその反動を抑えるために住宅取得時の減税などを考えているようですが、需要の先食いをしてしまうと、需要そのものが少なくなるので需給バランスが崩れます。
これはエコポイント終了のときの家電でも同じ現象があったのは記憶に新しいところです。
エコポイント終了にともない、家電の売れ行きは一気に悪くなりました。家電量販店は必至の値引き競争をして、実際にはエコポイント期間よりも安く家電を買えたのですが、各家電量販店の売上は一気に悪くなりました。当然、無理な値引きもしたので利益も減ります。さらに家電各メーカーにも仕入れ値を押える要請をしますから、家電メーカーも利益が出なくなります。
家電量販店が仕入れ値を押えたのと同じように、土地価格の下落が起こります。
今の土地価格が維持、微増は、あと1年と予想されます。
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不動産売却の時期 消費税増税前の駆込み需要
平成7年、もう18年も前のことですが、その年は随分と暗い年でした。1月に阪神大震災があり、さらに3月に地下鉄サリン事件、また政治基盤も村山内閣という連合政権で不安定でした。バブル崩壊後、弱っていた日本経済にとって、さらに追い討ちを掛けた年でした。
平成8年になると、村山政権で内定発表されていた消費税増税(3%から5%へ)に対する駆込み需要が始まります。
住宅需要も平成7年は景気の落込みなどで、平成6年の156.1万戸から148.5万戸まで減りましたが、平成8年になると、特に所得が増えている訳でもないのに、163万戸と前年比9.8%増と一気に増えました。
こと分譲住宅(分譲マンション・戸建て分譲)だけに限ってみると平成6年は37.8万戸から平成7年には34.5万戸まで減りましたが、平成8年には35.2万戸に増えました。
住宅全体が9.8%だったのに対し、分譲住宅は34.5万戸から35.2万戸だと、僅かに2%の上昇でしかありません。
よく覚えていますが、この年は「造れば売れる」というような状態で、どの現場でも抽選会が行われていました。抽選会が行われるということは、それだけ需要に対して供給不足だった状態だったのです。
販売部門の責任者が
「撃てば当たる。売って、売って、売りまくれ!」
と販売担当に発破を掛けていました。
実際に販売の営業は軒並みボーナスが上昇し、生産部門もその恩恵に与りました。しかし、会社の中で厳しい眼差しで見られていたのが、用地買取部門です。
「造れば売れる」という状態ですから、土地さえあれば、もっと造ったのですが、あまり土地が買えなかったのです。
その頃の地価はバブル崩壊後下落の一途で、土地所有者がなかなか土地を手放さなかったという経緯がありました。実際に事業用地は、個人から買取ったものは少なく、バブル崩壊で社宅、工場、倉庫などの法人が手放したものが殆どで、個人から買取ったものは相続で手放された僅かな土地だけでした。
「それだけ、需要があるのだから、土地を高く買っても売れるだろう。」
と思う地主が多かったのと、バブル崩壊直前まで信じられていた、
「土地の値段は下がることがない」
という不動産神話も手伝い、再び地価が反転上昇すると思っていた地主が多かったこともあります。
しかし、分譲住宅会社は多少利益を削って、高く土地を買取ることはありましたが、販売価格を上げることはありませんでした。何故なら、分譲住宅を買う方が値上げについて来られなかったのが原因です。買う人たちは、多少高くても買いたいのが本音だったのですが、金融機関がバブル時のような無理な融資をしなかったのです。
分譲住宅を買う人の殆どが、なんらかの住宅ローンを使います。住宅ローンを使わない人は、2割に満たないのです。ですから、販売価格を上げられず、必然的に土地の買う値段も利益を削れる範囲の中でしかあげることができませんでした。
その後、消費税増税は実際に行われることになります。
それは、村山政権という不安定な政権から、自民党公明党だけによる橋本政権という強力な政権誕生によるものでした。
この部分だけを見ると、平成25年現在とかなり似ていました。
土地の値段が反転上昇するのは10年後のことで、上昇と言っても僅かな期間であり、この時の消費税増税前の地価に戻ることはありませんでした。
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公示地価と相続税
まずはニュースより
国土交通省は20日、2011年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。全都道府県の住宅地、商業地が3年連続で下落し、1年前に比べ下落した地点は91・5%に達した。東日本大震災で激しい被害を受けた地点は調査対象から外したが、震災後に関東・東北を中心に取引が落ち込んだことが響いた。特に東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県の下落率が顕著だった。
回の調査地点は2万2460地点。東北被災3県と液状化被害の大きかった千葉県の一部地域など93地点は「判定不能」などとして調査対象から外した。
住宅地の全国平均は、マイナス3・2%(前年はマイナス3・4%)と20年連続で下落。商業地はマイナス4・0%(同マイナス4・6%)で4年連続で値下がりした。ただ、下落率は前年から縮小した。低金利や住宅ローン減税を背景に震災前まで、住宅需要が堅調だったため。
下落は2万564地点に上った。一方、地価は88地点で、前年の27地点から約3倍に増え、横ばいも863地点と、前年の302地点から約2・5倍になった。
【産経新聞 2011年9月20日 より抜粋】
公示地価が、実際の取引価格ではない。しかし、一つの指標となっていることは間違いない。
今回の公示地価から見ると、東日本大震災の被災地を除くと、大方の予想通りの結果となった。日本の不動産価格はバブル崩壊(平成元年)以降で言うと、平成17年~平成20年の4年間を除けば、ほぼ一方的に下がっている。この上昇した4年間と言うのも、三大首都圏を除けば右肩下がりの状態だった。
私は今後、当面の間(向こう30年以上)、日本の不動産価格が大幅に上昇することは無いと考えている。と言うよりも、下がっていくと考える方が賢明だろう。投機目的で不動産を買おうと考えている人がいればお勧めはしない。実需や投資(イールドギャップ)でしか不動産は買えないだろう。
しかし、規制緩和等があれば、瞬間的には上昇するチャンスはあるが、それでも上昇率は余程の一等地(東京主要3区の商業地)で30%程度の上昇で逆に反動で下がる方が大きいだろう。
日本の不動産価格が上昇しない理由の一つに相続税の問題が挙げられる。
相続が発生するから不動産を手放す人がいて、不動産の流動化が進み、不動産価格が上昇する様に感じられるが、これは人口が増加していたり、景気が上昇している場合で、実際には、需要が減少している時に相続で不動産が出てくれば供給量が増えるだけで、不動産の価格は下落する。
現在の税制改革の一環で相続税を上げる方向で調整が進んでいる。基礎控除額も引き下げる方向でほぼ話がまとまっている。
日本で相続税を支払う人と言うのは基礎控除額があることから、一定の富裕層である。日本は民主国家であるから、その富裕層から税金を徴収する案に反対する人は少ない。だから、増税しやすい項目ではある。
ところが、相続税というのは税収の僅か1兆円程度で、全体の税収の2%程度でしかない。逆に固定資産税や都市計画税は、10兆円もある。
もちろん、国税と地方税の差があるのだが、国家であれ、地方であれ、国に動かす税収であることは大差はない。
相続税、固定資産税や都市計画税は全てが土地に掛かるものではない。建物にも掛かるし、金融資産、現金など様々なものに掛かる。しかし、不動産が占める割合が圧倒的に大きい。
今、相続税を上げて、供給を増やし、不動産価格を下落させれば、固定資産税や都市計画税も下がり、結局は財政を悪化させ、富裕層以外の人の負担も増える。そして、基礎控除額を下げていき、今まで相続税の支払い対象者以外の人にも相続税が及んでいく。
しかも、都心の一部を除けば、相続税として物納された土地が財務省所有のままになっているものが沢山ある。(もちろん、都心にもあります。)
中には馬鹿な経済評論家がいる。基礎控除を下げて(例えば2000万円にして)、課税対象の税率を100%にしてしまえば53兆円の相続税が出るなどと言っているが、税率が100%になれば(近づけば)、資産2000万円以上の部分は生前に使ってしまおうとか考えるし、資産が2000万円を超えそうになれば、その人は働くのを辞めるだろう。この意見はすでに不動産価格下落以上の問題を抱えている。
相続税を上げるということは、僅かな税収と引き換えに、大きなものを失うということを少しは考えて欲しいと思っているが、今は、相続税を上げ、基礎控除額を下げる方向に進んでいる。
首都圏の収益ビルとマンション発売の回復基調
今日の日経新聞13版4面に
中央三井が不動産ファンド
運用規模、5年で1500億円
・安定運用 年金資金に的
・借入抑えリスク低減
という記事があります。不動産の底入れをにらんで動き出したと書いてあります。たしかに、不動産、特に首都圏の収益ビルはある種の底打ち感があります。
現在、首都圏で10億円以上の物件だと、築20年以内の物件だと、ほとんどがNet利回りで8%未満でしか買えません。
一時、どこまで下がるだろうと思ったのですが、結果的には、
・遵法性が保たれている
・ある程度の好立地
・既に収益物件として入居率が80%以上の稼動をしている
等の条件が揃えば、それなりの需要が出てきています。
また、同紙13版11面には
マンション発売
首都圏3ヶ月ぶり増
という記事も出ています。これは昨年の10月以来ということになるのですが、一昨年の10月はリーマンショックがあり、激減していたので比較対象にならないと以前に書きましたが、今回はそれなりに回復基調に入っている様な感じはします。
また、実際に仕事でマンション用不動産の依頼も多くきており、むしろ探す方が大変です。販売実績も契約率が軒並み70%を超えており、良い物件だと即完という物件もあります。
かなり、手控えている事もあり、需給ギャップが拡がっていることもあったと思います。
この様に収益不動産市場、住宅実需市場ともに徐々にですが回復に入ったと見ていいと思います。
ただ、昨日はオフィスの空室率が以前、大きくなっているという記事も出ており、新築オフィスの開発市場は当面の間は回復は見えません。また、個人投資家向けのワンルームマンションなども金融機関の融資が、まだまだ厳しく、回復の目処が立っていないのも事実です。
政治に目を向けると、沖縄基地問題や政治と金の問題などから、夏の参議院選挙の行方は混沌としています。普通に考えれば、民主党の参院選敗退になると考えられるのですが、二度目の事業仕分けによる民主党人気の回復や鳩山(弟)の離脱など自民党の自壊なども、政権を混沌とさせている要因です。政権がバタバタしている時と言うのは、歴史的にも景気回復に水を差すことは明らかです。
この様に不安要素もあることは事実ですし、一本調子に景気回復になるとは、考えにくいですがそろそろ、気候と同じ様に芽吹き始めているのかなと感じます。
本格回復は秋以降だと思いますが、それまでにしっかりと力を蓄えたいと思っています。
追い出し屋規制法案
さて、今日、NHKのニュースを見ていて・・・久々に追い出し屋に関するニュースがやっていました。記事は毎日.JPのものです。
以前にもこれに関する記事を書いてはいます。・・・・家賃保証会社に許可制
追い出し屋規制法案:国交省、家賃保証業者に登録義務
敷金・礼金なしで入居できる「ゼロゼロ物件」など民間の賃貸住宅で、一部の業者による違法な追い出し行為が相次いでいる問題を巡り、国土交通省は12日、家賃債務保証業者に国交相への登録を義務づける法案をまとめた。悪質な取り立て行為の規制や暴力団員の排除を盛り込み、罰則も設けた。閣議決定され次第、今国会に提出する。
禁止する取り立て行為は▽鍵の交換▽家具などの持ち出し▽早朝深夜の督促▽これらの行為の予告。面会、文書の送付、張り紙、電話などの手段にかかわらず、威圧的な態度で私生活や業務の平穏を害する言動を禁じた。行為規制のため、不動産管理業など他の業種も適用対象となる。
常習滞納者を排除するとして、家賃債務保証業者が家賃滞納者らの信用情報をデータベース(DB)化する社団法人「全国賃貸保証業協会」(LICC)を設立したことへの対応も盛り込んだ。同協会は今年2月から契約者に情報の登録への同意取得を始めたが、埼玉弁護士会などが「滞納理由を考慮せず、同意しなければ貸さないというのは賃貸人の有利な地位の乱用」などと反対しているため、「事前に把握する必要がある」(国交省)として、DB作成事業者も国交相への登録制とした。
家賃債務保証業は一定の保証料をとって借り主の連帯保証人となり、家賃が滞納した際に家主側に滞納分を立て替える。国交省によると、70~80社あり、賃貸住宅の約4割で利用されている。違法な追い出し行為が社会問題化しており、苦情相談が04年の44件から08年には495件と急増している。
出典:毎日.JP
たしかに、明らかにやりすぎな業者がいるのは間違いないと思います。
しかし・・・
「滞納理由を考慮せず、同意しなければ貸さないというのは賃貸人の有利な地位の乱用」
これって変じゃないでしょうか?実はNHKのアナウンサーも
「景気の悪化で已むに得ない理由で家賃を支払えない人もいるから・・・。」
と言っていたのですが、大家さんにとってどんな滞納理由もあまり関係無いと思います。優しい大家さんなら同情はしてくれるかもしれません。しかし、もし、私が投資用ワンルームマンションの1室オーナーで、そのワンルームマンションをローンで買っていて、家賃収入をあてにしていた時に滞納されたらどうなるでしょうか?
「亀井大臣が助けてくれるさ!」
恐らく、1ヶ月2ヶ月なら、金融機関も待ってくれるかもしれませんが、半年、1年もしれば自己の居住用でなければ、抵当権を行使されるか任売となるでしょう。実際にこのパターンでマンションを手放した人がいます。もっとも抵当権設定された後に、賃貸借契約を締結していたので、家賃滞納をしていた住人は強制執行されて国に追い出されました。
つまり、どんなに景気が悪いという理由を言っても、強制執行の前には無力なわけだし、滞納理由なんて本来はどうでもいいわけです。
では、家賃滞納をしそうな人、全てに国が住宅を提供できるのでしょうか?
その財源は確保できることを前提にこの法律を作っているのでしょうか?
今後、オーナーは審査を厳しくして、更に家賃滞納時の対策を強化すると、借家人はどうなるのか・・・。
姉歯問題もそうでしたが、一部の悪徳業者のせいで悪法ができて、業界そのものが停滞することにならなければいいなぁと思う次第です。
2010 不動産市場 予想
今日から仕事初めという方も多いと思います。
私は6日からという感じで今日はまだのんびりしています。一応、今年は何をしようか・・・などとまったりと考えています。
さて、今年、自分が何をするかを考えるに当って、市場がどんな風になるかを考えておかないと、行き当たりばったりになってしまいます。(まぁ、大体、行き当たりばったりなんですけど・・・)
というわけで、私の思う不動産と建築市場の予想を書いておこうと思います。
住宅市場
住宅市場は、今年は去年ほどではないですが大幅な回復は難しいと考えられます。
というのは、一部のエリア、特に東京都心部では価格が反転して上昇を始めると思います。しかし、これは短期的な現象の可能性もあります。東京都心部では、相当に品薄感が拡がっていますし、昨年からの『今が買い時』という感覚が拡がっているから、価格は上昇するとみています。
ところが、このテクニカルな動きに、ファンダメンタルが追随できるかは微妙な状況です。アジア市場が牽引する経済成長に乗れた企業などの業績は回復しても、住宅を買うのは、企業ではなく従業員です。給料の安定や雇用の安定が無ければ、テクニカルによる価格の上昇などはすぐに息切れしてしまいます。
住宅に関してもエコポイントなどの話がありますが、以前にも書いた通り、エコポイントを取得することで仕様が上がり、建物価格が上昇して、その分がエコポイントで安くなっても、市場の活性化にはつながりません。供給戸数(注文住宅などの含む)は昨年並みで、ただ、太陽光発電や燃料電池などが今までよりも増えるだけで終る可能性が高いと感じます。やはり、住宅市場の活性化は今までの様な減税、免税などの処置や金融保証などの制度の方が有効かと考えています。
それ以外の政令都市級エリアや東京郊外では昨年並みかまだ下落を続けると思います。
東京はまだまだ、人口が増えていますし、個人所得や雇用自体も地方都市に比べたらよい状況ですから、上記の様なテクニカルな動きも発生しますが、地方都市などでは、まだまだ下落が続くと思います。これは、そもそもH19年まで続いた、不動産ミニバブルの際に地価、不動産価格があまり上昇しなかったことにより、下げ渋っている感が強いです。しかし、需要価格は、まだまだ下にあることから価格は下落すると考えています。
政令指定級都市未満の都市は構造的な問題、特に労働者人口(購入層)の減少に歯止めが掛からないことからも今年に限らず、下落をしていくと考えています。
公示地価ベースで言えば、タイムラグもあることから、去年ほどは下がらないにしても、下落は続くと考えられます。
戸数に於いては、昨年がさすがに供給量を絞ったことから、完成在庫等も減ったことから増加すると考えています。しかし、分譲住宅(マンション、分譲戸建)は微増すると思いますが、注文住宅は伸び悩むと思います。また、賃貸住宅(特に投資用)は、今年も微減すると思います。投資用マンションは金融機関の個人向け貸付金額が3割ぐらい上がらないと市場の活性化は難しいですが、現在の不動産価格や供給過多の状況を考えると、その実現はほぼ不可能と言っていいでしょう。
住宅市場総括
供給戸数は前年度ベースでは増加するが、平成22年1~12月ベースでは100万戸にギリギリ到達できない。価格は東京都心エリア以外は微下落。
オフィス市場
オフィス市場ですが、こちらは住宅市場よりも酷いと考えています。
オフィスの空室率は依然として高いところで推移すると考えています。超一等地の新築大型オフィスの賃料が大幅に下げてなんとか空室を埋めたとしても、ある意味のストロー効果で中途半端なエリアの中古物件は相当に苦しいことになるはずです。また、供給量が明らかに多すぎることも問題です。
例えば、東京の丸の内、八重洲エリアは家賃の大幅下落の効果などで、グループ企業の集約などを考える企業が入居する可能性はあります。しかし、グループ企業が入っていた様な小さなビルは当然に空室になり、家賃を下げてなんとか入居させても、その入居者のいたビルが空になるという現象が発生します。その対象が日本橋○○町、八丁堀などの周辺エリアです。
東京エリア以外のオフィス市場はもっと酷いことになると思われます。
まずは、この市況下で地方都市の支店等は統廃合が進みますから、政令指定都市未満のオフィス市場は崩壊すると考えられます。実質空室率が30%を超える都市が乱立すると考えています。政令指定都市クラスでも名古屋や仙台はそもそも、乱開発が進んだために完全に供給過多です。大阪は関西圏の経済が沈んだままなので回復には時間がかかります。
唯一、現状維持か微回復の可能性があるのは福岡エリアでしょうか・・・。というのは、下落するところまで下落している上にこれ以上、下落する理由が見当たらないことと、九州新幹線などの逆ストロー効果で九州南部の経済が集約される可能性があるからです。その効果が少しずつ現れてくるのではないでしょうか?しかし、九州西部の過疎化は更に加速するということも考えられます。
オフィス市場統括
空室率高止まり、賃料はエリアを平均すれば下落は続く。
商業系市場
商業系の市場ですがこちらも好転する兆しは見えないと考えています。そもそも、商業系の市場は消費の回復が重要になるのですが、ファストファッションなどの一部の業態を除けば大幅に回復するとは考えにくいです。最近、ファーストフードのSubwayが80店舗ほど増やすというニュースが出ていましたが、いずれも居抜き店舗とのことが強調されていました。ということは、他店がいなくなった跡地ですから、全体数は変わらない上にSubwayに出てもらう為に賃料を下げるという現象が起こります。売り手市場の場合なら、居抜き店舗等は造作代が浮くので、高く貸せるのですが、買い手市場の場合は、貸主がスケルトンにしなくて済むという考え方になり、賃料がさらに下がります。
また、ネットショップやネットスーパーなどが定着してきていることも、商業系の市場を圧迫していくことになります。たしかに、一部の高級ファッションなどは実物を見たいと思うものもありますが、全体的に商業系の市場が減れば、その様な業態の不動産賃料も大幅に下落します。
また、飲食店業界も数がこれ以上に増えるということは需給バランスから考えれば難しく、単純に業態変更などが行われるだけです。また、外食産業はデフレスパイラルの影響をまともに受ける業態です。当然、価格競争をすれば、最初は規模の拡大で補おうとするはずですが、その内に既存店の収益悪化から、不採算店の閉鎖を余儀なくされるはずです。ファーストフードや牛丼などは不採算店の閉鎖や経営統合による店舗併合などの統廃合が今年後半から加速すると考えています。
ミクロ的な話で言えば、携帯電話の売上げが下がれば、携帯ショップも減るでしょうし、一休やじゃらんなどのネット旅行代理店の様なものが増えれば、店舗型旅行代理店も減っていくはずです。
エリア別に見ると、銀座・表参道は定期借家契約の満了による退居という現象が今年は起こります。平成16年ごろから行われた銀座や表参道の商業施設の開発で、賃料も大幅に上がり、またファンドを出口戦略にしていたことから、多くの物件で定期借家契約が締結されています。この崩壊は間違いなく起こるはずです。
大阪は前述の通り、景気低迷が引きずっていることもあり、商業地の統廃合が進まないと苦しいはずです。どこもかしこも、全部を回復させるのは、今の大阪では難しいと考えています。
逆に名古屋はチャンスがあるかもしれません。オフィス市場の過剰供給に比べれば、商業系市場の供給はさほどでもありませんし、また、もともと閉鎖的な習慣があった場所で、東京資本などが参入しづらいエリアでもありました。
商業系市場統括
極一部のエリアを除き、賃料は下落、新規の開発は難しい。定借物件からの解約が相次ぎ空室率も上昇する。
また、悲観的な記事を書いてしまいました。しかし、現実はもっと酷いことになる可能性を持っていると思います。これくらいの予想の中で、不動産市場の中で何を自分がしていくかを考えてみたいと思います。
読みにくい文章で長いけど・・・
2009 不動産業界十大ニュース
勝手に業界十大ニュースを考えてみました。
昨年に引き続き、明るい話題は殆どありませんでしたが、去年に引き続きということもあって、特別に驚くこともなかったのかとも思います。
では・・・
1位 住宅着工戸数、42年ぶりに100万戸割れ
以前に記事で書きましたが、さすがにこれは驚きました。ハウスメーカーで商品開発をしていた頃に、いつか100万戸割れの時代は来るということは解っていましたが、まさかこんなに早く来るとは思っていませんでした。
2位 パシフィックホールディングス倒産
一昨年の出来事の様に感じてしまいますが、去年の3月です。取引もあったり、自分の知り合いもいたりとで、倒産することはなんとなく感じてはいましたが、REITスポンサーが倒産というのは驚きました。
3位 穴吹工務店倒産
マンション業界着工戸数トップに躍り出たことのある穴吹工務店の倒産には少し驚きました。販売不振もあったのでしょうが、お家騒動も応えたのだと思います。しかし、バブルが弾けた後に、太平住宅や殖産住宅などなどが倒産しましたが、もう少し、じんわりと売上げが減っていき、徐々に会社の規模が小さくなり、やがて破綻というパターンだったのですが、一昨年あたりからは、突然死もしくは数ヶ月で倒産という会社が多かった様に感じます。
4位 ニューシティコーポレーション倒産
こちらも、REITのスポンサーだっただけに驚きました。しかし、パシもそうでしたが、JREITに関して言うと、不動産転売の最終出口とみんなが考えていて、また、JREITもそこに甘んじていたことが、この結果に繋がったのではないでしょうか・・・。JREITも在り方を考えないといけないと感じました。
5位 ドバイワールド債務返済猶予要請
これは不動産業界とは関係ありませんが、ゼネコン業界はショックだったと思います。しかし、ドバイ破綻は随分前に解っていたことだけに、今更という感じでした。
6位 公示地価3年ぶりに下落
バブル崩壊を経験している私にしてみれば公示地価の下落自体はどうということはありません。しかし、上昇した箇所が27863調査地点のうち23箇所というのは驚きです。(昭和45年調査開始以降最少)実際に公示地価が発表された時に、うちの会社の社員が目を凝らして上昇ポイントを探していましたが、なかなか見つからないという姿が印象的でした。
また、表参道~青山、また名古屋あたりでは公示地価が下がりすぎて、路線価と逆転するのではなどという話がありました。ちなみに南青山などで公示地価が17%下落などと騒がれましたが、実際の取引されている値段は半分ぐらいになっていました。
7位 クリード倒産
このニュースも既に一昨年の様な気がします。ただ、去年年明けにちょっと驚いたニュースでした。
8位 日本綜合地所倒産
こちらも突然死という感じでした。前年3月期には10年連続最高益などと言っていたのに・・・。財閥系か電鉄系以外のデベは自転車操業であるということが良く解る事例でした。
9位 オフィス空室率悪化止まらず
オフィスの空室率に関しては毎月の様にニュースになりました。空室率もさることながら、家賃の下落は半端ないものでした。オフィス市場に関して言えば、完全に過剰供給ですから、多少景気が良くなっても、改善されるのには時間が掛かると思いますし、2011年問題も間近に迫っています。
10位 たぬきの森裁判でデベロッパー敗訴確定
ニュースの詳細を知らない方はこちらを見てください。・・・たぬきの森
感想に関しては以前のブログに書いた通りですが、今後のマンション開発はより慎重に近隣対策を行わなければなりません。というよりも、近隣対策ならぬ、近隣住民意識調査をやってからでないと、用地取得が怖いと思いました。
と、勝手な十大ニュースですが、忘れているのもあるかもしれません。
みなさんの印象に残ったニュースはなんでしたか?ちょっと、振り返ってみるのも面白いかもしれません。
では、明日の復路を見るので寝ます。
あっ・・・箱根駅伝の話です。
最高裁で9割完成の建築確認取り消し
新宿区下落合のマンションの確認申請取消しというニュースが出ています。
マンション:9割完成 建築確認取り消し 最高裁判決
タヌキがすむ東京都新宿区の住宅跡地へのマンション建築を巡り、反対する周辺住民が区を相手に建築確認取り消しを求めた行政訴訟の判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は17日、区の上告を棄却した。区側逆転敗訴の2審・東京高裁判決(1月)が確定した。
住民側代理人によると、マンションは9割方完成していたが、高裁判決後の1月に工事がストップ。完成間近の建物の建築確認が取り消されるのは異例。違法建築になるため、建設業者は建物の取り壊しを迫られる。区の責任を追及する動きも起こりそうだ。
問題となったのは、新宿区下落合4に建設中の3階建てマンション(30戸)。敷地はがけや塀に囲まれ、長さ約34メートル、最小幅4メートルの通路だけで外の道路に通じる。
災害時の避難のため建物敷地に接する道路の幅を定めた都条例では、幅8メートルの通路が必要とされているが、区は「中庭が設置され、耐火性があるなど安全上支障はなく、条例の例外規定に該当する」として建築確認を出していた。
1審・東京地裁は区側勝訴としたが、2審は「幅8メートルの通路がある場合と同程度の安全性はなく、例外を認める根拠はない」と指摘。小法廷も「2審の判断は是認できる」と述べた。
出典:毎日jp
下落合の解らない方に簡単に言うと、高田馬場の近くです。
高田馬場から早稲田通りを昨日、小滝橋に向かって歩くと、隅田川の両側に閑静な住宅街があるのが下落合です。
しかし、確認申請が認可されて、建築中に取り消されると言うのは極めて異例なケースです。
デベロッパー(新日本建設)はご愁傷様でしたとしか言い様がありません。
以前、国立市で明和地所が建物が完成してから削れという、物凄い地裁判決を受けていましたが、結局、高裁でひっくり返り、最高裁も高裁支持で確定しました。
詳しくは・・・Wikipedia 国立マンション訴訟
しかし、今回は最高裁で敗訴確定です。
一般の方からしてみると、
『違法建築なんだからしょうがないだろうね・・・壊すしか・・・』
『新宿区も変な確認申請を認可したもんだね。』
で終るかもしれませんが、これって凄いことなんです。
私は以前、ある建物(収益不動産としてのマンション)の購入を検討しました。その物件には確認(建築確認)も検済(建築検査済証)もありました。しかし、実際に建物をよくよく調べてみると、どう見ても違法建築である部分が見受けられます。そこで、検済後に違法改築しているのかと思ったら、確認申請時の図面とまったく同じでした。
つまり、この建物は違法建築のまま、確認申請も認可され、検査済も出ているのです。
そこで、この建物の確認申請を受け付けたX区の建築指導課にどういうことかを問い合わせました。
建築指導課の課長に言われた、凄い言葉は・・・
「検済が出ているということは、建築基準法に仮に抵触していても、その建物は合法です。もちろん、同じ建物の再建築はできません。まぁ、既存不適格ということにしてください。」
もう、こうなると意味が解りません。
しかし、確認とか検済というのは、それ程、重要なことなんです。確認や検済があるということは、その時点で合法建築であるという証明なんです。
ところが、今回の話で行くと、その根底がひっくり返ったわけです。
つまり、何を信じていいのか、もう解らないということです。
例えば・・・
建築確認が出て、ちゃんと、その内容通りに建築しているマンションがあったとします。
しかし、そのマンションを開発しているデベロッパーが建設途中で倒産したとします。
そして、そのマンションを他のデベロッパーが買い取ったとします。
その後、近隣住民に訴訟を起こされ違法建築判定で建築中止となったら・・・
当然ですが『隠れたる瑕疵』ということで、契約解除になりますが・・・
相手が倒産しているので支払った金額は債権者が持っていてるでしょう。
となれば、恐らく、回収は不可能です。
当然、確認申請を出した行政機関を相手取って、損害の補償、物件の買取を請求するのでしょうが、その時間のロス等は中小デベロッパーにとっては恐らく命取りになります。
今回は、どうもデベロッパーが近隣交渉の際に『火に油を注いだり』している様なので特殊な事例なのかもしれませんが、一つの最高裁判例が出たという事で、今後はこういうリスクもあるということを十分に注意しながら、不動産の取引をしなければならないということです。