更新料のあり方
更新料について新たな見解がでました。
内容は下記の通りです。
賃貸マンション:更新料訴訟 「適法」 大阪高裁、異なる判断--8月は「違法」
滋賀県野洲市の賃貸マンションを約6年半借りた男性会社員(33)=大阪市=が入居継続時に支払う更新料計26万円の返還を貸主に求めた訴訟の控訴審判決が29日、大阪高裁であった。三浦潤裁判長は「更新料は借り主にとって一方的に不利益とはいえず、消費者契約法に違反しない」と述べ、更新料を適法とする判断を示した。その上で、1審・大津地裁判決(今年3月)同様、請求を棄却した。原告側は上告の方針。
更新料を巡る訴訟では、8月、大阪高裁で「消費者の利益を一方的に害する」として貸主に返還を命じる判決が出ており、高裁レベルで判断が分かれた。
更新料について、1審判決は「賃料の一部前払いとしての性質がある」として適法と認定。これに対し、三浦裁判長は「賃貸借期間が長くなった際に支払われるべき対価の追加分ないし補充分」との判断を示し、「貸主にとって必要な収益で、更新料がなければ賃料が高くなっていた可能性がある」と指摘した。【日野行介】
◇原告側代理人の増田尚弁護士の話
実情に合っておらず、不当な判断だ。
出典:毎日新聞
前回の判決とは相反する結果がでました。
結果からすると程度の問題なのか?というような結論になりました。
簡単に言えば、その更新料が額として妥当かどうかということです。
しかし、『いくらだったら妥当なのか?』というのは明示されないままに終ったという感じです。
この高裁判決から、今後どの様にすべきかというのを考えてみました。
・ 今後は更新料の請求は認めない。但し、過去に支払った更新料は有効とし、遡っての返還請求はできないものとする。
【解説】
そもそも、更新料の本来の請求目的は契約更新に伴う、事務手数料です。ところが、この部分で最初の仲介手数料と『同じ』もしくは『それ以上』の請求を賃借人にするのは変な話です。
仲介手数料と言うのは、貸主から依頼され、借主を探すことの手数料であり、契約書を作る費用はその定められた仲介手数料に含まれるはずです。とするならば、事務手数料は仲介手数料よりも安くなければなりません。
そもそも、契約行為は宅建業者がいなければ出来ないものではありません。
とするならば、更新の際に敢えて、宅建業者に契約書等を作ってもらいたいのであれば、その事務手数料は、貸主、借主、宅建業者で任意で決めればよい話です。また、それだけであれば、最初に契約した仲介業者じゃなくても良いわけですから、価格競争が発生するでしょうし、業者も採算性から、その仕事をすること自体が経済的な意味合いを無くす可能性が高いと思います。
更新料そのものは、家賃の補填的意味合いが強いと考えます。しかし、地域性があり、更新料そのものが無い地域や更新料が常習化している地域もあります。
その是正をするべく、法的に更新料の禁止をしてしまいます。更新料を禁止すれば、その分を最初から賃料の上乗せを考えなければならなくなるでしょう。
同じ土俵で、賃料を比較できるようになり、消費者(貸主)にわかりやすい制度になり、また収益還元方により賃貸物件の正確な不動産評価ができるようになるでしょう。
しかし、過去に遡って更新料の返還請求ができる様になるとすれば経済的混乱が大きなものになりますし、そもそも、その当時は認められていたので、既存不適格に近い発想で返還請求はできないこととすればよいはずです。
・ 更新料と同じく、礼金も今後は認めない。
【解説】
以前にも書きましたが、礼金とはそもそも、借主が学生である場合などのその親が大家に対して、自分の子供の面倒を見てもらう謝礼という意味合いから、発生したものです。
しかし、現在、借主を自分の子供の様に面倒を見てくれる大家さんは極めてすくないです。(全くいないとはいいません。)
とするならば礼金の本来の意味合いは失われています。もし、大家さんに自分の息子の面倒を見て欲しいのであれば、それは不動産の礼金という慣例的なものとは別に契約すれば良いのではないかと思います。
・ 賃貸物件の仲介手数料の上限を引き上げ、成功報酬制にする。
【解説】
例えば貸主が10万円/月である部屋を貸したいと考えたとします。
ところが成約賃料が9万円/月だったとします。
この場合、貸主が取得できる金額は想定の90%であり、仲介業者が取得できる手数料も家賃の1ヶ月分ですから、90%でつじつまが合っている感じもします。
しかし、貸主はその不動産の取得経費もあるし、管理費や税金などもあるでしょうから、利益率は単純に90%になった訳ではありません。
仲介業者は手数料ですから『売上げ=営業利益』になります。(厳密には違いますが・・・)
とすると、貸主と仲介業者の『利益』という部分に関しては単純比較ができないはずです。
現在の更新料は賃料の補填以外に不動産業者の利益的意味合いが強いですから、単純に更新料をなくせば不動産業者は経営が成り立たなくなるし、一律に現行法のまま(仲介手数料は家賃の1ヶ月)、更新料を無くせば優秀な仲介業者(客付け能力の高い業者)まで辛くなります。
そこで、そもそもの仲介手数料の上限を引き上げ、貸主の希望家賃に叶わなかった際には仲介手数料を家賃に応じてではなく、取得できる利益率に応じて減額することを慣例化させることが重要です。
この場合、貸主は最初から無茶な家賃設定をすることで仲介業者に支払う手数料が減るという問題を抱えますが、無茶な家賃設定をする貸主と付き合っても仲介業者は得にはなりませんから、仕事を受託しなければいいわけです。(競争原理の観点から自然にそうなるはずです。)
時代の変化とともに、更新料や礼金の本来の意味合いは失われている今こそ、そもそもの考え方を改めるべきと考えています。私のあさはかな、考えかと思いますので、みなさんの意見を広く求めたいと思っています。
判例分裂で混乱しているけど・・・
穴吹工務店のお家騒動
穴吹工務店がすごいことになっていますね。
上場していないから、出来る業ですが、かなり大きな会社でも、こんなことが起こるんですね。しかし、上場していないで、役員全員VS社長(創業一族)ということは、そもそも、子飼いの役員に寝返られたのか・・・、それとも銀行から来ていた役員辺りが、社長以外の役員を説得して回ったのか・・・。細かい内容はわかりませんが・・・
会社も大赤字で大変な時に、経営陣がこんな調子じゃ、社員も大変だと思います。
マンション分譲大手の穴吹工務店(高松市)が、11月3日に開く臨時株主総会に、穴吹英隆社長を除く11人の取締役全員の退任を提案していることが、28日分かった。
同社の経営再建の方策をめぐり、穴吹社長と取締役らが対立、事実上の解任とみられる。既に辞任している取締役もいるという。関係者によると、同日までに開かれた取締役会で、11人の退任が承認された。
臨時株主総会では、穴吹社長の親族2人を含む3人の新たな取締役の選任も提案する見通し。
穴吹工務店は1905年の創業で、自社ブランドの分譲マンション「サーパス」を全国展開し、発売戸数は上位となっている。
2009年3月期連結決算は売上高が1760億円、純損益は138億円の赤字で、市況の冷え込みと建築費の高騰などで業績が悪化していた。グループ19社の従業員数は今年10月時点で計約4千人。
産経新聞
モラトリアム法案の努力義務
さすがの民主党も『モラトリアム法案』は『努力義務』で終らせるようですね。
しかし、結局のところは、民衆(中小企業等で借金にお困りの人)から反発が出れば・・・
亀井氏「俺は金融機関には言った!金融機関が悪い!」
と、逃げ回るでしょう。
良く考えて、この法案を努力義務ではなく、一律一斉義務化などになれば、その後の金融混乱が起こるのは必至。また、政府保証となればただでも苦しい財源確保に追われることになる。というわけで、責任の所在を不明にする『努力義務』。
まぁ、良識的な人が民主党にもちゃんといて、亀井大臣を説得したのでしょうか・・・。
民主党政権も自力で政権与党としてそれなりの票を持っているんだから、なにも危なっかしい人を大臣にしなくても良いと思うんですけどねぇ・・・。
中規模デベロッパー藤沢建設 倒産
藤沢建設という、中規模のマンションデベが倒産しました。
この会社は土地の買取から施工、販売までを一括してやる会社であり、また、本業以外には、(たぶん)手を出さなかったので、細々とやっているのかな・・・と思っていました。ただ、今年の8月、9月からホームページのアクセスが出来なくなったりと不安定な状態が続いていましたが・・・。
わりと、真面目にやっていて、悪い噂のある会社ではなかったのですがダメでした。しかも、民事再生法ではなく、解散です。
以下は帝国データのコピーです。
「東京」 藤澤建設(株)(資本金5億3500万円、豊島区南池袋3-13-5、代表清算人野原千秋氏)は、10月15日に東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
当社は、1967年(昭和42年)3月創業、69年(昭和44年)5月に法人改組。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を営業エリアとし、なかでも東京都の城北・城東地区および埼玉県内を主力エリアに、自社オリジナルブランド「ロ-ヤルシティ」でファミリータイプマンションの販売を展開。土地の買収から企画、設計、施工、分譲、販売まで一貫したシステムを採用しコストダウンを図って販売価格に反映させ、2004年12月期には年売上高約139億5000万円を計上。2005年6月には「ローヤルシティ新小岩」が江戸川区優良まちなみ賞を受賞するなど対外的な評価を得ていた。
しかし、サブプライムローン問題に端を発した信用収縮に伴い金融機関からの資金調達が困難となり、新規開発が滞っていたうえ不動産市況の低迷からマンション販売が急速に冷え込み、2008年12月期には年売上高約102億7000万円に減少し資金繰りが悪化していた。このため不動産物件の売却により債務の圧縮に努めていたが、物件売却にメドが立ったことから8月27日開催の株主総会で解散を決議していた。
負債は約38億円。
参議院の補欠選挙
民主党が二議席とも確保しました。
民主党人気は未だ衰えずと言ったところです。
しかし、民主党の人気があるのは当然のことだと思います。それは・・・
『国民の支持が多いからです。』
当たり前のことを言っているように感じますが、これは実は重要な問題なんです。
国会議員の選出は選挙によるものです。つまり票の数で決まります。
これは小選挙区制において10万票対9万9999票でも、多かった方が議員になれます。
もし、日本に於いて100区域の小選挙区があったとします。(便宜上で実際には300あります。)
その場合、100区域全てで上記の様に10万票VS9万9999票でA党が勝ったとします。その場合、A党の議員全てが国会を占め、一党独裁になります。この場合、999万9900人の意見は反映されないことになります。
小選挙区で勝つことの要素はなにかと言えば、ずばり『人気』です。
その為には
・ 上手くメディアを利用すること
・ 多くの人が支持してくれる政策を打つ
これに限ると考えます。
今回の民主党は後者を上手く使いました。
自民党を支持したの企業や富裕層が多かったかと思います。
しかし、現代の各社社会に於いては、民主党が勝つのは必然だったと思います。
格差社会と言うのは、富裕層と貧困層に二極化されていく社会のことですが、実際には僅かな富裕層と多くの貧困層です。
この場合の貧困層とは世界的なグローバルな視点に立った貧困層ではなく、自らが豊ではないと感じる人が貧困層です。
民主政治においては票の多い方が勝ちですから、この貧困層を取り込むことが選挙に勝利することです。
これは富裕層が行っている賄賂社会を批判し、社会主義政策に近づけば簡単に取り込めます。
これが間違っているとは思いません。何故なら、これによって官僚主義から脱却し、極めて時代に即した政治や政策ができるからです。官僚主義が悪いと言っているわけではないです。行政が柔軟で適切であれば官僚主義そのものが悪いわけではないのですが、すでに談合、癒着、天下り・・・と悪い部分の方が多くなっていることが問題なんです。
しかし、人気取りの票集めが将来的にあだになることは既に歴史が証明しています。
例えば現代の社会福祉は財政によって成り立っています。しかし、その財源はどこにあるでしょうか?
日本の場合、法人税と所得税に頼っている部分が大きいはずです。つまり、今の社会福祉は限りなく、富裕層によって支えられているはずです。ところが社会主義化によって、この富裕層を排除すれば財源の確保は更に難しくなります。
もし、日本に於いて、企業を圧迫する様な政策を取れば、企業は日本で商売をする必要性を感じないでしょう。
派遣問題がその一例かと思います。日本の製造業はどうやっても海外に拠点を移すことになります。そうなった場合、海外で得た利益に対しても法人税を掛ければ、必然的に日本に本社を置かない様にします。そして、税収を絶たれます。
共産主義が資本主義に経済社会に於いて、1924年の社会主義革命から、人類が70年の歳月を費やして行った壮大な実験結果が示しています。もし、財源が確保できなくなれば、社会福祉そのものが成り立たなくなることは明白です。成り立たなくなって、始めて気がつくものもある訳ですが・・・。
オリオン座流星群の残したもの
オリオン座流星群を見ようと、何度もベランダへ・・・。
大して、見えず・・・
※ 流れ星らしきものを1回は見たのですが、断言できるほどのものでは無かった。
そして、朝起きると・・・
しっかり、風邪をひいていました。
葛根湯飲んで、寝ます。
旧里帰農令
さて、昨日の棄捐令の続きです。
寛政の改革がなぜ起こり、どの様な政策が行われたかと言うことについては昨日のブログの通りなのですが、昨日のブログに書かなかった、もう一つの政策があります。
それが、本日のタイトルである、『旧里帰農令』(きゅう・り・き・のう・れい)です。
18世紀後半の江戸の町の人口は約100万人でした。
現在が東京都だけで約1300万人ですから10%以下です。
もっとも今の東京都と江戸では全然範囲が違います。当時の江戸というのは、今で言うところの、千代田区、中央区、港区、台東区、文京区、墨田区、江東区それに新宿区と品川区の一部ぐらいです。しかも、中央区や江東区は明治以降に埋め立てられた土地もいっぱいあります。流行の湾岸エリアのタワーマンション等は江戸時代には海だった場所です。
しかし、それでも江戸の町は世界でも最大級の町でした。
ですから、地方からしてみれば、江戸に行けば仕事がある!と思うのは当然だったかもしれません。しかも、江戸では、その頃、徳川吉宗による享保の改革の成功、田沼意次による重商主義で割りと江戸の町は景気が良くなり(増税などで地方は疲弊していた)、余計に江戸の町には人が集まっていました。
ところが、昨日のブログにあるとおり、天明の大飢饉が発生します。
それにより、地方経済は当然ながら、江戸の景気も相当に悪化します。
とにかく、当時の日本は鎖国していますから、食糧危機が起これば、即座に人命に響きます。また、江戸には浮浪者が溢れ、その浮浪者は犯罪予備軍と考えられていました。
また、食糧危機ですから、食料を作る人手、つまり農民を増やさなければなりません。そして、浮浪者=非生産者を減らすことで、需要を喚起し、経済の建て直しをしようと考えました。
そこで、松平定信は江戸に出稼ぎというよりも、移住してきた地方出身者に地元に帰って、農業をするようにという法令を出します。これが『旧里帰農令』です。
実際に専制政治下において、強制的にUターンをさせる訳ですから江戸に出てきた人は帰らざるえません。しかし、地方に帰っても即座に農地がある訳でもなく、基本的には小作として農民に戻った人が大半でした。江戸で浮浪者をやっているぐらいなら、仕事を求めて、Uターンしたということもありました。これにより、一時的に失業者は減りましたし、江戸の浮浪者も減ったことは事実です。
ところが、その後、天明の大飢饉がある程度、落ち着くと、再び江戸にその人達は戻ってきました。理由は簡単です。農業という仕事が元々、嫌で江戸に来ていた人です。その人が江戸の便利で都会的な生活を一度、味わって、江戸に仕事があれば戻りたくなるのは必然です。
また、農業自体が大変にリスクのある仕事だということもありました。農家の収入は農作物です。農作物の最大のリスクは天候です。その地方に天候災害があれば、その地域の農家はアウトです。
それに対して、都会では各地方から農作物が入ってきますから、お金さえあれば、一箇所の農地がアウトになっても大勢に影響はないというメリットもありました。
当時の農業のメリットは失業しない。デメリットは失業はしないが食うに困る。ということでした。これは現代でも変わらないかもしれません。
実は、これは理由は違えど、現在の状況に似ています。
実際に私も農業ビジネスについて、真剣に考えたことがあります。しかし、農業を本当に知っている多くの方から「農業を舐めてる」と怒られました。それは私が農業が出来ないと言う事ではなく、農業の根底に抱える問題を把握していないからでした。
景気が悪くなると、農業ビジネスというのは流行ります。また、今の日本は食料自給率が低いということもあって、尚更に農業ビジネスが着目されているのも事実です。
しかし、今の世は、江戸時代の様に鎖国している訳ではありません。高い関税で鎖国に近いことはしているかもしれませんが、実際には農作物も外国との競争化に置かれています。
たしかに、外国の農産物は危険という風潮が最近はあります。特に中国製の食品は危険という、風潮が一時高まりました。しかし、中国だって、一気に国際化しているし、自国民だって食の安全は考えるでしょうから、その内に安価で安全な農作物を作ってくるでしょう。
その時に、高いブランド農作物に頼っていると日本の農業そのものが成立するとは考えられません。もちろん、その全てを否定する訳ではありませんが、GMがトヨタに負け、ユニクロ、ニトリがその業界で圧勝している様に、一般的な生活に於いては安価に勝るものはありません。
その事を考えれば日本の農業はどの様にして、安価で大量生産を出来る様になるかを考えないといけないのでしょう。
単に寛政の改革で行われた旧里帰農令を行っている様では・・・。
棄捐令
このタイトルの文字を読めるでしょうか?
私のブログを読んでいる方の多くは不動産関係者だったりするので、
『き・そん・れい』
と読んでしまいそうですが違います。
これは『き・えん・れい』と読みます。
ちなみに恥ずかしながら私も普通に『き・そん・れい』と読んでしまいました。
そして、これを読めて、さらに意味を知っている方は相当な歴史通です。
みなさんは『寛政の改革』というのを覚えているでしょうか?
忘れている方も多いと思いますが、小学校の歴史の教科書に出てきます。(30年前の社会科の教科書には出てました。)と言っても、その後は受験の時にぐらいしか出てこないので普通の方は忘れていると思います。
寛政の改革(かんせいのかいかく)
松平定信(白河藩主:暴れん坊将軍こと徳川吉宗の孫)が18世紀後半に行った経済改革のことです。
当時、日本は江戸時代です。1783年の浅間山大噴火により、日本は東北地方を中心として、大飢饉が発生しました。これが天明の大飢饉です。これにより、東北地方を中心として、多くの餓死者がでました。
当然、格差社会&専制政治下に於いて、危機的な事態が発生すると、武力蜂起が発生します。当時の日本ではそれを『一揆』もしくは『打ちこわし』などと言います。
※『打ちこわし』とは正確には不正を働いた人や不正に高収益を上げているとみなされた人(それが適正利益であっても異常に高収入を得ている人)の家を襲い壊すことを言います。
この、天明の大飢饉の時に、民衆が怒ったことは、単なる経済的ダメージではありません。その時に常套化していた『賄賂政治』です。それによって、一部の役人や商人が不正に利益を得ていました。
代官「越後屋、お主も相当な悪よのう・・・クックック・・・」
越後屋「いやいや、お代官様程では・・・グフフ」
というのが、正にその時代を反映しているシーンです。
そして、このお代官様の総元締めが老中『田沼意次』です。この人、政治能力は高かった(と思う)のですが、如何せん、賄賂だらけで私腹を肥やしていきます。そのため、多少のことならこの人に賄賂さえ渡せば・・・という風潮になっていきます。
しかし、それに対して、民衆や田沼意次派じゃない旗本の心中は相当に煮えくり返っていました。
そんな時に浅間山が大噴火して天明の大飢饉が発生したわけです。
そして、その最中に田沼意次さんにとって、不幸な出来事が起こりました。
9代将軍徳川家重が亡くなります。この家重という将軍はな~んにもしない人でした。政治は全部、田沼意次さんに任せきりです。しかし、家重の死亡によって、田沼意次さんは失脚します。
この天明の大飢饉で東北地方に一人も餓死者が出ていない藩があると評判が江戸城に噂が流れます。
それが白河藩で、その藩主が松平定信さんです。
松平定信さんのおじいちゃんは(松平謙演じる)あの、徳川吉宗です。
『質素倹約清廉潔白、弱気を助け強気を挫く、正義の味方』
漢字多すぎ・・・そんな訳でこれを二文字にすると「友愛」でしょうか・・・
の代表者です。(たぶん、『暴れん坊将軍』の見すぎです。)松平定信はそれを真似して、この大飢饉を乗り越えていました。
そこで時の11代将軍徳川家斉の元で老中に抜擢され、寛政の改革に着手します。
その政策は・・・
賄賂の禁止
囲い米・・・行政買い上げによる穀物の備蓄
人足寄場・・・今風に言う、派遣村の設立
重商主義の廃止・・・田沼意次が取った重商主義政策をけん制し、株仲間や専売制を廃止し、特権商人を抑制
そして、本タイトルの棄損令です。
棄損令・・・今風に言うと、亀井大臣がやろうとしている、モラトリアム法案で、借金を棒引きにしました。
この上の政策、なんとなく今の日本に似ていると思いませんか?
この松平定信さん、老中になった時には相当に人気がありました。民衆にとっては最初は正に救世主だったと思います。
ところが、この松平定信さん、あることから人気が無くなり始めます。
まずは棄損令の失敗です。最初は借金が棒引きされたことで民衆、特に浪人は喜びました。ところが、すぐに札差が困り始めました。
札差・・・今風に言うところの質屋ですが、当時の給料がお米であり、そのお米専門の質屋です。厳密にはその、給料であるお米を配給する人ですがこの話の場合、金融機関と解釈してもらうと話が解りやすいです。
そりゃそうです。貸したお金を返してくれない訳ですから、今度は札差が経営危機に陥ります。
そこで松平定信さんは札差に幕府(政府)が資金を提供します。亀井大臣が言っている、モラトリアム法案で銀行が貸しているお金の金利や元本返済を政府が肩代わりすると言っているのと同じです。しかし、札差も馬鹿ではありませんから、借金を棒引きにした相手には、もうお金を貸しませんでした。
そもそも、借金を棒引きしてもらった人はお金が無いからと言うよりも稼ぐ力が無かったから、お金を借りていたわけですから、お金を貸してくれる人がいなくなった途端に生活に困り始めます。最初は喜んだのですが、この『棄損令』のせいで、札差がお金を貸してくれなくなったと考えました。
さらに、札差に幕府が貸すためのお金はどうしたかと言うと、増税はすでにできません。すでに天明の大飢饉で当時の日本は疲弊しきっています。そこでさらなる、質素倹約です。
今風に言えば、
「子供手当も高速道路無料も廃止じゃ!」
と言ったところでしょうか・・・。(子供手当てを廃止したら、民主党は次の選挙で敗北決定なので、さすがに無くならないと思いますが・・・)
ちなみに今の民主党政権は国債(借金)でまかなうと言うのだから凄いです。ちなみに貸金業法改正で年収の3分の1を超える貸し出しが出来なくなっていますが、国家はなんでも有りで、税収が40兆円無いのに、国債は50兆円と言うのだから『盗人猛々しい』とは正にこのことです。
質素倹約と言うと聞こえは良いですが、松平定信さんは贅沢をしている人を許しませんでした。特に増税が出来ないゆえの緊縮財政は公共事業の縮小にも繋がり、最初は理論的に正しいと思った政策も次第にその窮屈さに辛くなっていきます。しかし、この松平定信さんはおじいちゃんである、『徳川吉宗』が絶対ですから、その手を緩めることは無く、「隠密の後ろに隠密」と言われるほどそれを徹底しました。
※隠密の後ろに隠密・・・隠密とは忍者ですが、この場合は不正を監視する人です。不正を監視する人に監視を付けたということです。
そして、ついにはこんな詩が流行り始めます。
白河の清きに魚も住みかねて
もとの濁りの田沼恋しき
白河とは白河藩主であった松平定信のことです。
松平定信さんが悪かった訳ではなくて、必然として、この人が政治の中央に出てきたと私は考えています。この人の登場を民衆が望んだわけですから・・・。
ちなみにこの松平定信さんは田沼意次さんを失脚させる際に賄賂を使ったというのも有名な話です。
歴史は繰り返します。
次回はこの話の続きで、『旧里帰農令』を書きます。
夜中になんだか解らない話だけど・・・
宅地建物取引主任者試験
今年も宅建の試験が終了しました。
簡単な様でなかなか、侮れない試験です。
日建のホームページによると、今年の合格点は35点±1、TACのホームページによると32点±1とのことなので若干、合格点に開きがあるようです・・・。また、今の段階では問31と38で解答が分かれているようなので、受験された方はドキドキしているものと思います。
今年は私の周りでは受験した人がいないのであまり話題に参加できないのですが、どんな問題が出題されたのかを見てみたいものです。
詳しくは黒岩先生のブログを見ていただければと思います。
しかし、資格試験と言うのは色々な人間模様があって客観的にも主観的にも大変、面白いものです。
今、ドキドキされている人には失礼な言い方かもしれませんね。スイマセン・・・
ただ、この時期になると資格試験のことを良く思い出します。
10月には建築・不動産系の資格が集中します。
2級建築士・1級建築士の実技、宅建と・・・
私は2級建築士は受けたことがないのでなんとも言えないのですが1級建築士と宅建は持っています。もちろん、どちらも簡単に取得できたとは言いません。それなりに苦労したと思っています。
ただ、資格試験で面白いのは試験が終ったその日です。
1級建築士や宅建などのメジャーな資格は受験者も多く、ビジネススクールが上記の様に当日に解答速報を流してくれます。実は、これは大変重要なことで、仮に落ちた場合に自分の何が足りなかったのかをいち早く教えてくれます。そして、それは必ず来年、役に立つんです。
ところが・・・マイナーな資格は解答速報は当然の様にありません。
私が持っている資格の中にもそういう資格があります。
住環境福祉コーディネーター
はっきり言って、なんの役に立つ資格なのかを持っている本人が知らない資格ですが、7~8年前に取りました。もちろん解答速報も無かったのですが、当時、勤めていた会社の誰かが模範解答をどこかで手に入れて、翌日には点数が解ったのでどっかで発表はしているんでしょう・・・。
ビル経営管理士
こちらは、協会のホームページでしばらくすると過去問題集が発売されますが、それまでは自分が何点だったのかも解りません。しかも、この過去問題集が合否の後に発売されるので合格していた場合は余程の酔狂でない限り、自分が何点で合格したのかもわかりません。ちなみに、この資格はマイナーな割には意外と有効で、下記の様な要件を満たすことができます。
・不動産特定共同事業法の業務管理者の要件
・総合不動産投資顧問業登録の人的要件
・金融商品取引法の不動産関連特定投資運用業登録の要件
簡単に言うと、不動産ファンドを組成しようとしたり、信託受益権化された不動産を取引したり、コンサルタントをしようとする際にこの資格(もしくは類似資格)を持っていないとダメな訳です。ちなみに全国で2500人ぐらいしか、この資格は持っていません。受験問題自体はさほど難しくはありませんが、受験できる要件が大変に厳しい資格です。不動産ファンドのAMかPMを3~5年やらないと受けることも出来ません。
と、この様に資格にはそれぞれあるのですが・・・
今日は解答速報を見て、一喜一憂している人が多いと思います。
ワンルームデベの方はきっと、点数によっては、上司に相当に怒られます。
でも、命まではとられないから大丈夫ですよ!
※蹴りの一発ぐらいは覚悟しないと・・・
きっと、自己採点32点ぐらいの人は問題31と38の正誤でドキドキしているんでしょうね。
しかし、そういう思いが出来るのは受験した時だけで、受かってしまうとそんな思いもできません。
だから、今日、明日ぐらいはその思いを楽しんでみるのも良いと思います。
いずれにしても、ご苦労様でした。
建築基準法改正
今回、民主党政権になって、なにかと、メディアへの露出度が高いのは、鳩山総理を除くと、
前原国土交通大臣
亀井郵政・金融担当大臣
長妻厚生労働大臣
の3人だろうか・・・。外務大臣の岡田さんはなにしてるんだろう・・・。
それにしても亀井さんのわけの解らない話を除けば、他の二人は頑張っているのかな・・・と感じます。
長妻厚労大臣は予算に苦しみ、前原国交大臣は反対派に苦しんでいる感じは否めません。
しかし、前原さんはそれなりに言っていることは正しいと感じます。
・ 八ツ場ダム廃止
・ 新規道路の建設廃止
・ 羽田空港のハブ空港化
などなど・・・
そして「建築基準法の改正」です。
姉歯問題で最近、改正されたばかりなのにまた改正!?と思われるかもしれませんが、その内容は個人的にはほぼ賛成です。
・ 確認日数の削減
・ 提出資料の簡素化
・ 厳罰化
現在の確認申請は以前の3倍から掛かります。これによって、着工戸数が大幅に減りました。
例えば、
マンションを建設する為に今まで一ヶ月だった、確認日数が三ヶ月になれば、土地を取得しているデベロッパーなどは、その土地を取得する為の融資が二ヶ月分増えることになります。
東京近郊
土地単価:400万円/坪
土地面積:300坪
容積率:500%
と言う場所に、計60戸(平均面積23坪)のマンションを計画したとします。
土地原価は・・・
300坪×400万円=12億円です。
これを3%の金利で融資を受ければ、月額の金利は300万円ですから、2ヶ月伸びれば600万円の金利増になります。
たったの600万円ですが何もしないで戸辺り10万円の価格アップになってしまします。
そして、何よりも大きいのは決算期を跨ぐ物件が多くなるという事です。
RCのビル(マンションを含む)というのは、概ね
階数×1ヶ月+2ヶ月が着工~竣工までの時間です。
例えば5階建てのマンションを建てるために4月(決算期が3月の会社)に土地を買ったとします。
設計開始~確認申請提出までに2ヶ月
確認申請取得に3ヶ月
建築期間に7ヶ月
これだけで、1年経ってしまいます。
つまり、5階建てのマンションでさえ、4月の始めに土地を取得して、ギリギリ、今期の売上げに上がるかどうかということになります。
以前は、湾岸エリアや都心エリア(主要5区)の様な場所での高層マンションが流行っていましたが、最近はどちらかというと、低容積率の場所での低層マンションが流行っています。
これは需要を無視した供給側の考えで、資金回収を急ぎたいからです。
もし、確認日数が以前のように短くなれば、その分、デベロッパーは高容積率の場所でも商売がやり易くなるわけです。
もっとも、確認期間が短くなっても、需要が増えるわけではないので、それだけで一気にマンション市場が回復する訳ではありませんが、多少の効果はあると考えています。
来年の通常国会提出に向かって動いているらしいので、頑張ってもらいたいものです。