敷金の返済
ちょっと知り合いから・・・
「相澤さんが預かっていた敷金の中で原状回復費用が納まらずに、追加で請求したケースってありますか?」
と聞かれました。
実は1度だけあります。敷金内で納まらないことは多々あるのですが、請求したことは殆どありません。
住人がお亡くなりになって請求できない状況だったり・・・。長いことお借り上げしていただいたので、感謝の気持ちで請求しなかったり・・・。
しかし、たった一度だけありました。
もう、5年程前の話です・・・。今回の話のマンションは私が当時、勤めていた会社が管理をしていたマンションでもあるのですが、実は私の親が所有する賃貸マンションでした。
ある寒い日の夜です。
私の住んでいた玄関を誰かが叩いています。呼鈴もなっています。私は寝ていました。
『誰だろう・・・こんな夜中に・・・』
と、思い・・・インターホンに出ると・・・マンションの管理人です。
「相澤さ~ん・・・大変なことになりました。」
「どうしたんですか?」
「○○○号室のUさんのお部屋でけが人がでました!」
Uさんとは21歳の女子大生です。
「えええ?」
すぐに玄関を開けて管理人に話しを聞こうとしたら・・・
「とにかく、○○○号室に来てください。」
パジャマにコートだけ着て、現場に行くと・・・
○○○号室の玄関がはずれています。このマンション、RC構造です。そのマンションの玄関が外枠がコンクリートごとはずれています。
一瞬・・・
『強盗!?』
と思ったものの・・・
『ワンルームマンションに強盗は入らないか・・・』
と、冷静になって、管理人に聞きました。
「住人のUさんは無事ですか?」
「Uさんは大丈夫なんですが・・・」
「じゃあ、誰が怪我をしたんですか?」
「ここに来ていた、お客さんが怪我をして・・・」
「今、どこに?」
「一人は管理人室に、一人はUさんの部屋にUさんといます。」
「えっ?けが人は一人じゃないの・・・」
とりあえず、Uさんの部屋に上がりました。既に玄関ははずれていますから、そのまま入れます。っいうか、野次馬だらけです。
中に入ると、泣きじゃくるUさんと、見るからに大柄な男性が頭から血を流して倒れています。しかも、頭ではなく胸を押さえて、息が荒い状態です。
部屋を、よく見るとめちゃくちゃな状態です。窓も完全に割れています。トイレのドアも壊れています。
「す・・・すぐに救急車を呼んで・・・」
と管理人に言うと・・・Uさんが・・・
「絶対に呼ばないで!」
と叫びます。
意味がわかりませんが、さすがにこの状況で、救急車を呼ばない訳にもいかず・・・
「いえ、管理会社としてというか、大家として、この状況を放置できませんから」
「お願いです。東京に住めなくなります!」
「なにがあったんですか?」
「・・・」
叫ぶか、泣くかでUさんも話ができる様子ではありません。
「わかりました。では、ちょっと管理人室に行ってきます。」
この場を管理人に預けて、管理人室に行くと・・・
こちらにも、さっきよりも大柄な男性が腕を押さえています。よく見ると、洋服の背中の部分が破れ、背中からも血が流れています。腕も逆側に曲がっているので、明らかに折れています。
その男性に
「私はこのマンションのオーナー代理(実際は息子だけど・・・)で管理会社の相澤といいますが、大丈夫ですか?」
苦しがって話になりません。
結局、管理人室から救急車2台と警察を手配しました。
結果としては、Uさんが男友達Eを部屋に入れていたら、彼氏Oが来て大喧嘩になった。
Uさん曰く、男友達Eが彼氏で彼氏Oが元彼。
Eさん曰く、Uさんは女友達。
Oさん曰く、Uさんは彼女。
簡単に言えば、三角関係のもつれです。
ただ大事になったのはEさんが○○大学のアメフト部、Oさんは△△大学の柔道部だったということです。
(Uさん、ゴリマッチョ系が好きだったのね・・・)
3日後にUさんのご両親がやってきて、修理費を全額お支払していただきました。
大家のリスクもあるから・・・
【賃貸】周辺状況のリサーチと縁繋ぎ
今日は午前中にあるビルオーナーのM社長とお会いしてました。
このM社長は大阪を中心に東京、岡山、愛媛などにビルを持っています。このM社長とはひょんなことから知り合いました。私がある地方都市で再開発を行おうとしていて、その隣のビルの所有者がM社長だったのです。
このM社長から、今春、あるビルのリーシングを依頼されました。
うちは、リーシングを依頼された場合、周辺状況のマーケティングをした上でそのビルにどんな業態が適しているかを検討して、ピンポイントで声を掛けていきます。
それによって、そのビルのリーシングは無事に終ることができました。どこのビルとは書けませんが、全国紙の新聞で取り上げられるぐらいの規模なので、ある程度の規模はあります。
その結果を評価されて、別のビルもお預かりすることとなりました。
今日、頂いた言葉は・・・
「相澤さんは単なる仲介じゃない。私達にとっては月下氷人だよ。」
大変、ありがたいお話でした。
既存不適格
うちの会社は不動産コンサルタント業務の他に設計事務所でもあります。実際に開発用地や再開発用不動産のコンサルタントをやろうとすると、どんな建物が出来るかの検討をしなければなりません。それを設計事務所に発注しようとすると、設計コストの問題もさることながら、どこに重点を置くかの温度差から、なかなか満足のいかないことが多いのです。そこでうちの会社ではそれをワンストップでやっています。
最近、あるマンションの再開発の計画を依頼されました。その土地には既存のマンションが建っていましたが、現行の法律では明らかに建たないものです。そこで尋ねてみると検済をちゃんと取得している建物でした。
計画をしてみると、結果的にわずかに既存建物よりも専有面積が減ってしまいました。
「今の建物のプランは悪いから、再建築した方が専有が稼げると思ったんだけどなぁ…」
この後、この方に既存の建物が既存不適格であることを説明しました。
※既存不適格・・・建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって不適格な部分が生じた建築物のこと
違法建築と既存不適格は違うので注意してくださいね。
収益不動産を買い始めた会社
つい、今まで、大手不動産仲介会社のS氏と打合せをしていました。
「相澤さん、○○エステートって知ってます?」
「いや、聞いた事無いなぁ・・・」
「最近、収益不動産を結構、買ってるんですよ~」
「へ~、聞いた事ないけど、大手なの?」
「いや、それがよく解らないんですよ。ホームページもないし・・・」
「最近、そういう話が時々あるよな・・・」
というやりとりがありました。
最近の収益不動産の動きは一時ほど、まったく無いということはなくなってきました。今年の4月ぐらいまでは、エンド法人が実需で買う、高くても10億まで・・・などと言う話だったのですが、ここに来て、今までは聞いたことも無いような会社が出てきます。売主は全部、知っている法人名ですが・・・。
たしかに、今の不動産価格が底打ちをしたかどうかは微妙なところで、もう一段安があるかもしれません。しかし、株や先物取引でもそうですが、完全な底や山を捉えることは大変難しい話です。しかし、底付近を捉えることは出来るかもしれません。そういう意味では底値に近いと見ている人達が出てきたのかもしれません。
しかし、それも資金力が無いとできません。つまり、この2年の中で怪我をしなかった会社が少しずつ動き出したということなのでしょう。そういえば、平成14年ぐらいに収益不動産を買い始めてた会社って聞いたことのない会社ばかりだったと思いました。
新しい人脈作りしないと・・・。
【プレスリリース】陽光都市開発
陽光都市開発といえばグリフィンシリーズで有名な会社です。
横浜に住んでいる方なら会社は知らなくても、グリフィンといえばマンションって言えるぐらいいっぱいあります。
前年の決算で40億ぐらいの特別損失を計上していたのですが、業績修正が出ました。
投資用マンション不振
予定していたビルが売却できず・・・(高いからでしょう・・・)
ということで、一応、黒字でしたが、最終的には今年も辛いことになりそうです。
【売買】渋谷のビル
日経不動産マーケット情報に渋谷区の第一石栄ビルが売買されたというニュースが出てました。
随分、前ですが、今回の売主(レーサム)が取得した際に私も買おうとしたので覚えています。
東京の業者がよってたかって、買おうとしたビルだからさぞかし・・・と思われるかもしれませんが
地下1階地上4階で1フロア30坪強(だったと記憶してます。)の古い居酒屋ビルです。
なんで、このビルがそんなに話題になったかと言うと、このビルは明治通りに面していてJR渋谷駅からは歩いて5分ぐらいなんですが、地下鉄副都心線開通で隣に地下鉄の出口が出来ることが解っていたからです。
とんでもない価格になった場所でした。
このレーサムという会社は割りと古いビルを買って、立退きをして更地にして売却したりする会社です。(そればかりではありませんが・・・)ですから、収益不動産ビルでもそれでは利回りも大したことない物を安く買って、立退きをして再開発用地で転売して高く売るということで、一時は年商5000億以上、経常利益1600億以上という会社でしたが、市場が一気に収縮して、逆に赤字が1600億以上になっている会社です。
空室率2
以前の記事(空室率)で今年5月の都心5区の空室率が6.96%と書きましたが、今日の日経新聞に前月より0.6%上昇し、5%になったと出ていました。
これでは矛盾している様ですが統計を出しているところが違うからなんです。
オフィスの賃貸というのは専門の会社があって、その商売の手法は住宅の賃貸とは少し違います。
そして、その専門の会社というのは
三幸エステート
シービーリチャードエリス
三鬼商事
が代表的です。というよりもオフィスだけを専門でやっている大手はこの三社と言っても過言ではありません。
で前回の私のブログは三鬼商事のデータで今回の日経新聞の記事はシービーリチャードエリスのデータだから、食い違いが出た訳です。
今回の記事を読む限り、去年11月に半年前の解約予告が実行された為とあります。とすれば、去年のリーマンショックよりも去年上期の決算や下期の業績予想から解約予告を入れたと想像できます。
今後、賃料が同程度であれば、空室率は半年ぐらいは低水準の状態で推移し、11月ぐらいに、また下落してから上昇しはじめると考えられます。
【立退き】ラシントンパレス
新宿2丁目と聞くと皆さんはどんなことを思い出しますか?一般的には・・・
『ゲイの街』
と答える方が多いと思います。私も以前はそう思っていましたが、今では、私が立ち退きにチャレンジしようとして会社の許可が出なかったところとして記憶に残っています。
その場所はタイトルの『ラシントンパレス』というホテルでした。
※同じく新宿にある『ワシントンパレス』とは全く関係有りません。
新宿駅東口を出て、新宿通り(アルタや伊勢丹のある通り)を新宿を背に歩いて行って、丸の内線の新宿3丁目駅を過ぎた右側にありました。私のところに物件情報が入って見に行くと、残っているテナントは1つだけ。しかも、小さな飲食チェーン店です。事前に売りに出ていた価格とで収支を組めばバッチリ合います。むしろ、安いぐらいでした。
そのテナントは『餃子の王将』です。
この手のチェーン店展開しているテナントというのは、通常の場合、金銭解決できるのが一般的です。なにしろ、相手も完全な営利団体ですから、相応の対価を用意すれば話に乗ってきます。
しかし、よくよく考えてみると、あと『餃子の王将』を立ち退きすれば、解体して更地で売却できるはずです。更地にすれば相当の高値で売却できるのに、なぜ自分で立退きしないんだろう・・・。
そこで私は当時、付き合いのあった、立退きで有名なゼネコンのI氏に相談に行きました。
「あはは、相澤さんもチャレンジしようとしてるわけね。」
「えええ、『も』ということはIさんもですか?」
「いやいや、相澤さんがチャレンジするならうちは手を出さないけど、一筋縄ではいかないよ。」
「でも、『餃子の王将』だけですよね。」
「今の所有者だって、なかなか(立退きが)上手いんだよ。」
「それは、知ってます。だから、相談に来たんですよ。」
「簡単な話さ。今の所有者じゃ、出せなかったってことさ。」
「え?資金繰り的にタイムリミットで手放すとかじゃないんですか?」
「そんな、(今の所有者は)会社じゃないだろ。」
「じゃあ、Iさんとこでやっても大変だと思いますか?」
「いや、うちなら出来るよ。そうだ、うちがやって、更地にしてやるから、そうしたら、今の価格に○○億円乗せて、相澤さんが買ってくれよ・・・」
「えええ・・・・。高いっすよ・・・。」
という訳でその話を会社に報告すると、
「スルガのIさんが大変だって言ってるんだろ。辞めとけば・・・」
の言葉で却下となりました。そうです。立退きで有名なゼネコンとはスルガコーポレーションだったんです。
その後、ラシントンパレスは本当にスルガコーポレーションが購入して、餃子の王将も退去して、同社の手で更地となり、建築のお知らせ看板が出ていました。
スルガコーポレーションが暴力団関係会社と組んで立退き等をやり、関係者が逮捕されるニュースが出たのは、その直後のことでした。スルガコーポレーションの立退き手法は知ってはいたのですが・・・。
※この件について知りたい方は『スルガコーポレーション 光誉実業』でGoogleで検索してください。
古い話だけど・・・
【開発】L字溝 第4話
前回、無理矢理、L字溝ネタを書こうとして、前置きが長くなって本題があまり進まなかったので今回はいきなり本題にはいります。
今回の敷地は道路が狭いことと、道路から見て土地が高いことにあります。
そこで、下の絵の様な計画を立てました。
(サムネイルになっているのでクリックしてください。)
まず、商業ビルなので、なるべく天井高が欲しいので、建蔽率を消化できる最大まで建物を道路から後退させます。これは東側の2項道路に対しても同様です。
※2項道路は建築基準法で認められている道路です。従って、それが私道であっても道路斜線は掛かります。
建物の高さが7mあれば概ね満足できる高さなので道路から80cm後退しました。
前回に書いた式を当てはめると
(道路幅員4m+セットバック80cm×2)×1.25=7m
となるわけです。
しかし、これでは土地の方が道路より高いので、建物は土地に少し、埋まっていることになります。そこで、土地(上図の薄い黄色の部分)を切土して、道路と同じ高さにします。
※1 切土・・・土地を削ること。
※2 傾斜になっている土地を削ったり、もしくは盛土をすると宅地造成規制法の対象になる場合があります。切土で2m以上、盛土で1m以上の崖が出来ると抵触します。今回は1mなのでセーフです。
また、建物を建てる部分の土地だけを切土すると東側の2項道路の方が高くなってしまいますから東側の2項道路から利用することができません。建物の中に2項道路から降りる階段を作ることも考えましたが、2項道路そのものが傾斜しているので、それもできません。
そこで、2項道路(上図の薄い水色部分)も切土してしまうことにしました。
さて、これが建築の概要です。実はここまでの概要は現場や敷地測量図を見ただけで、頭の中で計画を立てています。
しかし、この計画に決定的なミスがありました・・・。しかし、この計画内容で確認申請もちゃんと取れています。つまり、S区の建築指導課の建築主事もミスには気がつかなかったのです。
この時点でこの計画のミスに気がついた方はメッセージで答えてください。
(コメントだと、ネタバレをしなくてはいけなくなるので!それと関係者の方はくれぐれもネタバレをしないでください。)
まだまだ、続くけど・・・
敷金0・礼金0・仲介手数料0の物件って・・・
お得だと思いますか?
冷静に考えてみてください。
まず、あなたが大家(貸主)だったら、どう思いますか?
敷金ゼロ、礼金ゼロにしてまで部屋を貸さない状況になっているない限り、敷金礼金をゼロになんかしないですよね?つまり、そうでもしなければ部屋が埋まらないということなんです。
また、仲介手数料ゼロって、あなたが仲介業をやっている不動産屋だったらどうやって儲けるのでしょう?
当然ですが大家(貸主)から、仲介手数料を満額貰っているに決まってます。
そして、そういう物件は往々にして、連帯保証人不要とか無職可という物件も多いはずです。
つまり、そういう人が集まっている物件ということをよく考えてください。
無担保・無職の人にお金を貸してくれるところを想像してください。それに近い物件ということです。そして、家賃滞納問題が発生して、『取立て屋』ならぬ『追い出し屋』がやってくるということになります。
例外もあります・・・。
私が収益不動産としてマンションを開発していた時に利回りを良くしないと、会社で稟議を取った目標利回りに到達できないということがありました。
その時に考えたのが敷金ゼロ、礼金ゼロです。
通常、収益物件を検討する場合に敷金や礼金というのは利回りにカウントしません。
※敷金は預かり金だから、当然にカウントできない。礼金は入退居が発生しないと入ってこない上に礼金を貰うこと自体が遵法性としてグレーだからです。
ですから、その分、家賃を上げてしまうんです。そうすれば利回りが上がります。
そして、入居審査を厳しくすることで、入居者の与信を確保します。
その場合は、物件そのものがファンドが実質的な所有者となっていて、謄本上の所有者は信託銀行になっているケースが多いです。それでも、入居者の与信を確保しようとして敷金だけは取るのが普通なんですが、ファンドでも苦しい物件はあるということです。
もっとも長期的に住もうと思えば家賃が割高なのでお得とは言い難いです。
お得な物件を探そうと思う気持ちは解りますが、よ~く考えて部屋を探してください。
朝から暗い話だけど・・・